ETERNITY 〜友情編〜 3 どれ位時間がたったのだろう。 栄純が目を開けると、心配そうな降谷の後ろに見慣れない天井が見える。 「気分はどう?」 「ここは・・・?」 「病院だよ」 「そうだ・・・俺グラウンドで倒れて・・・赤ちゃん!!赤ちゃんは・・・!?」 真っ青になった栄純に、降谷が穏やかに声をかける。 「安心して。貧血と睡眠不足だって」 ホッと息を付いた栄純の目に、見る見る内に涙が溜まる。 「良かった・・・。俺のせいで赤ちゃんに万が一の事があったら、アイツに何て・・・」 必死で涙を堪えようと顔を覆っていると、誰かに頭を撫でられて、栄純は降谷の横に居る人物に気が付く。 「お前にはびっくりさせられてばかりだな・・・」 「キャプテン・・・!」 部屋を見回すと、結城だけでなく旧三年の面々が狭い病室にすし詰めになっている。 「スミマセン・・・俺・・・実は・・・」 言いかけたのを遮るように、結城が栄純の髪をクシャリと掻き回す。 「・・・話は聞いてる。ここに居る全員な」 「!!・・・何てお詫びしたら・・・」 「胎教に悪いからそれ以上言うな。今のお前の一番の仕事は、体を大事にする事だろ?」 その場に居る全員がうんうんと頷く。 「先輩・・・」 栄純の目から涙が溢れる。 ガチャリとドアが開いて、春市がベッドの側に歩み寄る。 「今真田サンに電話しておいたよ。直ぐ来るってさ」 『真田』という言葉に、旧三年がピクリと反応する。 実際に顔を合わせてしまったら、今の様に落ち着いていられるだろうか・・・? それこそ大乱闘になりかねない。 「沢村は大丈夫そうだから、俺達は学校に戻るぞ」 結城の号令に皆黙って従う。 集団の最後に部屋を出ようとした結城が振り返る。 「沢村」 「ハイ」 「辛くなったら、いつでも俺の所に来い。お前も子どもも面倒見てやるから」 「哲・・・抜け駆けするんじゃねーよ・・・!!」 結城は仲間達の冷たい視線もどこ吹く風だ。 「ありがとうございやす!」 栄純は意味が分かっているのかいないのか、笑顔で返事をする。 ・・・きっと分かっていないのだろう・・・。 (この笑顔を守るのは、俺達ではないんだな・・・) ちょっぴり黄昏ながら、旧三年はぞろぞろと病院を後にした。 「迷惑ばっかりかけてごめん・・・」 病室に残った降谷と春市に、栄純が小声で切り出す。 「友人として当然でしょ?お陰で真田サンの慌てふためく声が聞けたし」 「アノ人が到着したら、僕達も練習に戻るから」 二人の優しい言葉に、再び栄純の瞳が潤む。 「やっぱり俺、直ぐに寮を出た方がいいのかも・・・残っていても何もできねーし・・・」 降谷が掛け布団を引っ張り上げて、涙を拭う栄純の顔をすっぽりと覆い隠す。 「わっ!何すんだよ?」 「一回しか言わないからよく聞いて。・・・夏の大会が終わるまで僕達の側に居てよ。チームの一員として一緒に戦って欲しい」 「降谷・・・」 「栄純君の顔を見ると、降谷君も先輩達もすごく気合が入るみたいだよ?・・・勿論俺もね」 「春っち・・・」 「野球では絶対に負けない。君を甲子園に連れて行くのは僕達だから」 「完全に真田サンのモノになるのは、その後でも遅くないよ」 「・・・ありがと・・・」 布団の中から赤い目の栄純がちょろりと顔を覗かせる。 こんな事になって、非難されて当然なのに、皆が栄純を受け入れて仲間のままで居させてくれる。 「俺、青道に入って・・・皆に出逢えて良かった・・・」 春市は笑って頷き、降谷は照れてそっぽを向く。 例え大切な物を失う事になったとしても、絶対に守りたいと思った。でも・・・。 ―――失くしてなんかいないんだ――― 子どもが出来ても。苗字が替わっても。 仲間達との絆は、永遠に続いていくのだ。 < FIN > 2008.11.10 2< |
ただいま悪阻中の真田さんちの栄純 そんな彼の友情編が届きましたーーー! 青道のアイドルを娶ったサナーダさんの乗り越えなくてはならない試練 先輩'sも登場・・・!! 超悶えました・・・しかもルーキーズの可愛さったら! 生まれたら赤ちゃんはやっぱり青道のアイドルになるんですよね!? わ か り ま す これからも十月十日見守っていきたいです・・・! 素敵なお話ご馳走様でした>< ご感想は『グロリアスパレード/瀬名さま』までvvv |