「か、鏡さん...」
震える詩織を、蔑むような視線で見下ろす鏡魅羅。
「いつものやつをやってくださる?」
魅羅はそう言うと、制服の上着を少しだけめくり上げた。
魅羅は制服の下には下着以外身につけていない。
詩織の縦長のヘソとは違う、円形のふっくらとしたヘソ。
どちらも甲乙つけがたい美しさがある。
ただ、詩織のヘソは男子生徒たちのヘソゴマでびっしり埋め尽くされているのに対し、
魅羅のヘソは奥まで汚れひとつなかった。
「さ...やるのよ」
「はい...」
詩織はゆっくりと身体を起こし、魅羅の前にひざまづくような形をとる。
そして、おずおずと舌を出し、魅羅のヘソに近づけていく.....。
ぺろっ...
「んっ...」
舌が触れた瞬間、わずかに声をあげる魅羅。
ぺろ...ぺろ...ぺろ...れろ...
詩織の舌はまずヘソの周りを撫でるように動く。
頭を円を描くように回転させ、何度も何度もヘソの周りを舐める詩織。
周囲にいた男子生徒たちは、瞬きをするのも惜しむようにふたりに見とれている。
学園のアイドルともいえる美少女が、それに劣らぬ美女のヘソの前にひざまづき、
かわいらしい舌で奉仕するように舐める.....。
まるで禁断の同性愛のような風景だった。
やがて詩織の舌が、魅羅のヘソの中に入っていった。
ぬぷ...
「うんっ!」
魅羅はぴくん! と反応し、めくりあげた上着を持つ手をきゅっと握りしめる。
詩織はヘソの皺ひとつひとつに丹念に舌を絡ませ、汚れを舐めとっていく。
魅羅のヘソは詩織の唾液でだんだんと水っぽい音が響かせはじめた。
ぴちゃ...ぴちゃ...ぴちゃ...ぺちゃ...
美少女をかしづかせてヘソを舐めさせるという嗜虐心と、
自らのヘソを柔らかい舌でまさぐられる感覚に、魅羅の背筋はぞくぞくとなった。
「中に...おヘソのゴマがひとつあるから...ちゃんと取るのよ」
詩織の舌先は確かに、そのヘソのゴマの存在を感じとっていたが、
そのヘソゴマは奥深くに埋めこまれており、なかなか取り出せないでいた。
「ほら...もっとしっかりお舐め!」
魅羅は詩織の後ろ頭を押さえて自らの腹部に押しつけるようにする。
「んうっ!」
詩織はこの悪夢のような時間を一刻も早く終わらせようと、必死になって舌の腹でこそぎ取ろうとする。
まるで犬が水を舐め取るようなぴちゃぴちゃという音が教室中に響く。
.....しばらくして、詩織の舌づかいがゆっくりとしたものになってくる。
「取れた?」
問われると、詩織はヘソに舌を這わせたまま上目づかいに魅羅をみつめて、こくりと頷いた。
「.....もういいわ」
魅羅は言う。
詩織がゆっくりと顔を離すと、舌と魅羅のヘソが唾液の糸でつうっと繋がり、しばらくしてぷつんと切れた。
「舌をそのままで、見せてごらんなさい」
上品な言葉づかいだったが、魅羅の言葉にはどこか厳しさがあった。
ゆっくりと口をあけて、魅羅に見えるように舌を差し出す詩織。
詩織の舌の上に、ちょこんと茶色い米粒のような物体が乗っている。
先ほど魅羅の中から取り出したヘソのゴマだ。
「ほら! もっとよく見えるように舌を突き出して!」
魅羅はぴしゃりと言った。
「ん...っ」
詩織は目をつぶって、羞恥にこらえるように舌を突き出した。
その様は、主人に忠実に従う犬のようであった。
しばらくその姿を、皆に見せつけるようにする魅羅。
「もういいわ...ちゃんと食べるのよ...」
詩織は目を閉じたままこくりと頷くと、ヘソのゴマを口に含んだ。
その瞬間、水を打ったように静まりかえる教室。
かりっ!
詩織の口から、ヘソのゴマを噛み砕く乾いた音が教室中に響いた。
ごりっ...こりっ...こりっ...
まるでスナック菓子を食べるようなボリボリという音が、
詩織が口を動かすたびに教室中に響く。
教室中の全ての人間が、自分に注目している。
人のヘソゴマを食べる自分に、注目している。
恥ずかしさと情けなさのあまり、もうその場から逃げ出したい気持ちになる。
「んっ...こくっ...」
十分にヘソゴマを噛み砕いた後、詩織はこくりと喉を鳴らしてそれを飲み込んだ。
目の端に、わずかに涙があふれてきている。
その涙を魅羅が見逃すはずはない。誰にもわからないように僅かに口元を歪めると、
「ご苦労さま」
魅羅は冷ややかに言い、詩織に背を向けて自らの席に戻っていった。
このヘソ委員の仕事のひとつである「ヘソ舐め」は当初男子生徒にもその権限があったのだが、
毎日詩織の前に男子生徒が殺到し、授業にならなかったためその権限は女子のみのものとなってしまった。
基本的に女生徒たちは人前でヘソを出すのを恥ずかしがり、詩織に「ヘソ舐め」は依頼しなかった。
だが、一部の詩織の存在を妬ましく思っていた意地悪な女生徒たちは、
詩織を貶める意味で「ヘソ舐め」を依頼してきた。
魅羅もそのひとりだった。
そしてより詩織に屈辱感を味あわせるため、毎日ひとつぶずつ自らのヘソの奥にヘソゴマを忍ばせていた。
そのヘソゴマを皆に見せつけるようにして詩織に食べさせる.....。
それは魅羅のサディスティックな欲求を満たすに十分であった。
「おーい、授業はじめるぞー、席につけー」
静まりかえった教室の沈黙を打ち破るように、ガラリと扉を開けて担任が入ってきた。
急に教室はいつものざわめきを取り戻し、生徒たちは自分の席につく。
詩織はゆっくりと立ちあがり、スカートの埃を払って席に着いた。
長い一日は、始まったばかりだ。
詩織は授業中も、ずっとうつむいたままだった。
. . . . .
長い授業も終わり、放課後となった。
詩織はなるべく人目につかない道をとぼとぼと歩いて帰っていた。
だが、腹部がまるごと切り取られた制服を着ている少女が人目をひかないわけがない。
それが私立の名門、きらめき高校の制服だと余計に目立ってしまう。
あざやかなブルーの制服に、大きな黄色いリボンがあしらえてあるこの制服はとても清潔感あふれるものだった。
だが、腹部が切り取られているというだけで、なんともいやらしく、恥ずかしいものになっていた。
だんだんと、詩織の周りに男たちが集まってくる。
「ホントだ! あんなかわいい娘がヘソ出して歩いてるよ!?」
「見てみろよ、汚いヘソゴマがびっしり詰まってるぜ」
「恥ずかしくねぇのかなあ...」
詩織を見て、口々に勝手な感想を漏らす。
なかにはカメラを取り出して、詩織の許可なく撮影する者も出てくる。
詩織は男たちと視線をあわせないようにしながら、早足で歩きはじめる。
これも「ヘソ委員」になってから毎日のことであったが、慣れるわけはなかった。
「ヘソ委員」になってからの詩織は投稿写真雑誌の常連であり、
「ヘソ出し女子高生」という大きな見だしと共に見開きで紹介され、
各誌で連載ができるほどになっていた。
構成は詩織の全身、顔のアップ、ヘソのアップと続いており、
特にヘソがアップになっているページは人気が高く、各誌はこぞって詩織のヘソのアップを掲載していた。
しかし詩織自身、写真を撮られていることは知っていたが、
投稿写真雑誌の売上に大幅に貢献していることは知らなかった。
全国の男たちに自分のヘソが嫌らしい目で見られていることを知ったら、きっと詩織は卒倒してしまうだろう。
詩織は制服だけでなく、スクール水着や体操服まで腹部が切り取られており、その写真はマニアの間で取引されていた。
なかでも、一時期所属していたテニス部でも詩織は腹部が切り取られたテニスウェアを着ており、
試合の最中にボレーを打った時に上着が大きくめくれてブラが半分くらいまで見え、
しかも埋めこまれたヘソゴマが衝撃であたりに飛び散っている瞬間を映したものなどは、
特に高値で取引されていた。
その写真が撮影された瞬間などは、金網に張りついていたギャラリーたちが「おおっ」と歓声をあげ、
詩織は「きゃっ!」と悲鳴をあげてうずくまったりしたものだ。
その後はもっと悲惨で、コート中に飛び散ったヘソゴマを全てヘソの中に戻すまで
審判は試合再開を認めてくれず、大勢のギャラリーの見ている前で泣きべそをかきながら
ヘソゴマを拾い集めて自らのヘソに挿入していく詩織の姿があった。
それ以来、詩織は部活動を辞めた。
「うわ〜、あんなかわいいのにヘソはあんなに汚ったねえんだなぁ...」
「あんなにびっしりヘソゴマ詰めて...腹痛くなんねえのかな?」
「信じらんねぇな...俺でもあんなにヘソゴマねえぞ...」
男たちの野次に耐えられなくなり、駆け出す詩織。
「うっ...」
涙を見られないように、うつむいたまま走りだした。
. . . . .
詩織は、公園のベンチの側でひざをついていた。
キリキリと痛むお腹。
きまってこの時間は、入れられたヘソゴマによって腹痛が起こるのだ。
詩織は何度自らの手でこの忌まわしいヘソゴマを指で掻き出そうと思ったか。
だが、それがバレてしまうと次の日に生徒会からの「お仕置き」が待っている。
それを考えると、恐くてとてもできないのだ。
「うう...」
ひざをついたままお腹を押さえる詩織の背後から、大きな影が覆った。
「お嬢ちゃん...お腹が痛いのかい?」
ハッと振り向くと、汚い作業着を着た中年の男が、嫌らしい笑みを浮かべて詩織を見下ろしていた。
「おじさんがさすってあげよう...」
おびえる詩織の表情を楽しむように、男はじりじりとにじり寄ってきた。
ある方のリクエストの小説を書いてたんですが、
ちょっと筆が止まってしまったので気分転換に書きました。
ほんとはテニスの試合でヘソゴマが飛び散る描写とか、
泣きながらそれらを拾いあつめる描写とかしようかと思ったんですが、
なんだか馬鹿っぽかったのでやめました。
なんだかこれだと鏡さんが悪者っぽいけどそうじゃないんですよ!!
理由は機会があったら説明します。