「んむ...っ!」
俺は詩織の唇に吸いついた。
目を白黒させる詩織を無視して舌をこじ入れる。
最初は驚いて身を縮こませていた詩織だったが、やがて身体の力が抜け、口内に俺の舌を迎えいれた。
俺はベロベロと舌で詩織の口内を舐めまわす。
詩織もぎこちない舌の動きで俺の舌に絡めてくる。
舌を動かしながら、息を吸いこみ、ずずっ、ずずっと音をたてて唇を吸い上げる。
舌を絡ませあいながら、どんどん唾液を送りこむ。
どうだ!! 俺の汚ねえ唾をくらえ!!
...だが、詩織は、
「んっ...こくっ...こく」
喉を鳴らして俺の唾を飲みこみやがった!!
くそっ、何なんだよこいつ!!
俺はぷはっ、と口を離して、今度はその綺麗な顔に舌を這わせた。
べろべろと頬を舐めながら、チュッチュッとキスの雨を降らす。
頭を動かせないように、両手でしっかり固定して。
鼻の頭、瞼の上、額、唇などを犬みたいに舐めた。
この綺麗な顔を、俺の汚ねえ唾液まみれにしてやった!!
...だが、詩織は嫌な顔ひとつしねえ!!
く...くそっ! なら、これはどうだ!!
俺は上気して真っ赤になった耳たぶを舐めた。
そしてたて続けに耳の穴に舌をズボッと挿入した。
「あ...んっ」
耳の穴に舌が入った瞬間、反応してあごを上げる詩織。
まるで耳クソをほじくるような勢いで俺は詩織の耳の中を舌でかきまわした。
「あっ...やっ...くっ、くすぐたいっ...け、健くん、くすぐたいよっ...」
顔をそむけようとする詩織の顔を押えつけ、逃げられないようにしてたっぷり耳の中を舌でかきまわす。
「あはっ! はっ! あっ!」
やがて詩織の呼吸が荒くなってきた。舌でほじくるたびにぴくんぴくん反応しやがる。
さんざんかきまわしてやった後、舌を引きぬく。
詩織の顔を見ると、上気した顔ではぁはぁと息を整えてた。
...だが、それほど嫌がってる素振りもない。
くそっ!!
俺はフロントホックだか何だかよくわからないブラを引きちぎると、
ぷるんと震えて姿をあらわしたオッパイにむしゃぶりついた。
「やっ! い、いきなり...あはっ!」
何か言おうとする詩織を無視し、問答無用で乳首に吸いつき、片手て揉みしだく。
そうだ、たしか乳首は頂点よりも側面の方が感じるってエロ本に書いてあったな。
俺は乳首をずずっ、と一回吸い上げてから、舌の先で乳首の側面をくすぐるようになぞった。
「あんっ...あ...はあぁ」
すると詩織は色っぽい吐息を漏らし始めた。
空いた方のオッパイは乳首を責めるのはやめ、わしづかみにして揉みしだく。
暫らく側面を舐めてやると、だんだんと乳首が固くなってぷくっと飛び出してきやがった。
...感じてるんだな!?
俺はわざと焦らすように乳輪を輪を描くように舌先で舐め、たまに乳首の側面を舐めてやった。
「あふっ...はあっ...あはん...」
俺の舌技に、詩織もメロメロだ...なら、これはどうだ!
いきなり乳首の頂頭部を舌先でツンツン押しながら、固くしこった乳首を噛んだ。
こりっ
「あんっ!」
いままで焦らすだけ焦らされてたもんだから、魚みてえにびくん! と背筋をのけぞらせて反応する。
あいたほうの乳房は輪郭の部分を掴むように手を回して、たぷたぷと揺さぶってやった。
目の前で、プリンみてえにぷるぷる揺れる詩織のオッパイ。
「や、やだっ...は、恥かしいよっ...健くんっ...」
すがるような目で俺を見つめる。が、無視してぷるぷるさせる。
ぷるぷる...ぷるぷる...
それを見つめていた詩織の顔がかぁーっと赤くなってくる。
口を手で押さえ、泣きそうな目でそれを見ている。
そして、オッパイをぷるぷるさせながら、まるで踊り食いでもするかのように、そのままむしゃぶりつく。
「んふううぅぅ!」
指の腹を噛んで、声をこらえる詩織。
同じようにオッパイを味じわった後、俺の舌はどんどん下へと降りていく。
まずはヘソ、ヘソゴマのひとつでもあるんじゃねぇかと思ってヘソの穴を指でびろんと押し広げて
舌を突っ込んで舐めまわしてやった。
「やはっ! く、くすぐったいよ! やはぁん!」
腰をバウンドさせる詩織。
俺は腰が浮いたのを見計らって腰の下に手を回し、動かせないように固定する。
ちょうどヘソを俺に差し出すような形となる。
ゆっくり舌を奥まで挿入し、奥まで入ったら舌をグラインドさせて舐めまわす。
「あふ! あはっ! く、くすぐったいよぉお...」
息を吐きながら声も絶え絶えに言う詩織。
だが、いくら探してもヘソゴマのひとつも見つからないくらい詩織のヘソは綺麗だった。
俺はムキになって舌を出し入れし、かきまわす。
俺の唾液がヘソの穴に溜まり、舌を出し入れするたびにチャプチャプ音がしはじめる。
ちゃぷちゃぷ...ちゃぷちゃぷ...
「やはっ! あんんっっ! あふうぅぅ!」
詩織は俺に押えつけられて限界まで反っている腰を、まるでブリッジでもするかのように更に反らしてぴくぴく震えていた。
だが...いくら舐めまわしても塵ひとつ取れなかった。
あきらめた俺は舌を離す。
詩織の顔を見ると、涙目になっており、時折ぐすぐすとしゃくりあげている。
「へへっ...詩織、イヤだろう?」
俺は詩織に言った。
だが、詩織は首を左右に振る。
「う...ううん、ちょっと恥かしいけど...健くんにだったら...何されても平気だよ」
...こ...このアマっ!!
「あなたのテクニックじゃなんにも感じないほど平気」
だとぉ!?
俺は顔を伏せて、詩織の股間へと注視した。
「や...は、恥かしいよぉ...」
詩織は恥かしそうに脚を閉じている。
ほんのり生えた陰毛を見られ、脚をもじもじとこすりあわせている。
俺はその太ももの間に手を入れると、力まかせにがばっと開いた。
「あ...っ!」
その開かれた股間には、薄桃色の性器...オマンコがあった。
まるで果物みたいなきれいな色で、わずかに濡れて光っている。
す...すげ...これが...オマンコかぁ...。
生まれて初めてみる本物のオマンコに、俺は感動した。
え、えっと...ここが...クリトリス...。
俺は我を忘れ、オマンコの上あたりについているピンクパールのようなかわいらしい粒をひと舐めする。
「あくんっ!」
その瞬間、ぶるっと震える詩織。
俺は舌先でクリトリスを転がしたり、ツンツン押したりする。
すると、
「くふぅ...あくっ! あんっ」
まるでスイッチが入ったみたいに腰をくねらせる詩織。
くねる腰にあわせて俺は執拗に舐め続ける。
で...ここが小陰唇っていうんだよな...。
俺は確認するように舌先で、閉じた唇のようなところを舌でなぞる。
何度も何度も唇の周囲を舐める。
「んふぅぅ...」
肩を縮こませて震える詩織。
舐めながら視線だけを詩織の方に向ける。
詩織は恥かしそうに両手で顔を覆っているが、耳が真っ赤に染まっているから本気で恥かしがっているのがわかる。
やがて...オマンコがまるで泣いてるみたいにうるうる潤んできて...とろっとした液があふれてきた。
俺は舌のざらざらしたところで愛液を舐めつくすように、オマンコ全体をべろんと舐めあげる。
「ん!」
たて続けに愛液が分泌されていると思われる穴に吸いつき、ずずっ、ずずっと音をたてて愛液を吸い上げる。
ずずずずず...ずずずずずっ
「やっ! はぁ! あん! や、やだぁ! そんなこと!」
肩を震わせながら、顔を両手で覆ったままいやいやをする詩織。
俺は詩織の羞恥を煽るように、ずるずる音をたてて愛液を吸い上げる。
やはり恥かしいのか、だんだんと脚が閉じてくる。が、股の間には俺の身体があるので完全には閉じられない。
顔の近くにまで閉じてきた詩織の脚を手で撫でる。
すべすべしてて...気持ちいい。
あいた方の手でその閉じた唇をぱくっ、と開いてみる。
これが...詩織の...オマンコの...中.....。
たとえ性格の腐った女とはいえ、幼なじみのオマンコを見るのは異常に興奮するシチュエーションだ。
俺は何度も唾を飲みこみ、鼻息を荒くして奥の奥まで覗き込む。
膣内に俺の鼻息がかかり、
「あ...は...」
その鼻息がかかるのにあわせて反応する詩織。
...?
しかし...オマンコの中に、白いチンポの皮みたいなのがあった。
ひょっとしてこれ...処女膜!?
インターネットで見た処女膜とよく似てる...。
まさか...コイツ、本当に初めてなのか?
俺は震える手でズボンのペルトを外し、もう先走り汁が出てるチンポを出す。
そして詩織の方に突きつけながら、
「おい! 詩織! 見ろ!」
と声をかける。
詩織は顔を覆う両手はそのままで、指の間からチラリと俺の方を見る。
「きゃ!?」
が、目の前にいきなり飛びこんできたチンポに、小さく悲鳴をあげて指の間を閉じた。
...この反応...コイツはチンポを見るのも初めてなのか...?
いや! そういえばコイツは演劇部だ! このくらいの芝居はカンタンなはずだ!
俺は詩織の顔を覆う両手の手首を掴んで、ぐいっと大の字に広げさせ、ベッドに押えつけた。
「あ...っ」
一瞬戸惑う表情を見せたが、黙ってそれに従う詩織。
俺は詩織の目を見ながら真剣な表情で言う、
「いくぞ...詩織、いいのか? 本当にいいのかっ?」
コイツは俺を馬鹿にしようとしてる...だが、俺は改めて確認をした。
今更、手のひらをかえして、
「あんたなんかにやらせるわけないじゃない、バーカ」
と言われても力づくで犯してやるつもりだ。
...どうした!?
このままだと俺のチンポに処女膜をブチ破られるんだぞ!!
お前の...お前のバージンを...俺みたいな馬鹿でブ男で運動音痴に奪われるんだぞ!!
だが...潤んだ瞳をまっすぐ俺に向けながら...黙ってコクリと頷いた。
「ほ、本当にやるぞっ!? いいのかっ!? 俺みたいな馬鹿でブ男で運動音痴の男で...いいのかっ!?」
また確認する。
詩織は...俺の目を見つめたまま...悲しそうな表情をする。
「そんな...健くんは...そんな男の子じゃないよ...
私の...私の...一番大事な人だもん...」
瞳を涙で滲ませながらも...俺の目を見据えて続ける詩織。
「健くん...昔...昔...おぼえてる?
小さいころ...私が家の近くの工事現場で...知らない男の人に乱暴されたとき...
私...こわくって...わんわん泣いてるときに...健くんが助けに来てくれたよね...
あの時の健くん...とっても頼もしかった...あの日から...ずっと...ずっと...」
詩織の手に力が入り、押えつけている俺の手を...きゅっ、と握り締めてきた。
「ずっと...ずっとあなたとこうなるのを...夢みてたんだもん...」
その一言に...俺の心臓が高鳴る。
そうか...そうか...そうか...、
そうか!! コイツは俺がそんなことをする度胸がないと思ってるんだな!?
「うおおおおおおおっ!!」
俺は咆哮して、膜の張った穴めがけて亀頭の先を押しつける。
つるん、つるんと何度か入り口で滑った後、
ちゅくっ...
穴の入り口を捉えた。
「あっ!? ゆ...ゆっくり...お願いっ!!」
あわてて叫ぶ詩織。
「ふんっ!」
俺は無視して力まかせに腰を突き入れる。
ずぶん!
「いっ...あ! い...痛っ!」
めりっ! と肉が剥げるような感触の後、詩織がこれ以上ないくらい背筋をのけぞらせる。
俺の手を握っていた手に、更に力が入る。
しかめた顔、閉じた瞼の端からあふれた涙が筋となって伝った。
詩織の華奢な身体が...ぎしぎしと軋むように震える。
「し...詩織? だ、大丈夫か?」
俺は詩織の悲痛な反応に、つい心配してしまって声をかける。
詩織ははぁはぁと呼吸を整えながら、ゆっくりと瞼を開く。
あふれた涙でしっとり濡れ、涙の雫がついた睫毛...目に涙をいっぱい溜めながら、俺の目を見る。
「う..うん...大丈夫.....あなたとひとつになれて...うれしい...の」
チンポを詩織の中に入れて気がついた...コイツ、こんなに震えてやがる...。
詩織の体内と接して初めて気がついた。
コイツは...初めての恐怖と緊張でずっと震えていたんだ...。
今...入りこんだチンポで...詩織のドキドキいってる心音までが聞こえてくる。
「で...でも、お...おね...がいっ...もう少し...やさしくして...」
涙をあふれさせながら、息も絶え絶えに懇願する詩織。
「........」
俺は...ゆっくりと挿入を開始した。
詩織の膣内は初めてチンポが通過するだけあって、キツキツで気を抜いているとすぐに押し戻されてしまいそうになる。
俺は力を込め、張ったチンポをゆっくりと押し入れ、開拓していく。
ずぷぷぷぷぷ...
腰を入れるたび、くっついた肉と肉を剥がすような感触と抵抗感がある。
「んふぅぅぅぅぅぅ...」
奥に入りこむたび、詩織は苦しそうに息を吐く。
ビショビショに濡れているからなんとか入るが、予想以上にキツい膣内。
「んくぅ!」
詩織がびくん! と仰け反った瞬間、
チンポが一段深く嵌まりこむ。
俺は繋がったところを確認すると...
大体チンポの半分くらいの所までが詩織の中に埋没している。
詩織のオマンコの穴に...ずっぷりと突き刺さった俺のチンポ...。
オマンコの穴がひくひく震えて...血と愛液が混ざった液をあふれさせている。
キツキツの肉に締めつけられ、抜くのもひと苦労だった。
俺は詩織の細い腰を掴んで、腰に力を込めてチンポを引きぬく。
ぐぷっ...
「はふぅ!」
反応する詩織。瞬間的に大きく息を吸いこむ。
そしてオマンコの形が戻らないうちに、再び挿入する。
ずぷぷぷぷ...
「あふぅぅぅぅ...」
背筋をブリッジさせるようにのけぞらせ、ゆっくりと息を吐く詩織。
詩織の身体はもうベッドの端まで来ているので、ずり上がることはできない。
それを...何度も何度も繰り返す。
ぐぷっ...
「んくぅ!」
ずぷぷぷぷ...
「はふぅぅぅぅ...」
その度に、詩織は背筋を仰け反らせ、苦しそうに呼吸をする。
ぐぷっ...
「くふぅ!」
ずぷぷぷぷ...
「はぅぅぅぅぅ...」
俺は...ゆっくり、ゆっくり、チンポの形をなじませるように、送出を繰り返した。
ぐぷっ...
「うんっ!」
ずぷぷぷぷ...
「くぅぅぅぅぅ...」
すると...、
「あんっ!」
ずぷぷぷぷ...
「はぁぁぁぁぁん...」
詩織の吐息が、段々と甘さを含んだものになってくる。
愛液の量も増え、ヌルヌルとした愛液に助けられ、送出がだんだんラクになってくる。
俺は...送出のスピードを少しづつあげていく。
くちゅっ...くちゅっ...くちゅっ...くちゅっ...
すると、愛液がチンポにからみつく音がくちゅくちゅと響きはじめる。
カリ首に愛液が掻き出されるようにして、オマンコの穴からとくとくと溢れ出る。
「あっ...はっ...ああっ...健くん...な...なんだか...ヘンなのぉ...」
戸惑ったような表情で俺に助けを求める詩織。
いつの間にか、両足を俺の腰に絡めるようにまわしている。
俺は増した愛液の助けを借り、半分までだった挿入を更に深くする。
ずぶ...っ!
チンポが更に深く嵌まりこみ、一気に最深部まで達する。
「あはぁぁぁんっ!!」
がくん! と身体をバウンドさせる詩織。
先ほどから詩織の膣は、きゅっきゅっと俺のチンポを歓迎するように締めつけてきている。
俺はもう限界だった。突き入れるスピードをアップする。
バスバスと打ち据えるように腰を突きこみ、チンポを深く埋没させ、子宮の入り口をノックする。
ザラザラとした膣壁...Gスポットなども送出の際に忘れずにこすりつけるようにして愛撫する。
「きゃう! あふぅ! やっ! あ! お、おかしくなっちゃぅぅぅ!」
まるでどこかに飛んでいきそうな詩織の表情。
実際そんな感覚なのか、飛んでいかないように俺の手をしっかりと握りしめ、腰にからめた脚で俺を抱きしめるようにしている。
俺ももう、限界だった。
「し...詩織っ!! イクぞっ! イクぞっ! イクぞっっ!!」
激しい突き上げに、詩織の身体が波打つ。
「あっあっあっあっあっあっあっ! き、来てぇ! 健くん! 健くん! 健くぅぅぅん!!」
「し...詩織っ! 詩織っ! 詩織いいいいっ!!」
俺は押さえつけていた手を離し、詩織の身体を抱き寄せるようにして力いっぱい抱きしめた。
「健くんっ! 健くぅん! 健くううううん!!」
詩織もそれに応えるかのように、力いっぱい俺を抱きしめてきた。
まさに、ふたつのものがひとつにならんばかりに、きつく、きつく、抱きしめあう。
そして次の瞬間、詩織の中で、爆ぜた。
どぴゅっ! どくっ! どぴゅぴゅっ! どくっ! ずぴゅっ!
最深部にチンポを突きつけたまま、射精した。
「うくっ! くううぅ! うううっ!」
射精しながら、腰を何度か突き入れる。
まるで射精を促すような詩織の締めつけ...思わず夢中になって腰を動かした。
「あふぅぅ...はぁぁぁん...」
突き上げられながら、黙ってそれに身を任せる詩織。
「あ...健...く...ん...」
最後に俺の名前を呼ぶと...詩織の身体は糸が切れた人形のようにぐったりとなった。
それから俺は...詩織の部屋のベッドに寝転んで...考えていた。
暗闇の中...じっと...天井を見つめて。
視線を横に移すと...そこには詩織がいた。
詩織は...俺の腕枕でスヤスヤと眠っている。
その寝顔は...とても安らかで、幸せそうだった。
時折、犬猫が擦り寄るみたいに俺の胸にほおずりをしている。
俺は、詩織を起さないように腕を抜き取ると、「時空間物質転送装置」を取り出して「未来」のボタンを押した。
. . . . .
俺は...現在へと戻ってきた。
そして今、伝説の樹の近くにいる。
詩織は伝説の樹によりかかって...待っている。
ずっと、俺が来るのを。
もちろん...俺は行くはずがない。この時の俺は、詩織に復讐を誓って「時空間物質転送装置」で過去へ行っている最中なんだから...。
もう...日も暮れて夜中になっている...。
卒業式が終わったのは昼頃だ...まさかアイツ、ずっと俺のことを待っていたのか?
暗闇で、詩織の表情はよく見えないが...なんだか...哀しそうな表情に見える。
...お、俺は、アイツのあんな悲しむ表情が見たくて、過去にタイムスリップしたんじゃなかったのか?
そ、そうだ、今は喜ぶべきなんだ!!
い...今まで、今まで、俺の...俺の側にいて..ずっと俺を馬鹿にしてきたあの女を悲しませることができたんだ...。
ずっと...俺の...側に...。
しょうらいのゆめ 1ねん1くみ ふじさき しおり
わたしのしょうらいのゆめは、けんくんのおよめさんになることです。
けんくんのおよめさんになって、ずっとずっと、いっしょにいたいです。
子供の頃の作文で...俺のお嫁さんになることを夢見ていた詩織...。
「い、いーやーああああっ! け、健くーん!! 助けてぇぇぇっ!! 健くーん! 健くううううん!!」
俺がレイプしてやろうとした時、必死に俺の名前を呼んで助けを求めた詩織...。
「どうか、健くんの逆上がりが成功しますように...どうか、健くんの逆上がりが成功しますように...どうか、健くんの逆上がりが成功しますように...」
俺が逆上がりに挑戦している最中、ずっと神社でお祈りをしてくれていた詩織...。
明日はバレンタインデー。
健くんにあげるチョコレートに腕によりをかけて作った。
いつもより...大胆に「I LOVE KEN」とチョコレートに書いた。
これを見たら健くん...私の気持ちに気付いてくれるかなぁ?
今になって気付いた...あのゴキブリ入りチョコレートはタイムスリップした俺が入れたゴキブリだったんじゃないか...。
「け...健くん! しっかりして! 健くんっ!」
男の俺は...アイツを置いて真っ先に逃げようとしたのに...、
詩織は女の華奢な身体で俺を必死になってかばってくれた...。
「そんな...健くんは...そんな男の子じゃないよ...
私の...私の...一番大事な人だもん...」
俺は...アイツをレイプして、アイツに一生消えない心の傷をつけてやろうと思っていた。
だが...アイツはそんな俺を一番大事な人と言ってくれた...。
馬鹿で...ブ男で...運動音痴で...何の取柄もない俺のことを...。
詩織の瞳のあたりで、何かが光ったような気がした。
それは...月の光で反射した涙の粒だった。
俺の脳裏に、詩織の日記がフラッシュバックした。
明日の卒業式で...伝説の樹の下で健くんに告白しようと思う。
これで私の気持ちが通じなかったら...健くんのことはきっぱりとあきらめようと思う。
ずっと...ずっと好きだったけど...。
俺は、自然と駆け出していた。
今、駆け出さないと、間違いなく一生後悔すると思ったからだ。
全力で、必死になって、転びそうになりながらも詩織の元まで駆けて行った。
いきなり現れた俺に、驚く詩織。
「け...健くん!」
乱れた呼吸もおかまいなしに、俺は叫んだ。
「お...俺っ! 俺...お前のことが...お前のことが...」
好きだ! と言おうとした俺の口を、
「だーめっ」
詩織はひとさし指で制止した。
そして、悪戯っぽく微笑みながら、
「告白は私の方からするの!」
こぼれる涙を拭いもせず、詩織は言った。
終
「遥かな時代の階段を(中編)」の続きにして完結です。
実をいいますとこれ、ふじしお様のリクエスト「藤崎詩織との純愛」なんですね。
前編、中編で言っちゃうとネタばらしになっちゃうんで黙ってたんです。
一応リクエストの通り「小さな頃の想い出話などを入れる」「主人公だけをずっと見つめていた」
のふたつを満たしているわけなんですが、
なんか主人公の性格が性格だけに純愛らしさが著しく欠如する結果となってしまいました。
詩織ちゃんほどの完璧な女性なら、男にこんな誤解も与えることがあるんじゃないかと思って書きました。
恐らくふじしお様が望んでいたものとはかなり違うものに仕上がってしまったと思います。
またいずれ書かせていただきます〜。