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チョコレートみたい 第四話
コギト=エラムス/文


 つぷ...っ

 

 挿入の瞬間、蕾の穴が僅かに広がった。

 

 「んぅ...」

 雪乃の身体が強張り、苦しそうにいきむ。

 「はぁあ...」

 そしてゆっくりと、息を吐き出す。

 

 まだ座薬は入り口だというのに、雪乃の瞳の端にはうっすらと涙が浮かんでいた。

 直樹はゆっくりと、指を沈め、座薬を押し込む。

 

 ずぶぶ...

 

 「ひゃっ!」

 気を抜いている所に指を入れられ、背中に冷水を浴びせられたような声をあげる。

 再びびくん! と身体を強張らせる雪乃。

 

 雪乃の直腸は、想像以上に柔らかく、排泄物が通る箇所だというのに嫌悪感は全くない。

 むしろもっと感じていたいと思うほどであった。

 

 「んく...くうぅぅぅぅん...」

 まるで子犬のようなうめき声をあげる。

 

 直樹は終始無言だが、呼吸が荒くなるほどに興奮していた。

 尻の穴に指を入れられ、身体を緊張させる雪乃を見て。

 苦しそうなうめき声も、今の直樹にとっては興奮の起爆剤でしかない。

 

 直樹はその声をさらに引き出すべく、わざと指をぐりぐりと回転させ、ねじ込むようにする。

 「んくっ! くふぅ! んうぅ!」

 ぐりっ、ぐりっ、という回転にあわせ、雪乃の小さな肩がぴくん! ぴくん! と震えた。

 声もそれにあわせるように、腹の底から絞りだされるような声をあげる。

 

 指の回転は激しいのに、押し込むのはゆっくりと、直樹はこの状況をより長く感じていたかった。

 

 耐えられない様子で、雪乃はぎゅっ...とシーツを握りしめた。

 かわいらしい反応。

 

 たまらなく愛らしい仕草を見せる雪乃。

 直樹はその様をもっと見てみたいと思い、ゆっくり、ゆっくりと指を沈めていった。

 

 「ふぅ...ふぅ...ふうぅ...ね、ねえ...直くん...まだ...?」

 ひとさし指がこれ以上入らないくらいまで押し込まれた時、雪乃は肩で息をしながら聞いた。

 

 「ああ、もうちょっとだから我慢しろよ」

 座薬はもう十分すぎるくらいに入っているのだが、指を抜くのがどうにも惜しい直樹。

 

 奥まで挿入した指の関節を、くにっと曲げる。

 

 ごりっ...

 

 「んきゃあんっ!」

 指が曲げられた瞬間、雪乃は悲鳴のような声をあげた。

 背筋をぐぐっと弓なりに反らす。

 

 「(...?)」

 覿面に反応する雪乃を見て、不思議そうな直樹。

 

 「(...ここに、なんかあるのか...?」

 もう一度、指の関節を曲げる。

 

 ごりっ...

 

 「んきゅっ!」

 再び壊れた笛のような悲鳴をあげる雪乃。

 びくん! と飛び跳ねんばかりの勢いで身体を震わせる。

 

 「(...! そうか! ここは...子宮の入り口か!)」

 この感触、そして雪乃のこの反応。

 直樹は確信した。

 

 そもそも性器すら触られたことのない雪乃にとって、この刺激は強すぎた。

 ましてや心を許している直樹の指づかいとあらば、その効果も増すというもの。

 

 間違いなく処女である少女に、性器愛撫を飛び越していきなり中枢への愛撫。

 普通では絶対に味わえない異常なシチュエーションに、直樹は我を忘れた。

 

 関節を曲げたままの指の腹で、子宮の入り口を確かめるようにさすった。

 

 「はふっ! あくんっ! きゃう! や...やはぁん!

  そ、そこっ、触っちゃ...きゃあん! だめぇえ!」

 悲鳴まじりで必死に懇願する雪乃。

 

 子宮への愛撫にあわせて尻肉が動き、入れられた指が、きゅっ、きゅっ、と締めつけられる。

 尻穴がぱくぱくと閉じたり開いたりしながら、指の付け根も締めつけてくる。

 

 「やあ! きゃあんっ! きゃんっ! きゅううんっ!」

 まるで車が急ブレーキをかけたような切羽つまった悲鳴を断続的にあげる雪乃。

 身体の震えが止まらなくなり、がくがくと痙攣するようになる。

 

 「(そろそろ許してやるか...)」

 そういえば雪乃は病人であることに気づき、病人にこの責めはきついだろうと思った直樹は、

 ぐいぐいと締めあげられる指を力をこめて引き抜く。

 

 「ん!! くふぅううううん!」

 ずるずると指が抜けるたび、排便のような感覚が雪乃を襲う。

 背筋からぞくぞくとした感覚が湧き起こり、全身に広がる。

 ぞくぞくと身体を震わせる雪乃を見て、もっと時間をかけてゆっくり指を抜きたかったが、

 その未練を断ち切るように一気に引きぬく。

 

 ちゅぽん...

 

 あふれた腸液で濡れ光る直樹の指。

 

 「はぁっ...はぁっ...はぁっ...はぁっ...」

 せいせいと、大きく肩で息をする雪乃。

 

 「お...終わった...の?」

 顔を上げた雪乃は、いまにもこぼれ落ちんばかりの大粒の涙を浮かべていた。

 

 その表情は、たまらなく直樹の劣情を煽った。

 まだ呼吸も整っていない雪乃に、意地悪したくなる。

 

 「おいおい、お前のケツの穴、くっせぇーなぁ!」

 濡れ光る指を嗅ぎながら、からかうように言った。

 .....本当はそれほど匂わなかったのだが。

 

 「うっ...」

 その瞬間、雪乃の泣きそうだった顔が、くしゃくしゃになる。

 

 「(あ.....)」

 言ってから、少し後悔する。

 「(ちょっと調子に乗りすぎたかな...?)」

 

 「ううっ.....」

 雪乃は顔を伏せて、小さな肩を震わせている。

 

 たまっていた大粒の涙が、ぽろり...とこぼれ、頬を伝った。

 

 次の瞬間。

 「な...直くんのばかぁーっ!!! もう知らないっ!!!」

 雪乃は絶叫すると、がばっ! と布団を頭までかぶってしまった。

 

 「あ...(しまった、少しふざけすぎた)」

 

 「お、おい、雪乃、ジョーダンだよ、そんなに怒んなよ」

 あわてて弁解する直樹。

 

 「..........」

 だが、雪乃は返事もしてくれない。

 

 「ふぅ...(ま、しばらくしたら機嫌も直るだろ...)」

 あきらめた直樹は、くるりと踵を返す。

 「ゆっくり休めよ...あとでまた熱計りにくるからな」

 そのまま部屋を出て行こうとする。

 

 部屋を出る時、背中ごしに雪乃に言った。

 

 「ごめんな...」

 

 . . . . .

 

 背を向けたままの雪乃から体温計を受け取る。

 

 「...うん、もうすっかり熱も下がったな」

 その体温を見て言う直樹。

 

 「..........」

 だが、雪乃は背を向けたまま何も言わない。

 

 「おい、いい加減機嫌なおせよなぁ」

 うんざりした様子の直樹。

 

 「..........」

 だが、雪乃は背を向けたまま何も言わない。

 

 「...まったく」

 直樹は強行手段に出た。

 

 がばっ、と布団を持ち上げて雪乃を隅に押しのけるようにして入り込む。

 

 「えっ!? あっ!? な、直くんっ!? どうしたの!?」

 さすがにびっくりする雪乃。

 

 「寒いといけないと思ってな、あっためてやるよ」

 雪乃の布団に入りこむと、雪乃の方を向いて寝そべった。

 

 「えっ、えっ、えっ!?」

 いきなりのことで言葉が続かない。

 

 「ほら、寝るぞ...それとも俺と寝るのが嫌か?」

 雪乃の顔はほんのり染まっていた。

 だが、それは風邪のせいではなかった。

 

 ぶんぶんと首を左右に振る雪乃。

 「う、ううん! 嫌じゃないけど、伝染っちゃうよ?」

 

 「かまわねーよ、俺が風邪ひいたら雪乃が看病してくれんだろ? おら、寝るぞ」

 

 「う...うんっ!」

 にっこりと笑う雪乃。

 先ほどまでむくれていた顔が、あっという間にまぶしい笑顔にかわった。

 

 

 「えへへ...こうしてふたりで寝るのって、ひさしぶりだねっ」

 すり寄せるようにして身体をくっつける雪乃。

 「おい、そんなにくっつくなよ...」

 

 「だって...寒いんだもん...」

 抱きつくように体を密着させる雪乃。

 何がうれしいのか、にこにこしている。

 

 「でも...今日の直くん、なんだかとってもやさしかったね...」

 

 「そうかぁ?」

 

 「だって...ずっと看病してくれてたし...ごはんも作ってくれたし...

  お薬を入れられたのは恥ずかしかったけど...私の身体を心配してくれてのことだし...」

 

 「ははっ、そうかもな」

 

 「うんっ! おかげですっかり元気になったよ!」

 

 子猫のようにごろごろ甘えながら胸にすがりつき、上目づかいに見上げる雪乃。

 直樹は思わずどきりとなった。

 

 可愛い。

 この時ばかりは素直にそう思った。

 

 「じゃ、じゃあ、電気消すぞ」

 バツが悪そうに目をそらし、電気スタンドに手を伸ばす。

 

 「うんっ...おやすみなさい...」

 

 「ああ...」

 直樹はスタンドの電気を消すと、再び布団にもぐりこんだ。

 

 布団を持ち上げた拍子に、雪乃の甘い香りが直樹の鼻をくすぐった。

 「(...いい匂いだな...)」

 今日は風邪で雪乃は風呂に入らず、身体を拭いただけだったが、リンスの香りが僅かに残っていた。

 思わず寄り添う雪乃の髪の毛を少し手に取り、くんくんと匂いを嗅いでしまう。

 シルクのような手ざわりのサラサラの髪の毛からは、なんとも甘美な香りがする。

 「(...そういえば、子供のころはいつもこいつの髪の毛の匂いを嗅ぎながら寝たんだっけな...)」

 どことなく懐かしい香り。

 子供のころから、子守唄の代わりにした香り。

 雪乃の髪の毛の香りは直樹にとって、何よりも心を落ち着かせるものだった。

 

 「(...いいにおい...)」

 雪乃は直樹のシャツのにおいをくんくんとかいだ。

 直樹の汗のにおい。

 

 風呂にあまり入りたがらない直樹は、たいてい汗のにおいをさせて床についていた。

 だが、雪乃はそれを少しも嫌がらなかった。

 むしろ...ありのままの直樹を感じることが出来、嬉しいとさえ思っていた。

 直樹の汗の匂い...ありのままの、直樹の匂い。

 

 「(子供のころはいつも直くんといっしょに寝てたのに...)」

 そういえば、子供のころは直樹の体温を感じることができるこの時間を、何よりも楽しみにしていたような気がする。

 

 「(このまま...朝がこないといいのにな...)」

 

 相手を想う気持が姉弟以上のものであるということに、この時ふたりはまだ気づいていなかった。

 

 

 


解説

 第三話を書いた勢いで一気に書きました。

 「チョコレートみたい 第三話」の続きです。

 純愛度を高める努力をしてみました。どうですか?

 

 そういえば「歯車」と交互に更新と言ってましたが、これで2話分の差がついてしまった...。

 


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