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 リーマスは無表情で自分の傷をなぞる。じくじくと広がるような痛覚が彼の頭を覚醒させてくれる。身体の中に残るシリウスによって与えられた快楽の残滓が、痛みに追いやられて消え去っていった。
 こうでもしないとあれほど執拗に引きずり出された淫らな感覚が消え去ってくれることは無い。あるいはそのまま惰眠を貪り、夜が明けるほどの時間が経てば可能なことかもしれないが、それは出来ない相談だ。公に出来るような関係ではなく、それ以前にいつまでも余韻に浸りつづけることをシリウスは許しはしないだろう。
 だからリーマスはこうして傷口をいじって身体の中から麻薬めいた甘い痺れを追い出してゆく。ひょっとしたら自分はこの責め苛むような痛覚に、快楽を覚えているのかもしれないとリーマスはぼんやり思った。








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