「なっ...直くん...わっ...私がスッキリさせてあげるね...」
そう言うと、雪乃はふらふら歩いて、直樹の前に立つ。
煮えたぎるように赤くなった顔の雪乃が...じっと直樹の顔を見つめる。
「..........」
直樹はベッドに座ったまま無言で雪乃を見ている。
いつもと違う様子の雪乃が、これから何をしようとしているのか...
一緒に暮らしている直樹も想像がつかないでいた。
雪乃はそのまま直樹の前でひざまづくようにして腰を落とす。
そして...直樹のジーンズのジッパーをじっと見つめた後...。
こくん、と喉を鳴らして、そのジッパーに手をかけた。
ちーっ...
「お、おい、雪乃?」
さすがの直樹もあせる。
ジッパーを開くと...その社会の窓の隙間からカラフルな柄のトランクスが見えた。
いつも雪乃が洗濯しているトランクスである。
「..........」
雪乃はなおも無言でそのトランクスに触れ、中に包まれているであろうモノを取り出そうとする。
「お、おいっ、雪乃っ!?」
姉のいきなりの痴女のような行動に、あわてる直樹。
「おっ...おねがい、直くん...じ...じっとしてて...」
雪乃は顔をあげ、直樹にすがるような瞳を向ける。
切羽詰まったようなその声と、水を張ったように潤んだ瞳で...直樹は察した。
先ほどの雪乃の台詞「気持ちよくしてあげる」の意味を。
だが...あの超がつくほどの恥ずかしがり屋の雪乃が、
どうして急にこんなことをするのかがわからない。
本来は姉弟でするべき行為ではないのだが...、
最近はずっと雪乃を想って自慰をしていた直樹にとっては、どこか期待するところもあった。
ぽろん...
「!!」
遂に露出したペニスを見て、雪乃の肩がびくっ! と上がる。
普段は執拗にフェラチオをされなければ勃起しない直樹の分身だったが、
雪乃に見つめられているというだけで、ムクムクと元気になっていく。
眼前で充血していく男性器。
雪乃は初めて目撃する「勃起」という生理現象。
びっくりした雪乃は何が起こっているのがわからず、目をぱちくりさせながらその様子を見ている。
股間に血液が集中し、まるで生き物が起きあがるように隆起していく。
そして...隆起していくたびに体積が膨張し、ひとまわり以上も大きくなる。
とても人間の身体の一部とは思えないほど固く、大きく、そして熱さを感じさせる。
びいいいん...
そんな音が聞えそうなほど、逞しくなった直樹の男性器。
褐色で逞しく、怒張したように硬度があり、稲妻のような血管がところどころに走っている。
時折、びくん、びくん、と脈動し、その砲身を小刻みに震わせている。
年齢に似つかわしくないそれは...何人もの女の穴を突いてきた貫禄を感じさせた。
「(す...すごい...これが...男の人の...なの...? わ、私の手首くらいあるよぅ...)」
雪乃は目の前に突きつけられた凶器に、思わず気後れしてしまう。
たしかに最大まで大きくなったそれは、雪乃の手首と同じくらいの太さがあった。
「(腫れあがってるみたいに大きくなって...やっぱり痛いのかな...)」
まるで腫れたように大きくなった男性器をそう誤解してしまうのも無理はない。
ちらりと視線だけ上げて、直樹を見ると、視線が合った。
堂々とした直樹には珍しく、視線が合った瞬間バツが悪そうに顔をそむけた。
姉に生殖器を見られて、しかもそれに性的興奮を感じ、
元気にしてしまったことを直樹自身戸惑っていたのだ。
「(はやく...はやくすっきりさせてあげなきゃ...)」
雪乃は目の前に鎮座する強敵に視線を戻すと、健気にやる気を出す。
おそるおそる手を伸ばし...その張りをもったサオに細い指を添える。
「!」
雪乃の細く、しなやかな指の感触。
直樹の股間からは、それだけで滲みでてくるような快感が広がる。
白魚のような白く細い指と...赤黒く滾るグロテスクなペニスの奇妙なコントラスト。
「(えっと...まず、最初に...)」
生真面目な雪乃は万全を期すため、雑誌の内容を全て丸暗記していた。
その投稿内容を頭の中で反芻する。
「(...ほおずり...して...)」
手を添えたペニスに、頬を寄せる。
「くっ!」
柔らかい雪乃の頬を敏感な場所で感じとる直樹。
ふわふわしたマシュマロのような頬の感触を敏感になったペニスで感じ取り、
それだけで昇りつめてしまいそうになる。
すりすりと直樹のペニスにほおずりを始める雪乃。
それはまるで、主人に擦り寄る犬猫のように愛らしく見えた。
すり... すり... すり...
自分の股間にひざまづいて、ペニスを慈しむようにほおずりをする雪乃。
頬肉がふにゃふにゃと上下し、ペニスをやさしくこする。
「くっ...」
普段はどんな女にされても眉ひとつ動かさない直樹だったが、
相手が雪乃というだけで、愛撫に対してまるで童貞のような反応をかえす。
すり... すり... すり...
「うっ...あ...ああっ」
もう、いつ発射してもおかしくないほどに昂ぶる。
苦しげな直樹のうめき声を聞き、あわてて顔を離す雪乃。
「あっ...ご、ごめんね、直くん、痛かった?」
顔をあげて直樹の様子を伺う。
確かに雪乃の見ていた本と同じような反応だったのだが、
あまりに苦しげだったので心配したのだ。
「あ...い、いや、気持ちいいんだ、続けてくれ」
雪乃に心配させないように取り繕う直樹。
「.....」
一瞬、きょとんとした表情になる雪乃。
「...うん!」
直後、ほめられた子供のように、にっこり笑う。
再びペニスに頬を寄せてすりすりと頬ずりを再開する。
すり... すり... すり...
「(...すごく...固くて...熱い...とくん、とくんっていってる...)」
自分の上気した頬よりも、さらに高い温度を持つペニス。
頬をすり寄せながら、雪乃は視線だけ上げて直樹を見る。
「うっ...くぅ...んうぅ...」
ベッドのシーツをぎゅっと掴み、快感に耐える直樹。
雪乃は意識してなかったが、ペニスの裏スジに沿って頬ずりをしていたため、
ちょうど男の弱点を責めるような形となってしまったのだ。
ぬるっ
「?」
雪乃の頬に、ぬるぬるした感触がうまれる。
「(なんだろう...これ、先から...透明でねばねばした液が...)」
見ると...快感にびくびく震えるペニスからカウパー氏腺液があふれて垂れ落ち、
雪乃の頬を濡らしていた。
直樹の身体から出されるものなら汚いものはないと思っている雪乃は、
そのまま嫌がりもせずに頬ずりを続ける。
ぬる... ぬる... ぬる...
「(これが せいえき っていうのかなぁ...
でも、たしか...本には白い液だって書いてあったし...)」
などと考えながら、あふれてきた液を顔に塗りつけるかのように頬を擦り寄せる。
だんだんと雪乃の頬が先走り液によってテカテカと濡れ光りはじめる。
それからしばらく頬ずりを続けた後、雪乃は顔を離した。
あふれた先走り汁は雪乃の頬を濡らし、その頬で頬ずりするものだから
ペニスも同じようにベタベタに濡れていた。
雪乃が顔を離すと、頬とペニスについたねばつく液が、いくつも糸を引いていた。
「(...そして...次は...)」
本の内容を思い出す雪乃。
「(...口のところに...口づけを...)」
家庭教師が教え子にしていた内容を反芻しながら、
まさに口づけをするかのように、ペニスの鈴口に唇を重ねる。
ちゅっ...
「うあっ!」
その瞬間、びくん! と肩をすくめる直樹。
口づけだけだというのに、落雷のような快感が走る。
「!?」
驚く雪乃。
ぶっきらぼうな直樹が、ここまで覿面に反応を見せてくれるのは今までになかったからだ。
「あっ...い...痛かった? ごめんね、ごめんね」
泣きそうな顔で謝る雪乃。
立ち上がろうとする雪乃を制止する直樹。
「いっ...いや、気持ちいいんだよ...俺が声をあげても...気にせず続けろ」
まだビリビリ残る快感に耐えながら言う直樹。
普段は何を食べても「うまい」とも言わない直樹が、「気持ちいい」と正直に感想を述べている。
それほど雪乃のした行為は直樹にとっては屈しがたいものがあったのだ。
立ち上がろうとした雪乃の頭を押さえて無理矢理ひざまづかせると、早く続きをしろと言わんばかりの目で見つめる。
雪乃もそれを察したのか、
「じゃ、じゃあ...続きをするね...ん...ちゅっ」
気を取り直して再びペニスの先端に口づけする。
「うくっ!」
再び落ちてきた身を焦がすような快感の落雷に、直樹は飛び跳ねそうになる。
「(えっと...そして舐める...のよね)」
雪乃は小さな口を開くと、かわいらしい舌を出してペニスに近づける。
緊張しているのか、舌も僅かに震えている。
ぺろっ...
亀頭の先端の所を、ぺろりとひと舐めした。
「うううううっ...!」
ビリビリとペニスに痺れるような快感が発生する。
「(...? にがい...?)」
舌の先で感じた直樹の先走り汁を舐めたせいで、渋苦い味覚を感じ、不思議そうな顔をする雪乃。
「(この液がにがいのかなぁ...?)」
再び舌を這わせる。
ぺろっ... ぺろ... ぺろ...
小さな舌で、くすぐるほどの強さで直樹の先端の部分をぺろぺろと舐める。
ぺろんと舐められるたびに、直樹のいきりたったペニスがわずかに振れる。
「くあっ...ううう...」
ギリギリと歯噛みをする直樹、気をぬくとすぐに射精してしまうほど気持ちいい。
「(...直くん...気持ちいいのかな...?)」
ぺろぺろ舐めながら上目づかいに直樹を見つめる。
直樹は眉間にしわを寄せ、ふんばるようにしながら苦しそうにうめき声を漏らしている。
直樹はふと顔をあげると、上目づかいに自分を見つめる雪乃と目があった。
「うううっ...」
雪乃の小さな口からちょこんと出ている舌で、
遠慮がちに自分のペニスを舐める雪乃を見て...更に昂ぶってしまった直樹。
しかも舐めながら自分の顔を見つめられている...男にとって、これはたまらない。
「(そ、そんなにこれが気持ちいいのかなぁ...)」
本に載っていた、家庭教師にフェラチオされる教え子も、直樹と同じような反応をしていた。
舌で舐めるだけであの無愛想な直樹がここまで取り乱すとは、雪乃は半信半疑だった。
だが...直樹がこれほどまでに気持ちよさそうにしているのを見て、雪乃は嬉しくなった。
「(...もっと...気持ちよくなって...直くん...)」
もともと献身的な雪乃は、恥ずかしさよりも直樹を喜ばせてあげたい気持ちのほうが勝るようになってきた。
ぎこちなく...遠慮がちだった舌づかいが...控えめに、ほんの少しだけ...積極的になった。
「チョコレートみたい 第九話」の続きです。
いまお仕事大変なので掲示板にお返事できずにすいません。
でもちゃんと全部読んでますので御安心ください。