■□■ ペスカ・コシカの秘密 □■□






 もしも少しの間だけリンとシキの中身が入れ替わったら?
 そんなくだらない冗談にリンは大きな目を猫のように光らせた。

「そんなの決まってるだろ、シキの名声を地に落とすために、悪行の限りを尽くしてやるのさ!」

「……悪行?」

 何気なく訊ねたアキラを物凄い勢いでリンは振り返った。彼はよくぞ訊いてくれましたとでも言うようにアキラを指差すと、

「簡単だよ、まずは食い逃げだろ、幼稚園のバスジャックだろ?」

 爛々と眼を輝かせたリンは悪魔の微笑を口元に刷いて指折り数え始める。

「それからピンポンダッシュと、公園の花壇を踏み荒らして、塗りたてのセメントに足跡残すだろ。そんでもって最後はスカートめくりだっ!」

 …………確かにそれはシキの名声を地に落とすだろう。
 ぬはははっと笑ったリンは明後日の方向を向いたまま実体の無いシキに呪いの言葉を吹きかけている。
 なるほど、ペスカ・コシカが最凶と恐れられた理由が、何となくアキラにはわかった。





〔おしまい〕







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