藤田 浩之はアスファルトに倒れこんだ。
丸二日、ろくに寝食を取らないで町を放浪すれば当然だった。顔色は披露の色で一杯だが目の光だけが力強く前を見据えていた。
浩之「くそ、動け。こんな暇ねえんだ。先輩はこうしている間に手遅れになるかもしれねえんだ」
いまいましく、吐くように独語する。意思とは裏腹に身体は限界を向えようとしていた。
地面にうつ伏せに倒れた浩之は転がって壁によりかかる。身体の節々が悲鳴を上げる。春先ゆえにまだ気温は肌寒く体温を奪っていく。
智子「藤田くん?」
聞きなれた声が聞こえた。
智子「やっぱ、藤田くんや。二日も学校休んで何してん。道端で寝たら風邪ひくで、はよ、家にかえりよ」
智子は壁に寄りかかった浩之を覗きこんで優しく言った。
浩之「ああ、委員長か・・・すげえ、ひさしぶり」
智子「あんな〜、ひさしぶりやないでほんまに、ボロボロやないの」
あきれた口調で肩をすくめる。
智子「家まで送ってこか? 肩かすで」
浩之「・・・・・・」
智子の申し出は有り難かった。自分でも限界が近いことがわかっていた。セバスチャンとは5時間前に分かれていた。体調不良の浩之と共に行くのは無理な話で先に帰したのだ。
浩之「大丈夫、一人で帰れる」
奮い立たせるように立ち上がる。智子は黙って見ている。そんな浩之は家とは反対方向に歩き出した。
智子「家はそっちじゃないで」
浩之「・・・・・あの角を曲がったら先輩が倒れているかもしれない。先輩のメッセージが落ちているかも知れないじゃないか。そう思ったら足が勝手に動くんだ」
智子「あんな〜」
智子のすがるような抗議を無視して続ける。
浩之「俺があきらめたせいで手遅れになったら、もしかしたら最後のチャンスを捨ててしまってたら、一生後悔するんだ」
智子「あほ!あほ!あほ! どうしようもないあほや! 家にかえり、そんなんで身体を壊したら意味無いやろ。何してんのかと思ったら来栖川先輩を捜しとったんか。十分や先輩もよろこんどるよ、だから」
浩之「でも」
智子「うるさい! じゃあ、ウチがあの向うを見てくる。そしたら家に帰り」
智子は走って角を曲がった。もちろん、道路には何も無かった。男性がこっちに歩いてくるだけだ。
街頭の下を歩く男こそ芹香を誘拐している男だった。智子に笑顔で会釈して来た道を引き返す。不信がった智子だがどうすることもできない。浩之の所に戻った。
智子「何も無かったで」
智子は浩之に肩を貸す。身体はすかっり冷え切っていた。
結局、浩之は自宅に着くまで分かれ道の度に反対側に行きたがるので、智子は何度も浩之を置いて様子を見にいかねばならなかった。
浩之の家に着いたのは午前2時を回っていた。
智子「コーヒーでええか?」
二人は居間で座り込んでいた。
浩之「・・・ああ」
智子「あーあ、電車もうないなぁ。今日は泊まってくで」
二人分のコーヒーが置かれる。奇妙な沈黙が部屋を支配していた。黙ってコーヒーを飲む。
教室とは違う空気に戸惑いを隠せない。何故か相手の顔を見れない。
智子「藤田くんの部屋から布団を持ってくる」
階段を降りてきた智子の手には毛布が一枚だけあった。二人は一枚の毛布に見を包んだ。
お互いの身体を触れないようにして背中を向け合って横になる。
浩之は智子の気持ちに気づいていた。一見クール、本当は情熱的で強そうで弱くていじっぱりな委員長。応えることはできない無力な自分。抱きしめてやりたい衝動にかられる。
浩之の背中に大きな丸い膨らみが押しつけられる。柔らかい塊は熱く、心臓の鼓動を伝える。
智子「寒いやろ・・・」
智子は浩之を抱きしめる。
密着した二人の肌に汗がにじんでくる。
智子「・・・しよ」
呟く。浩之は応えない。何を?
智子「セックスしよ」
全身で浩之をキツク抱きしめる。情熱的にせまる智子は熱く、震えている。
浩之「そうゆうのはホントに好きなヤツとしろよ」
智子「好きや藤田くん・・・・。こっちに来て一人ぼっちだった時に側にいてくれた。そん時からずっと好きやったんよ」
背中に眼鏡のフレームがあたる。智子の頬が浩之の背中を撫でる。
智子「誰が好きなのかしっとる。今だけ忘れてとはいわん、今だけウチを先輩と思って好きにしてもいいんよ。そいで藤田くんのこと忘れさしてや」
浩之は肩口を掴む智子の手をゆっくりと引き剥がしていく、一本、一本丁寧に、その度にわずかに身じろぎする。そして、浩之は智子の頭を胸に押しつける。
智子「藤田くん? くさいなぁ ふふっ」
浩之の胸の中で笑う。一言も発しないが優しさを温かく感じた。寂しさを包み込むように。智子の心は何処か孤独の色が強い、芯に情熱の炎が燃え上がれば、おおうクールな知性が厚くなっていく。それを癒したのが浩之だった。
顔を上げて浩之に目で問う。真剣な瞳に浩之はすまなそうな顔をする。
どうしてか寂しくなって智子の目に涙が溜まっていく。それを見て浩之は目をつぶった。そういった優しさが智子の胸を打つ。その途端、智子は浩之を心から愛していることを自覚した。ただ、側にいるだけでもいいと。
智子の唇が浩之の唇と重なる。一方的な不器用なキス。それは、二人の距離でもあった。こんなにも近いのに遠い。
智子「にがあ、初めてのキスの味はコーヒーか・・・」
唇を離していう。驚いた顔の浩之を見上げる。
智子「目をつぶりや」
再び唇を重ねる。今度は情熱的なキス。智子の求めるような行為に浩之は応えない。言葉は一切交わさない。でも、二人は互いの気持ちを交わし合っていた。
浩之「委員長・・・・おれ」
唇を離す。やっぱりすまなそうにいう。
智子「ええよ」
智子は笑顔で応える。眼鏡のレンズの下に涙が頬を伝う。
浩之は泣きそうな顔で智子の胸を鷲掴みにして顔を埋める。智子は腰を浮かせてパンティを脱ぎさる。剥き出しになった身体を冷たい空気が火照った肌を冷やす。
智子「きて、好きにしてもええよ」
智子は手を頭の上にだらしなく置く。その身を捧げるように浩之を待つ。
浩之「ごめん」
何に対して謝ったか浩之にも智子にもわからなかった。
浩之はズボンとトランクスを一緒に下げる。すでに勃起しているペニスは反りかえってビクビクとうごめいている。智子は首だけ動かしてマジマジと見つめる。不安げな表情を隠しきれない。
智子(ええねん・・・初めてはいちばん好きな人とやるんだから)
期待と恐れが入り混じってアソコから蜜が後から後から溢れ出てくる。二人はゆっくりと身体を重ねた。
腰を沈めてくる浩之の首に腕を回して抱きつき、もう一度キスをする。唇を離すと唾液が伝う。
智子「初めてなんや、恐い・・・」
思い人に処女を捧げる決意。瞳はそう訴えている。
浩之は智子を担ぎ上げて角度を調整する。智子の女の部分からたくさんの愛液であふれ、滑って入らない。浩之は智子を身体ごと持ち上げて何度も挑戦する。その軽さに驚いた。
あせって、慎重な動きが無くなって衝動的に割れ目にめり込んでいく・・・
ぎち、ぎち、ぎぎぎぎ
乱暴に智子の処女花を散らした。予想以上の痛さに掴んだ首に爪をたたせる。
智子「ごめんな・・痛ないか?」
傷みで涙を溢れさせる智子は、それでも浩之を労った。浩之は首を振る。
智子「ぐぎやぁ・・・」
浩之はさらに置くへと侵入してくる。
智子は歯を食いしばって耐える。痛いのは心と身体どっちなんだろう。
智子はしっかりと浩之の物を奥まで入れた。そして腰を使って浩之を導こうとする。最後までやって浩之を忘れるために。
浩之「もう、やめよう」
智子「いやや! 最後までやろ!」
傷みで顔を歪みながら智子は腰を使う。ペニスは締め付けられ激しい腰の動きで鮮血が舞う。そんな一途な行動に浩之は何も言えなくなった。
智子「気持ちええか?」
浩之「うん」
傷みで智子の意識は失いそうになっていた。ただ、浩之に気持ちよくなってほしい。それだけだった。
浩之「出すよ」
自分の中に熱いものが広がって行くのがわかった。一つになった達成感を感じて二人は重なり合って眠りについた。智子の胸に喜びで一杯になっていた。朝がくれば二人は別れ、クラスメートになったとしても、今は確かに愛し合う二人なのだから。
智子が目覚めた時、浩之はいなかった。先輩を捜しに行ったんだと智子は理解した。
シャワーを浴びて、シワクチャになった制服に着替える。アソコに違和感を感じる。昨晩、浩之を迎え入れた時を思い出す。やっぱり側にいるだけでもいいと思った。
朝、学校に行く。
あたりまえの日常。
智子の心に孤独の色は無い。浩之を思うだけで幸せだ。全身で浩之を感じたのだから・・・
あかり「保科さん? え、どうして・・・」
それは、神岸 あかりだった。智子を見る目は驚きに溢れ、次いで真剣な顔になる。
あかりに昨晩の事を聞く勇気は無かった。
智子は三つ網を解いた。流れる髪が風に舞う。そして、あかりを鋭く睨む。
智子「藤田くんと寝た」
それだけ言って智子はあかりの前から歩き出す。
あかりは泣きそうな顔になって立ちすくむしか無かった。
純愛のつもりです。
また、濡れ場に失敗したような気が・・・
詳しく書くと、智子の健気さが失われそうだったので簡単にしたら濡れ場として大失敗。
でも、描写を丁寧にすると淫乱みたいになっちゃうんだよな・・・
純愛は難しい。もう、やりません。
後は、葵、琴音、マルチ、志保。次は志保で鬼畜に挑戦してみるか。
それにしても難しい。
感想まってます。