591 名前:ハント 5:2007/01/20(土) 06:13:55 ID:LL66XtoV0
ミハイルをひっくり返した私は、両手首を繋いでいた手錠を外して、
左手首と左足首に付け替えた。よくあるポーズだが、上体を起こさない限り
両膝を大きく開いたままになるこの格好を、私は、プライドが高い相手や
自制心が強い相手によく強いる。ミハイルも、白い頬に血の色を上らせている。
怒りか屈辱か羞恥か、その全部か。私は殊更ゆっくりとミハイルのシャツの
ボタンを外していった。
「その汚い手で私に触れるな! 虫唾が走る!」
ミハイルが怒鳴って暴れる。君に触れる手は汚ければ汚いほど好ましいと、
どう説明したらわかってもらえるだろうか。
シャツの中から現われた薄紅色の乳首に、私はそっと口付けた。
ミハイルが狂ったように身を捩る。下種、蛆虫と、罵倒の限りを尽くしてくれる。
「その蛆虫に体を舐め回されるご気分はいかがです、殿下」
舌先で珊瑚の粒のような突起を突つきながら言うと、ミハイルがぎりぎりと
歯ぎしりした。だが、私が珊瑚粒をチュッと吸ってやると、喉の奥で
可愛い声を立てる。さすがに、こういう方法で餌を引っかけていただけはある。
決して、初めてではないはずだ。指と舌とで胸を愛撫しながら、
膝でスラックスの上から性器にリズミカルに振動を与えていると、
肌がしっとりと汗ばんでくる。あれほどうるさかった口を閉じて、
ミハイルは奥歯を噛み締めている。声が、出てしまいそうかい?

592 名前:ハント 6:2007/01/20(土) 06:14:58 ID:LL66XtoV0
顔を下にずらしていき、スラックスの上から性器にほお擦りすると、ミハイルが
また大きな声で私を恫喝した。きっと後悔することになると。今さらだ。
ヴァンパイアを1人追う度に、私はこの生き物――生き物と言えるのかどうか、
よくわからないが――に心底魅せられてしまった自分を、呪わずにいられない。
それでなくても茨の道を歩くしかない性癖の持ち主だと言うのに、
ヴァンパイアを追い回すことが何よりも好きだなどと。知らずにいれば良かった。
彼らの魅力も、いや、彼らが実在する事実を、知らなかったら良かった。
私はベッドサイドに置いておいた鞄からナイフを取り出した。
いささかの恨みをこめて、乱暴に、スラックスとシャツを切り刻んでいく。
ミハイルは自分が裸に剥かれるのを、大きな目をいっそう大きく見開いて
睨み付けている。喚き散らさない、その気位の高さが好きだ。今までに
追いかけたヴァンパイアたちの中でも、ミハイルはずば抜けて上物だ。
銀の縛めより他に纏うものをなくしたミハイルの体は、内側から光を放つかと
思うほどに美しい。私が感嘆の溜息をついて見蕩れていると、ミハイルが
炎でも凍らせてしまいそうな声で声で呟いた。
「今までも――こうしてきたのか」
今まで。私が今までに狩ったヴァンパイアたちのことか。
「カーミラであれば、しなかったよ」
否定の言葉で肯定を伝える。何しろ同性愛者だからね。
だが、ヴァンパイア・フリークとしての私は雑食だ。
白髪が混じり始めた痩せぎすの紳士然としたヴァンパイアも、
筋骨逞しい戦士のようなヴァンパイアも、手に入れたものは一通り楽しく味わってきた。
違うのは料理の仕方くらいのものだ。
毅然としたヴァンパイアには尊厳ある最期を。
命乞いするヴァンパイアにはむごくおぞましい最期を。
私はどちらも本当に大好きだ。

593 名前:ハント 7:2007/01/20(土) 06:16:07 ID:LL66XtoV0
「私の眷族たちを消してきたのか」
ミハイルの詰問に、私は首を傾げてみせた。
「さあ。私も何人かを捕まえてきたけれど、ハンターは私1人ではないよ。
具体的に挙げてもらえば、私の獲物だったかどうか教えてあげられるが。
客に手渡したヴァンパイアに関しては、その後どうなったか知らないけれどね」
「薄汚い犬が…! 金で雇われての所業か」
こらえようとしたが、吹き出してしまった。
「金をもらうのは糧を得るためだ。君たちが我々を食べるのとどう違うのかな?」
本当は、少し違う。私は別にハンターを本業になどしていない。これは楽しみのために
やっていることで、金をもらわない限り狩りをしないのは自制のためだ。
だが、そんなこと、ミハイルにしてみれば同じことだろう。
屠殺場に引き立てた豚に押し倒され噛み付かれる、その屈辱をじっくり味わえばいい。
私は、大きく開いたミハイルの膝の間に座り込んで、可愛らしい色をした性器を
手に取り、ゆっくりと撫でさすった。ミハイルが呻き声を上げながら暴れる。
体を起こそうとしては鎖に引き戻され、鎖がジャラジャラと大きな音を立てた。
腰を捩る様は、淫らな舞踏のようだ。それを見るだけで私の腰の奥に痺れが走る。
ミハイルはなかなか応えようとはしないが、それも彼なりの精一杯のプライドなのだろう。
焦ることはない。私は手で支え持ちながらミハイルの性器に恭しく口付けた。
先端を啄ばんでいると、ミハイルの内股がぴくぴくと震え始める。

594 名前:ハント 8:2007/01/20(土) 06:16:51 ID:LL66XtoV0
自慢ではないが、私は手淫にも口淫にも自信がある。いや、性交に関して、
相手を悦ばせることにかけては他に引けを取らない。私の歴代の恋人達は
別れる時には「せめてセックスフレンドとして続けたい」とすがってきたものだ。
それもこれも、ヴァンパイアを愛するが故の修行の成果だ。
お互いの正体が明かされた後、私たちは和やかに愛し合うことは不可能だ。
私はそうしたいが、向こうが嫌がる。となれば、私はヴァンパイアを拘束して
一方的に愛するしかないのだ。だが私は自分のヴァンパイアに対する敬意と憧憬を
脇に置いておくことはできない。だから、精一杯尽くして、奉仕して、
楽しんでもらいたいと思うのだ。
ミハイルの性器が、芯を持ち始めた。裏側をジグザグに舐め上げながら、
先端の小さな穴に指先をひっかけて小刻みに動かしてやる。ミハイルの腰が、
ビクンと揺れた。袋を、猫の喉でも撫でるようにそろりと掻き上げると、
奥にある小さな孔がひくひくと動くのが見えた。慣れた体だと知れる。
唾液をたっぷり乗せた舌で、性器の先端の丸みを掠るように嘗め回すと、
唾液ではない液体がそこを濡らし始めた。ひとであることをやめても、
ひとと同じ生理が残っている。それをヴァンパイアたちはどう思うのだろうか。
ミハイルの足先が固く丸められ、シーツにめり込んでいる。私は密やかに笑った。
どんなにこらえようと、ひとと同じ浅ましさが、ミハイルを支配しているのだ。
見上げれば、ミハイルは目をきつく閉じて、平静を装っていた。
なんと愛らしいのだろう。もう性器は勃ち上がって、いやらしい汁までを
垂らしているというのに、誤魔化せると思っているのだ。

595 名前:ハント 9:2007/01/20(土) 06:17:29 ID:LL66XtoV0
やり方にもよるだろうが、逝きたいのをこらえて抑え込むと、下腹部全体が
快感の海に浸っているような状態になる。長い時間楽しめて、私は結構好きだ。
ミハイルもきっと今そんな感じなのだろうと思う。浅い息を繰り返しながら
体を震わせている。好むと好まざるとに関わらず、ミハイルは楽しんでいるのだ。
とめどもなく溢れるつやつやした露を、私は指先で掬い取った。
それを、ミハイルの唇にそっと塗り付ける。ミハイルがかっと目を見開いた。
私はもう一度露を指に絡め、今度はミハイルの鼻先にこすり付けた。
自分の匂いを楽しむといい。
ミハイルの眦が裂けた。目が燃えるようだ。
ミハイルが勢い良く頭をもたげ、銀の首輪がけたたましく軋んだ。
予期していた私がさっと手を引くと、ミハイルの牙は空しく空で噛み合わされた。
あれに噛まれたら私もただでは済まない。
ミハイルが怒りのあまりに震える声で私を罵った。
「下種めが…! 下品なことをせねば情を交わすこともできぬのだ、お前らは!
殺せ、お前などに触れられるくらいなら塵となって朽ち果てた方がよほどましだ!」
だからこそ、殺すのがもったいなのだと、ミハイルにはわからないのだろう。
「光栄だ」
私は取って置きの笑顔で答えて、ミハイルの鎖骨に口付けた。

596 名前:ハント 10:2007/01/20(土) 06:18:14 ID:LL66XtoV0
暴れる体にそのまま舌を這わせていく。珊瑚粒が、更に赤く色づいていた。
まるで熟したぐみの実のようなそれを、舌で、歯で、転がしてやる。
指先で脇腹や臍の周りなどを探っては悦いところを見つけて、くすぐった。
銀の縛めのこすり合わされる音、ミハイルの荒い息遣い、そして下腹から聞こえる
にちゃにちゃという粘った音が、混ざり合い、溶け合い、体に纏わりついてくる。
いつもミハイルを抱いているのは、どのような男なのだろう。このミハイルが
認めるほどの相手なら、さぞ凛々しい――恐らくはヴァンパイア、なのだろう。
突き上げてくる喜びに耐えられず、私は声を立てて笑った。
私などよりもはるかに美々しく堂々としているであろうヴァンパイアが、
麗しい恋人を私に寝取られている。そう思うと、胸の内が震えるほど幸福だった。
私は自分の着ていた服を脱ぎ去った。日に焼けて、あちこちに傷のある体は、
ひたすら白く滑らかなミハイルの体とは対照的だ。そのコントラストを楽しみながら
ゆっくりと、裸の肌を合わせた。汗が交じり合う。私という汚濁をなすり付けられ、
ミハイルが、言葉にもならない声を上げて私を呪っている。
私は自分の性器をミハイルの性器にこすり付けた。ひとの雄と鬼の雄とをまとめて
手の中に包んで、一つのもののように愛撫する。
「はなせっ! おぞましい……お前など、この薄汚いゴキブリがっ……」
いくら口を極めて罵ろうとも、私から溢れ出た露がミハイルの雄に絡み、
ミハイルから溢れ出た露が私の雄に絡んでいる事実は隠しようもない。
ミハイルの腰を抱え上げ、彼の目の前にすべてを晒してから、
わざと音を立てるように二人の性器を捏ね回した。初めて、ミハイルの顔が
悲痛な色を帯びた。気が遠くなるほどの美しさだ。恥辱ほど、誇り高い
生き物を美しく彩るものはない。

597 名前:ハント 11:2007/01/20(土) 06:18:59 ID:LL66XtoV0
ミハイルの顔を見つめているのは楽しい。平静など取り繕えなくなって、
眉根を切なげに寄せて浅い息を繰り返しながら、小刻みにかぶりを振っている。
嫌で嫌でたまらないのだろう。嫌でたまらないのに、私に屈するしかない。
どれほど悔しいだろう。どれほど恥かしいだろう。牙を突き立てられさえすれば
一瞬で私を殺すことができるミハイルが、私の下ではしたなく両脚を広げ、
拒むことのできない快感に喘いでいる。そうだ、ミハイル、君にこれを
拒むことはできない。蛆虫に体中を弄くられて悦ぶがいい。
私はミハイルの性器にもう一度舌を這わせた。
「や、やめろ……やめろ! 私に触るな……触るなっ、いやだ……!」
ミハイルが絞り出したその声は、もう命令と呼べるほどの強さを失っていた。
大きく固く育ちきったそれを深くくわえこんで、思い切り吸い上げた。
ミハイルの喉から、息が詰まるような音が響き、次いで、私の喉の奥に
熱いものが迸った。ドクン、ドクンと私の体内に流し込まれていくそれはまさに、
ミハイルの体の真ん中、奥深くから放たれる命の飛沫だった。
一滴も余すまい。私はミハイルの萎れたそれを扱いて絞り出し、吸い上げた。

598 名前:ハント 12:2007/01/20(土) 06:20:46 ID:LL66XtoV0
ぐったりと弛緩したミハイルの体をベッドの上にそろりと置く。
全身が汗に覆われてうっすらと光っているのが、すばらしく淫靡であでやかだ。
汗に触れたくて、手の平で胸を撫でた。途端に、ミハイルが激しい目を
私に向けてきた。突き刺さるようなその眼光。すばらしい……。
これしきの侮辱に打ち据えられるようなヴァンパイアではないのだ。
私はウットリとして、ミハイルの胸に唇を落とし、汗を吸い取った。
ミハイルが嫌悪に顔を歪めて吐き捨てた。
「汚らしい下等生物が……! お前に触れられるだけで身が腐れるわ。
この私に指一本触れる資格などない、さっさと縛めを解いて立ち去れ」
汚らしいことも、触れる資格もないことも重々承知の上で同意するが、
立ち去ることなど、どうしてできようか? 私はまだ思いを遂げてはいない。

599 名前:ハント 13:2007/01/20(土) 06:21:22 ID:LL66XtoV0
私は、ミハイルの小さな2つの丘の奥の淡い翳りを指で探った。
そこは既に流れ落ちた淫液で濡れそぼっている。ミハイルが吠えるような声を上げて
身を捩った。構わずに――と言うよりも嬉々として、私は慎ましく閉じている孔に
指を押し込んだ。一本ねじ込むのがやっとなほど、そこは激しく私を拒絶している。
「慣らした方が君のためだと思うが。ヴァンパイアだから痛くないということは
ないだろう? 皆、痛がっていたよ?」
暗に、彼の仲間を幾人もむごく陵辱してきたのだと伝え、笑いかけた。
視線で殺せるとしたらこんな目だろう。そういう目で、ミハイルが私を見る。
ああ、たまらない。これほどの憎しみを、他にどうすれば得ることができるだろう?
もがく腰を押さえつけながら、私はくり返し指をつぷりつぷりと抜き刺しして、
その感触を楽しんだ。ミハイルが少しでも力を抜くのなら、このまま解してやろうと
思っていたが、どうやらミハイルにその気はないらしい。ならば、これ以上
自分を焦らすこともないだろう。私は、ミハイルの尻に自分の雄をあてがった。
ミハイルが凄まじい唸り声をあげる。私の全身を電流が駆け抜けた。
地獄から移してきたような炎がミハイルの目で燃えている。乱れた髪はまるで
その炎に煽られて逆立っているかのようだ。むき出した牙は赤い唇と舌に
よく映えて白い。ああ、これだ。これこそが私を虜にしたもの。
私をヴァンパイア・ハントの中毒にしたもの。
危うく、ミハイルの中に入る前に絶頂を迎えてしまうところだった。

600 名前:ハント 14:2007/01/20(土) 06:22:01 ID:LL66XtoV0
私はひと思いに腰を落とした。
「ぐぁ!」
さすがに声を殺すことができなかったのか、ミハイルの喉からひしゃげたような
呻きが漏れた。優雅に整っていた顔が激痛に歪み、全身に鳥肌が立っている。
ゆで卵を剥いたようなつるりとした尻を、ラズベリージュースのような血が
流れ落ちていく。痛いだろう、可哀想に。けれど、ヴァンパイアはすぐに
傷を治してしまうのだから、容赦はしないでおこう。私は最初から激しく動いた。
ミハイルの腰を押さえつけ、乾いた音が響き渡るほど強く体を打ちつける。
ミハイルは目をきつく閉じ、歯を食い縛って、耐えるしかない痛みが
終わるのを待っている。後孔は惨たらしく裂け、だらだらと血が流れていた。
こうなるともう、力を抜いてリラックスなどできるはずもないだろう。
痛みに、体が強張ってしまう。それがきつい締め付けとなって、私を悦ばせる。
入り口の収縮はまるで私に噛み付くようで、それに逆らってこすりたてる度、
腰から全身に熱い痺れが走り抜けるのだ。このまま昇ってしまうのが惜しくて、
私は一度ギリギリまで引き抜き、先端を入り口に引っかけて、浅く抜き差しした。
ミハイルがふと息を吐いたその瞬間に、私は思いきり腰を突き上げる。
「ひぅっ!」
不意を突かれて耐え切れず、ミハイルは引き攣った悲鳴を上げた。
いい声だ。体にも心にも苦しみしか感じていない、そんな声だ。
私は立て続けにミハイルの奥深くを抉りまくった。一度悲鳴を上げてしまって
心が萎えているのか、それとも本当に限界なのか、歯を食い縛ったミハイルの
口元から小さな悲鳴が断続的にこぼれている。天上の楽の音でも、ここまで
耳に快くはないだろう。組み敷いた細い体から汗の臭いが立ち昇り、
その香しさもまた私を酔わせる。一晩中でも続けていたいほどの快楽だったが、
私の体はそこまで忍耐強くはできていなかった。届く限りの奥へと突き込んで、
私はミハイルの中に自分の精を迸らせた。


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