そもそも、ゲーム理論って何よ?

ゲームとゲーム理論の定義

まず、鈴木光男著『ゲーム理論入門』(初めてちゃんと買ったゲーム理論の本。古い本だが今でも結構使えるし、最近リニューアルしてる)より引用。この本では以下のような定義を紹介している。

1組のルールによってゲームとして定義された対象に関する数学の1分野

社会現象の数学的表現とその分析、あるいは単に、社会認識のための数学的理論

不確実性と利害を異にする複数主体間の相互依存関係のもとでの意思決定理論

これでわかった人はさっさと先へ進もう。以下、わからなかった人向けにもう少しくだけた表現で。

まず考えるのが「ゲーム的状況」。どんな状況?

ポイントは

  • 複数の人が存在する(別に人間でなくともかまわない)
  • 人と人との間の相互依存がある(自分がしたことが相手に影響を及ぼすし、逆もあり)

ゲーム的状況の例

  • 将棋は「先手」と「後手」の2人がいて、コマを動かしていくと勝ち負けが決まる。
  • 1個のケーキを2人で分ける状況。相手が多く食べたら自分の食べる分は減ってしまう。
  • 選挙。各候補者の公約によって投票が変化するから、それによって当落が変化する。

ゲーム的状況をモデル化(状況の特徴を捉えて単純化すること)したものが「ゲーム」

ゲームにおいて人々がどう振る舞うか、またその結果何が起こるのかを考えるのがゲーム理論

ゲーム理論で何がわかるの?

『ゲーム理論で解く』の目次(現在、中古しかないっぽい)を見ると、

1 「合併後の組織統合」をゲーム理論で解く
2 「日本企業のコーポレート・ガバナンス」をゲーム理論で解く
3 「公共財供給」をゲーム理論で解く
4 「オークション」をゲーム理論で解く
5 「破産問題」をゲーム理論で解く
6 「恋愛・就職・結婚」をゲーム理論で解く
7 「投票と選挙」をゲーム理論で解く
8 「政党の分裂と連立政権の形成」をゲーム理論で解く
9 「1997年韓国通貨危機」をゲーム理論で解く
10 「社会的慣習」をゲーム理論で解く
11 「社会的ジレンマ」をゲーム理論で解く
12 「ランダム性」をゲーム理論で解く

とある。また、経済学・経営学への応用は言うまでもなく、ORや生物学、情報科学など理系との関連も深い。

ゲーム理論の特徴(ミクロ経済学をかじった人向けの説明)

ミクロ経済学でも消費者や生産者というように人が出てくる。じゃ、一体何が違うのか?

通常の消費者や生産者の理論(完全競争)では価格が与えられたものとして財を購入したり生産したりする。すると、

  • 自分が市場価格に影響を及ぼすこともないし、誰かが大量に買ったり売ったりということもない。
  • 自分の効用(利潤)に他社の購入量(生産量)が関係しているわけでもない。

          ↓

相互依存がない(1つ目は市場を通じての影響がないってことで、2つ目は直接影響を及ぼすことがないってこと)

まあ、最近だと梶井・松井著『ミクロ経済学 戦略的アプローチ』のようにゲーム理論で書いてしまっている本が出てきているので、このように分けて考えなくてもよくなってきているのかな(世に出ている本の大半は違うけど)。

ゲーム理論の歴史(超〜簡略版)

  • 1944 フォン・ノイマンとモルゲンシュテルン 「ゲームの理論と経済行動」(Theory of Games and Economic Behavior)
  • 1994 ナッシュ・ハーサニ・ゼルテンがノーベル経済学賞受賞
  • 2001 映画「ビューティフル・マインド」 ナッシュの生涯を画いたもの。読んだ方がいいかな?
  • 2005 オーマン・シェリングがノーベル経済学賞受賞

むちゃくちゃ詳細な年代記が、A Chronology of Game Theoryっていうページにある。

ゲームの分類

まず、大まかに分けると

  • 非協力ゲーム
    • 戦略形(標準形)表現
    • 展開形表現
  • 協力ゲーム
    • 提携形(特性関数形)表現

また、情報の違いにより

  • 完全情報ゲーム
  • 不完全情報ゲーム

とか

  • 完備情報ゲーム
  • 不完備情報ゲーム

という分類もある。詳細については他のページを参照(そこまで書き上がるのはいつの日か・・・)。


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Last-modified: 2011-11-11 (金) 16:24:02 (4550d)

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