- 561 名前:風と木の名無しさん:2007/01/18(木) 23:36:43 ID:DU3/1trK0
- え・・藤吾は死んだの・??
すげぇ気になる
テュランタソGJ!!続きwktkしながらまってます
- 562 名前:テュランの筏1/3:2007/01/19(金) 07:41:05 ID:wAuYIsiB0
- 十四日目
……僕が、意思を強く持とうなんていうのが、おこがましかったのだ。
……弱いものは、弱いままでいればよかったのだ。弱いものが、人を馬鹿にするから。
……楊玲を、心が弱いものだと決めつけていたから。だから、気付けなかった。
……楊玲は、知っていたのだ。甘えた時に、聞かされたのかもしれない。
……それとも、いつだったか。トランクの中を見せてもらった時に、食料の量から逆算し、悟っていたのかもしれない。
……とにかく、楊玲の心は、僕がおよばないほど強かったのだ。
……悟った彼は、ただ十四日を安全に生き延びようと思い、実行しただけなのだ。
……そして、クリフ。孤高に生きる、誰より誇り高い意志を持つ彼。
……僕が彼に憧れ、まねしようとする事。それ自体がすでに間違えだったのだ。
……僕は弱い。意思が弱い。それを受け入れればよかったのだ。
……なまじ強くなろうと思った心は、誤った方向へ働いた。
……みんなを、犠牲にして。
……トランクには発信機も、無線もなかった。
- 563 名前:テュランの筏2/3:2007/01/19(金) 07:42:01 ID:wAuYIsiB0
- ただあったのは手紙。「矢野島藤吾」宛。
死者の名前など、いまさら意味を持たないが。
発信者には全く聞いたことのない、メーカーの名前があった。
藤吾が左手首にはめている腕時計の機種名だ。
びんせんを開く前から、すでにいやな予感はあった。
……パンドラの箱から、絶望は飛び出している。
……用意周到で、狡猾な藤吾。
……最初に彼は何て、名乗った?
……「船長」だ。そして彼はテュランでもある。
「スイッチを入れますと、発信信号が送られます。
十四日間経過後、お客様との打ち合わせ通り、ヘリを遣わせます。
この機能はお客様の脈拍と連動しております。
万が一にも時計を外したりして脈拍が途切れてしまいますと、
発信は途絶え、以後位置を追う事は不可能となります。
どうか、ご注意ください」
- 564 名前:テュランの筏3/3:2007/01/19(金) 07:43:12 ID:wAuYIsiB0
- ……船長がいない船など、ただ死の波間をただよう板だ。
……暴君といえども、治めるものがない国は、崩壊する。
「なぁ、智士。そこには何て書いてあるんだ?」
日本語が読めないクリフは、僕にたずねる。
僕は答えられる訳もなく、ただ震える手で、手紙を持ちつづけていた。
―――水も食料もない。
いかだに乗っているのは狂った一人と、もうすぐそうなる二人。
水平線はどこまでも続いている。
残酷に空と海とを二分しながら。
-------------------
終
- 565 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 08:53:47 ID:VjmQXeFc0
- うそおおおおおお!?
嘘だろ!?嘘だよね!?
………orz
言葉もありません…
大作をありがとうございました…
- 566 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 09:56:51 ID:hfjbvz7FO
- ええぇぇーーー!!!!!!?????
嘘ーー!!!
テュランタソGJです……
最終的に『教育』に繋がったね。ある意味藤吾は正常だったんだ。人間の限界まで迫り、緊迫の作品でした。本当にスバラチイ!!!
テュランタソ乙です!!
- 567 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 10:10:34 ID:CwSAPvbW0
- ぎゃーーーーー!
これほど恐ろしい結末だなんて思わなかったよ!
テュランタン、最後まで読み手を引っ張り回してくれてありがとう。
大作、お疲れ様でした!
- 568 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:06:51 ID:yQryG8Re0
- ススススイッチはもう入ってたから
その時点での大体の位置は判明してると思うの。
そこが海の上だし海難事故があったんだから
しししし信号が途絶えたらきっと海上保安庁に連絡してくれてると思うの。
- 569 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:24:25 ID:hfjbvz7FO
- 藤吾が時計をかばって殴られた衝撃で不意にスイッチ入ったとか………
救助が来るまでその電波は持続しなければいけないなんて事……………(゜Д゜)
- 570 名前:風と木の名無しさん:2007/01/19(金) 11:31:43 ID:OgrwL19T0
- テュランタソ乙!!
藤吾の行動の理由にすごく納得がいって
最後まで楽しんだよ。
どうもありがとうございました!!
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