はだかの王さま
むかしむかし、あるところに、すばらしい王さまがいました。
王さまは強く賢く勇敢で明るく、慈悲深くて気さくなので、誰からも愛されていました。
人気者の王さまはいつでも人々に囲まれて、とてもにぎやかです。中にはそんな王さまを嫌うひともいましたが、それはとても少なくて、誰もが王さまといっしょにいたくて、彼のまわりはいつもにぎやかでした。
中でも王さまにはとくに仲の良い三人の友人がいました。無邪気でちょっと強引なほど勇敢で、曲がったことが大嫌いなひと。いつもにこにこ微笑んで、穏やかで思慮深いひと。そしてちょっとおっちょこちょいだけど、気は優しくて何となく面倒を見てあげたくなってしまうひと。彼らは互いに仲が良く、王さまのそばにはいつも必ず彼らの姿がありました。
もちろん王さまも三人が大好きです。彼は何をするにも必ず三人と一緒でした。
それに王さまには他にも大勢の友人がいました。彼を愛し、気にかけてくれる大人のひとたちも一杯いました。王さまは本当に誰からも愛され、いつだって光り輝く太陽のようなひとでした。
だから皆は王さまがとても幸せだと思ったし、そんな彼と一緒にいられる自分たちも何て幸福なのだろうと思いました。
王さまはいつでも皆に囲まれて、とても楽しそうです。彼の輝きに目を奪われないひとなどいないでしょう。そして王さまを好きにも嫌いにもならないひとなどは、絶対にいないでしょう。それほど王さまはすばらしいひとだったのです。
本当になんてすてきな王さまだろうか、と人々はほめたたえます。それには三人の友人も王さまもにっこりです。
けれどそんなに皆は王さまが大好きで、いつでも王さまと一緒にいたのに、どうして誰も気付かなかったのでしょう。
―――――――王さまが、はだかだということに……
〔END〕
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