(その2)


一方、エレベーターの中の二人は・・・

Mulder   「さてと、Scully!これからどうしようか。」
Scully    「どうするって、着替えてSkinnerに会わなきゃいけないでしょ・・・あ!?」
Mulder   「ん?どうした?Scully。」
Scully    「どうしよう。私着替えを持ってなかったわ。」
Mulder   「え?その格好で運転してきたのかい?家から?」
Scully    「そうよ。あなたの家で着替えたら、面白くないと思ったから・・・もちろん、この頭は
        取って運転してきたけれど・・・」

  そんな体のラインくっきりの仮装で外に出るなんて、いくら車で来たとは言え、犯罪の原因にも
なりかねないぞScully‥‥と言いかけて、Mulderは言葉を飲みこんだ。
  そんな事を言ったらどうなることか・・・Mulderは首を竦めた。

Mulder  「じゃあ、とりあえず君の家まで行かなきゃね。」

  と、Mulderは車のキーを取り出した。

Mulder   「とにかく「Scully」に壊れてもらわないと、Skinnerをからかえないからな・・・」
Scully    「壊れるっていったいどうしたらいいのよ。」

  と、Scullyはやっと被り物を取って車に乗り込んだ。

Scully    「歌でも歌えば良いの?」
Mulder   「歌?」

  そこでMulderの頭には森の中で歌ってもらったScullyの「ウシガエル」を思い出して、思わず
動きが止まった。

Mulder   「確かに壊れたって思うかも知れないけど・・・」
Scully    「どう言う意味なのっ!?」
Mulder   「深く考えるなよ、こんなハロウィンの日に。さっ、急ごう、Scully!!」

  そう言ってMulderは隣に座り拗ねた風に突き出したScullyの唇に素早くKissをした。

Scully   「また、そうやって誤魔化すのね。」

  そう言いながらも Scullyはちょっと嬉しくて照れ隠しに慌ててシートベルトをしようとしたけれど、
なかなかうまくハマってくれなかった。
  Mulderは益々焦ってくるそんなScullyが可愛くて堪らなかった。

  (参ったな、Scully。そんな格好の君にそんな事されたら....)

  そう思うと同時にMulderはいきなりScullyのシートをリクライニングレバーを引っ張った。

Scully    「キャッ、何するのよ、Mulder!!」
Mulder   「う〜ん、君の家に行く前にちょっとする事が出来た」
Scully    「する事って、一体....あっっ、ちょっとMul....んっっ」

  MulderはScullyの口の中に入れてしまった!

Scully   「んぐっ・・・ゴクッ。」

  Mulderは、いたずらっこの様に微笑んでつぶやいた。

Mulder   「まぁ、体に害はないっていうし、今夜はハロウィンだからいいよな。これってあの
        Missモデスキーからもらった例の薬の液体なんだけど・・・、」
Scully    「モ、モルダー‥。まさか‥。」

  一瞬青ざめた彼女の顔が、今度はほんのりとサクラ色を帯び始めた。

Scully    「ねぇ。Mulder…。」

  彼女が甘く囁き始める。

Scully    「どこかで着替えをしたいの。手伝ってくれない?」

  Scullyの目つきが、いつもと違いどこか妖しげになってきて、Mulderはちょっと焦り始めた。
  そんな焦るMulderに絡みついてくるScullyの白い腕にMulderはもうどうにかなってしまい
 そうだった。

Mulder   「ま、待って、Scully。ちょっと、たんま!!」

  Mulderは絡みつくScullyの腕を離し、リクライニングを元に戻してからScullyにシートベルトを
着けてやると車を急発進させた。
  運転中でさえ、Scullyはその妖しげな瞳と唇と腕でMulderを翻弄した。
  助手席から身を乗り出して、Mulderの身体の敏感な部分をあちこちと触れた。

Mulder   「止めろって、Scully....ああっ!!頼むから....」
  口説こうとする時まではからかいまじりで余裕のMulderも、このパターンは初めてでかなり
どきどきしていた。
    原因を作ったのはMulderなのに、いざとなると情けない有様である。
  さらに、こんな時に限って信号の変わり目にうまく滑り込めなかったりするのだ。
  目の前で赤に変わってしまった信号を尻目に、ここぞとばかりにMulderの肩に頬を寄せ、艶っぽく
少し潤んだ瞳でじっとその横顔を見つめるScully。

  (ああ〜....ダメだっ我慢できない!!)

  Mulderは我慢の限界を知ると、信号が変わると同じにハンドルを切り、大通りを外れた。
  連邦職員にはあるまじき行為だが、そんな事に構ってられない。規定速度を大幅に越える
猛スピードで小道を走り抜けると行き止まりで車を止めた。
  エンジンを止め、Scullyに覆い被さろうとした瞬間、いきなり自分のシートが後ろに倒れ
逆にScullyが覆い被さってきた。

Scully   「私が....してあげる....」

  Scullyの顔がMulderの顔に近づき、二人の唇がまさに触れ合おうとしたその時・・・

少女 「キャーッ!!助けて〜っ!」

  行き止まりの塀の向こう側のアパートから少女の叫び声が聞こえてきた。
  Mulderは反射的に声が聞こえてきた方に顔を向けようとしたが、Scullyの強い力で阻まれた。

Scully    「ダメ!!私を見ててくれなきゃイヤ!!」
Mulder   「Scully....そんな事言ってる場合じゃ....」

  Scullyに視線を釘付けにされながら、Mulderはしどろもどろに答えた。
 
Scully    「私を欲しくないの....ねえ??」
Mulder   「いや、欲しいに決まってる・・・じゃなくって、それどころじゃ・・・」

  その時、Mulder達の車に向かって少女が走ってきたのが目に入った。その後ろから何者かが
彼女を追っかけているのが目に入る。MulderはScullyを強引に引き剥がし車を降りようとした
・・・しかし、様子がおかしい?
  Mulder達の車の横を少女は通り過ぎた。その顔は笑っている・・・追いかけていたのはシーツ
を被ったおばけの仮装をしている人だった。「待て待て!」の声や大きさから言ってどうも少年
らしい。そして、その後からさらに5、6人、仮装をした子供が2人を追いかけていったので、
どうやら事件ではないらしいと判断できた。Mulderはほっと胸をなでおろしたが・・・目の前の
事件は続いていた!

Scully    「ねぇ、Mulder・・・お・ね・が・い♪」
Mulder   「す、Scully・・・」

  もちろん、ほとんどさっきまではその気で車を止めたMulderだったが1度気がそらされてしまった
せいか“いざ”となった今、そういった面でだけの小心さが顔を出してしまい、なかなかコトに及べな
い。しかしそんな彼の心に悪魔が甘く囁いた・・・

Davil Mulder  「やったね!お望み通り・・・というかここまでこの薬が効くとは思わなかったよな。
          まさかこんなScullyにお目に掛かれるとは・・・カボチャが馬車になったくらいの驚き
          だ!こーんなチャンスを逃す手はない!いけ!Mulder!!! 」

  その声に押されるかのように、Scullyの肩をひきよせかけたMulderだったが、そこで今度は天使
が現われる。

Angel Mulder   「だめだ!いくらScullyが色っぽくても、このまま欲望の赴くままにしてもらっても
            いいのか?!男としてのプライドがないのか?おまえは!!それに薬から覚めた
            時なんていうんだ?おまけにもし薬の効いている最中のことを覚えてたらなんて
            言い訳をするんだ!!!」

  結局そこのところが1番引っかかっているらしい小心者のMulderである。(笑)

Davil Mulder   「いやいや、Scullyだってあーんなに体のラインのばっちり出る服を着てきたんだし、
           最初からその気だったのかも知れないぞ!おまえがTLG達を呼ばなかったら、いま
           ごろあの「カボチャ」をうまく利用していまごろおまえの部屋でこんな展開になってた
           かもしれないぞ・・・場所が違うだけさ」

Angel Mulder   「違う!「かぼちゃ」はそんな目的じゃないだろ?・・・まあ、ちょっとは期待したかも
            しれないけど・・・コ、コホン!Mulder、おまえはパートナーの信頼をこんな形で
           裏切るのか???」

  Mulderは最後の理性を振り絞って、とりあえずScullyの動きを止めていた。しかし、相変わらずScully
はとろんとした目つきに妖艶さを増して、迫ってきている。Mulderはゴクンと唾を飲み込んだ・・・


   
  一方、そのころMulderのアパートに取り残された格好となった4人は、食事すら用意されていない、
なんにもない部屋ですっかり手持ち無沙汰となっていた。ピザはとっくに食べ終わってしまった後であり
大した腹のたしにはなっていない。おまけにTLGとSkinnerとの共通の話題は無いに等しい。そんな
空気の中、4人の目は“でん”と置かれたかぼちゃへ注がれていた。

Byers    「これって、普通のかぼちゃじゃないよな?」
Langly   「あのMulderの事だ。中国とか怪しげなところから手に入れた公算が大きくないか?」

  と言いつつ、4人はおそるおそるカボチャに触れてみた。すると見た目と全然違ってやわらかくて
ふわふわしているのが分かる。

Frohike   「なんだ?これ・・・風船みたいだぞ。」

  4人は本格的にぐいぐいと押し始めた・・・やはり風船に近い感触だった。そのうちFrohikeがポンと
膝を打った。

Frohike   「わかったぞ!これはハロウィン仕様の風船ラッピングだ!!!」
全員     「ええ???」
Frohike   「ほら、よく風船の中におもちゃとか入れて膨らませてラッピングにするじゃないか!きっと
       この中にはおいしいものが入ってるに違いない!パーティだというのにこれだけ食料がない
       っていうのもおかしいだろ?絶対にこの中にある!!!」

  空腹のあまり、とんでもなく根拠のない決め付けをしていることに気付いていないのか、Frohikeは
力説した。

Langly    「そんな、しゃれたことをあのMulderが考え付くと思うのか?おまえ・・・」
Frohike   「Scullyを招待してあるだろ?これを彼女の前で破裂させてびっくりさせてやるつもりなん
       だよ!自分ばっかりいいところをみせようと思って・・・姑息な奴め・・・俺が破裂させてや
       る!!!」
Byers    「Scullyのためなら、彼女が来るまでまってあげようよ。なあ、Frohike・・・」

  するとFrohikeは顔をぶんぶんと振った。

Frohike   「Mulderはこんなに待っても来ないなんて、きっとあのスタイルの良い“グレイ”の彼女と
        UFO を見に行ったのかもしれないぞ・・・ちくしょう、あいつばっかり・・・やっぱり破裂
        させてやる!!!」

  そう言って、懐からナイフのようなものをとりだした。他の面々は結局好奇心が先にたったのか、
もはや止め様とはしなかった。Skinnerもカボチャの前でなにが出てくるかと待っている。そして、
いよいよ刃が突き立った!

  “ぱぁん!!!”

  派手な音とともに風船が割れた。とたんにもうもうと煙が出てきた。びっくりした4人はとっさに
とびすさったが、不幸なことにワンピース姿のSkinnerは、避けようとした瞬間に裾を踏んづけて
しまい、その場に倒れてもろに煙を浴びてしまった。他の三人は助け様ともせず、とりあえず自分
の安全の確保の為に手に取る位置にあった適当な布を鼻に押し付けてしっかりと煙を避けていた。
  煙が収まり、やがて煙の中にいたSkinnerの姿が現われた。特に変わった様子もなく生きて
いるみたいだった。

Byers    「大丈夫かい?」

  おそるおそる近付いてみる。

Skinner  「ああ、なんとも無いみたいだ・・・いったいこれはどういうことだ?」
  何事もないSkinnerの様子を見て一同はホッとした。いくらMulderでもまさか毒は仕込まないだ
ろう・・・ということはびっくり箱のようなものか?そう思い始めた時・・・

Skinner  「私は!Scullyが壊れるところを早く見たい!!!なんの為にこんな格好をして待ってた
       と思うんだ?!早く私に対して興奮するところを見たいぞ!!!なあ、そう思わないか?
       Byers!!!!!」

  といきなり叫んだかと思ったら、1番手近にいたByersをぐっと抱きしめて泣き出し始めた・・・突然
の事とあまりの苦しさに目を白黒させている彼の気も知らずSkinnerはうったえ続ける・・・
Skinner  「なんで私はいつもこんな不幸の星の下にいるような目にばかりあうんだー?Mulderも
       Scullyも言う事を聞かないし、上は上でいつも私の監督不行き届きだと決め付けるん
       だよー!わかるかー?Byers!!!」

  さらにぎゅうぎゅうとByersを締めつける。そんな様子を見てLanglyは言った。

Langly   「わかった。このガスはこのまえMiss Modeskyからもらったやつを煙にしたやつだよ!
       きっとMulderはこれを爆発させて、俺達の壊れるところを見て楽しもうとしたのかもしれ
       ない・・・いや、狙いはScullyだったのか???」
Byers    「そんな事どうでもいいから、早くこの人なんとかしてくれ〜!!」
Frohike   「なんか可笑しい....何かがズレてる。」
Langly   「俺も何かがおかしいと思ってたんだ。。。良し、確かめないか、Frohike?Byers、ちょっと
        しばらくその人の相手してやってくれ。おい、行くぞFrohike!」
Byers    「おい、何処行くんだ、二人とも。ちょっと待ってくれ、おい!!」

  Byersの叫びも空しく、LanglyとFrohikeはMulderの部屋を飛び出して行った。チカチカと赤いランプが
点滅する装置を手にして。



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