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悲しみを燃やして act.1
コギト=エラムス/文


 「あっあ...んっ...螢一様ぁあ...」

 飼い主にすがり、甘える子猫のような声が響く。

 

 「螢一様じゃない...御主人様だろ...マーラー」

 その飼い主...森里螢一は飾り熊手の先をマーラーの秘穴に挿入し、肉壁をコリコリと掻いていた。

 

 オタフクとヒョットコがあしらえてある飾り熊手が動くたびに、

 くちゅくちゅと水っぽい音をたてて蜜壷となった箇所から愛液を掻きだしていく。

 

 「す...すみません...すみません...あんんんっ」

 その姿に似合わないほど甘い嬌声をあげるマーラー。

 古びた机に突っ伏し、その尻を突き出した尻をじれったそうにくねくねとよじらせる。

 マーラーの背中には大きくて重そうな陶器の招き猫がずっしりと乗せられており、その自由を奪っている。

 

 「はあああぁ...御主人さまあぁぁ...」

 陶器の重さに、マーラーの声も息苦しく、かすれた声になる。

 

 「そっ...その、縁起物で...もっと掻きまわしてくださいいぃ...」

 普段の堂々とした姿からは想像もつかないほどに、か細い声をあげてすがる。

 

 マーラーは縁起物が苦手なのである。

 最初は彼女の能力封じ込めるために使っていたのだが、マーラーはそれを官能と受けとめ今ではプレイの一環となっていた。

 

 だがその懇願を無視し、なおも焦らすようにゆっくりと秘肉をくすぐる。

 「あの女神たち...まずは誰だ?」

 

 「はっ、あっ、はぁあぁっ...ベ、ベルダンディーが、ベルダンディーがよいかと思われます、あんっ」

 言葉の途中でGスポットを掻かれ、語尾が急に上がる。

 

 一瞬、螢一の手が止まる。

 螢一自身この返答は予想していたが...。

 

 マーラーのせがむような声に、再び我にかえった螢一はくちゅくちゅとくすぐるように熊手を動かす。

 きゅっ、きゅっ、と生き物のように蜜壷が収縮し、更に咥えこもうとする。

 

 「策はあるのか?」

 手に力を込めていないと、そのままどんどん奥に入りこんでしまいそうである。

 螢一は引き出すように熊手を動かし、それを許さない。

 

 「さっ...策など...必要ありまああんっ...ありません...」

 もっと奥まで入れてほしいと自由の効かない身体を動かし、尻を突き出して自分から咥えこもうとする。

 だが、螢一はその尻の動きに合わせて熊手の入る深さを浅くしていく。

 

 「ベルダンディーなら...御主人様に首を締められても抵抗はしません...」

 甘い吐息混じりに、マーラーは言った。

 

 「それほど...ベルダンディーの心は御主人様に従属しているのです...」

 耳元で囁かれたような、マーラーの言葉。

 それはまるで悪魔の囁きのように、螢一に響いた。

 背筋がぞっとするような一言。

 その背筋の痺れを快感か、嫌悪感か、自分でも戸惑うような反応をかえす身体。

 

 「嘘じゃないな!?」

 螢一は振り払うように語気を強め、浅くしていた熊手を一気に置くまで突き立てた。

 気を確かに持っていないと、この美しい悪魔に心まで奪われてしまいそうだった。

 

 ずぷぷっ!

 

 「あんんんんっ!」

 いきなり奥まで挿入され、背筋をがくがくと痙攣するマーラー。

 軽い絶頂に達したようだ。

 

 「答えろ!」

 熊手の曲がっている先を子宮内に引っかけ、引っ張り出すように力まかせに引く。

 

 「あぐっ! んぐぐぐぐっ、本当、本当ですぅぅぅ!」

 金魚のように口をぱくぱくとさせてあえぐ。

 

 「...よし」

 引っかけた先を外し、熊手を抜き去る。

 挿入されていた熊手の枝はマーラーの愛液がしっとりとまとわりつき、濡れ光っている。

 抜いた先に愛液の糸がつうっと伝い、ぷちんと切れた。

 

 「はあぁん...それに...お、女は共存するものではなく...隷属させるものです...」

 はぁはぁと甘い吐息を吐きながら、妖しく言うマーラー。

 

 その艶っぽい口調に...一瞬背筋がぞくりとなる螢一。

 首をぶんぶんとふってその寒気を振り払う。

 

 動揺を悟られないようにしながら、

 「...褒美をやる、広げろ」

 手にした熊手を部屋の隅に投げ捨てて、ズボンのジッパーをおろす。

 

 「はいぃ...ありがとうございますぅぅ...」

 呼吸を整えながら、招き猫の重さで自由のきかない身体をよじらせ、両手で尻肉を掴む。

 そして、手に力を入れて尻肉を押し広げ、熟れきった果実のような女性自身が螢一によく見えるようにする。

 

 螢一の目の前に差し出された、今にも熟れて落ちそうな果実...。

 秘穴からあふれた蜜が太ももに伝い、足のつま先から垂れて床にたまりを作っている。

 

 顔に似合わない長大な男性自身を、まるで果実に刃物でも突きたてるようにして、広げられた蜜壷に押し込んだ。

 

 ずぷぷぷぷ...

 

 「あくんっ! あううんっ、御主人様ぁ、御主人様ああぁ...」

 奥に押しすすめられるたびに、ぞくぞくと背筋を反らすマーラー。

 嵌まりこんでいく一物に、とろとろと愛液が押し出される。

 

 潤滑液の助けを借りて、やすやすと奥まで届く。

 

 こつん...

 

 「んくっ!」

 子宮にまで達した時、あごを上げて更に反応する。

 

 じゅぷ...じゅぷ...じゅぷ...じゅぷ...

 

 その声を合図に、螢一は律動を開始した。

 

 . . . . .

 

 自分の中に何かどす黒いものが流れこんでくるようだった。

 透明の水に、墨汁が溶けこむような感覚。

 今の螢一には、そんな感情が湧き上がっていた。

 

 このマーラーと交わり、精を吐き出すたびに、自分が変わっていくような気がする。

 それはもちろん望んだことなのだが、何か別の意識...違和感が自分を支配しつつあった。

 

 . . . . .

 

 その日の夜...皆が寝静まったことを確認した螢一はベルダンディーの部屋へと向かった。

 音をたてずに襖を開け、部屋に入る。

 

 そこには、規則正しい寝息をたてて眠る女神、ベルダンディーの姿があった。

 

 あまりに安らかなその寝顔に、一瞬躊躇してしまう。

 だが、やらなくてはならない。この寝顔を...この安らかに眠る女神を守るために。

 螢一は勇気を振り絞って、自分の身体を突き動かした。

 

 ベルダンディーを驚かせないように、そっと布団をめくる。

 

 「ん...?」

 薄目を開け、目をさますベルダンディー。

 

 その瞼がはっきり開く前に、螢一はベルダンディーの身体に馬乗りになった。

 

 「は...っ!?」

 ベルダンディーの瞼がかっと開かれ、目の前に現れた螢一にびっくりしたような表情を向ける。

 

 何か声を出そうとしたベルダンディーに、

 「しっ! 静かにするんだ!」

 鋭く囁きかける。

 

 「はっ...はい...」

 いつものやさしい螢一の口調とは違う、冷たい命令口調。

 戸惑いながらも、それに従うベルダンディー。

 

 馬乗りになってから、螢一の心臓は早鐘のように高鳴っていた。

 服の上からでもわかる、贅肉ひつとつないしなやかな身体。だが骨ばってはおらず、ふっくらとした女性独特の柔らかさがある。

 自分の重さに耐えられなさそうな細い骨格。

 今になって改めてベルダンディーの華奢な身体を思い知らされる。

 

 自分の行為に後悔するが、後戻りはできない。

 そのいつもの自分の感情をぶんぶんと首を振って振り払い、スイッチを切りかえる。

 

 「そのまま...両手をばんざいの形にするんだ」

 瞳を見てはいけない。

 あの暖かな、まっすぐな瞳に見つめられると、とてもではないがこの性格を保っていられなくなる。

 再び、冷たい口調を取り戻し、女神の瞳を見ないようにしながら言う。

 

 「はい...」

 夜中にいきなり押し入られ、馬乗りになられるという暴挙については何ひとつ聞かずに、素直にそれに従うベルダンデイー。

 あおむけに寝たまま両手を上にあげ、ばんざいの格好をする。

 

 「いいか? 俺がいいっていうまで手を動かしちゃ駄目だ」

 なおも瞳を見ないようにしながら言う。

 

 「はい」

 女神はばんざいの姿勢を維持しながら、こくりと頷く。

 

 ベルダンディーは戸惑っていた。

 今の螢一からは全く邪悪な波動が感じられない。

 これは外部からの影響ではなく、螢一自身が望んでしている行為ということになる。

 

 「ベルダンディーなら...御主人様に首を締められても抵抗はしません...」

 マーラーに言われた言葉を頭の中で反芻する螢一。

 

 ごくりと唾を飲みこみ、ベルダンディーの細い首に手をかける。

 驚くほど細く、柔らかいベルダンディーの首筋...。

 このまま力を入れてしまうと、締める前に折れてしまうのではないかというほどに。

 初めて触れる、女神の首筋の感触、そしてこれからこの美しい女神にする仕打ちを考えるだけで、手が震えてしまう。

 

 「あの...螢一さん?」

 首に手をかけられたままで、心配そうな表情で螢一を見つめる。

 

 「どうされたんですか...?」

 ベルダンディーは人の心がある程度読むことができる。

 今の螢一にはどす黒いものが渦巻いていた。

 そうでなくても、螢一の震える手、荒い呼吸、額に浮かぶ玉のような汗で、その変化はすぐにわかる。

 螢一の心は黒い闇が覆っているのに、邪悪な気配は感じられない...。

 それが女神の判断を大きく狂わせた。

 

 「.....」

 螢一は目を反らしているが、ベルダンディーの表情はわかる。その、戸惑った表情が。

 だが、やらなくてはならない。彼女を、この美しい女神を守るために。

 自分に必死に言い聞かせた。

 

 「それほど...ベルダンディーの心は御主人様に従属しているのです...」

 もう一度、マーラーの言葉を反芻する。

 

 そして祈るような気持ちで、握りしめた女神の首に、力を込めた。

 

 きゅっ...

 

 「うんっ...う...」

 力を入れた瞬間、ベルダンディーの眉がぴくんと動く。

 

 ぎゅっ...

 更に締める。

 

 「んんん...」

 眉間にしわを寄せ、顔をしかめるベルダンディー。

 

 ぐぐっ...

 更に締める。

 

 「う...んんん」

 息苦しそうにうめいた後、美しいその顔を苦痛に歪め、ふるふると振る。

 

 ぐぐぐぐっ...

 全身が震えるほど、力を込める。

 

 「んんんんんんんっ」

 その白魚のような細い指が、畳をカリカリとかきむしる。

 本当なら締めている螢一の手を持って抵抗してもおかしくないほどの苦しさであるはずなのに、

 ベルダンディーはそれをしなかった。あくまで螢一に言われたとおり、ばんざいの形を保っている。

 

 「(て...抵抗...しない)」

 マーラーの言葉通り、ベルダンディーは苦痛に顔を歪めるものの、螢一のされるがままに身を任せている。

 

 「んぐっ...ううう」

 ベルダンディーの口から漏れた苦しそうなうめき声で螢一はハッと我にかえり、手に入れた力をあわてて緩める。

 

 「けほっ! こほっ! けほっ!」

 力が緩んだ瞬間、ベルダンディーは苦しそうに咳き込みはじめる。

 螢一が馬乗りになっているので、その苦しさも相当なものだった。

 

 普段、ベルダンディーなら咳をする時は口に手を当てる。

 だが、今は螢一に「俺がいいっていうまで手を動かしちゃ駄目だ」と言われているため、なおも両手をばんざいの形にしたままだった。

 

 また、あのどす黒い感情が流れこんできた。

 あのままあの感情に支配されていたら、最愛の女性を手にかけていたかもしれない。

 震えの止まらない手。

 そして今になってどっと冷や汗が浮かんできた。

 

 「...どうして...どうして抵抗しないんだ...?」

 震える手を押えながら、螢一は聞いた。

 

 「...螢一さんの言いつけですから...」

 はぁはぁと苦しそうに呼吸をしながら、なんとかそれだけ答えるベルダンディー。

 白い首筋には締められた跡の赤いアザが痛々しく残っている。

 

 「ベルダンディー...」

 顔を上げ、つい、女神の瞳を見てしまう。

 その瞳は水を張ったように潤み、端には涙の粒が浮かんでいた。

 

 「あっ...」

 女神の純粋な瞳を見て、いつもの自分を取り戻してしまうかと思った。

 

 どくん!

 

 だが、どす黒い感情が自分の中に洪水のように押し寄せ、自分を飲みこんでいった。

 

 「螢一さ...あっ!」

 何か言おうとしたベルダンディーの細いあごを掴んで、ぐいと上を向かせる。

 

 「俺の言いつけなら...何でも聞くんだな...」

 押し寄せる黒い感情の助けを借りて、先ほどよりは迷いなく言うことができた。

 

 女神の気持ちは確かめた。

 この気持ちを完全に手中に収めるべく、螢一は再び口を開いた。

 

 

 


解説

 新連載にする予定の「ああっ女神さまっ」ネタです。

 

 まず、コマンドウルフ様の「最初にマーラー」を堕とす、というネタで、

 次にベルダンディーを隷属させていこうかと思っています。

 で、ロンリーウルフ様のリクエスト「陵辱された女性は次の陵辱に参加する」というルールでいきたいと思います。

 更には陵辱中には女好きよ様のリクエストに応えていきたいと考えています。

 

 お話はいきなりマーラーが隷属していますが、いずれその過程も書きたいと思います。

 


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