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鉄砲と花・弐
コギト=エラムス/文


 「よ〜し、一発目のハメ撮りだ。ずっぽり奥までハメてやれよ」

 金髪男がカメラを構える。

 モヒカン男の肉柱がゆっくりと花弁に触れ、くちゅりと音をたてた。

 花弁にふれた肉柱からあふれた蜜がつたい、肉柱の裏筋をとおって床に垂れ落ちた。

 

 「いやっ! ああっ!」

 堂々とした素子の姿はそこにはなく、今まさに男自身に貫かれんとする女がいるだけだった。

 

 「やめろ...っ! やめっ! はっ!」

 「そりゃああっ!」

 素子の抗議を無視し、肉柱は花弁を割り裂いた。

 血のこびりついた花弁が、再び大きく押し広げられた。

 「くうっ...は...あ!」

 息を吐き、肩を震わせ、身体を強張らせる。

 破瓜の時と同じような反応であったが、その内に広がるものは全く違っていた。

 

 突き上げられた瞬間、全身に電流のような衝撃が駆けぬけた。

 突き上げの勢いで、押し出された愛液がぴゅっ! と勢いよく飛び出し、便所の床を濡らした。

 

 たとえ苦痛であれ、薬の力が働いた快楽であろうが、こんな奴らに声をあげてしまうのは素子のプライドが許さなかった。

 必死で歯を食いしばり、声を漏らさないようにする。

 

 パシャッ! パシャッ!

 その歯を食いしばる表情、繋がっている所など、全身にフラッシュが浴びせかけられる。

 カメラを構えた金髪男が撮影をはじめたのだ。

 

 「よ...よせっ...撮るなっ! 撮るな...っ!」

 金髪男を睨みながら抗議する。

 

 「いいねぇ、その強気な表情...でもいつまでそんな態度でいられるかなぁ」

 からかうように言いながら、シャッターを切る。

 言い終わると同時に、モヒカン男が腰を突き入れはじめた。

 

 「くうっ! くはっ! あ! は.....」

 顔を伏せ、撮られないようにする素子。今、自分の表情に自信がなかったからだ。

 モヒカン男がひと突きするたびに、今までの人生ではありえなかったとろけるような快感が襲いかかってくるのだ。

 

 ピストン自体は単調で、テクニックの微塵も感じられないものだったが、薬の作用しているその身体には狂おしいばかりの快感を与えた。

 

 「んく! くぅ! はくっ!」

 いくら声を堪えても、不良たちには素子が感じているのが十分わかっていた。

 ピストンのたびに花弁のすき間から官能を示す蜜をしとどに溢れさせていたからだ。

 

 「んぅ! くっ! ううっ!」

 だが素子は最後の抵抗として、女としての喜びを表に出すことを必死に拒んだ。

 この状況の素子には何の意味もない抵抗だったが、不良たちにはそれが癪にさわった。

 「おい、ケツの穴にもハメてやれ! そしたらヒィヒィ言いだすだろ!」

 金髪男の声に、別の不良が素子の身体に近づく。

 

 ピロロロロ...

 

 金髪男の携帯電話が鳴った。

 「ちっ...なんだよ、いいところで...」

 ブツブツ言いながら金髪男はポケットから携帯電話を取り出す。

 どうでもいい相手だったら電源を切ってやろうと考えていたが、携帯電話の液晶に表示された名前を見て、顔色がかわった。

 金髪男が無言でまった、と手をかざすと、不良たちの動きがぴたりと止まった。

 

 静かになったことを確認すると、金髪男は電話をとった。

 「あ...はいっ、マサさん? ちぃーっす!」

 電話の相手に媚びるような声で話しはじめる。

 

 「今なにしてるかって? いやぁ、ナマイキな女がいたもんで、さらってマワしてやってるんですよ」

 便所の天井から吊り下げられ、ぜいぜいと息をする素子を見ながら言う。

 

 「えっ? 今からその女連れてこい? えっ...あ、わ、わかりました! 今公園にいますんで、すぐ行きます!」

 電話の向こうの相手の提案に一瞬戸惑った金髪男だったが、すぐに快諾する。

 

 その後、何度か、はい、はい、と返事をした後、電話を切った。

 

 「聞いてのとおりだ...マサさんがその女を連れてこいってよ」

 その一言に残念そうな表情を隠せない不良たち。

 

 だが、素子にとっての状況は、さらに悪化する。

 

 「おい、せっかくだからそいつ、ハメながら連れてこうぜ」

 ぞっとするような提案だった。

 

 「そうだな、今やめちゃカワイソーだもんな」

 何がかわそうなのかよくわからないが、モヒカン男は花弁に埋没していた肉柱をずるりと抜きさると、

 今度は素子の股を開いた正面に回りこむ。

 

 「えっ、なっ、何をっ!?」

 びっくりして暴れる素子。吊るされた天井がギシギシと軋む。

 

 ずぶっ!

 

 「やめっ...やめろ! んくうううっ!」

 モヒカン男は問答無用とばかりに再び正面から挿入し、腰を抱えあげた。

 

 別の不良たちが、ナイフで素子を天井から吊るすロープを切った。

 素子の全体重がモヒカン男にかかり、より深く埋没していく。

 

 ずぷぷぷぷ...

 

 「んああああっ!」

 モヒカン男に駅弁スタイルで抱えあげられたまま、素子は白い背筋をのけぞらせた。

 

 「よし、じゃあ行くか」

 金髪男の一言で、不良たちは公園の便所から出た。

 もちろん、素子を抱えているモヒカン男も。

 

 外はもう、真っ暗になっていた。

 

 「や...やめろっ! こ...この変態!」

 上半身はロープによってきつく緊縛されているので一切の自由はきかない。

 両足をばたつかせて暴れる素子。

 だが緊縛された素子など普通の女と変わりはしない。

 モヒカン男は暴れる素子をものともせずずんずんと歩いていく。

 

 不良たちの一団は公園を出て、その前の通りに出た。

 「暴れるのもいーけどよ、目立つぜ、オマエ」

 その一言に、素子の身体がピタリと止まる。

 

 たしかにこの夜の闇では、素子の白い肢体は遠くからでもよく見える。

 抵抗しうるだけの力を与えられていない素子にとっては、下手に騒いでさらし者になるのは得策ではなかった。

 

 「わかったみてえだな」

 大人しくなった素子を見て、不良の一団は歩きはじめた。

 

 公園のまわりは人通りはないが、歩いていくたびにだんだんと人気のある通りに出た。

 

 不良たちはとくに素子の周りを囲むなどして目立たないようにする、などの配慮はしない。

 むしろモヒカン男を先頭にして駅弁ファックで貫かれる素子を見せつけるようにして歩いていく。

 モヒカン男は腰づかいなどしていなかったが、歩く振動は素子に十分な官能を与えつづけていた。

 その横を、いろんな人が通りすぎていく。

 

 通りすがりの人達の反応は様々だった。

 

 「おっ!?」

 と驚きの声をあげるサラリーマン。

 

 「ねぇ...あれ見て...乱暴されてるわ...警察呼んだほうがいいんじゃない?」

 「バカ、女のほうがあんあん悶えてんじゃねーか、きっとAVの撮影かなんかだろ」

 「あっ、そっか...しかしよく恥かしくないわね...私だったら恥かしくて死んじゃうわ」

 などと言いながら通りすぎるカップル。

 

 「ねぇ、ママ、女の人が縛られてるよ?」

 「しっ! こっち来なさい!」

 好奇の目で見る子供と、まるで汚いものでも見るかのような反応の母親。

 

 「ねぇ...あれ、青山先輩じゃない...?」

 「...ホントだ...でも似てるけど違うよ、素子先輩ならあんな奴等やっつけちゃうもん」

 「そうだよね...でも...すごく似てるね」

 不良たちに聞こえないように小声でぼそぼそ話す女子高生たち。

 彼女たちは素子の取り巻きだった。

 

 「おおぅ、ネエちゃん随分色っぺえ格好してんなぁ...アハンアハン声まであげちゃって...おじさんにもおすそわけしてくれよぅ...」

 素子の側まで近づき、絡む酔っ払い。

 だがズボンを下ろそうとしたところで不良たちに殴りとばされた。

 

 「あっ...青山さん...」

 気弱そうな声。素子が助けた少年だった。

 「おう、オマエか、お前を助けてくれた女も俺たちの手にかかりゃあこんなもんよ」

 メガネの少年に、得意そうに言う金髪男。

 「えっ...そ、そんな...ウソだ、青山さんが...」

 信じられない様子だった。無理もない、少年の知る素子は常に毅然とした態度で、

 こんな街中で縛られたままSEXするような淫乱ではないからだ。

 「ウソなもんか、おら、お前からも挨拶しな」

 金髪男は素子の黒髪を掴んで、少年の方に向ける。だが、素子は無言のままだった。

 少年はその場から逃げだした。

 「おい! 明日からまたたっぷり小遣いせびらせてもらうからな! 用意しとけよ!」

 逃げる少年に向かって、金髪男は叫んだ。

 

 素子の前を通りすぎる人たちは、みな蔑みの視線で素子を見ていた。

 時折ヒソヒソと「恥かしくないのかしら」「変態だよ」などの声が聞こえてくる。

 

 誰も警察に通報しないのは、素子がまるで喜んでいるかのような声をあげていたからだ。

 その声をあげることによって、素子はただの露出SEXを好む変態扱いをされていたのだ。

 

 素子自身はそんなつもりは全くないのだが、薬のせいでいくら堪えていても甘い声が漏れてしまう。

 たしかにその甘い声をあげるだけの刺激を送りこまれているのだが。

 しかし、周囲の人間の視線が素子の身体に突き刺さるたび、ヒソヒソ話しが素子の耳をくすぐるたび、

 自分では絶対に認めたくない官能が湧き上がってきているのも事実だった。

 それを証拠に、愛液の量は公園の便所の時よりも圧倒的に増え、

 素子を抱えあげるモヒカン男のズボンをまるでおもらしでもしたかのように濡らしていた。

 

 こんな女として...いや、人間として蔑まれるような屈辱は初めてだった。

 そしてそのことに喜ぶ自分がどこかにいるのも、悔しかった。

 

 悔しさのあまり、泣きたくなった。

 だが、こんな奴らの仕打ちに涙するのは、素子のプライドが許さない。

 

 

 「あっ、マサさん!」

 駅のそばにさしかかったころ、遠くにマサを見つけた金髪男が声をあげた。

 

 不良たちの前に、見るからにヤクザとわかる風体の男が現れた。

 

 「ちぃーっす!」

 一斉に頭を下げて挨拶する不良たち。

 

 「オメエらが遅せえもんだからよ、待ちくたびれてここまで歩いてきたんだよ」

 マサという男が不愉快そうに言った。

 すいませんと頭を下げる不良たち。

 

 「おっ、ソイツか、ナマイキな女ってのはよ」

 素子の身体を舐めまわすように見た後、顔を覗きこんだ。

 

 「ほぉ...結構な上玉じゃねぇか...こんなイイ女を街中で駅弁ファックたぁシャレたことすんじゃねーか」

 素子の美しさに機嫌を取り戻したマサ。

 

 「面倒くせえからここでマワしちまうか」

 言うが早いがズボンのジッパーを下ろしはじめるマサ。

 

 ここは商店街だ。

 店は全て閉まっているとはいえ、結構な人通りがある。

 

 「えっ...やめっ...やめろっ!!」

 モヒカン男にしがみついたまま、必死に抗議する素子。

 

 その長い黒髪がマサの手によって、ぐいっ、と引っ張られた。

 「ぐぅううっ!」

 がくん、と顔をのけぞらせる素子。

 

 「おい...テメェ女のくせに男に向かってなに命令してんだ.....」

 ドスの効いたその声。

 気弱になっていた素子はそれだけで黙りこんでしまった。

 

 「まぁいい...これからオメーの立場を十分にわからせてやる...」

 言いながら、マサはジッパーの間から男性自身を露出させた。

 

 「おっ! マサさん、また真珠ふえましたね! いくつ入ってるんですか?」

 露出したマサのペニスを見て、金髪男が機嫌をとるように言った。

 

 「へへっ...12個だ...こいつをブチ込んでやりゃあどんな女も大人しくなるぜ...」

 素子はモヒカン男に抱えあげられているのでマサのペニスは見えなかったが、物騒な会話で背筋を寒くした。

 

 赤黒く滾った男性自身が膨張し、鋼の凶器へと変わっていく。

 不良たちよりも年上だというのに、その勃起力は同じくらいに勢いのあるもので、

 肉柱に生めこまれたいくつもの真珠がまるで鬼の金棒のようであった。

 

 

 


解説

 「鉄砲と花・壱」の続きです。

 キャー! 1時間で書いたせいで内容うすっぺらです。

 あ、それはいつものことか。

 一応、次回で完結予定です。

 


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