「クレーイ!! トラップー!! キットーン!! ノルーっ!!」
わたしは声を振り絞って叫んだ。
「ぱーるぅ...」
わたしのただならぬ形相に、ようやく事の重大さを理解したルーミィがわたしを見上げながら、心細そうに言う。
わたしたちパーティは借金返済のために成り行きで、シナリオ屋のオーシからアルバイトを請け負った。
洞窟の地下にある温泉水を取ってくるという内容だったのだが、迂闊だった。
そこはどうやら盗賊たちのアジトになってしまったようで、その事実に気付いたのは洞窟の奥深くでパーティのメンバーとはぐれた後だった。
あの盗賊のトラップにも気付かせず、わたしたちパーティを分断した盗賊たち。
わたしとルーミィだけになってから、その姿をちらほらと確認することができた。
きっと姿を見られても問題ないと判断したのであろう。
「クレーイ!! トラップー!! キットーン!! ノルーっ!!」
もう盗賊たちには丸聞こえなのだろうが、お構いなしに叫ぶ。
不意に目の前の曲がり角から、影が踊った。
「へっへっへっへっ...行き止まりだぜぇ...」
わたしたちの目の前に...大男が立ち塞がった。
元は白かったと思われるタンクトップに腹巻、作業ズボン...。
場所が場所だけに炭鉱夫と間違えそうだが、あの獲物を狙うようなぎらつく視線は間違いない。盗賊だ。
それもトラップなどの冒険専門の盗賊とは違い、人からの略奪を生業としている種類の。
小脇に抱えていたルーミィをいったん下ろし、愛用の弓を構え、腰の矢筒から矢を取ろうとする。
が、わたしの手は空を切った。
「あ.....!」
思い出した。
途中で出会った盗賊の投げナイフによって、矢筒の入った鞄の肩ヒモごと地面に落とされてしまったのだ。
「くっ!」
わたしは腰のベルトに弓をさしこむと、再びルーミィを抱えあげて盗賊のいる方向とは逆方向に駆け出した。
「ひゃあ!」
ルーミィのびっくりした悲鳴。
「ご、ごめんね、ルーミィ、じっとしててね」
ルーミィにそう言うだけで精一杯だった。
しかし、逃げれば逃げるほど、どんどんどんどん洞窟の深部に追い詰められているような気がする。
これは、わたしが方向音痴であるという事実をさし引いてもおかしい。
見えない意志によって操られているようにも思える。
今になって思うのだが、あの投げナイフの盗賊はわたしの装備をなくすためにわざと鞄の肩紐を狙ったんじゃないかと思う。
わたしは無我夢中になって走った。生まれてこのかたこんなに走ったことはないというくらいに。
やがて...大きく開けた広間のような場所に出た。
その広間を通過しようとした途中で、
「はあっ...はあっ...はあっ...はあっ...あ...っ!!」
わたしは突き出た岩につまづいて転んでしまう。
「きゃう!」
なんとか抱えたルーミィだけは怪我させないようにかばった。
「はぁっ...はぁっ...はぁっ...」
わたしはもうヘトヘトで、このまま横になっていたい気分だったが、広間にぞろぞろと現れた人の気配に、なんとか身体を起した。
あたりには...いままでこんなに人がいたのかと思うほど、大勢の盗賊たちが...わたしたちを囲んでいた。
「はぁっ...はぁっ...はぁっ...」
息を整えながら、なんとか立ちあがる。
そして腰の鞘から最後の武器であるショートソードを引きぬき、構えた。
ルーミィも危機を察したのか、わたしと背中あわせになって盗賊たちを威嚇する。
盗賊たちはノルほどの逞しい身体を黒い煤で覆っていた。
ただノルと大きく違っていたのは...まるでわたしたちを品定めするような嫌らしい視線を向けていることだった。
わたしも負けじと彼等を睨みかえした。
ルーミィも「う〜っ」と唸って彼等を睨んでいる。
盗賊たちは武器を持っていない...。ルーミィの呪文で脅かせばなんとかなるかも...。
「ルーミィ! 呪文!」
背中ごしに言うと、ルーミィはすぅ〜っと息を吸いこんだ。
ルーミィの向いている方向は広間の出口がある所...。
呪文の詠唱が終わると同時に、その方向に向かって駆ける!
ショートソードを構えなおし、心の準備をした。
「デス・マス・ファ...ひゃあああっ!?」
だが、呪文の詠唱が終わるより速く、盗賊の一人が身体に似合わない素早さでルーミィの杖をひったくった。
別にルーミィはあの杖の力を借りて呪文を詠唱しているわけではなのだが、びっくりしたルーミィは呪文の詠唱を途中でやめてしまった。
盗賊はなおも素早い動きでルーミィの身体をひょいと抱えあげる。
相手に有無を言わせない素早い行動は、さすが盗賊といったところだ。
「ルーミィ!!」
わたしはルーミィの方を向き、ショートソードを向ける。
「おっと...動くなよ...動いたらこのおチビちゃんをブッスリいくぜぇ...」
ルーミィを抱えあげた盗賊は、奪った杖の切っ先をルーミィに向けながらわたしを威嚇する。
「ぱーるぅ...」
向けられたものは鋭利ではないものの、今の自分の立場を理解したのか今にも泣き出しそうな表情のルーミィ。
彼女の鮮やかなブルーアイが、涙で潤んでゆらゆら揺れだした。
「おら、その物騒なもんを捨てな」
一方的な命令口調の盗賊。
.....しょうがない。たとえルーミィを人質に取れていなくたって、あんな大男相手にわたしがどれだけ戦えるかわかったもんじゃない。
「くっ...」
わたしは最後の武器であるショートソードを地面に投げ捨てる。
カラン...と安っぽい音をたてて愛用の武器は地面に落ちた。
でも、いざとなったらまだ弓がある。
矢はなくても、これで殴ってやるんだから、と思っていたが、
「これももらっとくぜ」
不意に腰のベルトにさした弓が、ひょいと抜き取られた。
「えっ!?」
正面の盗賊に気を取られているスキに、音もなく背後に回りこんできた盗賊たちにドキリとしてしまう。
一瞬にして、彼等の筋肉の壁に囲まれてしまった。
わたしの顔のあたりに、彼等の胸板がある。
「ひっ!?」
びっくりしてしゃっくりみたいな情けない声をあげてしまった。
「へへっ、まだまだガキだが、イイ女だな」
汗くさい盗賊たちは下卑た笑いを浮かべながら、なれなれしくわたしの手を取る。
「なにすんのよっ!! は、はなしてっ!!」
取られた手を振りほどこうとするが、びくともしない。
にゅっと伸びた薄汚れた腕が、わたしのアーマーの胸元をむんずと掴む。
ミケドリアの皮をなめしたお気に入りの白いアーマーだ...なんて思ってる間もなく、
「ふんっ!」
めりめりと音をたて、アーマーは剥ぎ取られてしまった。
「ああっ!? な、なに...むぐぅぅ!」
無惨に折れ曲がったアーマーを見て、わたしは抗議しようとしたが、
「さっきからピーピーうるせえなぁ、ちったあ黙ってろ!」
背後から伸びた手に、口を押さえられてしまった。
まるで丸太のような腕をわたしの首に回し、顔ほどもある大きな手のひらで口を塞がれる。
「へっへっへっ、やっわらけぇ〜」
また別の手が、わたしのスカートから伸びる脚をさすりはじめた。
「んむぅ〜っ!!」
気持ち悪い手の感触に脚を振って蹴ってやろうかと思ったが、遅かった...すでに足首をしっかりと押えつけられていた。
「じゃあ、ぬぎぬぎしましょうね〜ぇ」
盗賊たちの顔ははるか上にあるので誰が言っている言葉だかわからない。
そのなかの手がまたひとつ伸びてきて、わたしの薄緑のブラウスに手をかけた。
「んぅっ! んんっ! んんっ!」
ありったけの力をふりしぼって身体をよじらせ、暴れた。
だが、わたしの身体はひとつ、盗賊たちの手はいっぱい。
たとえ相手がひとりでも力ではかないっこないっていうのに、こんな複数に押えつけられていては微動だにできない。
びりびりびりびりびりっ!!
かけられた手が下に動くと、まるで紙でも裂くようにあっさりと、わたしのお気に入りのブラウスは引き裂かれた。
下着もなにも、おかまいなしに。
開かれたわたしの身体を見て...盗賊たちはヒョーッと嬉しそうな歓声をあげた。
「うぐっ...ぐうぅ...うむぅぅ」
乙女の裸をこんな奴等に見られるなんて...わたしは悔しくって、ヤケになって暴れた。
だけどやっぱり、万力みたいな力に押えつけられてて、びくともしない。
「あんまりオッパイねぇんだなぁ...」
「もっとボインちゃんだとよかったんだがなぁ...」
「オイ、もっといいモン喰ってオッパイ膨らませろよ」
盗賊たちは口々にわたしの身体の品評をしながら、乱暴にわたしの胸に触れてきた。
いや、触れるという生やさしいものではない。力まかせに胸を揉みつぶしたり、乳首を捻りあげたり...それはほとんど暴力だった。
「よし、じゃあ次はオマンコだな」
その一言を合図に、押えつけられていたわたしの足がぐばっ、と大きく左右に広げられ、Mの字形に固定させられた。
大股を広げるような格好をさせられ、わずかにめくれた緑色のスカートからはきっと下着までが丸見えになっているに違いない。
「んうっ! んうっ! んうっ! んぅ!」
悔しくて、何度も何度も声にならない悲鳴をあげた。
わたしは見せるつもりなんて全くないのに、圧倒的な力の差で身体をいいように扱われ、恥かしい所を大勢に見られてしまう。
「一気にイクぜぇ...」
また伸びた手が、わたしのスカートの間に入りこみ...下穿きを掴んだ。
「んうぅーっ!!」
びりりりりりっ!
引き裂かれたのは、わたしの悲鳴と同時だった。
盗賊の手に、ボロ布同然となったわたしの下穿きが残る。
「ひょおーっ! おい、もっと広げてみせろよ!」
誰ともつかないヤジで、わたしの脚は股が裂けるほどに大きく広げられて...男たちのギラつく視線に晒された。
「すっげーぇ、アソコの毛も金色だぜぇ」
「こんなちっこい穴に入れられんのかよぉ」
「ケツの穴も使えるかなぁ?」
「使えなくても無理に使えるようにすんだよ!」
わたしの股間に視線が集中し...物騒な会話をやりとりする盗賊たち。
「あ〜あ、泣いてやがるぜ、コイツ」
唯一、わたしの顔を見ていた盗賊のひとりが...感情を逆撫でするような口調で言う。
わたしは...悔しくって、恥かしくって...きっと、自分でもわからないくらいに涙をぼろぼろこぼしていたに違いない。
それでもなんとか、彼等を睨みつけていた。
だが...わたしがこんな表情をすればするほど、彼等の嗜虐心を刺激していることに、この時はまだ気付いていなかった。
「へっ...てっきり一緒に冒険してるアイツらとズッコンバッコンやりまくってんのかと思ったが...処女とはなぁ!」
また品評が再開された。
一緒に冒険してるアイツら...わたしの頭の中にクレイ、トラップ、キットン、ノルの顔が浮かんできた。
.....そうだ! ルーミィは!?
わたしの視界は全て、盗賊たちの厚い胸板によって遮られていた。
そのため、離れ離れになったルーミィの姿が確認できない。
「んーんんーっ!!」
おさえつけられた口で、ルーミィを呼んでみた。
「おかしらー! コイツ処女ですぜ!」
盗賊のひとりが叫ぶと、わたしの前を覆っていた何人かの盗賊たちが退き、視界が広がった。
「!!!!!」
そこで...わたしは最も見たくない光景を目にしてしまった。
だらしなく伸びた髪と不精ヒゲで、まるでライオンみたいな顔した男...おかしらと呼ばれる男の膝の上に、ルーミィはいた。
わたしが選んであげたペパーミントグリーンのジャンプスーツはすでに剥ぎとられており、口はわたし同様、節くれだった手に覆われていた。
そして...彼女の股間の割れ目には...ふといひとさし指が埋没していた。
ライオンみたいな男の指がルーミィの大事なところに突き刺さっており、まるでえぐるように動いていた。
割れ目からは出血し、指を赤黒く染めて床に血だまりをつくっていた。
「んぐーぅ! んぐーぅ!」
押えつけられているため、彼女の言葉は聞けなかったが、わたしにはわかった。
「ぱーるぅ! ぱーるぅ!」とわたしに助けを求めていることを。
ルーミィの顔はべしょべしょに泣きはらしており、わたし以上に手足をばたつかせて抵抗していた。
だがライオン男はまるでその抵抗をも楽しむかのようにいなしながら、大事なところに指を突きたてていた。
まるで...百獣の王ライオンがウサギかなにかを弄ぶかのように。
「へっへっへっへぇぇ...指1本でキツキツだぜぇ...ギュウギュウ締めつけてきやがる」
指が動くたびに、ルーミィはびくびく震えながら苦痛に顔を歪め、涙を搾り出していた。
ライオン男はその表情を楽しそうに見ながら、舌なめずりをし、指を動かすのをやめようとしない。
まるで...悪夢のような光景だった。ルーミィほどの小さな女の子が、こんな酷い目にあわされるなんて。
「おかしらはガキが好きだからなぁ...」
だが盗賊たちは、やれやれといった様子だった。
「おかしらーぁ! じゃあコイツら俺たちでヤッちゃっていいですかぁ?」
「あーあ、スキにしろ、俺はこの子をじっくりたっぷりねぶってやるんだからよぉ...」
ルーミィの泣きじゃくる顔をじっと見つめ、あふれた涙をべろりと舐めとりながらライオン男は言った。
「ひゃっほーぅ!!」
その一言に、わたしの視界が再び筋肉の壁で塞がれた。
ももも様のリクエストの「フォーチュン・クエスト」ネタの、
「野盗の巣窟でつかまったパステルとルーミィはレイプされてしまう」です。
次回ではもっとちゃんとHシーン入れます!