安倍、福田、麻生、鳩山の各氏は、何れも政治的には名家の生まれだ。・・・彼らはそれなりに「名を惜しむ」立場であって、ボロボロな姿を長くは晒したくない、という事情があった。
これに対して、菅氏の場合、・・・人望は不評であってごく少数の友人らしき政治家(北沢防衛相など)がいるようだが、首相辞任後も彼を立ててくれるような子分がいるようには見受けない。
加えて、菅氏は、政治家一族の出ではないので、不評の下に首相の座を去ることで、周囲が政治的なダメージを受ける心配もない。醜く粘っても、失う名誉の影響が少ない。
つまり、在任状態と辞任後を差し引きして考えると、菅氏の場合、前任4首相よりも首相を辞任することの「機会費用」が断然大きいのだ。一般論として、能力も、経済力も、人望もなく、地位だけが高い人がいたとすれば、この人が唯一の資源である地位に固執するのは当然だ。