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医用蛭19 第2部 別れの曲
コギト=エラムス/文


 その少女は、明らかにそこには似つかわしくなかった。

 切れかかった電灯、汚れた空気、ぎらぎらとした目で商品を物色する男達...。

 

 少女はゆっくりと店内を歩いていく。

 少女を見た男たちは一様に驚いた後、じろじろと絡みつくような視線を投げかけた。

 それは最初は好奇の視線であったが、すぐに獣欲の視線へと変わった。

 

 棚や壁には、所せましと商品が陳列されていた。

 カラフルな張り形、ボトルに入った謎の液体、いかがわしい写真やビデオ...。

 そこは俗に言う「大人のおもちゃ屋」だった。

 少女はそれらが一体何をするものなのか全然わからなかった。

 だが、店の雰囲気が発する異様なオーラでいかがわしいことに使うのだけは伝わっていた。

 

 商品が視界に入らないよう、客と目があわないように、少女は視線を落としゆっくりと歩いていく。

 私立きらめき高校の制服に身を包んだ少女...詩織は明らかに異質の存在だった。

 きっちりとしたブルーの制服、かわいらしい黄色のリボン、きれいにプリーツの入ったスカート、三つ折りの白いソックス...。

 世の穢れとは全く無縁のような、清楚なその姿。

 まるで、欲望の吐き溜めに舞い降りた一羽の美しい鶴であった。

 

 そして、詩織はカウンターで立ち止まる。

 カウンターの店員は無修正のアダルトビデオを見ており、

 ボリュームも絞っていないため、テレビからは女優のあえぎ声がひっきりなしに響いていた。

 

 「あっ...あの...そのっ」

 詩織の問いかけに、店員はけだるそうに顔だけ向ける。

 

 「!?」

 目の前に現れた美しい少女に、例に漏れずギョッと驚く店員。

 

 詩織は手を口に当て、もじもじと戸惑うような表情を見せた。

 「なにか?」

 店員のぶっきらぼうな一言。

 詩織は両目をしっかりと閉じ、ありったけの勇気を振り絞って口を開いた。

 

 かわいらしい桜色の唇が動いたかと思うと、

 

 「わ...私の下着...買ってもらえませんか...」

 

 蚊の鳴くような小さな声で囁く詩織。

 言った直後、詩織の顔はかぁーっと赤くなる。

 

 詩織の羞恥に震える仕草に無意識のうちに下半身が熱くなるのを感じる店員。

 「...あ、ああ。ここに置いて...査定するから」

 カウンターを指先でとんとんと叩く。

 

 「...はい」

 やっと聞き取れるような声で返事をする詩織。

 

 詩織の心臓はかつてないほどに高鳴り、貧血で倒れてしまいそうなほど頭に血が上っていた。

 

 「早く出して」

 じれったそうな店員の声。

 

 詩織は恥ずかしさのあまり思うように動かない手を懸命に動かして青いスカートの裾を掴んだ。

 そして、ゆっくりとたくしあげる。

 

 「お!?」

 詩織の行為を見て、怪訝そうな表情を見せる店員。

 

 店員の一声で、店の中にいる客の視線が一気に詩織に集まった。

 全身を視姦されるような感覚に、詩織は震えた。

 

 たくしあげたスカートから、白くしなやなか脚が少しづつ露わになってくる。

 それは三つ折りのソックスと相俟って、なんともいえない清潔感があった。

 スカートは男たちの目を楽しませるようにゆっくりとずり上げられ、ちょこんと飛び出たひざが露わになったあたりで、

 詩織の手はスカートの中に入れられた。

 

 「んっ...」

 あまりの羞恥に僅かにうめきながら、お気に入りのショーツに手をかけ、

 ゆっくりとずり下ろす。

 

 こんな男だらけのところに可憐な少女が現れ、目の前で下着を脱ぎはじめる。

 それは異様な光景だったが、逆にたまらなく官能的だった。

 

 客たちはいつの間にか、少女の痴態を見てやろうと詩織の周囲に集まっていた。

 店員も、乗り出すようにしてその様子を見ている。

 

 詩織は瞼を閉じているものの、周囲360度から男たちのはぁはぁという荒い息遣いでそれを感じとっていた。

 まるで...野獣の群れに囲まれたような感覚。

 

 野獣たちの視線が、たくしあげたスカートから覗く脚部に集中しているのがわかる。

 やわらかいふくらはぎ、きゅっとしまった足首、細いがふっくらとした太もも、ひざの裏へこみ、

 ゆったりとした曲線を描く臀部までのライン...すみずみまで視姦される。

 眼前にあるふたつの脚線美に、釘づけになる野獣たち。

 目を閉じていても、なめまわすような視線がからみついているのがわかる。

 

 これから...自分がしようとしていることを、知らない男たちに見られる。

 そう考えるだけで、詩織の手は鈍ってしまうが、そのゆっくりとした動きは野獣たちを長く楽しませるだけだった。

 

 身体中の血液が駆け巡り、頭に集中しているように、顔が熱いくらいに火照る。

 詩織の顔はまるで熱病患者のように赤く染まっていた。

 

 す...す...

 動かない手を勇気を振り絞って動かし、少しづつショーツをずり下ろしていく。

 

 予想もしなかった可憐な少女の痴態に、店の中の男たちは一様に分身をそそり立たせていた。

 中にはポケットに手を突っ込んで自慰を始める者も出てくる。

 

 やがて、たくしあげられた青いスカートから...

 フリルのついた純白のショーツが姿を現した。

 少女のしなやかな指がかけられた、みずみずしい太ももを通るその白い下着は可憐な少女にはよく似合っていた。

 

 このとびっきりの美少女が、目の前でパンツを脱ごうとしている。

 Hなこととは無縁そうな美少女が、処女の性器を覆っている布を脱ぎ捨て、無防備になろうとしている。

 その下着が取りさらわれた股間は、きっと薄桃色の性器があるだろう。

 誰からも触れたことのない未通の性器が。

 男たちはそんな勝手な想像を巡らせた。

 そしてどの男たちも、想像の中で詩織を犯した。

 嫌がる少女のクレヴァスをこじ開け、猛り狂った分身を問答無用で挿入し、

 処女膜を破り去り、泣き叫ぶのを無視して自分の快楽のためだけに腰を突き動かし、責めたてる。

 

 たしかにそんな想像も無理はない。

 詩織ほどの美少女が目の前で下着を脱いでいるのだ。

 店の中にいる男たちが詩織に襲いかからないのが不思議なほどであった。

 

 かわらしいショーツはひざを通りすぎ、足元までたどり着く。

 それにあわせ、青いスカートも下がっていく。

 

 男たちの視線はショーツを追って下がっていった。

 

 そして恥ずかしそうに少しだけ脚を上げると、ショーツから片足を抜きとり、

 同様に反対の脚も少し上げてショーツを取る。

 

 詩織はまだぬくもりのあるショーツを見た後、

 ためらいがちにカウンターに置いた。

 

 店員は冷静さを保ちながら、カウンターに置かれたショーツを手に取り、

 両手で伸びるほどに引っ張り、天井の蛍光灯にかざした。

 

 小さなショーツはびろんと伸ばされ、男たちの視線を一身に浴びる。

 

 脱ぎたての下着を大勢の男に見られ、

 詩織はあまりの恥ずかしさに、両手で顔を覆った。

 

 店員は目の前で広げられた繊維についたシミを見て、

 「...濡れてる」

 店内に響くような大声で言った。

 

 表情はわからないが、詩織の細い肩がぴくん! と反応した。

 

 更に伸ばしたまま裏返したりして、査定を続ける店員。

 

 ヒップを覆うあたりの布に、茶色いシミを発見する、

 「...ちょっとウンコがついてるなぁ」

 そしてまた羞恥を煽るように、大声で言う。

 

 詩織の肩が小さく震えはじめる。

 

 店員はショーツを鼻に近づけると、くんくんと嗅ぎはじめるた。

 「うん、ちゃんとニオイもついてるなぁ...どっちも本物のシミだ」

 ショーツから顔をあげ、うんうんと頷きながら言う。

 

 詩織は手で顔を覆ったまま、いやいやと顔を左右に振る。

 

 店員はショーツを名残惜しそうにカウンターに置くと、

 「よし、決まった」

 詩織に向かって言った。

 

 その一言に、詩織は顔を覆っていた手をゆっくりと下ろした。

 

 まるで熱に犯されているように顔を真っ赤にしている。

 瞳は今にも泣き出しそうに泣きべそをかいていた。

 

 その表情は、男たちを震え上がらせるほどのものだった。

 「よ、よし、キミはウチでも人気だし、Hなシミもたくさんついてるし、高く売れると思うよ...そうだな」

 電卓を取り出してはじきはじめた。

 「(.....人気?)」

 店員のその一言が気になった。

 詩織はこんな店に来るのは生まれて初めてだし...、一体、何のことを言っているのだろう。

 

 「これでどうだい?」

 店員は詩織に電卓を見せた。

 その電卓の液晶部分には80,000と表示されていた。

 

 「は...8万円?」

 何かの間違いではないかと思った。

 

 「...なんだよ、足りないっていうのかよ...まったく、カワイイ顔してしっかりしてるぜ」

 店員は舌打ちをすると、再び電卓をはじきはじめた。

 

 「えっ...?」

 戸惑う詩織。

 そんなつもりで言ったわけではないのだが...。

 

 再び提示された電卓には、100,000と表示されていた。

 「どうだ、これでも不服か?」

 

 「いっ...いえっ...」

 あわてて顔を左右に振る詩織。

 

 詩織は200円くらいだと思っていたが、実際はその500倍の価格がついた。

 まさか...自分の下着にこんな高額がつくとは、夢にも思わなかった。

 

 

 大田との悪夢のデート、

 たどり着いたビルの3階にある大人のおもちゃ屋で、

 店員の目の前で下着を脱いでそれを売ってくる。

 大田の第一の命令だった。

 もちろん詩織は激しく拒否したが、そんなものが通用する相手ではない。

 今、大田には逆らえないだけのものがいくつも握られている。

 詩織は従うしかなかった。

 

 

 レジから一万円札を何枚も取り出して数える店員に向かって、

 「えっと、あの...そのお金でF−48とM−16がほしいんですが...」

 第二の命令を口にする詩織。

 F−48とM−16、この記号が何を意味するかはわからないが、カウンターで言うように言われている。

 

 「え? ああ、生写真ね」

 意味は伝わったらしく、店員は数える手を止めて言った。

 どうやらそれは写真のことを指しているらしい。

 

 「はいよ、F−48とM−16ね」

 レジの下の引き出しから2枚の封筒を取り出し、カウンターの上に投げる店員。

 

 「F−48が4千円でM−16が6千円だから...ほい、差し引いて9万円」

 続けざまに封筒の横に、9枚の1万円札が置かれた。

 

 詩織は封筒と金を受け取る。

 

 「あ、一応中身を確認しといてね」

 店員の一言に、何気なく封筒の中の写真を取り出す詩織。

 

 その写真を見て、詩織はあっと声をあげた。

 なんとそれは、詩織自身の写真だった。

 詩織の写真はスクール水着で尻に食い込んだ水着をこっそりと直している瞬間を撮影したもので、

 嫌らしくローアングルから撮られたものだった。

 

 「!?」

 まるで盗撮のような写真に、詩織の目は大きく見開いた。

 まさか、自分の写真が自分の知らないところで撮影され、こんないかがわしい店で売られているなんて...!

 

 あわてて2枚目の写真が入っている封筒を開く。

 その写真を見て、詩織は息を呑んだ。

 

 それは大勢の黒人たちに囲まれて、縛られたまま犯されている愛の写真だった。

 

 「め...メグっ!?」

 思わず叫んでしまう詩織。

 

 黒人たちの顔はわからないが、愛の顔だけははっきりとわかった。

 黒人たちは一様にその長大なペニスを限界までそそり立たせ、愛につきつけるようにして向けていた。

 中には射精の瞬間であるペニスもあり、鈴口から吐き出された精液が愛の顔にかかり、

 糸になって繋がっていた。

 愛の顔は精液にまみれ、まるで精液でパックをしているかのように大量に浴びせられていた。

 口には太いペニスを咥えさせられ、むせるような苦しそうな表情をしている。

 その小さな身体を屈強な男に抱えあげられ、背後から突きあげられている。

 接合している部分ははっきりと見えていた。

 真っ黒い角材のような太いペニスに小さな秘穴は限界まで押し広げられ、

 その繋がった隙間から押し出されるように白い液体がどろどろとこぼれていた。

 ...おそらくこれは膣内射精された精液があふれたものである。

 その量の多さから、愛は何人もの男たちに膣内射精を受けた後だというのがわかる。

 

 あまりの親友の惨状に、詩織はわなわなと震えた。

 

 「特にアンタの写真は入荷するとすぐ売れちまうんだ、ソイツは最後の1枚だよ」

 詩織の神経を逆撫でするような店員の一言。

 

 「うっ...」

 詩織はそのまま店員に背を向けて駆け出した。

 

 詩織が店を出る瞬間、カウンターに殺到する客たちの声が響いた。

 「おい! そのパンツ売ってくれ! いくらだ? 12万か!?」

 「お、俺は15万だすぞ!」

 

 . . . . .

 

 うす暗い廊下の隅ではぁはぁと息を整える詩織。

 

 呼吸が整ったところで、詩織は改めて愛の写真を見た。

 

 屈強な男たちに囲まれ、乱暴される愛...

 男たちの欲望の汚液をその小さな身体で受け止め、なおも自分の身体の何倍もある男たちの相手をさせられる愛...

 詩織もうらやましがっていた愛のきめ細やかで透き通るような白い肌には、

 食い込むように荒縄がかけられ、身体の自由を奪っていた。

 たとえ相手が一人でも愛の細腕では抵抗もできないだろうに、

 男たちは自分たちの嗜虐的欲求を満たすためだけに愛を荒縄で痛めつけるように締め上げてから犯した。

 そればかりかムチで打たれたような痛々しいアザが身体中にいくつも見られた。

 荒縄が痛々しく柔肌に食い込み、紫色のアザがある愛...。

 だが男たちの口元は皆一様にイヤらしく歪んでいた。この空間では、誰も愛のことをいたわる人間などいなかったのだ。

 愛は性欲処理の道具として扱われ、いくら泣き叫んでも許してはもらえなかった。

 今の詩織と同じように真っ赤に泣きはらした瞳で、それが容易に想像できる。

 

 「め...メグぅ...」

 あまりにも悲惨な親友の姿に、詩織の胸はえぐられるような思いだった。

 あふれた涙に視界が滲んでまともに見ることができない。

 「メグっ...ううっ...」

 詩織は愛の写真をぎゅっと抱きしめ、涙をぽろぽろとこぼした。

 

 自分の受けた辱めよりも、何倍も何倍も辛い目に愛はあっているんだ、

 そう考えるだけで胸はキリキリと締め付けられ、止めどなく涙があふれてくる。

 

 「う...ううっ、メグっ...メグうぅ...」

 ビルの廊下の隅で小さくしゃがみこみ、詩織はいつまでもいつまでも泣いた。

 

 やがて、廊下を歩く足音がコツコツと響き、詩織に近づいてくる。

 ぐすぐすと泣きじゃくる詩織を、黒い影が覆ったかと思うと、足音がそこで止まる。

 

 「...へぇ、ちゃんと売ってこれたみたいだね...感心感心」

 それは、ふたりの少女を地獄に突き落とした男の声だった。

 

 

 


解説

 「医用蛭18」の続きです。

 

 セーラー服の女の子がブルセラショップで店員の目の前で脱いでそれを売る、

 というのがずっとやってみたかったんですね。

 

 でもどうも文才のなさかHさがないですな.....。

 


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