ハロウィンは大騒ぎ 〜コロニスト風味Ver〜 By 睦月
こうなったらとことん腐れてやろうと思って書きました(笑)
あんまりと言えばあんまりな、無理やりねじまげコロニスト風味オチですので、
ホント、お勧めできませんです。 とほほ。
二人にふっとばされたMulderは、折角脳震盪から復活したのにまた倒れている。
当然だ。
愛の力で燃えるFrohikeとクスリの力で壊れたSkinnerが相手じゃひとたまりもない。
Langly 「まあ、自業自得だろ」
Byers 「ああ全くだ‥‥こっちは大災難だよ」
Langlyが肩を竦めると、Byersは投げ出された床からズルズル身を起こしながら呟いた。
その時‥‥
Scully 「‥‥‥っあっ‥‥‥」
小さな呻き声と共にScullyがベッドにぺたっと座り込んだ。
ALL 「Scully!?」
その場の全員がScullyを振り返った。
とっさに、Scullyは大丈夫、というように右手を上げた。
Scully 「いえ、何でもないわ‥‥‥気にしないで」
それだけ言うと、肩を大きく上下させながら、深呼吸。
(‥‥‥この感覚は‥‥‥まさか、さっきの薬‥‥‥)
Frohike 「Scully、大丈夫かい?」
Scully 「え、ええ、多分ちょっと身体が冷えたのよ」
Skinner 「何処か悪いのか?」
Scully 「いえ、多分風邪の初期症状です、Sir」
頬を紅潮させながら、それでも自分のからだの変調を悟られまいと
Scullyはとりあえずにっこり微笑んでみた。
心配そうに、ここぞとばかりににじり寄るFrohikeとSkinner。
Skinner 「だが、何だか熱でもあるようだぞ‥‥」
言いながらSkinnerがScullyの額に手を当てようとした瞬間、Scullyが一瞬全身を
びくりっと強張らせた。
Scully 「はっ‥‥‥ああっ!!」
―─――─―!!!???
あまりにも艶のある喘ぎにその場の全員が凍りつき、目を丸くする。
―─―しまった‥‥‥
Scullyは自分の声に自分で驚き、口を手で塞いだ。
(まずいわ‥‥‥あの薬、効きが早過ぎる‥‥‥!)
Skinner 「Scully‥‥君はその‥‥やっぱりマッチョな‥‥」
今更ながら、もじもじしながら尋ねるSkinner。
Scully 「‥‥‥‥Sir?」
どうやらSkinner、まだ「マッチョなオカマに〜」の件を覚えていたらしい。
Scully 「ど、どうかしましたか?」
Skinner 「‥‥‥‥いや、その‥‥‥何でもない‥‥‥」
―─―どうやらハズレだったらしい。
一瞬「?」という表情を見せたScullyだったが、敢えてその件には触れず、
ひとまずにっこり微笑んだ。
(とにかく、彼らをまずは帰らせないと‥‥‥)
Scully 「それよりもSir、その格好のままでは道を歩いて帰る訳にはいきませんわね?」
Skinner
「‥‥‥それもそうだな‥‥‥」
―─―天下のFBI副長官が道端で警官の職務質問を受けるというのも見物かもしれないが。
Scully 「Frohike、Langry、Byers‥‥‥悪いんだけど、Sirを彼の家まで送ってもらえないかしら。
車は私のを使ってくれて構わないわ。そのまま乗って帰ってもらっても」
Langry 「ああ、それなら使わせてもらうよ」
Scully 「悪いわね」
Byers 「構わんさ。それより」
部屋の隅に転がっているMulderが小さくうめきながら身を起こしかけている。
Frohikeはそれを顎でしゃくって差した。
Frohike 「あいつも連れて帰るよ。これ以上君の側に置いておくと危険だ」
Scully
「彼は私が何とかするわ。まだ脳震盪起こしたばっかりで様子も見なきゃいけないし」
Frohike 「でも、ヤツは君に何をするかわからないぞ」
(おいおい、人を何かのヘンタイと勘違いしてないか?)
言いかけて口をつむぐMulder。
―─――確かにそうかもしれない‥‥‥‥
Scully 「大丈夫よ。いざとなれば一発撃ち込んであげるくらいの事はできるし」
Scullyはベッドサイドの引き出しの中からおもむろに拳銃を取り上げてちらつかせた。
―─――あながち間違ってないから怖い。
(それより、お願いだから早く‥‥‥)
Scullyは、次第にひどくなる動揺と身体の震えとをいつもの仮面の下にひた隠した。
(何とかして‥‥‥解毒剤を‥‥‥)
Byers 「それじゃ、失礼するよ。今日は楽しかったよ」
Scully 「いろいろ御迷惑をかけて申し訳ないわ」
Langly 「またやるなら今度は薬物は抜きにして欲しいな」
Scully
「ええ、まったく!‥‥‥お疲れさまでしたわ、Sir」
Skinner 「気をつけるんだぞ、いろいろと」
Frohike
「特にヤツには気をつけて!」
4人口々にいろいろ言いながらドアをくぐっていく。
Scullyは全員を見えなくなるまで見送り、後ろ手にドアを閉じ、静かに鍵を掛ける。
テールランプが角を曲がって行く‥‥‥
Scully 「Mulder、大丈夫ね?」
Scullyの声が近づいてくる。
Mulderは殴られた頬を擦りながら身体を壁に預ける様にして起き上がった。
Mulder 「ああ、多分異常なしだ」
Scully 「そうみたいね‥‥」
ScullyはすっとMulderに向かい合う様にしてしゃがみこむ。
Mulderの顎に軽く右手をあてがいながら左右の頬を見比べるScully。
―─―その白い指先が細かく震えているのは寒さのせいだろうか?
Scully 「頭は?妙な頭痛とかは無いわね?」
Mulder 「とりあえず。心配してくれた?」
Scully 「当たり前でしょう?パートナーなんだから」
ほんのり朱に染まった頬。軽く弾む呼吸。
表情はいつも通りクールなのに、何故か少し伏目がちに見える。
睫毛がその瞳を隠してしまって、表情が読めない。
―─―何かを避けている様な‥‥‥‥
しかし、そんな事がどうでも良くなるくらい、Scullyの吐息はMulderの耳を
甘くくすぐって離さなかった。
Mulder 「Scully、もしかして、さっきの薬が効いてきてないか?」
軽い眩暈を感じながらまじまじとScullyの瞳を見つめるMulder。
Scullyは眉を小さく上げて肩を竦めると、口の端だけで微笑んだ。
Scully 「効いているみたいよ‥‥どうも気分が悪いわ。吐き気がするの。
Mulder、あなた解毒剤持ってるの?」
Mulder 「‥‥いや、無いんだ‥‥多分数時間で効果は消えると思う」
Scully 「‥‥そう」
ややそっけなくも聞こえるその返答。
だが、明らかにScullyの視線はMulderをその場に凍りつかせている。
背筋がゾクゾクするほどつややかな表情。
まるで僕の真意を知っているような‥‥‥
―─―Scully、君は何を企んで‥‥‥‥?
Mulder 「その‥‥身体が熱くなったりしてないか?その薬には媚薬の成分がかなり
入っているはずなんだけど」
Scully 「いいえ、それは無いわ‥‥‥そんなところだろうとは思ったけど。
パーティーの余興にしても、少々度が過ぎるわね」
Scullyは呆れて、ふうっと溜息をついた。
それに合わせて、耳にかかりきらずに落ちてきた幾房かの金の髪が月明かりに揺れる。
―─―ろくなことを考えないわね、とでも思っているのだろうか?
‥‥‥それとも‥‥‥
Scully 「それより‥‥‥その薬を渡してもらえないかしら?」
Mulder 「‥‥‥何かに使うのか?」
Scully 「解毒剤を何とかするに決まってるでしょう?」
Mulder 「でも、あと数時間我慢すれば‥‥‥」
Scully 「その数時間が待てないくらい、気分が悪いのよ。成分が分かれば
何とかなるかもしれないわ」
Mulder 「でも‥‥」
Scully 「いいから、貸しなさい!」
やや強い口調で言い放つと、ScullyはMulderのポケットから小瓶を引っ張り出した。
そのまま何も言わずに瓶の蓋を取り、一気に口に含む。
Mulder 「Scully!?何をっ‥‥‥」
思わず声が上ずる。
一瞬、Scullyの目許に何かが光った様な気がした。
―─―何‥‥‥‥!?
Scullyは目を見開いたままのMulderの鼻を塞ぎ口をこじ開け、人工呼吸の要領で口移しに、
その液体をMulderの中に流し込む。
Mulder 「!!!??」
いっぱいに注がれる魔法の雫。
苦しげに眉根を寄せるScullyの額には、もう珠の汗が浮き上がり始めていた。
唇の合わせ目からこぼれた一滴が頬を伝い、首筋をすべって鎖骨の窪みまで落ちる。
隠微で甘やかな香りが立ちのぼってくる。
喉に吸い込まれる液体は、例え様の無い温もりを帯びていた。
(Scully、君は‥‥‥‥!?)
ひと口‥‥‥またひと口。
小瓶が干上がっていく。
―─―これは、媚薬‥‥‥‥
Mulderは目を閉じると、すべてを味わう様にそれを飲み干した。
二杯目を注ぎ終えたScullyの唇が、小さく囁きかける。
Scully 「これくらい対等にしないと、フェアじゃないわ‥‥‥」
Mulderの両頬を、Scullyの両の手のひらが挟み込む。
目の前、ほんの10pほどの、吐息が触れる距離。
熱っぽく潤んだ碧の瞳がMulderの脊髄に電撃を走らせる。
―─―身体の奥から湧き上がる感情。
ScullyはそれをMulderの表情の中に感じ取ったのか、ふわりと微笑み、そっと睫毛を伏せた。
そのあまりの艶やかさ―─――
螺旋階段を転がり堕ちていくような、激しい眩暈がした。
Scully 「責任を取って‥‥‥‥すべては貴方のせいでしょう?」
吐息混じりの、ちょっとかすれた声。
今にも泣き出しそうな顔のまま、ScullyはMulderの膝に馬乗りになり、上着に手を掛ける。
Scully 「明日目が覚めたら、夢だったと思って忘れて‥‥‥」
Mulder 「‥‥‥‥もし忘れられるなら、ね」
シャツの中に滑り込む少し冷えた指先を感じながら、MulderはScullyの細い肩を抱き締め、
その背中のファスナーをゆっくりと引き下ろす。
少しずつ、身体が薬と本能に支配されていく。
―─――─忘れられる訳がないだろう?
こんなにも強く望んだものを手に入れられる瞬間を。
ほかには何も要らないと言える、この瞬間を。
「無茶を言うのは僕の専売特許だった筈なのにな‥‥‥」
Scullyの白い肩がほのかな月明かりに浮かび上がる。
Mulderは最後にそれだけ呟くと、深い暗闇の中へ理性を解き放った‥‥‥‥
≪FIN≫
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≪始末書≫
はう‥‥‥何じゃこりゃ(笑)
ほとんど私物化してしまいました‥‥ゴメンナサイ。ああ謝ってばっかり。
あたしの人生そんなんばっかですわ。ごほごほ。
こんなんでいいんだろうか‥‥‥
19991113 睦月 (風邪の病床から(笑)オイオイ。)
E-mail : mutsuki5@anet.ne.jp
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