「あれっ...食べないの?」
わざとらしくとぼけたような声で聞く大田。
「んうっ...」
だが詩織はそれには答えず、うつむいたままブルルッと震えた。
「あ〜あ、またションベンしたんだね...それも食事中に...はしたないよ」
切り分けたフレンチトーストを口に運びながら言う。
あれから詩織は大田に引きずられるようにして、おしゃれなカフェテリアへと入った。
そこで昼食を取っているのだが、今なお尿意と戦う詩織はそれどころではなかった。
連続で排尿をすることはないのだが、断続的に尿意が襲いかかってくる。
もう下半身は麻痺したように痺れ、尿意が湧き起こると、こらえることもできずにそのまま失禁してしまう。
ほとんど赤子か老人といった感じである。
普通、食事をしながら排泄をする人間はいない。
詩織の目の前に置かれたフレンチトーストはほとんど手つかずだった。
「ほら、ちゃんと全部食べて...食べないとここから出ないからね」
それとは対照的に全て平らげた大田...ナプキンで口を拭きながら言う。
「んうっ...」
詩織はうめきながら、震える手で切り分けたフレンチトーストを口に運ぶ。
そして、ゆっくりと咀嚼していたその最中、
「くぅんっ...」
再び肩がびくびくと震えだす。
また排尿が始まったのだ。
もう紙オムツは吸湿の限界を超えており、詩織の尿でぐっしょりと濡れていた。
その気持ち悪さが、更に詩織を追い詰めていく。
「くううううっ...」
顔をしかめ、カタカタと震えながら、手にしたナイフとフォークをきゅっと握りしめ、
緩んだ膀胱から小便が放出される感覚に耐える詩織。
「ハハハ、食べながらションベンするなんて...変態もいいところだね」
詩織の痴態を見ながら上機嫌の大田。
詩織ほどの美少女が、こんな人の大勢いるカフェテリアで食事をしながら排泄をしているのだ。
まだ誰にも気づかれていないとはいえ...詩織はもうその場から逃げ出したいほどの羞恥を味あわされていた。
. . . . .
それから...詩織は行く先々で排尿をさせられた。
ウインドウショッピングをしながら、ゲームセンターでクレーンゲームをしながら、
ボウリング場でボウリングをしながら...。
傍目から見れば普通のカップルのデートだが...
詩織は終始落ち着かない様子であたりをきょろきょろと見回し、
時折小さくうめいてはブルッと身体を震わせる。
大田にとっては楽しいデートだが、
詩織にとっては「恥辱の失禁デート」なのである。
失禁に失禁を重ね...その大量の尿によって紙オムツはぐっしょりと濡れていた。
やがて、吸湿しきれなくなった紙オムツは、ぐちゅぐちゅと湿った感触を詩織の肌に返す。
それが...「おもらしをしている」という事実を更に認識させ...少女の正気を奪っていく。
濡れた紙オムツが気持ち悪いのか、だんだんと詩織の動きがロボットのようにぎくしゃくしたものになってくる。
普段は優雅ささえ感じさせる美少女の詩織なのだが、
今は小動物のように落ち着かない様子で、ぎくしゃくした動きはとても滑稽だった。
そんな詩織を見ては大田は肩を震わせてクスクスと笑う。
そして時折周囲に聞えるような大声で
「どうしたんだい詩織? そんなにソワソワして...便所にでも行きたいのかい?」
そのたびに...周囲の視線が詩織に集中した。
ひとしきりデートスポットを連れ回し、詩織の痴態を十分に見た大田は、次なる計画を実行しようとしていた。
「じゃあ...ボクはあそこの喫茶店で見てるから、いいっていうまでここで立ってるんだよ」
今ふたりが立っている場所から、道路を挟んだ向かいにある喫茶店を指さしながら言う大田。
「.....?」
詩織は大田の真意が掴めないでいた。
ただわかるのは、大田がまた自分を貶めようとしていることだけだった。
「いいかい? ボクが合図を送るまでここでずっと立ってなきゃダメだよ?
でなきゃキミの親友である愛がどうなっても知らないからね?」
たとえ真意が掴めたとしても...詩織には拒否する権利はない。
「..........」
黙って頷く詩織。
紙オムツを穿くまで見せていた強気な態度は、度重なる恥辱責めのおかげですっかりしおらしくなっていた。
やがて...大田は横断歩道を渡り、向かいにある喫茶店へ入っていく。
詩織は言われた通り、街灯のあたりによりかかるようにしてその場に立つ。
「ねーっ、カノジョ、ひとり?」
詩織は大田の真意を少しだけ理解した。
ひとりだけになった詩織を、街行く男たちがほおっておくわけがない。
大田が離れてほんの数分で2人組の男に声をかけられる詩織。
「あっ、この制服、私立きらめき高校のだよね?」
慣れなれしく肩に手をかけてくる男。
「マジー? あそこの女の子とお友達になりたかったんだー」
うれしそうにはしゃぐもうひとりの男。
「あっ、あのっ...私...」
おどおどとした表情で、肩をすくめる詩織。
詩織ほどの美少女は街に出るとナンパされない時はない。
普段は軽くあしらうのだが、今はいつ発生するかわからない尿意によって気弱になっていた。
「そんなに怖がらないで、ね、いっしょに遊ぼうよ〜」
詩織の手を取る男。
その瞬間、
じょろっ...
「んっっ...!」
ぴくん! と肩を震わせ、身体を固くする詩織。
恐れていた尿意がやってきたのだ。
じょろろろろ.....
こらえることもできないまま、尿道から小便がじょぼじょぼと垂れ流しになり、
濡れた紙オムツに更に染み込もうとする。
喫茶店の窓際で、そのやりとりを伺っていた大田は、
「(そろそろ紙オムツの耐久度の限界だろう...)」
詩織がナンパの最中に失禁したのを見て、心の中で呟く。
「(計算通りだな...)」
遠くに見える詩織の表情の変化で、算段通りの効果が得られたことを確認する大田。
「あっ...!」
詩織の瞳が大きく見開いた。
つつ...っ
吸湿の限界を超えた紙オムツから、あふれた尿が太ももを伝ったのだ。
「うく...っ」
顔をしかめながら、内股になる詩織。
「あれー? どしたのカノジョ、気分でもワルイの?」
うつむいた詩織の顔を覗き込む男。
まさか目の前で口説いている女が小便を漏らしているとは想像もつかない。
「(や...やだっ...どうして...どうして...)」
縮こまりながらも、最悪の事態になってしまった不運を呪う詩織。
だが...それは運によるものではない。
全ては...大田の計算上のことだったのだ。
こんなところで失禁しているのをバレるわけにはいかない。
詩織は必死に平然を装おうとするが...定まらない視線、しかめた眉、
震える唇...詩織の不自然さは増すばかりであった。
「あ...あのっ...わ、私っ...いまお友達と待ち合わせしてますので...」
声が裏返ってしまう。
「(お...お願い...もう、あっちへ行って...!)」
「なにー? カノジョ、ひょっとしてキンチョーしてるの?」
「ハハハ、カオが真っ赤だよ、ひょっとして恥ずかしいのかなー?」
詩織の思いにも気づかず、無神経に顔を寄せてくる男たち。
金色に輝く液体が太ももを伝い...ふくらはぎまで垂れて...三つ折りのソックスに染み込む。
一度あふれた尿はもう止まらない。
スジとなった黄金水は、止めど無く脚線を伝ってどんどん垂れ落ちていく。
「(も...もう、イヤ...お願い...お願い...止まって...!)」
内股にして太ももをぴったりと閉じ、身体を強張らせる詩織。
一度出した尿の止め方など知らないが...必死になって下腹部に力を込める。
詩織は何度も泣き出しそうになったが、この男たちの前で涙など流したら、更に不審がられる。
バレてしまったら「おもらし女」のレッテルを貼られてしまう。
そうなったら...学校どころか、この街にも居られなくなる。
その場から逃げだしたいほどの羞恥と泣きたい気持ちを、唇をきゅっと噛んでこらえる詩織。
じょろっ...
「......!!」
その忍耐をあざ笑うかのように...再び失禁の屈辱が詩織を襲う。
どうして...どうして、人前ではしたなくおもらしをしなくてはいけないのか。
「くううぅっ...」
泣き叫びたくなるほどの羞恥、そして屈辱。
もう「紙オムツから溢れる」という表現ではない。
「直接地面に向って立ち小便をしている」という表現の方がしっくりくる。
それほど詩織の太ももは小便に濡れ、びしょびしょになっていた。
白いソックスまでもがもうぐっしょりと濡れ、学校指定の靴には漏らした尿がたっぷりと溜まっていた。
なおも「おもらし」独特の、もらしたばかりのあたたかい尿の感覚が...
下腹部から太ももを伝い、靴へと溜まっていく。
詩織の下腹部から下は...幼い子供の頃にした「おもらし」と全く同じ感覚が広がっていた。
子供の頃に感じた...「おもらし」の瞬間とは比較にならないほどの惨めさ、恥ずかしさ、悔しさ。
しかし...どうすることもできず、子供のようにただただ震えることしかできない詩織。
「なぁ〜、行こうぜ、俺らと遊べばゲンキになるって!」
しびれを切らした男が詩織の手を引っ張る。
引っ張られて...詩織は一歩前へ出てしまう。
ぐじゅ...っ
歩みを進めた瞬間、靴の中に溜まった小便がぐちゅりと音をたてて地面にあふれた。
「あ...っ!」
気持ち悪さに、思わず声をあげてしまう詩織。
正気がなくなりそうなほどの羞恥の中で...視界の遠くから、大田がガラスごしにOKサインを出すのが見えた。
「うっ...くうっ...!」
男の手を払いのけ、逃げるように走りだす詩織。
「あっ...おいっ! 待ってよーっ!」
男たちの制止も無視し、詩織は脱兎の如くの勢いで走り去る。
走るたびに、靴の中でぐちゅぐちゅと尿をかきまわす音が響く。
詩織の走った後の街路には、漏らした尿が点々と跡を残していた。
走る詩織の瞳の端から...大粒の涙がキラリと光る。
「うっ...ううっ...」
ずっと、ずっとこらえていた涙が、ぽろぽろとあふれた。
「うぐっ...うっ...ぐすっ...ひっく...ぐすっ」
詩織は子供のように泣きじゃくりながら、人気のない路地へと走っていく。
泣きながら走る詩織に周囲の視線は集中したが、もうそれに気遣うだけの余裕はない。
詩織はいじめられた子供のように顔をくしゃくしゃにし、
涙をポロポロこぼして大泣きをしながら、
今なおおもらしを続け、垂れ流した尿を街路に撒き散らしつつ逃げ惑っている。
学園のアイドルとは思えないほど、惨めで哀れな姿だった。
その姿を目で追いながら、喫茶店のソファでゲラゲラと笑い転げる大田。
ひとしきり少女の痴態をあざけ笑ったあと、
「さて...これからもっと笑わせてもらうからね...詩織」
伝票を持って立ち上がる。
悪魔の追撃が始まろうとしていた。
「医用蛭20」の続きです。
100万アクセス突破後の小説はやはりこれしかないと思いまして...。