スタンドの豆電球のみが灯る部屋のなかで...ふたりの男女が蠢きあっていた。
ふたりの身体は布団に覆われてよく見えないが...何をしているのかはすぐにわかった。
「あっ...ん...んっっ...け、螢一さんっ...」
布団がもぞもぞと動くのにあわせ...白い肢体をのけぞらせ、愛する夫の名前を呼ぶ。
「う...くっ...ベルダンディー...うっ」
螢一はそれに呼応するように、愛する妻の名前を呼び、律動を送り込む。
お互いの手をしっかりと握りあったまま...何度も何度も交わりつづける。
螢一がベルダンディーの体内に律動を送りこむたび、もこもこと布団が上下する。
やがて...その布団が上下する速度に加速がついていき、
ふたりの激しい吐息がひっきりなしに響くようになる。
「うっ、ベ、ベルダンディー...ううっ!」
螢一は切羽詰まった声でうめきながら...3度ほど腰を突き入れてからブルッと震えた。
びゅくっ!
妻に対する射精は、薄いゴムの隔壁によって遮られた。
螢一の射出した子種は妻、ベルダンディーの体内へは向わず、先端の小袋に溜まっていき...
そこに塗られた薬液によって、本来の役割を果たす前に死滅させられる。
「気持ちよかったかい...ベルダンディー...?」
生涯の伴侶となった女神...ベルダンディーの頬に手を当てる螢一。
「はい...螢一さん...」
その手にそっと手を添える女神。
結ばれることをずっと夢みていた...。
螢一と...こうなることをずっと望んでいた...。
それは嘘ではない。嘘ではないのだが...。
結婚式の控え室で強姦され...その男の放出した精液を体内にいれたまま、螢一と永遠の愛を誓った。
その日の新婚初夜も...女神は男の命令に従い、避妊具をつけたまま螢一と契りを交わした。
そして...結婚して1年ほどが経過した現在でも、夫である螢一とはコンドームをつけたままの性交だった。
螢一はそう提案したベルダンディーに、いやな顔ひとつしなかったが...
時折、コンドームの先端の小袋に溜まった精液を見つめて、寂しそうな表情を見せるときがあった。
螢一とひとつになると、女神の心は潤い...満たされた。
いや、どちらかというと、自分の身体で螢一が気持ちよくなってくれれば、それだけで満足だった。
だが...あの強姦された日以来、女神の心は処女膜だけでなく、心の壁までもを突き破られた。
ぽっかりと空いた、心の穴.....いくら愛する螢一と交わっても、満たされることのないその心の穴。
女神は戸惑い、悩み...悲しんだ。
いつから自分はこんなはしたない女になってしまったのだろう、と。
. . . . .
そして今日も...その心の穴を埋めるべく、女神は螢一に心の中で何度も謝罪しながら、家を出た。
ふたりの住む「他力本願寺」...それより程なく離れた、名も無い山へと向う。
週に一度...ベルダンディーはこの山中にある廃屋へとやってくる。
廃屋であるにも関わらず、生活感を漂わせる外観...。
女神は朽ちかけた木戸の前に立つと、
とん、とん...
控えめにノックをした。
木戸の向こうから「おう」と野太い声が聞える。
返事を受けて、ベルダンディーは木戸に手をかけた。
「失礼します...」
たてつけの悪い扉であるにも関わらず...女神がやさしく手をかけるとカラカラと軽快な音をたててそれは開く。
ツンとすえたような匂いが、ベルダンディーの鼻をつく。
その中では、古びた木机の上に腰かけ...ひとり酒盛りをする男の姿があった。
男は垢にまみれた筋肉質の身体を、くすんだ色の作業着に包んでいる。
浮浪者にしか見えないその風体は、不思議とこの廃屋にとけこんでいた。
太い丸太のような腕でウイスキーの瓶を煽り、炙ってもいない固そうなスルメをかじる。
野趣あふれる男の酒盛り。
「あの...」
入り口の前に立ったまま、何かを言おうとするベルダンディー。
「いちいち挨拶はいらねーよ、とっとと入れ」
だが、男はそれを遮った。
「はい...」
ベルダンディーは囁くような声で言うと、腐臭の充満する廃屋の中へと足を踏み入れた。
廃屋の中には、食い散らかした食べ物のカス、酒瓶などが散乱しており、
部屋のいたるところでハエが耳障りな音をたてて飛んでいた。
何日も風呂に入っていない男の体臭と、生ゴミの山のせいで鼻の曲がるような匂いが漂う。
何度ここにやって来てもこの匂いには慣れない。
ベルダンディーは細い手で口を押さえている。
女神は幾度となくこの廃屋の掃除を申し出たのだが...男に断られてしまった。
「ふん...」
ひどい匂いに顔をしかめる女神を一瞥すると、小さくなったスルメを口に放り、噛みはじめる。
「ダンナとちゃんと毎晩SEXしてるか?」
下品にくちゃくちゃと音をたててスルメを噛みながら言う男。
「はい...」
男の咀嚼の音でかき消されそうなほど小さな声だったが...女神は頷きながら返事をした。
「ちゃんと...ゴムをつけてヤッてるな?」
「はい...」
「ダンナにズコバコやられて気持ちいいのか?」
男は言葉遣いにまで品性が感じられなかった。
「..........はい...」
しばらくの沈黙の後、肯定する女神。
くちゃ...
食む音が止まる。
「じゃあなんでこんな所来てんだよ? ああ?」
向き直り、責めるような口調で詰問する。
「......わかりません.....」
うつむく女神。
「俺の極太チンポの味が忘れられねぇんだろ?」
うつむいた女神の顔を覗き込み、下品な言葉で追い討ちをかける下卑た男。
「いやっ」と小さく否定し、視線を反らすベルダンディー。
「俺のチンポからドクドクでるザーメンの濃さが忘れられねぇんだろ?」
視線を反らした女神の視界にわざわざ入り、さらに言葉によって貶める。
きゅっと瞼を閉じ、視界を遮るベルダンディー。弱々しく顔をふってイヤイヤをする。
「女神サマみてぇなキレイな面して...とんでもねぇ変態だな...」
女神、ベルダンディーのイヤイヤをする顔はまた格別である。
白くてきめ細やかな頬が少しづつ上気して、朱に染まっていくあたりがたまらない。
男は、そろそろ許してやるか、といった感じで顔をあげ、
「ふん、まぁいい...じゃあたっぷり仕込んでやるからマンコだしな」
言いながら、アゴで指図する。
「...はい...」
ベルダンディーはおそるおそる瞼をひらくと...男のアゴが指し示す古びた木机の上に腰かける。
品性のある女神は...最初は机に腰を降ろすということを拒否したが、
今ではほんの少しの衒いを残すだけで...その肢体を古びた机にあずけるようになった。
「ん...」
そして女神はほんのりと頬を染めながらも、いつものように古机の上に寝転がり、
膝を抱えあげながらちょうど脚がMの字になるように広げる。
下着は身につけておらず...ひざ丈のスカートをたくし上げると、
それだけでもう無防備な女の園が露わになった。
薄いピンク色の女神の園は...既に愛撫を受けた後のようにしとどに濡れ、愛液によりキラキラ輝いていた。
「お...お願いしますっ...」
そして、はしたなく大股をおっぴろげたままのポーズで懇願する。
さすがに恥ずかしいのか、視線をよそにそらしたままで。
ベルダンディーほどの女性にここまでのことをされたら...
どんな男でも理性を失い、その穴めがけて突進してしまうだろう。
だが...男は取り乱した様子は微塵もなかった。
「...ああん? それが人にモノを頼む態度かぁ? 俺が教えてやったふうにオネガイしてみろよ」
ドン、と木の床を強く足踏みして女神をたしなめる。
その教えられた方法を頭の中で想像したのか...、
「..........」
無言の女神の顔が、かぁーっと赤くなる。
だが...従順にも、ベルダンディーは男に教えられた方法に従う。
細い指先を閉じた秘唇にあてがい、ぐっと力を込めて押し広げる。
「んっっ...!」
勇気を振り絞るようにうめく女神。
ぱく...
花弁は女神の後押しによりに剥き出しになり...パックリと開く。
押し広げられた秘穴は中まで丸見えとなり、あふれる愛液が絡みつく様までもがはっきりと見てとれるようになる。
「んうぅ...」
女にとってもっとも大事な箇所を押し広げ...そこに集中する視線を感じ...屈辱にうめく女神。
が...男の教えた方法はそれだけではなかった。
女神は羞恥に染まる顔をなんとか正面に向け、M字形に開いた脚の間から男の方を見つめる。
ちょうど...大きく開かれた秘穴ごしに女神の美しい顔が見えるようになる。
そして...女神の唇が...震えながらゆっくりと動く。
「私の...私のオマンコに...太いおちんちんをさし込んで...いっぱい精液を注入してください...」
更に...膝を持ち上げるように抱え、腰をくいっ、くいっと誘うよう浮かせる。
とても優雅さと慈愛に満ちた女神とは思えないほど...恥知らずな男根請いのセリフとそのポーズ。
「ふん...」
女神のあまりの痴態に...さすがの男も嬉しそうに鼻を鳴らす。
これほどの美女を自分の思い通りに仕込めたことが、なによりも満足なのだ。
表情では余裕を取り繕っているが、いそいそとチャックを下ろし、準備万端の相棒を取り出す。
ぽろん...
男の股間から露出した、起立するモノを見て、女神は小さく声をあげる。
「あ...」
その自分に向けて突きつけられた怒張を見つめ...感じてしまったようにブルッと震える。
螢一のものよりも...ずっと太く、そして長い砲身。
ところどころに稲妻のような青筋が走り、ピクピクと小刻みに脈うつ。
エラが張り、キノコのようにカサがあり、まるで錨のような亀頭。
赤黒い全身は、こびりついた垢で更にどす黒さを増している。
生殖器というよりも.....禍々しい凶器のようなその存在感。
「あ...あ...」
瞬きするのも忘れ...射抜かれたように脈動する極太シャフトを見つめる女神。
剛直の脈動に呼応するように、女神の控えめな膣穴がひくひくと痙攣しはじめる。
「おっと...ついおめえのスケベマンコに気を取られて忘れるところだったぜ」
男は思い出したように言うと、机においてあったビデオカメラを取った。
「さぁ...このぶっといチンポが欲しけりゃ...教えたことの続きを言いな」
ほんの数歩...歩みを進めれば自然と蜜壷に接合できるほどの間合いで仁王立ちになったまま...
男は寝転がる女神の全身をファインダーでとらえた。
「...あの...その...」
女神は戸惑った表情で視線を泳がせながら、言いにくそうに口をぱくぱくさせている。
「おら、さっさとしろ!」
男ももう我慢の限界なのが、焦れたように怒鳴り、ベルダンディーが横になった机の脚を蹴飛ばした。
どんっ
「きゃ!?」
驚いて、びくっ! と身を縮こませるベルダンディー。
机はぎしぎしと軋みながら揺れる。
いまにも壊れそうな木机の上で揺れる女神を見下ろしながら、
「初めてじゃねえだろ...手間取らせんなよ」
男は更にドスのきいた声で促す。
「は...はいっ...」
ベルダンディーは観念したように目を伏せる。
「に...2001年...5月15日...」
伏せた視線を上げつつ...カメラ目線で...ゆっくりと述べる。
「わっ...私...ベルダンディーは...今日......」
だんだんと、女神の声が震え、うわずってくる。
「.....三度目の妊娠をしたいと思います.....」
吐き溜めのような廃屋に舞い降りた、美の象徴のような美しき女神...ベルダンディー。
狂気の授精の儀式が、今、始まろうとしていた。
他人丼様のリクエストの「雨点1 結婚式」の続きです。
なんだか「過去の中にあるが如く」みたいですね。