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純心 プロローグ
ハーデス/文
ハーデス/画


 エナSIDE

 私は私が嫌い・・・皆も嫌い・・・嫌い・・・

 ・・・どうして・・・どうして、みんな私を苛めるの?・・・

 エナ「・・・また・・・グズッ・・・」

 げた箱の中・・・靴の代わりに可愛そうな鳥の屍骸が入っている・・・靴は・・・無かった、

 エナ「・・・可哀想・・・」

 そっと鳥の死体をハンカチで包み、仕方なく上履きで校庭に出ようとしたとき、

 ザバンッ!!・・・ガラガラッ・・・

 エナ「キャァッ!・・・グズゥッ・・・・フェェェ・・・」

 上から水が降ってきた・・・バケツごと・・・判っていてもやっぱり泣いてしまう・・・泣けば泣くほど・・・苛められるのに・・・

 エナ「・・・グズッ・・・フェェェン・・・」

 泣きながら鳥を校庭に埋めてあげる・・・・・

 ・・・私ってば・・・どうしてこうなんだろう?・・・今日も・・・教科書を隠されて・・・靴も無くなって・・・もう・・・イヤ・・・

 学校にも本当は来たくない・・・皆にも「来るんじゃねェよ!」って言われてる・・・どうして私ばっかり・・・

 エナ「早く・・・帰んなきゃ・・・グズッ・・・」

 寒い・・・凄く寒い・・・凍えそう・・・濡れた躯も・・・心まで・・・凍えそう・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ガチャッ・・・パタン

 エナ「はぁ・・・ただ・・いま・・・」

 返事の返らない挨拶、いつもの事・・・お父さんもお母さんもお仕事・・・なんだか、何にもしたくない・・・

 ボフッ・・・

 エナ「・・・グズゥッ・・・ふぇぇぇえええええん!!」

 やっと・・・思いっきり泣ける・・・安心して泣ける・・・

 私は・・・そのまま泣きつかれて・・・眠る・・・これもいつもの事・・・

 ・・・でも、これは・・・いつもの事じゃなかった・・・

 プルルルルル・・・プルルルルル・・・

 エナ「・・・?・・・はい・・・二ノ宮です・・・」

 ??「あっ!二ノ宮さんのお宅ですか、貴女がエナさんですね?」

 エナ「えっ?・・・はい、そうですけど・・・」

 ??「私、F中央病院の者ですが、落ち着いて聞いてください・・・」

 エナ「・・・はい・・・あの?」

 突然の病院からの電話・・・一体?・・・

 医務員「先ほど、貴女のご両親が事故で・・・亡くなりました・・・」

 エナ「・・・・・・・・・・・・」

 ・・・何も・・・判らなかった・・・考えられなかった・・・

 医務員「もしもし・・・もしもし・・・今、そちらの方に迎えに参りますので・・・落ち着いて下さい・・・とりあえず・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ・・・・・後は・・・・何も判らなかった・・・只、これから私は・・・どうすれば良いのか・・・判らない・・・お父さんとお母さんが・・・死んだの?・・・どうして?・・・事故・・・私はどうやって・・・生きていけばいいの?・・・どうすれば・・・いいの?・・・まだ私、?学生なのに・・・

 お父さんとお母さんは即死だった・・・ダンプカーと正面衝突・・・漫画みたい、・・・いつも忙しかった、お父さんとお母さん・・・あんまり、お話もできなかったね・・・私、嫌な子だ・・・こんなときに・・・自分の心配ばっかり・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・・・それからは、私はなにもせず、泣いている内に、全て周りの人がやってくれた、葬儀も終わり・・・お父さんとお母さんの生命保険があったのでなんとかやっていけない事は無かったけど・・・祖母の「家に来るかい?」という言葉に甘えさせてもらった・・・やっぱり、一人は寂しいから・・・

 そして・・・私は、少しの荷物を持って、いろいろな思い出のあったをマンションを後にした・・・結局、見送りになんて、誰も来なかった・・・あたりまえだよね・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   1月

 教師「えー今日は転校生を紹介する・・・二ノ宮君?」

 エナ「・・・あ・・・はい・・・あの・・・・その・・・二ノ宮・・・エナ・・・です・・・あの・・・・よろしく・・・おねがいし・・・ます・・・」

 イヤだ・・・私ってば・・・いつもこう・・・どうしてはっきり言えないんだろう・・・前と同じ・・・繰り返すだけ・・・でも、怖い・・・知らない人・・・知らない場所・・・只、怖かったの・・・

 暫くは何事も無かった・・・皆、転校生は珍しいのか、初めこそ質問攻めにあったけど・・・しどろもどろの私に興味を無くしたのか・・・結局、友達も出来なかった・・・ううん、苛められないだけ・・・まし・・・かな?

 でも、甘かった・・・いじめられっこは・・・いつまでたっても・・・いじめられっこ・・・何処にもいじめっこはいる・・・そしてわたしは・・また

 女生徒1「ねえ?二ノ宮さん?・・・ちょっといいかしら?」

 エナ「えっ?・・・は、はい・・・」

 この人・・・何か・・・怖い・・・・・そういう感じがした・・・・案の定、校舎の裏に連れて行かれた私は・・・

 エナ「あっ・・・キャァッ!」

 女生徒2「なに?こいつ?なんかむかつかない?」

 女生徒3「ちょっと可愛いからっていい気になってんんのよ!・・・どうする」

 女生徒1「う〜ん・・・ほらっ!パス!!」

 ドンッ!!

 突き飛ばされた!よろけた拍子に・・・

 ドカッ!!

 エナ「イ・・・イヤァ!!・・・止めて・・・」

 今度は蹴飛ばされた・・・イヤ・・・誰か・・・助けて・・・

 女生徒2「止めてぇ?だ?・・・止めて下さい、お願いします!・・・でしょうが!」

 ドカァッ!!

 エナ「フェェ・・・や、やめて下さい・・・グズ・・・お願い・・・します・・・」

 女生徒3「イヤだね!ホラッ!!」

 ドンッ!!

 また突き飛ばされた・・・また・・・虐められる・・・

 トン・・・

 アッ・・・誰かに捕まった・・・また・・・突き飛ばされる・・・私は怯えきったウサギみたいに躯をちぢ込ませて震えていた・・・けど・・・

 ギュッ・・・

 エナ「エッ?・・・」

 その手は突き飛ばしたりしないで・・・やさしく抱き寄せてくれた・・・誰?

 ??「何やってんのよ!あんた達!」

 女生徒「ゲッ!か、神崎・・・さん・・・」

 涙が滲んでよく見えない・・・けど、いい匂いがした・・・やさしい…匂い・・・

 神崎「あんた達・・・確か2組よねぇ?・・・くだらない事してんじゃないわよ!!」

 空気が震えるような怒声!・・・ビリビリする・・・でも・・・怖い雰囲気じゃ・・・ない・・・

 女生徒1「やっばー・・・に、にげよ?」

 女生徒2「なんでよ・・・あんなやつ・・・」

 女生徒3「やばいよ・・・神崎さんは・・・いこ・・・」

 女生徒2「・・・ちっ・・・ったく・・・」



 ふぅ・・・私・・・助かった・・・の?・・・誰かに助けてもらったの・・・初めて・・・

 神崎「・・・・・・・・・・・・・」

 エナ「あ・・・あの・・・・その・・・あ・・・ありがとう・・・ござい・・・ました・・・」

 神崎「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 ?・・・どうしたんだろう・・・・固まってる?・・・

 エナ「あ・・・あの?」

 神崎「えっ?・・・あっ・・・うん!えーと・・・ひょっとして二ノ宮エナさん?」

 エナ「えっ?・・・は・・・はい・・・」

 どうして私のこと?・・・とか思ってたら・・・

 神崎「ああ、判るわよ、転校生は結構珍しいから・・・見た事ないし、でも制服が1年生だし・・・ね?」

 あっ・・・そっか・・・えーと・・・・この人は・・・聞こうと思ったら・・・

 神崎「あっ!あたし一年3組の神埼ルナ!ルナでいいわ!・・・ねぇねぇ?お友達になろ?!」

 ・・・テンション高い人・・・でも・・・なんだか・・・いい人みたい・・・って?同じ歳??み、見えない・・・大人っぽい・・・って私が子供っぽいのか・・・だって、未だに私ってば130cmしかないんだもの・・・

 エナ「は・・・はい・・・あの・・・エナでいいです・・・その・・・ルナ・・・ちゃん・・・」

 ルナ「うん、じゃぁ・・・エナ・・・でいい?」

 エナ「は、はい・・・」

 初めて・・・友達が・・・出来た・・・なんだか・・・とても暖かい人・・・

 後で判ったんだけど、ルナちゃんって何でも出来るみたい・・・頭も良くって・・・活発で・・・明るくて・・・私の反対・・・はぁ・・・なんだか自己嫌悪・・・そりゃぁ・・・大人っぽくて綺麗なルナちゃんと童顔、幼児体型の私が一緒にいたら・・・普通、自己嫌悪になってあたりまえだけどさ・・・でも、なんだか僻みっぽくて・・・やっぱりなんかヤダ・・・わたしってば嫌な子・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

   ルナSIDE

 女生徒4「ねぇねぇ・・・ルナ、隣のクラスに転校生来たんだって・・・見に行かない?」

 ルナ「転校生?・・・う〜ん、パス!今はそれどころじゃないのよ」

 女生徒4「あれ?興味ないの?・・・女の子でたしか「二ノ宮エナ」って言う子・・・ってなにしてんの?」

 ルナ「見てのとおり!朝ごはん!」

 そーなのよ・・・今日寝坊してご飯もたべてないのよ〜・・・悲しい、うう〜〜

 女生徒4「いま、授業中って判ってる?」

 ルナ「だからこうして机の中で食べてるんじゃないのよ」

 キーンコーンカーンコーン

 教師「起立!」

 立とうとしたのよ〜・・・そしたら、

 どんがらがっちゃん!!

 ルナ「あつ!〜〜あ、あたしのお弁当〜〜・・・まだ半分しか食べてないのに〜〜!!」

 もう最悪!!なんてついてないの!!今日は〜

 ??「なぜお弁当を落っことしたのかな?」

 ルナ「う〜早弁してて、やっとゆっくり食べようとおもったのに〜」

 教師「ほ〜〜は・や・べ・ん・・・神崎、ちょっと職員室まで来い!」

 女生徒4「・・・・バカ」

 ルナ「あ〜〜!!ついてな〜い!!」

 人生最悪の日だわ!!っつってもまだ?3年ほどしか生きてないけど・・・あ〜お腹は空くし、お弁当はないし〜〜、うるる〜〜、しかも・・・怒られるし〜〜!

 ・・・はぁ・・・戻ろ!

 女生徒4「ルナ〜・・・あんたバカ?」

 ルナ「うう〜〜お弁当ぉ・・・分けてぇ!!」

 女生徒4「高いわよ?」

 ルナ「ハイハイ・・・ったく・・・で、どうだったの?転校生は?」

 女生徒「なんだ・・・やっぱり興味あるんじゃないの・・・」

 ルナ「ま・・・ね、で、どうなの?」

 そしたら彼女、肩を竦めながら、

 女生徒4「どーもこーも・・・話になんなかったわ・・・「あの・・・その・・・」ばっかりで・・・まぁ可愛いって言えば可愛いかも・・・ていうか、子供みたい」

 ふ〜ん・・・可愛いのか〜・・・どのくらいかわいいのかな〜・・・

 キーンコーンカーンコーン

 そしてハラペコの2時間目が始まった・・・ついてな〜い!!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ルナ「ったく・・・なんだってあたしが!」

 これというのも彼女やクラスメイトにお弁当分けてもらったため・・・今、一人でゴミを抱えて歩いていた・・・は〜・・・ついてな〜い!!

 ??「フェェ・・・や、やめて下さい・・・グズ・・・お願い・・・します・・・」

 女生徒「イヤだね!ホラッ!!」

 あ〜!!いじめっ子ぉ!!・・・ったく・・・まったく持ってこんなんものまで見つけるなんて・・・ついてな〜い!!・・・まったく、今日は仏滅か天中殺か?・・・

 ・・・まぁ、見てみぬ振りってゆ〜のもやだしねぇ・・・しょ〜がないわね・・・とかおもってたら、突き飛ばされた子が勝手にこっちに倒れこんできた!おっと!慌てて受け止めたんだけど・・・かる〜い、このコ・・・しかもちっちゃ〜い・・・腕廻したらすっぽり入っちゃった!

 ルナ「何やってんのよ!あんた達!」

 女生徒「ゲッ!か、神崎・・・さん・・・」

 神崎さん・・・ねぇ?・・・あたしは別にヤッチャンの娘って訳でも極?空手の達人でもない・・・この身長のせいかなぁ?・・・一部ではそーよばれるのよねぇ〜

 自分でいうのも何だけどね・・・高いのよ〜背が!168cmなんてねぇ?・・・はぁ〜・・・?学1年の純心可憐な少女の身長じゃないわ!

 神崎「あんた達・・・確か2組よねぇ?・・・くだらない事してんじゃないわよ!!」

 っと怒鳴れば大抵は迫力まけするのよね〜・・・は〜・・・便利なのかもしれないけど、こんなの・・・かわいくな〜い!!恨むわ!パパ!!

 っと・・・下からの視線・・・ってああ・・・え〜と、と思って下見てみたら・・・

 は、はわわ〜〜!!な、なんなの〜このコ!!

 ち、小さい・・・?学生みたい〜〜!!

 ・・・いい・・・良いわ!!この子!!はわわ〜〜・・・・我が人生!最高の日だわ!!うふふ〜〜・・・ああ〜・・・お

 、押し倒した〜い!!・・・躯中嘗め回して「アンアン」鳴かせて見たいわ〜・・・っとと・・・まずは、お友達から〜!!ね?

 エナ「あ・・・あの?」

 っは!思わず妄想していたわ!い、いかん!!

 神崎「えっ?・・・あっ・・・うん!えーと・・・ひょっとして二ノ宮エナさん?」

 エナ「えっ?・・・は・・・はい・・・」

 どうしってって顔ね〜・・・良いわ〜・・・うふふ〜・・・おね〜さまが教えてあげるわ〜・・・

 神崎「ああ、判るわよ、転校生は結構珍しいから・・・見た事ないし、でも制服が1年生だし・・・ね?」

 神崎「あっ!あたし一年3組の神埼ルナ!ルナでいいわ!・・・ねぇ?お友達になろ?!」

 ちょっと強引かな?・・・でもいいや!強制的に友達になっちゃえ!!

 エナ「は・・・はい・・・あの・・・エナでいいです・・・その・・・ルナ・・・ちゃん・・・」

 ルナ「うん、じゃぁ・・・エナ・・・でいい?」

 エナ「は、はい・・・」

 それからというもの・・・うう〜・・・考えて見れば地獄だわ〜・・・「お友達」なのよね〜・・・押し倒そうと何度思った事か・・・大体、エナが無防備すぎるのよ〜〜!!そ・・・そんなに挑発しないで〜・・って向こうはその気全然なさそうなのよね〜・・・う〜ん・・・無理矢理やったら・・・きらわれるわよねぇ?やっぱ、

 そんな地獄の日々は2年まで続いたのよ〜・・・はうう〜〜・・・でも、2年の時、同じクラスになれた時!ああ・・・運命できっと結ばれているのね〜、私たちは〜・・・うう〜、神様!ありがと〜〜!!

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 エナSIDE

 初めてのお友達、ルナちゃんにお家に遊びに来ない?って誘われたのは2月の初め・・・そこで私は・・・先生に出会ったの・・・

 ルナちゃんに案内されて着いたところは・・・<神崎医院>という病院、ルナちゃん家ってお医者さんだったの?・・・外科、内科って書いてある・・・そんなに大きいわけでもないけど・・・でも個人病院なら大きいほうかな?

 ??「お帰り、ルナ・・・おや?お友達かな?」

 ルナ「ただいま!パパ!えっと、こっちは「二ノ宮エナ」・・・んでぇこっちはうちのパパの「神埼翔」っていうヤブ医者

 !!」

 翔「・・・だれがヤブ医者だって?ルナ?」

 エナ「・・・・・・・・・・・・・あ、は、始めまして・・・あの・・エナです・・・」

 今、パパって言ったの?・・・ル、ルナちゃんが後、20年たったらこうなるの?って感じ・・・それほどまでに・・・に、似てる・・・しかも若っぁい・・・

 綺麗・・・男の人だなんて思えない・・・背高い・・・ルナちゃんも高いけどもっと高い・・・白衣が良く似合ってた・・・それに、なんだか優しそう・・・

 翔「いらっしゃい、エナちゃんだったね、まぁゆっくりして行って・・・ああ、それとルナ?・・・ほどほどに・・・な?」

 ルナ「判ってるわよ・・・エナ、あたしの部屋にいこ!」

 エナ「あ・・うん・・・あの・・・おじゃまします・・・」

 ??・・・ほどほどって?・・・何のコトだろ・・・そんな事を考えながら着いた部屋は・・・

 エナ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 失礼かも知れないけど・・・す、凄い趣味・・・ピンクと黄色で彩られたお部屋、そしてぬいぐるみの山・・・あんまりにも外見とはかけ離れた乙女チックなお部屋だった・・・思わず固まった・・・

 それからは普通にお喋りして・・・ケーキ食べたり、ゲームやったり・・・なんだかうれしい・・・今まであんまりこうして誰かとお喋りなんて出来なかったもの・・・なんてことの無いお話・・・昨日のTVとか・・・アイドルの事とか・・・でも、それがなんだか嬉しかった・・・

 コンコン・・・

 ルナ「なに〜パパ?」

 翔「ケーキとお茶だよ・・・ヤブ医者の持ってきたモノは要らないかな?」

 ルナ「はう〜・・・要る・・・ああ!もう!判ったわよ!素敵な素敵な名医のお父様ぁ!ケーキちょ〜だい!!・・・で良い?」

 そうして・・・私は・・・何年ぶりかに笑った・・・もう、笑い方なんて忘れていたかと思ったのに・・・

 翔「そういえば、エナちゃん所はご家族は?良かったらお家に持っていくかい?」

 ケーキは18cmのブレッドケーキ・・・先生が焼いたっていうからビックリした・・・美味しかったんだもの・・・でも、もう2ヶ月も経つけど・・・まだ・・・ちょっとつらい・・・

 エナ「・・・ぅぅ・・・・ふぇぇぇぇぇん・・・」

 ルナ「えっ?・・・ちょ、ちょっとエナ??」

 翔「あ・・・なにか・・・まずい事言っちゃった・・・かな?」

 ルナちゃんが後ろ手で先生の事、抓ってる・・・別に先生は悪くないんだけど・・・

 エナ「グシッ・・・グズッ・・・ご、ごめんな・・・ヒグッ・・・さい・・・」

 二人ともオロオロしてる・・・急に泣き出したんだから・・・まぁ無理も無いけど・・・

 そして、私は何故か判らなかったけど、今まで胸に秘めていた事、全部を喋りだしていた・・・両親の事故も・・・両親とは結局、最後まで殆ど話もしないままだった事も・・・前の学校での苛めも・・・服を隠されたり、給食の中に入っていたゴキブリ、酷い物では靴の中に粉々のガラスの破片が無数に入っていた・・・泣きながら全て・・・話していた・・・

 話し終えて、我に帰ると・・初めに感じたのは、後悔・・・先生にもルナちゃんにも・・・いきなり泣き出した上、身の上話なんて・・・こんなの迷惑だよね・・・あたりまえだよね・・・また私、自己嫌悪・・・

 翔「大丈夫?・・・はい、」

 エナ「・・・ぐずっ・・・ご、ごめんな・・・さい・・・」

 先生が貸してくれたハンカチで涙を拭いて・・・やっと少し落ち着いてきた・・・はぁ・・・あれ?

 頭撫でられてる・・・子供あやすみたいに・・・クシャクシャッって・・・

 翔「色々、大変だったね・・・ずっと抱え込んでいたんだね?」

 やっぱり優しい人、そんな風にされると、また私、泣いちゃうよ?・・・少し、ルナちゃんが羨ましい・・・

 翔「ほら・・・涙を拭いて・・・どうだい?落ち着いたかな?・・・」

 エナ「グズッ・・・はい・・・すいません・・・グスッ・・・」

 翔「いいんだよ・・・人に話したほうが楽になる事もあるから・・・あんまり内に込めすぎないほうが良い」

 エナ「はい・・・ありがとう・・ございます」

 そして私は・・・やっと落ち着いて・・・ルナちゃん家でご飯までご馳走になって、その日は家に帰っていった・・・その時気づいたんだけどおばぁちゃんの家とルナちゃんの家って結構近かった・・・歩いて5分ちょっとだったんだ・・・最後に先生が、

 翔「家も二人しかいないからね・・・いつでもおいで・・・歓迎するよ、」

 ルナちゃんもお母さん・・・いないんだぁ・・・また私、自己嫌悪・・・だって、自分ばっかりが不幸だ・・・なんて・・・でも、先生って凄い・・・だって、男手一つで今までルナちゃん育ててきたなんて・・・

 きっとその時から・・・私は先生の事が・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ルナSIDE

 ・・・知らなかった・・・はぁ〜・・・今までも何だかおどおどしてたけど、此処まで不幸だったとは・・・まぁ、家もママは居ないけど始めからだもんねぇ・・・あたし産んですぐだったらしいから・・・何とも無いけど・・・なんだか胸が痛むわ・・・可哀想なエナ・・・とか思ってたら、

 翔「大丈夫?・・・はい、」

 エナ「・・・ぐずっ・・・ご、ごめんな・・・さい・・・」

 あ〜!パパ!ずるい!さき越されたぁ〜!・・・・・あ〜あ・・・タイミング逃しちゃった・・・

 翔「色々、大変だったね・・・ずっと抱え込んでいたんだね?」

 あたしが言おうと思ったのに〜・・・うう〜〜・・・ま、まずいわ!あたしが慰めて、そのままエナと〜!!

 でも・・・なんか可愛そう・・・エナ・・・でもやっぱかわい〜!・・・

 ルナ「そう・・・大変だったのね・・・」

 エナ「エッ?キャァッ!!」

 エナを押し倒しながら軽くキス・・・そのまま口はだんだん下の方へ・・・

 エナ「ヤ、ヤメテェ!ルナちゃん!」

 ルナ「いいのよ〜・・さぁ楽にして・・・あたしに任せて・・・ね?・・・慰めてあげるわ」

 そのままエナの足の付け根まで舌が降りてくると・・・優しく舐めあげていく・・・

 チロチロッ・・・

 エナ「アッ・・・キャンッ!!」

 良いわ〜・・・ぞくぞくしちゃう・・・ちゃ・・・ん・・・・ん?・・・うるさいわねぇ〜・・・これからが・・・ちゃん・・・ツンツン・・・・う〜ん・・・なによ〜・・・・ルナちゃん、ツンツン

 ガバッ!!

 ??「随分気持ちよさそうでしたねぇ〜神崎さん?・・で、どこから読みましょうか?」

 ルナ「あ・・・あはは・・・ども、先生・・・どこからでしょうねぇ?・・・あはは」

 後ろでエナが「あっちゃ〜」って顔・・・はうう〜・・・しまった・・・またやっちゃった〜・・・う〜・・・と思ってたらエナが・・・

 エナ「教科書28pの15行から・・・」

 は〜・・・助かった〜・・・でもね、エナ・・・そろそろ、あたしも・・・限界・・・かな?

 キーンコーンカーンコーン

 エナ「どうしたの?ルナちゃん?最近多いよ?居眠り・・・」

 まさか毎晩、エナで妄想してる!・・・なんて言えないし〜・・・

 ルナ「あ、あはは〜・・・今に始まった事じゃないから!・・・うん!」

 笑ってごまかしちゃえ〜・・・それより!

 ルナ「ところでエナ、今日、家寄ってく?又、パパがケーキ焼くっていうから・・・ね?」

 エナ「あ・・・うん、それじゃ一度帰ってから行くから・・・」

 もうすぐ夏休み・・・エナと夏休みどうするかなんて話しながらやっと授業が終わった

 ごめんねぇ〜、エナ・・・でも、もう限界・・・そろそろ・・・いいよ・・・ね?

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 エナSIDE

 あれ?・・・又だ?・・・なんだろう?・・・前、苛められたときもあった・・・服が隠された事は・・・でも、こんな事は無かった・・・だって、元の体操服が無くなって新しい体操服が入ってる??同じサイズの?

 エナ「おかしいなぁ??」

 今日体育の授業があったから先に洗濯機に入れてからルナちゃん家行こうと思ったのに・・・でも、そろそろ行かなきゃ、

 祖母「どっか行くのかい?エナ」

 エナ「うん、ルナちゃん家、そんなに遅くならないと思うけど・・・」

 祖母「気をつけて行くんだよ」

 エナ「うん、行ってきます」

 なんだか、この頃ちょっとだけ自分が好き!少しだけ・・・積極的にもなれた・・・きっとルナちゃんと・・・先生のおかげ・・・かな?

 ピンポーン

 病院の横の玄関のチャイムを鳴らす・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ルナSIDE

 また一つ・・・真空パックに入れて保存しておこ!・・・その前に

 スーーー・・・

 は〜・・・エナの匂い〜・・・いっちゃいそ〜・・・う〜ん・・・我ながら危ないわねぇ〜・・・はじめはね〜・・・冗談のつもりだったんだけど・・・エナの涙を吸い込んだハンカチをなんとなく洗わないでとって置いたら・・・少しづつ・・・鍵の掛かった机の引き出しには・・・

 「エナ写真集&ダイアリー」を始め、「エナの髪」「エナの爪」「エナのスクール水着」「エナの上履き」「エナのブルマ」「エナの耳垢」「エナの割り箸」「エナの鼻水ティッシュ」「エナの検尿カップ」エナん家のゴミまで漁って手に入れたこれは貴重品よ〜・・・そして「エナの・・・体操服」っと!酸化防止剤と防腐剤の匂いが混じっちゃうけど・・・しょうがないか〜

 ・・・う〜ん後、足りないのは・・・

 ピンポーン

 来た!・・・えーと、写真もしまって、鍵を架けて・・・見つかったら即刻嫌われそうだし・・・それに、やっぱり本物が良い!!

 階段を駆け下りて玄関に向かう・・・途中、

 翔「やれやれ・・・本当にやるのかい?」

 ルナ「お願い!!パパ!!ど〜してもエナの事・・・お小遣いもいらない!わがままもしないから!!」

 翔「はぁ〜・・・一応、準備はできてるよ・・・」

 ルナ「うん!・・ありがと!パパ!大好き!」

 あたしはパパに手を合わせてから玄関のドアを開けた・・・

 エナ「ちょっと遅れちゃったかな?」

 ルナ「ううん!ほら、上がって、ね?」

 エナ「うん・・・あ、先生、お邪魔します・・・」

 翔「いらっしゃい、もう少しで焼けるから・・・お部屋で遊んでて」

 エナ「あ・・・はい・・・あの、お手伝いしましょうか?」

 ま、まずい!!

 ルナ「そ、それよりあたしの部屋行こ!ね?」

 エナ「?・・・うん」

 は〜・・・あぶなかったぁ・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 エナSIDE

 エナ「うん・・・あ、先生、お邪魔します・・・」

 翔「いらっしゃい、もう少しで焼けるから・・・お部屋で遊んでて」

 今日は病院お休みなのかな?・・・先生が台所で晩御飯の仕度といっしょにオーブンにシュ−クリームの生地を入れてる・・・クスッ・・・笑っちゃ失礼かも知れないけど、男の人が台所に立つのもなんだか面白い・・・でも、やっぱり先生ってとても30代後半には・・・見えない・・・素敵・・・なんだかいいなぁ・・・

 エナ「あ・・・はい・・・あの、お手伝いしましょうか?」

 ルナ「そ、それよりあたしの部屋行こ!ね?」

 エナ「?・・・うん」

 なんだかルナちゃん慌ててる?・・・・だけどそのまま押しやられるように2階に連れてかれちゃった・・・

 その後はいつもどうり、お喋りして・・・それからチェスをやったんだけど・・・ルナちゃんってば弱い・・・頭はいいのに・・・性格的にかな?・・・シシリアンでもフォーナイツでも守らないうちに攻めに転じちゃうんだもの・・・チェスじゃ守ったほうが勝てるのに・・・「先手必勝」とかいって攻めるんだけど・・・無謀というか、ルナちゃんらしいというか・・・それからケーキが来て、先生も加わって・・・先生は・・・強かった、全然勝てない・・・少しは自信あったんだけどな、私、遊ぶ相手もいなかったから・・・今までチェスなんて一人でやってたから・・・でもそういえばルナちゃん家って・・・仲が良い・・・親子っていうか兄弟みたい・・・なんだかいいな・・・こういうの・・・

 エナ「すいません・・・すっかりお邪魔しちゃって、お夕飯までお呼ばれちゃって・・・」

 翔「構わないよ、というよりルナが無理矢理って感じだったしね・・・あはは」

 笑い方もにてるんだぁ・・・ルナちゃんと居るみたい・・・でもちょっとドキドキする・・・

 おばぁちゃんに電話で「遅くなるっ」ってでんわして、そしたら先生が車で送っていきますからって言われてお言葉に甘えさせてもらっちゃった・・・

 初めて二人っきりになっちゃった・・・思わず緊張しちゃう・・・

 翔「ありがとう、エナちゃん」

 エナ「えっ?」

 翔「ルナも喜んでたし、いい友達で居てくれてありがとう」

 エナ「そ、そんな・・・私、ルナちゃんに助けてもらってばっかで・・・なんにも・・・」

 翔「あはは・・・君は良い子だね」

 良い子・・・それってやっぱり「子供」って事・・・ですよね・・・私だってもうすぐ?4歳、こどもじゃないのに・・・ちょっとだけ悲しい・・・

 翔「此処かな?・・・エナちゃん家は?」

 気がついたらもうついてた・・・なんだか残念、

 エナ「はい・・・あの・・・ありがとうございました」

 そして先生の車から降りて、帰ったらおばぁちゃんが、

 エナ「ただいま・・・おばぁちゃん」

 祖母「お帰り、おや?随分楽しそうじゃないの?」

 え?か、顔にでてるのかなぁ?

 エナ「え?そ、そんな事無いけど・・・あ、今、先生に送ってもらった所」

 祖母「ふふふ・・・エナも最近何だか明るくなってきたねぇ・・・」

 でも、それはきっとおばぁちゃんのおかげもあると思う・・・だって「ただいま」っていうと「お帰り」って返事が返ってくるのって・・・なんだかとっても嬉しい・・・

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ルナSIDE

 ルナ「ねぇ、パパ?お願い聞いてくれてアリガト!・・・でもどうやってエナちゃんを入院させるの?・・・う〜ん、Bをa4に・・・」

 翔「はは・・・大丈夫、ちゃんと仕掛けはしておいたよ・・・多分、夏休みになるかならないか頃なると思うよ・・・待ちきれないかい?Nc6だな・・・」

 ルナ「ふぅ〜ん・・・うん、待ち遠し〜、d4ね!」

 う〜ん・・・マズイかも、だってあたしってばまだキャスリングもしてないのに〜・・・うるる〜・・・

 翔「まぁ、万が一のときは責任は私がとるか・・・」

 ルナ「えっ?何々?」

 翔「嫌、何でもないさ!Re6だ!」

 パパ、何ていったんだろ?・・・うう、それよりなんだかマズイ局面ね・・・

 ルナ「ねぇ?・・・パパァ?・・・何を仕掛けたの?・・・Bc6に・・・」

 翔「プルセルコイドですよ・・・Nd4だな」

 ルナ「うっ・・・何それ?・・・はう〜!もう!Nc2ぃ!!」

 翔「早い話がサナダムシです・・・チェック、後3手でメイトだな・・・」

 

 

 


解説

 純「純愛じゃないか!ハーデス!」

 ハーデス「はい!純愛ですよ!」

 涼「まぁ、書いた本人がそういうんですから純愛なんでしょう・・・ね?」

 純「くっははは!!涼?いいんだ!これは純愛だ!」

 ハーデス「はい!純愛だと思ってください!」

 涼「ま、片方は純愛かもしれませんし・・・ね?」

 ハーデス「いや、両方です!純愛は・・・」

 純「フフッ・・・ロリフェチレズの純愛!!」

 ハーデス「う〜ん、誰か〜!私とチェスやりません?(譜面だけで・・・メールでもなんでも)」

 


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