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傷だらけのブルームーン side−A
コギト=エラムス/文


 「さぁ、早くも中盤戦に突入した第1回戦!

  闘う清純派アイドル、麻宮アテナ選手の応援の歓声に、ヘヴィ選手も戦いにくそうだ!」

 テレビカメラは一瞬だけヘヴィ.D!の顔を映すと、すぐにまたアテナを中心に捉える。

 

 解説者の言うとおり、この「ザ・キング・オブ・ファイターズ」の第1回戦会場は

 麻宮アテナを応援するファンたちでいっぱいだった。

 

 アテナが攻撃を出すと歓声が湧き起こり、ヘヴィ.D!が攻撃を出すとブーイングが起こる。

 

 「(チッ! うるせえ観客どもだ...)」

 耳ざわりなブーイングを投げかける観客たちを、いまいましそうに一瞥するヘヴィ.D!。

 

 視線を戻しながら、リング際にいる不知火舞をちらりと見る。

 「こんなガキは早くかたずけて、あのムチムチのクノイチと...」

 闘いの最中であるにも関わらず、彼の頭の中には邪な妄想でいっぱいだ。

 

 視線に気づき、アカンベーをする舞。

 

 「えいっ!」

 そのかけ声に反応したヘヴィ.D!は、ボクサー特有の優れた動体視力でアテナの突きをかわす。

 

 「(こいつ...変な力がある以外は素人に毛が生えた程度じゃねえか...)」

 ”変な力”とはサイコパワーのことである。

 

 「ナメやがって!」

 ヘヴィ.D!は左右の素早いコンビネーションでラッシュをかける。

 

 「おおっと! これはヘヴィ選手の間合いだ! このラッシュ、しのぎきれるのかーっ!?」

 

 「くっ!」

 防戦一方のアテナ。間合いを離してサイコボールで牽制したいのだが、そのスキを与えてくれない。

 

 「フッ!」

 ボディめがけての一撃だったが、アテナは間一髪、バックステップでそれをかわす。

 

 チッ!

 

 「あ!」

 パンチは腹部をわずかにかすっただけなのに、アテナは頭痛のように顔をしかめた。

 

 「(...? なんだ? ハラになんかあるのか?)」

 その表情の変化を見逃さず、ヘヴィ.D!は間合いを詰めてラッシュを再開する。

 

 「くうっ!」

 本当はそのまま間合いを離してしまいたかったのだが、

 腹部にかすったパンチのせいで反応が遅れ、再びラッシュを受けてしまうアテナ。

 

 ヘヴィ.D!は主にパンチを顔面めがけて連続で放ち、顔をガードさせる。

 

 「こらーっ! アテナちゃんの顔に傷ついたらどうすんだー!!」

 観客のブーイングも無視し、ひたすらジャブの雨を降らせる。

 

 会場に設置されているオーロラビジョンには、ジャブを必死にガードし、

 苦痛に顔を歪めるアテナの顔がアップで映し出されていた。

 その華奢な身体で大男のラッシュに耐えているのが不思議なほどの光景だった。

 

 「ラッシュ! ラッシュ! アテナ選手防戦一方だーっ!」

 素早いジャブは打ち疲れという言葉とは無縁なほど連続で続き、威力も落ちる気配がない。

 執拗な顔めがけてのジャブ連打で、アテナのガードが完全に上がってしまう。

 

 「ガラあきだ!」

 その一瞬を逃さないヘヴィ.D!、アテナのボディーめがけてフックが一閃する。

 

 ビシュッ!

 

 パンチは空を切る.....が、衝撃でアテナの衣服は腹部から鋭く裂けた。

 

 「きゃあっ!?」

 試合中であるにも関わらず、悲鳴をあげて腹部を両手で押さえ、ぺたんと座りこんでしまうアテナ。

 

 「!」

 ボクサーの動体視力は一瞬だけ露出したアテナの腹部を見逃さない。

 

 座り込んだアテナの背後に回り、見よう見まねで覚えたスリーパーを決める。

 

 腹部を押さえるので精一杯だったアテナの首に、あっさりとヘヴィ.D!の腕が絡む。

 「ぐっ...!」

 締めつける太い腕に、苦しそうに顔をしかめるアテナ。

 が、普通その場合はスリーパーを外そうとするはずなのに、アテナは腹部を押さえたままだ。

 

 その反応にますます何かあるとにらんだヘヴィ.D!、

 「おらっ!」

 アテナを首ごと引っこ抜くような勢いで、背後に倒れ込む。

 

 ロングヘアーの黒髪と、きれいにプリーツのはいったスカートが翻る。

 「きゃあああああっ!?」

 体重のないアテナは軽々と引き抜かれ、ヘヴィ.D!といっしょに仰向けに倒れこむ。

 

 ヘヴィ.D!は床につく瞬間に両足を折り曲げてアテナの腰のあたりにあてがう。

 アテナの背中の腰のあたりに膝を立てるようにし、少女の華奢な肢体をエビぞりにさせる。

 「くうぅぅっ!」

 肺から押し出されたようなうめき声をあげるアテナ。

 

 「これは...吊り天井...? いや、胴締めスリーパー!?」

 リングの上で展開されている独特の技に、言葉を選ぶ解説者。

 

 「ボクサーのはずのヘヴィ選手が、どうしてこんな組み技を!?」

 その通りである。が、ヘヴィ.D!には考えがあった。

 

 「うっ...くううぅっ」

 スリーパーの上に無理矢理エビぞりにさせられ、苦しそうにもがくアテナ。脚をばたばたと暴れさせている。

 が...どんなに顔を苦悶に歪めても、腹部を押さえる手だけは離さない。

 

 「ほらっ、ナニ隠してんだか見せてみろよっ!」

 ヘヴィ.D!は腹部を押さえるアテナの両手首を大きな手でまとめてひっ掴み、腹部から引き剥がそうとする。

 

 「んううぅぅ〜! いやぁ...いやぁぁぁぁ...」

 それだけはなんとしても避けたいのか、アテナは駄々っ子のようにお腹を押さえて嫌がっている。

 

 いくら闘う清純派アイドルとはいえ、サイコパワーがなければ普通の少女でしかない。

 屈強な男の力の前ではひとたまりもなく、ヘヴィ.D!が少し力を込めるだけで、あっさりと両手を外されてしまう。

 

 「い........いやあああああああああああ〜っ!!!!」

 

 ノックアウトされた時よりも悲痛な、アテナの叫び声が大空を突き抜けんばかりに響いた。

 

 解説者、観衆、テレビカメラ、テレビの前の視聴者の視線がその腹部に集中する。

 

 ..........

 

 瞬間、あたりが真空にでもなったかのようにシンと静まりかえる。

 

 その状態はしばらく続いたが.....

 「あ...あれは...で...デベソ...?」

 解説者のひとことで、

 

 ウオオオオオオオオ!!

 

 まるで堰をきったように、大歓声が場内を揺るがした。

 いや、その歓声は場内だけから響いたものではない。

 全国の、いや、全世界生中継を見ていた世界中の視聴者の歓声も含まれていただろう。

 

 アテナのひきしまったウエスト、そしてほっそりしたお腹は

 かわいらしさとちょっと色気もあってまさにアイドルの身体の一部といった感じだったが、

 その中心部に普通は穿たれているはずのおヘソは内部の肉がぴょこんと特出しており...

 要するに「でべそ」というもので、とてもアイドルの身体の一部とは思えなかった。

 

 「て...テレビの前の皆様!! ご覧になりましたでしょうか!!

  史上最後の清純派アイドルとまで言われた麻宮アテナ! 麻宮アテナが実はデベソだったとは!!」

 観衆の大歓声にかき消されそうになりながらも絶叫する解説者。

 

 ご覧になったもなにも、現在もテレビカメラはアップでアテナの飛び出たヘソを映しているのだ。

 お茶の間の画面いっぱいにアイドルのデベソが映し出されているのだ。

 

 それだけではない、場内に設置された超大型のオーロラビジョンにも、

 かわいらしく中身の飛び出たデベソをどアップで映し出していた。

 

 その最も人に知られたくない秘密...デベソを世界中に放映されてしまった清純派アイドル...

 アテナはただただ泣きじゃくっていた。

 「うっ...う...ううっ...ぐすっ」

 最大級の恥辱に鼻すじまで真っ赤にし、大粒の涙をぽろぽろとこぼす。

 

 麻宮アテナは今まで水着グラビアの仕事は一切引きうけたことがなかった。

 それを肌が露出するのが恥ずかしいのだろうと思われ、人は彼女を「史上最後の清純派アイドル」と呼んだのだ。

 その理由ももちろんあった。だが、本当の理由はこのデベソを知られたくなかったのだ。

 

 アテナのそれは「デベソ」と呼ぶにはあまりにもかわいらしくぴょこんと飛び出ている。

 だが...それは多感な年頃の少女であるアテナにとっては知られたら死んでしまいたくなるほどのコンプレックスであり、まごうことなき「デベソ」なのだ。

 

 そしてその存在は男たちを異常なまでに興奮させていた。

 先ほどまであれほどアテナのことを気遣い、

 声援を送ってくれたファンたちはギラギラした視線でエビのようにそったアテナの肢体を見ている。

 「いいぞー! ヘヴィ.D! 最高だぜー! アテナちゃんのデベソ、もっと見えるようにしてくれよー!」

 などと逆に声援を送る者まで出てくる。

 場内は大会の雰囲気から一変「麻宮アテナのデベソ公開ショー」となっていた。

 

 「なぁにやってんのよこの変態モヒカン男!」

 アテナとチームを組む舞がリング際で、乱入せんばかりの勢いでくってかかる。

 「こらあーっ! アテナを離すっち!」

 その隣にいた同じチームメイトのユリも叫ぶ。

 

 だがヘヴィ.D!は全く意に介した様子はなく...恥辱に泣き震える少女をさらに貶めようと、

 観客の声援に応え、見せつけるようにアテナの腰をぐいと押してよりデベソが目立つようにエビぞりにさせる。

 

 アテナの細い腰が...まるで弓がしなるようにぐぐっとのけ反る。

 ヘヴィ.D!の狙い通り...背筋を大きく反らすことによって、ぷくんと膨らんでいるデベソの肉がより飛び出たように見える。

 

 「なんだ...おめえ...ヘヘヘヘッ、

  かわいいツラしてProtuberant Navel[でべそ]だったのか...」

 それだけでは飽き足らず、耳元で囁いて追い討ちをかけるヘヴィ.D!。

 

 「ううっ...いやあ...いやああぁ...はなして...放してくださいぃ」

 背筋を弓なりに反らしたまま、涙で声を詰まらせながら懇願するアテナ。

 

 「そうはいくかい...ほら、あのオーロラビジョンを見てみろよ...

  おめえのカワイイでべそがあっぷになって...しかも、実況されてるぜ」

 ヘヴィ.D!は空いた片手てアテナの前髪を掴み、オーロラビジョンの方を向かせた。

 

 「いやっ...やっ...いやあ...いやああああっ!」

 隠し通したかった秘密を大画面に大写しにされ、パニックになって泣きながら身体をよじらせるアテナ。

 

 「アテナ選手のおヘソは2センチほど中の肉が盛りあがるように飛び出しております!

  それが頂点から六つに分けるようにシワが入っており、うすいピンク色で、まるで花のツボミのようです!

  わたくしデベソというものはマンガの中でしか見たことがなかったのですが...

  いやあ、本当にマンガみたいに飛び出ているんですね!

  しかも今や絶大な人気を得ている国民的なアイドル、麻宮アテナがそれだったとは!

  おそらく明日の朝刊の一面はこの記事で埋めつくされることでしょう!!

  となると今この会場のオーロラビジョンに写っているようなどアップのアテナ選手の

  おへそが一面を飾ることになるのでしょうか!?」

 解説者はいつになく熱弁を奮い、アテナのヘソを事細かに実況解説する。

 

 「...聞いたかい? 明日の新聞はお前のヘソのアップでもちきりだとよ...へへっ」

 なおも耳元で囁きかけるヘヴィ.D!。

 可笑しそうに言いながら、片手でチョン、とその飛び出た肉芽を摘む。

 

 涙で顔をくしゃくしゃにしていたアテナだったが、触れられた瞬間、ビクン! と身体が跳ねた。

 もう限界までエビぞらされている体を更にきしませて。

 

 「う...ん!! や! やめてっ! やめてください!」

 そして涙をこぼしながらも抗議する。

 アテナの頬から垂れ落ちた涙が、ヘヴィ.D!の鍛えあげられた胸板にぽたぽたと落ちる。

 

 「そうはいくかい、次はおめえのカワイイでべそがたっぷりいじられてる様を世界中のやつらに見せてやるんだよっ!」

 だがその少女の哀願も容赦なく切り捨て、

 花のつぼみのような臍肉をつみ取るように節くれだった指で乱暴に挟んだ。

 

 「あうううっ...いやああああああぁぁ...!」

 狂気と熱狂のるつぼと化した会場に、少女の悲痛な叫びがまた響きわたった。

 

 

 


解説

 つるぎ様のリクエスト「麻宮アテナが出臍をいじられる」です。

 

 次回でたっぷりいじられるので御期待ください。

 


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