- 811 名前:風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 12:56:54 ID:VsTy0HcA0
- 他板に投下したものの、スレ違いかもしれないので転載です。
スルーされる方は題でお願いします
- 812 名前:うつしみ 1/10:2007/02/03(土) 12:57:42 ID:VsTy0HcA0
- 性転換をしたい。
そう言うと、医者は私の顔を覗きこんだ。
彼は渋い顔で口を開く。
「私が言うのは何だが、考え直した方がいいんじゃないか?
君ほどの器量の娘が、わざわざ男になるのは…」
彼はその他にも、一時の気の迷いかもしれない事、
中2ではまだ「女性の身体」を充分知らない事をあげ、
私に熟考を迫った。
でも、私は自分の身体をしらないわけじゃない。
友達もだいたいそうだけど、もう何人かの男子と付き合った。
絶頂だって味わった。
何より、私には身体を変えたい訳がある。
- 813 名前:うつしみ 2/10:2007/02/03(土) 12:58:29 ID:VsTy0HcA0
- 私にはひとつ下の弟がいた。
郁海(いくみ)という名前がいけなかったのか。
細くてなよなよしてて、すぐ泣いて、虫も殺せない。
私より女々しい奴。
そんな郁海は、年上の“男”と付き合っていた。
私にしか話せなかったんだろう、それはもう嬉々として語る。
相手がどれほど格好良いか。どれほどハードなプレイをするか。
どれほど、愛しあっているか。
あの子は久々に、にこにこと笑いはじめていた。
ほんの一ヶ月前、無残な死を遂げるその時まで。
- 814 名前:うつしみ 3/10:2007/02/03(土) 12:59:17 ID:VsTy0HcA0
- 弟の気持ちが知りたい。だから、性を変える。
バカみたいだと思われるかもしれない。
でも私は、誰よりも弟を大切に思っている。
あの子がどんな気持ちでいたのか。
死の直前まで、どんな願いを抱いていたのか。
私だけでもわかってあげたい、でないとあの子が浮かばれない。
父も母もあまり反対しなかった。
ぽっかり半身が空いたような気持ちを汲んでくれた。
医者に話をするうち、私は泣いてしまっていたらしい。
歪む視界の中、私は強く抱きとめられていた。
「分かった、もういい。止めた私が悪かった。
私の威厳にかけて、君の身体に弟さんを宿らせる」
芝居がかったほど震える声が、頼もしかったのを憶えている。
こうして私は、写真の中の『郁海』になった。
- 815 名前:うつしみ 4/10:2007/02/03(土) 12:59:56 ID:VsTy0HcA0
彼――弟がシンヤと呼んでいた男はサッカー部らしい。
部室の戸を開け、声をかけた。
「失礼します、信哉さんは居られますか」
男物の制服姿はまだ慣れず、緊張する。
そもそも高等部へ入るのも初めてだ。
何人もの目がこっちを凝視してきた。
というより、顔が女の子のままというのが問題なんだろうか。
「俺になんの用だ、ガキ」
そう低い声で呟いた男は、一人だけ冷たい視線をよこしていた。
髪は突っ立っていて、ピアスまでしている。
体格もごつく、どう贔屓目に見てもいい奴には思えない。
絶対に人違いだと思った。
でも聞き返すと、彼が本人だと苛立たしげに返してくる。
「用が無いなら帰れ!」
椅子を蹴り倒し、彼は私の肩を掴んだ。
ものすごい力と気迫。
私の頭は真っ白になる。
- 816 名前:風と木の名無しさん:2007/02/03(土) 13:00:13 ID:eIC6LcvfO
- 女性が性転換して男性になっても801と言えないかも
スレ違いというより板違い
- 817 名前:うつしみ 5/10:2007/02/03(土) 13:00:36 ID:VsTy0HcA0
- 「わ……ぼ、ぼくは、相馬郁海のあ、兄です!!」
しどろもどろとはこういう事を言うんだろうか。
口を鯉のようにぱくつかせ、手を振って必死に伝えた。
肩を押す力が弱まる。
でもほっとする間はなく、今度は胸倉が掴まれた。
「おい。今、なんつった」
乱暴にもほどがあると思う。
「ぼくは郁海の兄ですっ!あなたと、付き合っていた!!」
苦しくて目一杯にさけぶ。
「おいシンヤ、下ろしてやれ」
他の部員の声で、ようやく私は突き放された。
「ごめんな、こいつ今気が立っててさ。怪我してない?」
あの男以外は優しい人たちらしい。
おかげで高鳴る心臓も少し落ち着いた。
「話を聞いてください、信哉さん。」
部室を去ろうとするシンヤに呼びかける。
- 818 名前:うつしみ 6/10:2007/02/03(土) 13:01:15 ID:VsTy0HcA0
- 「あいつには姉貴しかいねぇ筈だ。いい加減な事言うな」
まるで聞き耳を持たない男。子供みたい。
私はだんだん腹が立ってきた。
ずんずんと距離を詰め、そのがっしりした腕を掴む。
「じゃあ、どうすればぼくを認めてくれますか?
初デートの時のワンピースを着ればいいですか。
来週の水曜日、あなたが見たがった映画を見に行けばいいですか」
シンヤの背が止まった。
鋭い視線がこっちを振り向く。
「あなたの話は、いつも聞かされていました。
でも死んだ弟が、ほんとうはどんな気持ちでいたのか。
それを、ぼくに教えてほしいんです!」
はぁはぁと息切れするほどまくし立てる。
男はなにも答えない。
- 819 名前:うつしみ 7/10:2007/02/03(土) 13:01:59 ID:VsTy0HcA0
- 3分ほど沈黙が続いただろうか。
急に男は、私の首までの髪をつかんで部室へ戻った。
乱暴に中央へ投げ出される。
「脱げ」
シンヤは顎をしゃくって私の服を指した。
彼が番長格なんだろうか、他の部員は何もいわない。
ただじっと私を見ている。
もう、後戻りはできない。
「…わかりました。」
ボタンを外し、チャックを下ろし、慣れない服をほどいていく。
生唾を飲む音がやけに近く聞こえた。
13年しか経っていないから、胸はもともとそんなにない。
せいぜいハト胸といわれるぐらい。
運動は好きだから、たぶん体は締まってると思う。
男性ホルモンのおかげでふにふにも少なくなった。
そして…今までにはなかった部分。
緊張からなのか、もう半分くらい大きくなってる。
- 820 名前:うつしみ 8/10:2007/02/03(土) 13:02:40 ID:VsTy0HcA0
- 「郁海より、だいぶ日焼けしてんな」
相変わらず私を睨みながら、シンヤは言った。
「…ごめんなさい」
あの子が白すぎるんだ、なんて言えない。
「まぁでも、健康そうだし細く見えるからいいじゃん。
俺はこっちのがエロいと思うぜ」
後ろの方で笑った男に、でもシンヤはさらに凄い睨みを利かせる。
そこまであの子にこだわるんだろうか。
シンヤは無言のまま、私の前に立った。
手を伸ばし、身体に触れてくる。
肩、鎖骨、胸、お腹、太もも…
「…っく、うあ…ぁ、はぅ…んっ…!」
優しくて、すごくいやらしい触り方。
ぞくぞくして身が仰け反るのを止められない。
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