限界解除。1








御幸一也と沢村栄純が所謂『恋人同士』になってから早数カ月・・・



甘い甘い、恋人同士の触れあいは御幸にとっては慣れた事でも、
栄純にとっては何もかもが初めてで




初めてのデートも
初めてのキスも




それ以上の事だって





なるべく恐がらせないように慎重に進めてきた・・・つもりだった









「沢村」




2人きりの時、殊更甘く名前を呼べば、可愛い恋人は、照れくさそうに自分を見つめて嬉しそうに微笑む




啄ばむような優しいキスを、前髪を掻き分けて日に焼けていない額に、すぐに赤くなる目元に、まろやかなラインを描く柔らかな頬に、言葉通り顔中に降らせると



くすぐったそうに栄純は身を捩じる




尖らせた唇に人差し指を当ててその感蝕を楽しんでいると
催促するように掴んでいた服の端を引っ張るから
可愛くてたまらないと、目を細めながら御幸は栄純の唇に自分のソレを重ねた



「御幸・・・っ」



角度を変えて何度も優しく食むようにキスを繰り返し、無防備に開かれた口に舌を差し入れればたどたどしく必死に自分のそれを絡めてくるのに愛しさが募る




(だいぶ慣れたよな・・・)




自分の変化に戸惑い恐れる栄純を恐がらせないよう、いつもそっと背中を撫でてやると
キリッとした眉はいつしか緩んで、頬は紅潮し、
御幸の存在を確かめるようにうっすらと開かれる瞳は、
熱に浮かされたように潤んで、まるで誘っているかのように見えるのだった





「・・・なぁ、お前キス好きなの?」





一人では立っていられないと、縋ってくる栄純の耳元で笑いを含みながら言うと
いつもは顔を真っ赤にして怒るのに今日はコクンと素直に頷いて





「好き、っつーか・・・キモチイイ・・・」




なんて言うから





プチンッ






御幸の理性はあっけなく崩壊してしまうのだった






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