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医用蛭20 第2部 別れの曲
コギト=エラムス/文


 大田と詩織は...その古びたビルの便所内にいた。

 

 「詩織と愛...どっちもよく撮れてるだろ?」

 ニヤニヤとしまりのない顔で言う大田。

 

 「やっぱり...あなたが...あなたが撮ったのね...!?」

 隠し撮りされたことも腹立たしかったが、それ以上に詩織を激昂させたのは、親友である美樹原愛の扱いであった。

 

 詩織自身、こんなに人を憎んだのは生まれて初めてだった。

 ワナワナと震えながら歯をくいしばり、泣きはらした瞼で大田を睨みつける。

 

 そうだ、愛がこんな目にあわされているのも、自分が信じられない恥辱を受けたのも、

 啓介との距離が離れてしまったのも、父親とも別居させられたのも...全て目の前に立つこの男のせいなのだ。

 そう思うだけで自分を忘れてしまいそうなほどの怒りがこみあげてくる。

 

 順当な反応だ。と大田は冷静に判断した。

 こういった怒りに我を忘れた女をうまく乗りこなし、飼いならしていくのも一興である。

 そして...それをするだけの材料は山ほどこちらにはある。

 

 まるで詩織の怒りをゲームの仕掛けのように扱う大田。

 

 「その写真と稼いだ金は詩織にやるよ...なんといっても学園のアイドル、藤崎詩織の初アルバイトの給料だからね」

 そしてその神経を更に逆撫でするように言う。

 

 校則でアルバイトは禁止されている。

 優等生である詩織はそれを守って今までアルバイトなどしたことはなかった。

 

 「こ...こんなお金...いらないわっ!」

 握りしめてくしゃくしゃになった札を突き出し、ヒステリックに叫ぶ詩織。

 

 「.....はい」

 その札は受け取らず、かわりに詩織に何かを差し出す大田。

 

 「.....?」

 視線を落とす詩織。

 

 それは...大人用の紙オムツだった。

 

 「パンツ、はいてないんだろ? これを付けてデートの続きをしようよ」

 傷ついた少女の心を、更に土足で踏みにじるような行為を要求する。

 

 「ど...どうして...!」

 再び怒りに燃える瞳を向ける詩織だったが、その言葉は途中で遮られた。

 

 大田が空いたほうの手でビデオテープをさし出したからだ。

 「店内の防犯カメラで撮影した藤崎詩織のアルバイトのシーンだよ...」

 

 「.....!!」

 詩織はハッと息を呑んだ。

 

 あの屈辱の瞬間を...大田は予想して前もって録画をしておいたのだ。

 

 「店長がこれも店で扱わせてくれってうるさくってさぁ...」

 手にしたテープをカラカラと鳴らす。

 

 悔しそうに唇を噛む詩織。

 

 「なんだったらさ、詩織の処女膜を写したビデオといっしょに卸してやってもいいんだよ?」

 なおも追い詰めていく。

 

 きゅっと握りしめた拳を震わせる詩織。

 

 「タイトルは何がいいかなぁ...”藤崎詩織 公開処女喪失” かなぁ...」

 天井を仰いで、考えこむような仕草をする大田。

 

 「く...っ」

 詩織は悔しそうにうめくと、ひったくるような勢いで差し出された紙オムツを取った。

 

 「..........」

 そのまま無言で便所内の個室の方へと入っていく。

 

 「じゃあ、廊下で待ってるからね」

 閉じられた個室の扉に向って声をかける大田。

 そのまま便所から出ていく。

 

 「メグ...」

 個室の中で詩織は...愛の写真を見つめて...またしっかりと抱きしめた。

 

 . . . . .

 

 「よしよし、ちゃんと穿いてきたみたいだね」

 便所から出てきた詩織の表情を見ただけで大田はわかった。

 

 がさがさとした下腹部を覆う感触が、紙オムツをしていることを強く認識させ...詩織の顔がわずかに赤くなっている。

 

 紙オムツをさせられただけなのに、先程の怒りはどこへやら、急にもじもじとした恥ずかしげな態度になる詩織。

 それも無理はない、年頃の少女が赤子か年寄りしかしないようなものを身につけさせられているのだ。

 いくら制服のスカートで見えないとはいえ、その羞恥はかなりのものである。

 

 「よし、じゃあ行こうか」

 慣れなれしく肩に手を回す大田。

 「は...はい...」

 詩織は特に抵抗もせず、ふたりは並んで歩きだした。

 

 ビルを出て大通りに向かい、デートを続行する大田と詩織。

 

 詩織は、例によって男たちの注目を集めた。

 その美少女の肩を抱く大田には、妬ましい視線が集まる。

 

 詩織は終始うつむいたままだった。

 顔を見られたくないというのもあるのだが、紙オムツの感触が気になってしょうがなかったのだ。

 

 「...そろそろ薬が効く頃じゃないかな?」

 詩織の肩を抱いたまま、大田は腕時計を見る。

 

 「...?」

 詩織にはその言葉の意味がわからない。

 

 大田の顔が耳にキスせんばかりに近づいたかと思うと、

 「朝食にさ...とびっきり強烈な利尿剤を混ぜておいたんだ...」

 ぞっとするような声で囁きかける。

 

 「...っ!」

 耳に吐息を吹きかけられ、ぞくっと肩を縮こませる詩織。

 

 次の瞬間...、

 「は...あっ...!?」

 まるで暗示にでもかかったかのように、詩織の膀胱から急激に尿意が昇りつめてきた。

 

 変化に気づき、詩織が逃れようとするより早く腰に手をまわして抱き寄せる大田。

 

 「きゃっ!?」

 そのままぶつかるように胸元に抱き寄せられてしまう。

 

 「逃がさないよ...さぁ、みんなの見てる前でおもらしをするんだ」

 震える詩織の耳元で、次なる悪夢の指令を出す大田。

 

 往来の真中で立ち止まったふたりを、通行人は不思議そうな顔で見ながら通り過ぎていく。

 

 今までは何ともなかったのに...大田に囁きかけられた瞬間、屈しがたいほどの尿意が一気にこみあげてきた。

 いくらこらえてみても身体はまるで言うことを聞いてくれず、痛烈な尿意でかえって詩織を苦しめる。

 

 「っ...くううぅ...」

 きつく瞼を閉じ、必死に尿意と戦う詩織。

 

 太ももをこすりあわせて、気を紛らわせる。

 それでも足りずにつま先立ちになって、下腹部に力をこめる。

 つま先で立つ脚が、カタカタと震えはじめる。

 

 「うううううう...」

 苦しそうにうめく詩織。

 額にはどっと脂汗がわき、両手を胸のあたりで組むようにしてきゅっと自分を抱きしめる。

 

 昨日の夜とは比較にならないほどの強烈な尿意が、突き上げるように詩織を責めたてる。

 それは、ほんの少しでも気を抜いたら漏れ出しそうなほどであった。

 

 薬の効果を覿面に受けた詩織を満足そうに見ながら、

 「さ、立ち止まってると余計に目立っちゃうよ...歩こうか」

 大田は掴んだ腰で詩織を引きずるようにしながら歩きだす。

 

 「やっ! あ...」

 身体をのけぞらせてその場にとどまろうとする詩織だったが、力で男にかなうわけもない。

 そのままつま先立ちになってチョコチョコと歩かされる詩織。

 

 それはかなり滑稽な歩き方で、更に衆人の注目を集めてしまう。

 

 「ほら、こうやって抱きついたほうが力が入っていいだろ」

 大田は詩織の両手を取り、自分の腰に回させる。

 

 「うくっ...ううっ」

 本来はこの男の腰に手など回したくないのだが、確かに大田の言う通り、その方が手に力が入ってより尿意と戦える。

 詩織は悔しさをこらえて大田の腰にしがみつくように力を入れる。

 

 「ハハハ...いいぞ」

 泣きそうな顔で自分に必死にしがみつく詩織は...まさにすがりついているような感じだった。

 

 はたから見れば、それは抱きしめあっているアツアツのカップルに見えた。

 

 「じゃ、行こうか」

 すがりついた詩織の頭を撫でながら、再び歩き出す大田。

 

 「うく...くううぅん」

 尿意をこらえるのに必死で、何も言葉を発することができない詩織。

 まるで甘える子犬のような声をあげてしまう。

 

 そのまま引きずられるようにして内股でヨチヨチと歩き出す詩織。

 悪夢のようなデートはこうして再開した...。

 

 

 「はあっ...はあっ...はあっ...」

 まるで熱にうなされているような荒い息をする詩織。

 

 瞳を潤ませ、顔を真っ赤にし、大田にしなだれかかるその様は気分が悪いようにしか見えない。

 なので注目は集めるものの、不審に思われることはなかった。

 

 「まったく...さっきから話しかけてるのに返事もせずに...」

 やれやれと言った様子で言う大田。

 詩織の切羽つまった表情とは対照的に、大田はご機嫌だった。

 

 詩織ほどの美少女から腹の脂肪がへこむほどきつく抱きしめられ、男たちの羨望を受けているのだ。

 気分の良くならない男はいない。

 

 「紙オムツしてんだからさ、ドバーッと出しちゃいなよ、ドバーッと」

 まさに人事のように言う大田。

 

 頭がボーッとして、もう何も考えられない詩織。

 「ふあ...あう...うああ...」

 うわごとのようなうめき声をもらす。

 うめいた後も口をぱくぱくと動かして苦しそうに息を吐いている。

 

 いくら紙オムツをしているとはいえ、こんな人の大勢いるところで排尿などできるわけがない。

 道行く人はただでさえ私たちのことを見ているというのに...。

 

 「じゃあ...ボクが手伝ってあげようかな...」

 言うが早いが、目の焦点があわなくなってきている詩織の耳の穴に、フッ、と息を吹きかけた。

 

 「ひんっ!」

 耳を抜ける息に、はじかれたように飛び上がる詩織。

 しゃっくりのような詩織の悲鳴に、周囲の視線が集まる。

 

 その瞬間、膀胱が破裂したような...たっぷりと水の蓄えられた水風船が割れるような感覚が...詩織の下腹部を襲う。

 

 「ふああああああっ...くううううん」

 詩織の鳴き声と共に、大田の腰に回した腕にぎゅうっと力が入る。

 

 詩織のひざがガクガクと震え出す。

 

 「あっあっあっあああああっ」

 まるで高い所から落下していくような...そんな声をあげたかと思うと、

 

 ぶしゅ...しゃああああああああっ...

 詩織の下半身が爆ぜた。

 

 「はあああああああああああっ」

 ブルッ、ブルッと小刻みに全身を振るわせ...排尿の瞬間を大田に伝える。

 

 秘肉を押し広げるような勢いで、詩織の蓄えられた尿が紙オムツへと染みこんでいく。

 

 「ハハハ...藤崎詩織の立ちションだ...こりゃ傑作だね」

 しがみつき、おもらしを繰り返す詩織を見下ろして愉快そうに笑う大田。

 

 まるでダムが決壊したように、次々と尿が排泄される。

 止めようといくらふんばってみても、限界まで我慢していたものが止まるわけがない。

 

 「はっ、あっ、ああっ、ああっ、とまっ、とまらないよおぉ...」

 どんどん身体から力が抜けていく、へなへなと腰が抜け、その場にへたりこもうとすり詩織を、途中で大田は腰に回した手で抱え上げた。

 

 「じゃあ次は歩きションだ、行くよ!」

 颯爽と言うと、今なお排尿を続ける詩織の身体を無理矢理引きずりはじめた。

 

 ずるずるずるずる...

 

 顔を真っ赤にして何度も何度もいやいやをする詩織。

 「ひあっ...やはああああん...いやはああああ...」

 もう歩くことができない詩織は、排尿を続けながらそのままだらしなく引きずられる。

 

 まるで酔っ払いを扱うような口調で言う大田。

 「ほらっ、みんなこっちを見てるよ! ちゃんと立って!」

 わざと周囲に聞こえるような大声で言い、更に注目を集めようとする。

 

 道ゆく男たちの視線が...詩織にあつまる。

 子供のようにいやいやを繰返す詩織を...好奇の目で見る男たち。

 いやらしい男たちの視線が...詩織の全身に絡みつく。

 

 じょろろろろ...じょぼっ...じょぼ...

 

 街中の喧騒、道行く人の足音、通りすぎていく車。

 「(街中で、街中で.....私はいまおしっこをしてる.....)」

 

 道の真ん中をよたよたと歩く大田と詩織を、大勢の人たちがよけていく。

 「(それを...それを...こんな大勢の人たちに見られてる.....)」

 

 じょぼじょぼじょぼじょぼ...ちょろろろろ...

 

 遠くにいる2人組の男が、詩織を見ながら何やら耳うちをしている。

 「(みんな...みんな...おしっこをしている私を...笑いながら見てる.....)」

 

 道行く人、道行く人、ほとんどの男の人と視線が合う。

 「(見られてる...見られてる...おしっこをしている所を.....)」

 

 詩織は気を失いそうなほどの羞恥に苛まれながらも...ジョボジョボと排尿を続けていた。

 

 

 


解説

 「医用蛭19」の続きです。

 

 tune様のリクエスト「人通りの多いところで排泄」です。

 リクエストの続きは次回やりますのでご期待ください。

 


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