651 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 04:59:41 ID:smxrZaZ70
投下します。
特に特殊な嗜好を含むプレイはありませんが、
代理そのものがダメな人はNGワード推奨です。


652 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:01:52 ID:smxrZaZ70
「……ッ…う…ふぅっ……」
何も見えない。何も聞こえない。何処も動かせない。何も話せない。
当たり前だ。目隠しをされ、ヘッドホンを付けられ、拘束され、喘がされているからだ。

最早これで何日目なのか分からない――寝ても冷めても責め立てられているというよりは、
気絶するまで責められ、起きたら早々に調教開始といった具合で、
寝るか食うか善がるかの生活だったので日付など気にしていても仕方なかったし、
あの2人組も日程を特に組んでいる様子も無かったからだ。
気を失った後の重く苦しい眠りから目が覚めた時に押し込められている独房には、窓も時計も勿論無い。
しかもその後朦朧としているうちに連れ出され、策をめぐらせる前に責め立てられるものだから、
ひょっとしたら意図的に時の感覚を奪っているのかもしれない。

ここまで思考を進められただけでも称賛ものだ。
今日は目が覚めるなり目隠しヘッドホン拘束を施されて何処かに連れ出され、
移動中は何もされずにいたために、いつもよりほんの少し頭を働かせられる。
それに次第に後の孔に何かを挿入される刺激を苦痛と感じなくなってきた。
痛みに慣れてしまったとも言えるが、それより『順調に拡張が進んでいる』のだとあの2人組が言っていた。

恐ろしいことに、磨耗した神経はそれを聞いても激昂も悲観も感じなかった。
ろくな運動もしなかったために衰えた感じのある手足を眺めても、嫌悪していた自失の瞬間が訪れても、
上下の口を尊大な態度の男に犯されても、その様子を拘束服の男に眺められ揶揄されても、
諦観に似た重いものが呑み込んだ白濁と共に喉を降りていくのを感じるだけだ。
忘れてしまったわけではない。壊れたわけでもない。
ただ、代理戦争に関わったものとして潔く――
諦めただけだ。

653 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:03:56 ID:smxrZaZ70
「それにしても埃っぽいなここは。上中流の会場とは大違いだ」
カギロイはまるで目の前の埃を含んだ空気を除けようとするかのように、掌を振った。
実際、そんなことで埃が払えよう筈も無いが。
だがその狭く、どこか黴臭い殺風景な小部屋――控え室は、
どう見ても普段カギロイの過ごす空間とは似ても似つかない。息を吸うだけで自分が汚れるような気がする。
居心地の悪さと、会場の管理の悪いスタッフ、そして会場を仕切る女主人にため息が止まらなかった。が、
「ンッ……んぅ…」
「ああ、悪かったね。少し考え事をしていたものだから」
鼻にかかった呻き声を――ある程度の意図を持った声を――聞いて、カギロイは意識をそちらに向けた。

そちら、とはカギロイが立っている下前方だった。
脚の下に付いているゴム片が磨り減っているのかガタガタと揺れて落ち着かない長椅子の上に、
跪くようにして全身を乗せた痩せ気味の青年が、拘束された身体を捻るようにしてカギロイのほうを見上げている。
「…………」
親指と人差し指で作った輪より一回り大きい球に穴を沢山開けた口枷を噛まされ、
透明な涎が球に開いた穴や唇の端から垂れて酷く情けない顔をしている。
一方で呼吸が苦しいのか、息が咽喉の奥やその上に引っかかって意図しない声を生み、
それが快感に押し出された喘ぎ声と交じり合い、えもいわれぬ淫らな効果音となってカギロイの耳を刺激する。
元々どちらかといえば険のある目つきだった左眼は、浮かべた涙で――そして『異』に増幅された性欲の所為で、
どろんと濁りきっていた。――それが、その鋭さの欠片も見えない視線が、またそそるのだが。

カギロイは傍に控えていた拘束男に目配せして、ヘッドホンを外させた。その上で、呟く。
「……で、どうして欲しい?ハダレ」
優しさすら感じさせる声音で呟きながら、尻から腰の辺りに指を立てる。
すると上の口の代弁だと言うように、後孔がカギロイをきゅうっと締め付けた。

654 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:06:08 ID:smxrZaZ70

「言わなければ分からないだろう……ほら」
カギロイはじっとこちらを見つめたまま動かないハダレの腰を押さえると、
じっくりと時間を掛けて後孔の中の腫れたしこりを擦り上げた。
「っ!……ぅ…ぅう…」
カギロイが動き始めた瞬間、後ろ手に縛られて殆ど動かせない肩がびくんと跳ね上がった。
ほんの、ほんの少しずつ引っ掛かるようにカギロイが奥へ進むと、跳ね上げた肩はそのままに背筋がぐっと沈んだ。
体が柔らかいせいか、男が今まで調教してきたどの代理戦争の敗者よりも、深く、しなやかに反り返る背中には、
薄っすらと鞭打たれたような蚯蚓腫れが何本も走っている。
軽く爪を立てるようにしてそれを端から端までなぞると、限界に見えた背中の反りが更に深くなる。
そしてふっくらとした前立腺を過ぎる瞬間には、しゃっくり上げるような声と共にその背中がばねが外れた様に元に戻った。

「……ッ…っ……」
涸れかけた小さな悲鳴が、何度も何度もハダレの口元から滴った。
欲しいのに焦らされ、焦らされ、焦らされつくして、轡越しにも欲求を口にすることが出来ない。
既に恥を気に出来る段階は通り越していた。快楽が大好きな体が、声にならない悲鳴を上げてせっつく。

その時、長椅子を奇妙に揺らし奏でながら悶えるハダレにちょっかいを出しながら傍観していた拘束男が、動いた。
「……ほら、外してあげるから……言いなよ」
「〜〜〜〜ッ、ぁ……」
涎でべとべとのハダレの頭を胸に抱えるようにして、拘束男が口枷のベルトに手を掛ける。
後頭部に食い込むほど固く締められた留め具を外そうと、
そろそろ根本が元の暗い茶色に染まり始めた茶髪にそっと指を差し入れた。
乱暴にして髪を巻き込まないように、皮膚を傷つけないようにゆっくりと緩め、
「……ッ……っ、ふぁは……ッ!」

655 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:08:44 ID:smxrZaZ70
ぴく、とハダレが痙攣する。大量の透明な涎と共に、蛍光色のボールが転がり落ちた。
それを拾い上げながら、拘束男は落ち着かせるようにハダレの頭を優しく撫でた。
「ああ、髪の毛抜けちゃったかな?大丈夫?…………って……」
ふと、怪訝な表情になる拘束男。
ひょい、と指を伸ばして「それ」を拭い、ハダレの目の前に突きつける。

「あーぁ、まーた頭撫でられてイっちゃったんだぁ?えっちぃ」
やや薄めの白濁の絡みつく人差し指と親指を擦り合わせながら、歌うような滑らかな口調でからかう。
達したばかりでヒクつく身体を緩慢に責められ、苦悶するハダレの口元にその指を運び、
唾液とそれを混ぜ合わせるように――さながら、水彩絵の具のように――、拘束男が唇を弄ぶ。
「こういう子にはまたお仕置きですよねぇ?ご主人様ぁ」
同意を求める甘えた声に、カギロイは口を開きかけ――


「残念ながらお時間なんですがね」
唐突に割って入った女の声に、拘束男が渋い顔をする。
女――この戦場を仕切る、例の女主人が不機嫌さを精一杯隠した奇妙な表情で、戸口のところに立っていた。
組織の幹部クラスが来るということで、いつもよりほんの少しいい衣装を見に纏ってはいたが、
その胸の内――自分の店を汚される不愉快さ――を相手によって隠すか否か変えない気風はいつもどおりだった。
「お客さんももう待ちくたびれてなさるし、こんな小汚い控え室でがたがたやらないで、
 早々に舞台に上がりなすったらどうかしら」


656 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:14:18 ID:smxrZaZ70
その遠慮の無い言葉に、拘束男の雰囲気がすっと尖る。が、
「そうだね。分かった。わざわざ足を運ばせてすまない」
殺気が満ちないうちにカギロイがやんわりと返事を返した。ついでに、
「彼の最後の『舞台』の前だと思うと、こちらも落ち着かなくてね。ついつい長く遊んでしまった」
ずるりと自身を引き抜き、さっと身体を脇によける。
すると、カギロイのために死角になっていた長椅子の一部が女主人の視界に入った。
その上にたった今まで弄ばれていた性奴もどきの姿を認め、彼女は静かに無表情を凍らせた。

その表情の変化を心地よく思いながら、カギロイはさっと素早く身支度を整えた。
長椅子の端に掛けていた上着を取り上げ、肩に掛けながら拘束男に指示を出す。
「『ハダレ』の身体を清めてから、服を着せてやれ。眼帯も取り替えろ。
 視覚と聴覚を塞いだら、合図を待て」
「はーい」
拘束男が拗ねたような声で返事をするのを聞き届けてから、カギロイは女主人の脇をすり抜けて廊下へ出た。
女主人は彼を引き止めることも、咎めることも無かった。

廊下の突き当たりに、光の漏れる厚い扉がある。その向こうからは――歓声が聞こえた。


肌に触れる布地の感覚が、嫌に久しぶりのような気がした。
感触からして、捕らえられる以前に身に着けていた服と同じ類の物のようだ。だが、確認は出来ない。
視覚と聴覚をまたも奪われ、手首を体の前で拘束され、どこかに一人で立たされていて状況が把握できない。
このまま拘束を振り解けないことも無いだろうが、疲弊した神経がそうするなと叫んでいた。余計なことはするなと。
だがそれ以上に――異様なほど肌に馴染んだ、『空気』としか言いようの無いものをハダレは感じていた。

657 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:16:20 ID:smxrZaZ70
皮膚を炙るような激しい熱情と、濛々と立ち上る熱気。びりびりと肌を振るわせる殺気立った空気。
一方で冷え切って、第三者の立ち入る隙の一片も無い冷たいフィールド。
温度差が体中の血液を巻き込み、胸を突き上げるような興奮に変わって――

「……………………!」

ここは、何処だ?


唐突に、視界が晴れた。同時に目の奥を突き刺すような痛みが襲ってきて、思わず顔を手で覆い――
「!?」
両手が自由なことに驚き、薄っすらと瞼を開けて両手を見下ろす。
眩いライトに視界が濁り、殆ど色の識別が出来ない。だが、両手をつなぎとめるものは何も無いのは分かる。
信じられない思いでゆっくりと両手を握る。
足元に視線を落とし、何も動きを妨げるものが無いことに呆気に取られる。
思わず口元に触れ、感触で分かっているはずなのに口枷を探す。無い。
肩から肘までを撫でながらもう一度視線を落とすと、自分が以前と同じ服を着せられていることに気が付く。

そこまで全身を確認してから、ゆっくりと周囲を見回す。そして愕然とする。
自分の居る位置だけがスポットライトのようなもので照らされている所為で、周囲は暗く、確認しづらい。
だが、明らかに自分の周囲を何百人もの興奮した人間が取り囲んでいる。
そして彼らよりも一段高い『舞台』――否、リングに自分は身をおいていた。

改めて押し寄せてきた懐かしい歓声と大音量のBGMに半ば呆然としながら、
ハダレは疑いようの無い事実に気が付いていた。

ここは、戦場だ。


658 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:18:47 ID:smxrZaZ70
「気分はどう?」
掛けられた声に、びくっとと振り返る。そこには、目隠しとヘッドホンを手にした拘束男がいた。
数日間のおぞましい記憶の所為で、思わず一歩二歩と後ずさって距離を開ける。
拘束男はハダレからたった今取り去ったと思しきそれらをリングの下にぽんと放り投げると、眩しそうに笑った。
「懐かしい?」
ハダレは返答をせずに――わざと避けたのではなく、まだ返答できるほど状況がつかめていなかったのだ――、
辺りをぐるりと見回した。心臓がどくどくと激しく脈打っていた。
一度凍りかけたような心臓が跳ね上がるたびに、吐き気のような痛みがこみ上げてくる。
右を見ると、総立ちになった観客から罵声とも応援とも付かない歓声が浴びせられた。左も同じ。
正面には、暗い観客席を奥から仄暗く照らすようにバーが営業していた。動き回る人々で一杯の店。
そして自分のほぼ真後ろには、控え室からの廊下とこの空間を結ぶ――あるいは隔てるあのドアがあった。
余りに――間違いがなさ過ぎる。眩暈がする。

「……で、どーすんの?」
半ば悟りながら、しかし皮肉る気も、いわんや怒ったり怒鳴ったりする気力もなくぼんやりとハダレは尋ねた。
尋ねられた拘束男は薄っすらと目を細めた笑いを消さず、そっとハダレに近寄った。一歩、二歩。
そして、カギロイ――リングの下の、周囲から少し距離を置いた特等席についている主人を背に、立ち止まる。
ぴたりと止めた足をそろえてから、拘束男は唇を開いた。
「選ぶんだよぉ。俺か、ご主人様か。
 君がどっちかに勝てれば解放するって条件でご主人様はこの代理戦争を組んだんだ。
 ……まぁ別にぃ?見知ったお客さんとか、店のヒトに無様な姿を見せたくなければ辞めたって良いんだけど……」

たっぷりと余裕を含んだ妖しい口調で、拘束男が簡単にルールを説明した。
拘束男か、カギロイ。どちらか、ハダレ自身が勝てると踏んだ方と一戦交える。
武器はなし。『異』は使用可。致死は反則。
ハダレが勝てば自由の身に、負ければ観衆の面前でレイプショーかつ就職先が性奴に決定。
なんとも分かりやすいルールだ。

659 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:21:09 ID:smxrZaZ70
↑ごめんなさい、これは2つ先(これを含め)です。申し訳ない。

――ハダレが解放の件を抜きにしても、元王者の威信をかけて断れない事も含め。
「……勝手なこったな……」
調教開始前のように元気に、自信たっぷりに皮肉ることは出来なかったが、
ハダレは流石に呆れてため息を漏らした。もう抵抗などしていないのに、今度はわざとその道を開く陰険さに。
その抑揚の少ない反応に、拘束男が小さく肩を震わせた。苦笑しながら、
「まぁね。所詮君は敗者だから。
 …………で、止めるの?それとも……」

ぱん、と。
破裂するような乾いた音が一発、戦場に確かに響く。まるで、銃火器が発明されたばかりの頃の戦場のように。
決して大きくも、人を威嚇する響きも含まないそれが、何故か――ざわついていた会場を一瞬黙らせた。
「誰がやめるっつった」
さわさわと漣が押し寄せるように戻ってくるざわめきの中、低く唸るような声が意思を告げる。
拘束男は覆面の下から覗く青灰色の瞳をほんのすこし瞼で覆って、眩しそうにハダレを見た。
少し肉が減り、骨張ったように見える拳をもう片掌に打ち付けたまま、こちらを睨むハダレ。足元に、解けた眼帯。
その両眼には先ほど控え室で陵辱されていた時の濁りは影を潜め、
スポットライトの光の下で掲げたナイフのような、鋭く美しく、引き込まれるような魅力的な力強さをたたえていた。

そっちもいいかもとうっとりと見つめる拘束男にむけて、ハダレは口を開いた。
そして唇を動かす前に拳を解き、片方の掌を天井に向けたまま肩の高さまで差し上げ――指先を蠢かせた。
くいくいと、二回ほど手前に指先を引いて誘う。
「リベンジ。――あんたが、オレの最後の戦場を飾る相手だ」

拘束男は少し驚いたように目を瞬かせた。が、すぐに満面の笑みを浮かべて、主人を一瞬振り返る。
なにやら確認でも取ったのか、一度だけこくんと頷くと、またハダレのほうに向き直った。
向き直った拘束男は身体を解すように何度か伸びをした。こきこきと関節を慣らすと、満足そうに告げた。
「最後の代理戦争が負け戦なんて――かわいそうに」


660 名前:代理戦争:2006/11/26(日) 05:23:15 ID:smxrZaZ70
ハダレが不愉快さを露に目を吊り上げる。それと同時に――
「ッ!」
殆ど一瞬で踏み込んできた拘束男の腕が目前に迫り、ハダレは交差させた両腕でそれを受け止める。
ずしんと重い一撃が、弱った膝を伝わってリングの床へと吸収される。苦悶の一瞬。
だが、
「っぁあ!」
追撃される前にその腕を捻って払い、絡まった腕をかいくぐって肘を突き入れた。鮮やかな一撃が拘束男の脇腹を貫く。

おおおおっ……!

観衆が軽い驚きにざわめく。まさか手負いのハダレからこんな技が決まると思わなかったのだろう。
そのざわめきを懐かしく思い、肘から薄い皮膚の下のあらゆる組織が衝撃に揺さぶられる響きを感じながら、
ハダレは恍惚を覚えていた。今まですっかり忘れていて、つい一月前まで当たり前だったその興奮を。
相手を倒さなければこちらが倒される。負ける。死ぬ。
強迫観念にも似た一種の言い訳を唱えながら、ハダレは追撃をかけた。

一撃ごとに、砕け、拉げ、潰れるのに似た音がする。
――似ているだけで、無論本当にはそんなに壊滅的なことにはなっていないけれど。
もう十数回は殴っただろう。蹴っただろう。打っただろう。
だが止まらない。抑圧されていた支配欲が一気にあふれ出し、ハダレ自身ももう収まりが付かない。
それに敵はあの拘束男で、どうしても負けるわけに行かないとなれば、別にどうもしなくてもいい気さえした。
カギロイが慌てるほどに拘束男をぐちゃぐちゃに殴り倒して悠々と去れば、
少しはこの陵辱されつくした心と身体を癒せるだろうという幻想が、ハダレの脳内を駆け巡っていた。

ウスライは、来ない。自分しか、信じられない。裏切られたというには、浅すぎる関係。
――胸を突くような痛みが、ハダレの拳を振り上げさせた。


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