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歯車8 曝女
コギト=エラムス/文


 見ず知らずの男たちから縛りつけられ、その清廉な身体をいいように弄ばれてしまった雪乃。

 泣き、喚き、声が枯れるまで叫んだが、陵辱の手は休まることはなかった。

 愛車...パトリックのボンネット上で大の字に拘束されるその姿は痛々しく、

 手首、足首に食い込む荒縄、振り乱した髪と、ほどけそうになった大きなリボン。

 眼鏡ごしの大きな瞳は真っ赤に泣き腫れ、頬を伝った涙は跡となってこびりついていた。

 アスファルトで柔肌を擦られ、転がされたせいで、身体のあちこちにすり傷やうす汚れた跡が残っている。

 いままで誰の手も触れたことのなかった可憐な花のような女性器は、

 凶器のような肉の棒たちによってよってたかって踏み荒らし、突き嬲られ、充血したように腫れ上がっている。

 男たちの獣欲を一手に受けさせられた膣穴からは、純潔を奪われた証の血液、欲望の排泄液のように吐き出された精液、そして望まぬ官能を与えられた愛液が今もなお垂れ流しになっている。

 

 雪乃本人はというと...もう意識はなく、身体を投げ出すようにぐったりとボンネットの上に横たわっている。

 

 その惨めな姿を、男たちは車のまわりを取り囲んで見下ろしている。

 

 「さて...」

 雪乃を見下ろしていた輪の中のひとり、金田が動いた。

 雪乃の眼鏡に手をかける。

 

 「...じゃあ、最後のパレードといくか」

 おちかけた雪乃の眼鏡を正しながら、金田は言った。

 

 . . . . .

 

 小刻みな振動に、雪乃の意識が僅かに戻る。

 全身の素肌を舐めるように撫で上げていく風。

 その風が、序々に強くなっていく。

 

 「う...ん...」

 泣きはらして重くなった瞼をうっすらと開ける。

 

 ぼんやりとした視界の風景が、どんどん流れていく。

 耳に響く、エンジン音。

 「泣い...てる...パトリック...さん...が...」

 エンジン音は耳慣れた愛車のものだった。

 そのエンジン音は...雪乃にとって泣き声のように聞えた。

 

 「!!」

 ハッと両目を見開く雪乃。

 

 ものすごい勢いでかけぬけていく風景。

 全身にたたきつけんばかりに吹きつける風。

 

 「い...いやっ...」

 己の置かれている状況をようやく理解した雪乃。

 

 MR2は雪乃をボンネットに縛りつけたまま、走行していた。

 乱暴な運転によりエンジンは悲鳴をあげ、タイヤを鳴らしながら峠の曲がりくねった道を爆走する。

 しかも...衣服は全て剥ぎ取られ、今雪乃が身につけているのは眼鏡とリボンと白いソックスだけだ。

 大開脚したまま、女性として最も秘匿するべき箇所を剥きだしにさせられる、拷問のような強制羞恥。

 まるで討ち取った敵の大将の首を曝しものにする戦国兵士たちのように、

 金田たちはさんざん陵辱した少女をボンネットに縛りつけ、さらし者にしていた。

 この少女が、自分たちの戦利品であるかの如く。

 

 「い...いやあああああああああああっ!!!!!」

 峠道に響く断末魔のような絶叫。

 

 「おっ、気づいたみたいだぜ」

 運転席に座る火野は、力まかせにハンドルを切りながら言う。

 

 「ああ...そうでなくちゃ面白くないからな」

 口元をいやらしく歪める助手席の金田。

 

 そのひざの上には、雪乃の悲鳴を聞いてきょろきょろとあたりを見回す子猫が。

 雪乃の姿を探しているのだろう。

 

 キキキキキキキキッ!

 

 「いやあぁぁぁぁ! ...うっ! ぐっ!」

 カーブにさしかかるとその悲鳴は途切れる。

 

 ドリフトのたび、雪乃の小さな身体が遠心力で放り出されんばかりにふれているからだ。

 

 ときおり対抗車線側を通過する車の運転手たちは、皆自分の目を疑うように運転席から振りかえる。

 無理もない、すれ違う車に全裸の女が縛りつけられているのだ。

 

 全裸、しかも最前で、危険な運転の恐怖にさらされ、しかも、対向車に見られてしまう。

 あまりの恐怖と、あまりの羞恥。

 精神が崩壊せんばかり苦しみ、そしてショック死しかねないほどの衝撃。

 金田たちには見えなかったが...雪乃の顔は蒼白になり、絶望に引きつっていた。

 

 びちゃ! べちゃ!

 

 膣穴からこぼれ出した精液や鮮血、そして涙が、フロントガラスにべちゃべちゃと付着する。

 「あーあ、汚ねぇなあ...まだザーメン残ってたのかよ」

 火野は吐き捨てるように言うとワイパーを動かし、付着した液体を拭う。

 雪乃の瞳からあふれた涙も...ここでは汚液のような扱いでしかない。

 

 舗装されていない道に差しかかると、足場の悪さに車はガタガタと揺れ、

 それにあわせてボンネット上の雪乃の身体が人形のように跳ねる。

 「いやあああぁぁぁ! うぐぅ! いやっ!! いやっ!! いやっ!! いやっ!!」

 舌を噛んでも、叫ぶことをやめない雪乃。

 いや...もうパニックのあまり、正常な判断ができないのだろう。

 

 「へへっ、もっと泣け! わめけ!」

 わざとハンドルを左右に切って少女にかかる負担を更に大きくする火野。

 

 無意味な蛇行運転を繰り返すMR2の後を追いかけるミニバン。

 「今日の火野は随分はしゃいでるな」

 その運転席に座るエドはつぶやいた。

 

 空を切り裂かんばかりに響く少女の悲鳴も、男たちにとっては単なるBGMでしかなかった。

 

 少女の悲鳴を凱旋のBGMにしながら、車は峠を抜け、街へと進路を取る。

 

 「いやああああーああああっ! やめてえええええっ! 許して! 許してぇえええええっ!!」

 ボンネットの上で縛りつけられた身体をよじらせ、狂ったように暴れる雪乃。

 このまま進めば、人通りのある街中に出るとわかっているからだ。

 

 「直くん! 直くん!! 直くぅぅぅぅん!! 助けて!! 助けてえええええええええっ!!

  パトリックさんっ!!! カイル!!! 晴ちゃん!!! お父さんっ!!! お母さんっ!!! 誰か!! 誰かああああああっ!!!」

 恐怖と羞恥のあまり、雪乃の思考能力は極端に低下していた。

 走馬灯のように脳裏に浮かぶ人たち全てに助けを求める。

 が、どんなに声を振り絞って泣き、叫び、哀願しても、車の速度は緩まない。

 

 いつもは雪乃を温かく迎えてくれる街の明かりも...今は恐怖と更なる恥辱のカウントダウンでしかない。

 

 ポツポツと街灯が見え、そしてまばらに人の姿が見えはじめる。

 すると峠ではあれほど加速していた車は除々に減速していき...時速15km程度のノロノロ運転をはじめる。

 

 狂気の陵辱パレードは、ここからがメインイベントだった。

 

 歩道を通る人々は、突如として現れた全裸少女に、足を止める。

 

 「おっ!? すげえ! ハダカの女だ!」

 「なんだありゃ!? ボンネットに縛りつけられてるぞ!!」

 「マジ!? 大股おっぴろげて、オマンコ丸だしじゃねーか! 変態か!?」

 「しかもなんかザーメン垂れ流してるぞ...レイプされたんじゃねーか?」

 「なんか泣いてるぞ...」

 「こんな人目のあるとこで...恥ずかしくねーのかなぁ...」

 男と目があう。男はみな一様に、ニヤついた顔でこちらをジロジロ見ている。

 そしてその後決まって雪乃の身体を、品評し、揶揄し、蔑んだ。

 まさに、男の戦利品となり、いいように汚されつくした女を見る目であった。

 

 「なにあれ...ヤッダー」

 「さいってー...」

 「なんかカワイソー」

 「ママー! あのお姉ちゃん、ハダカでなにしてるの?」

 「しっ! 見るんじゃありません!」

 女と目があう。女はまるで汚らしいものでも見るかのような嫌悪感いっぱいの表情をして足早にとおりすぎていく。

 

 女を征服したことを大衆の前で示す、狂気の陵辱パレード。

 男たちは藤原雪乃という女の全てを自由にできるのだということをわからせるパフォーマンス。

 「輪姦された後」という最も人に見られたくない姿を大衆の前で無理矢理公開し、自尊心を奪いさる行為。

 いたいけな少女の身体にかかる、限界を超えた羞恥とショック。そして屈辱感。

 

 「うっ...うっ...うううっ! うーっ! ううううぅぅ!」

 雪乃にもう悲鳴はなく、首をぶんぶんと振って唸り声のような嗚咽を漏しつづけるだけであった。

 

 愛車のボンネットの上に、全裸で大の字に縛りつけられ...恥ずかしいところも全て大衆に晒され、

 ついに雪乃は子供のようにわんわんと泣きだした。

 

 「うわあああああん! あんあん! うわあああああん!」

 顔をくしゃくしゃにし、充血した瞳からは大粒の涙が溢れだし、こぼれ落ちていく。

 

 全裸、ほんのり膨らんだ乳房、陵辱されつくした性器、そして...泣き叫ぶ姿。

 人間の羞恥の最上位にあるもの全てを...これほど大勢に見られてしまう。

 それだけならまだしも、まるで晒しもののようにからかわれ、蔑まれる。

 

 いくら抵抗しようと身体をよじらせてみても、何の意味もない。

 助けを呼ぶ声も、届かない。

 拷問のような強制恥辱に雪乃にはもう、泣きつづけることしかできなかった。

 

 . . . . .

 

 車は街外れにあるマンションの前で停車した。

 拷問のようなパレードは、ようやく終わりを告げたのだ。

 

 金田と渡瀬は車から降りると、ボンネットの上を見る。

 

 雪乃は自由の効かない裸身を不自然に曲げ、強張らせ、ガタガタと震えている。

 「ヒッ...ヒッ...ヒッ...ヒッ...」

 そしてしゃっくりのような声を漏らしつづけている。

 

 すでにリボンはどこかへ飛んでいってしまったのか、

 長い髪をボンネット上に振り乱し、眼鏡ももう着けていない。

 あまりにも無残、あまりにも哀れなその姿。

 

 「あーあ、ショックで引きつけ起こしてるよ、コイツ」

 白目を剥き、筋肉を硬直させて痙攣する雪乃を、しまりのない半笑いで見下ろす火野。

 

 火野の言葉が雪乃に届いているかはわからない。

 少女はしなやかな肢体を不自然な方向に折り曲げ、痙攣するのみであった。

 

 ミニバンで後からついてきた男たちも車を降り、雪乃のまわりに集まってくる。

 「全身痙攣か...やっぱりショックが強すぎたか」

 「すっげー! なんか人形みたいですよコイツ!」

 「ふん...」

 が、誰も雪乃を気づかう者はいない。

 ショックに打ちひしがれる少女の身体を、面白半分に見ているだけだった。

 

 唯一、エドだけはその輪の中にはおらず、遠く離れて背を向けていた。

 リボンと眼鏡のない雪乃の姿はあまりも愛する妹と酷似しており、

 いくら別人だと意識してみても、あの無残な姿を直視することができないでいた。

 

 フーッ!

 

 「ん?」

 ボンネットの上に飛び乗った子猫は、毛を逆立てて男たちを威嚇しはじめる。

 きっと、雪乃をいじめた奴等だと思っているのだろう。

 

 「なんだぁ...? このネコ」

 「ああ...雪乃に近づくために使った猫さ」

 

 「じゃあ、もう用済みだな」

 「まて」

 拳を振り上げ、子猫を殴り飛ばそうとする火野を、手で制する渡瀬。

 

 怒りに身体を震わせる子猫の首筋を掴み、ひょいと持ち上げる。

 「こいつはまだ役に立つ...金田、借りるぞ」

 「好きにしろ」

 

 渡瀬に首筋をつままれながらも、小さな身体をばたばたと暴れさせて最後まで抵抗する子猫。

 が...人間にとってそれは、ただじゃれている程度の力でしかない。

 それはまさに...男たちにとっての今の雪乃と同じような存在であった。

 

 

 


解説

 「歯車7」の続きです。

 

 実はこのネタは、ずっと考えてたやつなんです。

 ひどい話しだ...。

 

 でも描写があっさりしててなんだか駄目ですね...

 いつか他のキャラクターで同じことをやってみようと思います。

 

 次回から新展開!

 「心のケア編」!

 傷つききった雪乃ちゃんの心を癒し、そして手に入れようとする男たち!

 「調教編」はその後からスタートです。

 


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