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奥の花は手折られて 1
SIS/文
じょん/画


 「ハァっハ……ああぁっ、はぐっ……」

  王宮の奥、王妃の間に淫猥な声が響き渡る。

  寝室にこもるムッとするような熱気。絡み合う男女の汗と淫らな臭気が醸し出す空気は、何者も不可侵であるはずの部屋を異様な色に染め上げる。

 「やめ……て。やめっ……なさい、コッダ卿……あぐうっっ!」

 「わたしはやめてもいいのですがねぇ。離さないのはアナタですよ、王妃さま?」

 「ひぐぅぅっっ!! ……いや……いやぁ……」

  女の抵抗は、すでにない。

  熱いモノに何回もえぐられ、強い突き上げにもカラダのすべてで応えてしまう。熱を帯びた肉体に玉のような汗。それは熱さだけから出てくるのではないのだろう。

  今やリーザ王妃は、オトコを求める肉体の欲情を抑えきることができない一匹のメスになっていた。

  子持ちとは思えない、若く上品に均整が取れた美しく熟れた細身の体。一方の男――コッダ伯爵は貪欲さが脂肪となって滲み出て来ているような醜悪な肥満体。

  あまりに対照的な二つの肉体が絡み合い、交じり合う。汗といい唾液といい、肉欲の汁までもが混ざり合って溶け込むように二人を粘つかせ、滑らせる。王宮の奥にひっそりと清楚に咲いていた花は、無残にも摘み取られ、弄られたあげくに、今や男好みの淫猥な色となって咲き乱れていた。

 「罪なお方だ、あなたは。行方知れずの陛下がどう思うことか」

 「いやぁっ、ダメぇ!」

 「肉体は帰らぬ人よりも、わたしのモノをお望みのようだ」

 「ちがぅ……ちがうっ……かはぁっ」

  リーザも認めざるを得ない。欲情に犯されていることを。それを望む自分を。

  コッダが中で動くのを、襞と肉圧で絡めてしまう。すべてがそこに集中し、形や熱さ、動きが鋭敏に伝わる。

  おかしくなりそうだった。

  貪り、味わう。それを嫌悪し、よがり、さらに求める。より深く。

  縄も手枷も、彼女を拘束していたあらゆる道具はすでに外されている。にも関わらずリーザは逃げることなどできなかった。体は縛られていなくても、心に枷が嵌められているのだろう。それを示すかのようにリーザに嵌められた首輪は、裸身に唯一身につけられた装飾具で淫らの象徴であり、リーザに敗北と屈服の事実を強要していた。

  そして度重なる被虐、陵辱。背徳的な行為が体に刻まれ、染め上げていく。

  肉体を犯した欲情が理性をも侵し始めている。

 「ひぐっ……んぷ? むぅ……」

  喘ぐ口を塞ぐかのように王妃の口にむしゃぶりつくコッダ。貪るような責めを、リーザは貪るように返す。自分の舌を絡ませ、咥えつき、逆にコッダの口を味わう。

  二人の混ざり合った唾液が顔中をベタベタにし、舌と舌が糸を引く……。

 「では、そろそろ……」

 「え?……んぐぁっ! ああっ、はあぁっ!」

  肉全体で押さえ込むように犯していたコッダが、リーザの腰を掻き抱くとすばやく下になる。騎乗位の上になったリーザは下からの貫きに狂喜する。

 「ヤぁっ、ダメぇっ、こんなのダメえぇっ! 激しっ……んああっ!!」

 「自分で腰を動かしてください、私は疲れましたから」

  言われるまでもなくリーザは腰を艶めかしく動かし、コッダのものを激しく貪る。味わい尽くそうと全身でコッダを責めるが、あと少し、わずかの一点に届かない。

 「んんっ、んああっ! コッダぁ……お願いっ……!」

 「ん? 何です?」

 「足りない……イけない……届かないのおっ! お願いぃっ!」

 「今動くと、中に出してしまいますが?」

 「イ……早くっ……奥を……突いてぇっ!」

  また一歩、リーザは堕ちた。自ら中に出されることを望んだのだ。

 (あのリーザ王妃がここまで早く進むとは……暗黒魔道も大したものだ)

  やはりこの決断は正しかった。コッダは内心、ほくそ笑んでいた。

  ゾーア帝国恭順派筆頭である彼も、当初はガーゼルの暗黒魔道とは距離を置きたがっていた。ウェルト王国の乗っ取りまで企んでいても、それに手を出す後ろめたさがさすがにあったのだろう。

  決断をしたのは、彼を取り巻く情勢によるものだった。

  反帝国派はロファール王失踪を契機に弱体化したとはいえ、依然として根強い。そしてコッダの仲間であるはずの恭順派も、未だ踏み切れるところがないのか日和見に傍観している。

  コッダは孤立していた。

  それもリーザ王妃が頑強なまでに反帝国を訴え続けたからであった。良人ロファール王が行方不明になった後も、彼女の象徴性と影響力、なによりも王妃自身の強さがここまでのものとは、コッダにとっても思いもよらないことであった。

  ここにおいてコッダが最後の手段を用いるのは自然の成り行きだろう。……暗黒魔道の力でリーザを屈服させることである。

  そして、その効果はコッダ自身の想像をも越えていた。

 「早く……お願いよぉ……ん……くぅ……」

  あの清楚でおしとやか、そして芯が強い女性であったリーザ。今や娼婦であるかのように欲情の虜となって、淫らに腰を振り、貫かれることを求めている。

 「あなたに注ぎ込んであげます、味わってください……んぉっ」

 「……ダメ、やっぱりっ!…………んひぁっ! くるぅっ! これっ……!」

  止まっていたコッダがいきなり激しく突き上げる。前後左右、上下に凄まじく動きまくるが、リーザの膣も離すまいと咥え込んでいる。コッダの腹の脂肪が波打ち、リーザと密着した腰からタプタプと肉と肉がぶつかり合う。

 「ヒぃっ……! いい、いいのぉっ! くはっ、あんっ、あ、あ、あ……」

  今まさにコッダは二つの至宝を得ようとしていた。豊かな国土と極上の女。この二つが手に入れられるのだ。邪教の教化は民衆への圧政となるだろうが、安いものだ。

 「くっ、ああっ!」

  上で揺れているリーザの豊かな両の胸を掴む。しなやかな弾力と汗ばむくらいの熱。硬くなった中心の感触。

  強く、潰す。

 「はっ、ひぃぃ……掴んじゃ、そんなに強くっ……ああっ!」

  強欲で醜悪なこの貴族に、とある実感をもたらす。……この胸も。この体も。この部屋も城も。領土も。すべてが俺のもの。

 「……ん。もうすぐっ、出る! んっ」

 「あっ、ヤぁっ! 入って……あ、あああ、ああああっ!!」

  リーザの断末魔のような嬌声。コッダには自分を祝福するベルであるかのように聞こえていた。

 

 

 ***

 

 

 「そうそう。わたしがこの部屋に来たのは別の用件があったのです」

  淫慾の余韻も残る中、崩れた下着と乱れた髪を整えるリーザの背中にコッダが声をかける。

 「お知らせしたいことがあってまかりこしたのですが、このような行為に及んでしまったとは……。臣下の身をわきまえずこのコッダ、恥じ入るばかりです」

 「……やめて」

 「それとも王妃殿下の、そのお身体こそが罪かも知れませぬな。もの欲しく火照った欲情で家臣を誘惑するなど、恐れ多いこと」

 「あなたが……あなたがそのようにっ……邪法なんかでわたしを……」

 「今やあなたの方が、"邪法なんか"を望んでいらっしゃいますがね」

  悔しい。でも何も言い返せない。

  リーザはすでに知ってしまったのだ。邪法……ガーゼル教の暗黒魔道の恐ろしさを。人心を惑わす術を。そして、その淫らで甘美な味を。

  その細身な身体に刻み込まれるたびに思い知らされた。後に残るのはどん底のような屈辱感と絶望。そして体の奥底で蠢く疼き。

 「邪法」。「ゾーア」。「ガーゼル」。

  暗黒を示すその言葉を思い起こすだけで、リーザは今やゾクりとする情欲が背筋に走り、疼きが生まれてしまう肉体になっていた。

  そして、今も……。

 「そんなこと……っっ、くはぁっ!?」

  全否定しようと声を張り上げようとしたその時、背後からリーザの胸は両の手で掴まれていた。

  下着の上から万力で潰すかのように強く絞られる。痛みと共に生まれる、あの感じ。ズキンっと官能の炎がぶり返す。

 「イヤっ……放しなさい、コッダ……んぐ……」

 「お楽になさって。重要なことゆえに……おっと」

  なんとか理性を保ったリーザはコッダの邪な手を振り解く。コッダ自身も固執せずにすぐ手を放す。

 「……なんですの、知らせたいことって」

  ハァハァ……と荒い息のリーザに対して、コッダは余裕だった。これからリーザに対して切るカードほど、リーザを、いやウェルト王国すべてを追い詰められるものは、ない。

 「近衛の女騎士にかどわかされ出奔していたサーシャ王女様を無事に保護した、と報告を受けたのですよ」

 「……!」

 「王妃殿下におかれましても、心安くあらせられるかと……」

 「娘は……サーシャはただ、お忍びで城下へ遊びに行っただけです。それをそのように……」

 「このわたしを討伐せよ、との密勅を隠し持っていたとしてもですか。それも王妃殿下、あなたのご署名で!」

 「………………」

 「無論わたしめは、あなたがそのような勅を発するなど思ってもいませんよ。おおかた、その女騎士の捏造だと推察していますがね」

 「違います、ケイトがそのようなマネをするはずはありませんっ!」

 「となるとサーシャ王女様が、ってことになりますか? どちらにせよ事が大きすぎますから、ただ事では収まりません」

  コッダは知っている。知っていてわたしを追い詰めて、楽しんでいる……。本当はその勅をわたしが発したってことを。

  リーザは今まさに、自分ばかりではなく二人の女性の運命までも掴まれてしまったと悟っていた。

  娘であるサーシャ王女。そして近衛騎士団の中でもっとも信頼厚いケイト。

  無理を頼んだのはリーザ自身。巻き込んでしまったのも。そして二人をなんとしても守らねば……。

 

 「……………………わたしが……わたしが、その」

 「発見したのがわたしの手の者でよかった。余計な誤解が広まる前に、抑えられたので」

  くっ、とリーザは詰まった。出鼻を挫かれたのもそうだが、もっと重大なことに気づいたからだ。

 (この話しが、コッダ以外に漏れなかった……)

  現在、王宮はコッダの管理のもと、情報は都合のいいように書き換えられていた。

 『反帝国派の王妃殿下と帝国恭順派のコッダ伯との間で和解と歩み寄り』と言う王宮発の情報は周囲に戸惑いを与えた。が、国王不在の上、国家分裂の危機に比べたら決して悪いニュースでもないので多くの諸侯は静観することとなった。

  しかし、現実は違う。一方の派閥に服従を強いているに過ぎない。

  外部に対しては「現在、穏やかに交渉中」と時間を稼ぐ一方で、王宮内部のほとんどはコッダ派の色に塗り替えられていった。

  例の密勅があて先のヴェルジュにまで届かずともコッダ以外の人間の手に入っていれば、秘密裏に進められている王宮闘争が、どのような形であれ外部に伝えられたであろう。王妃の意が実はコッダと反している、これはコッダのクーデターだ……風のうわさだけでも、コッダに靡こうとする日和見諸侯に牽制になる。

  しかし、コッダの鳥かごから抜け出せなかった。

  しかも、コッダはこのネタを好きに利用できる……王妃ではなく、二人を主犯として反逆罪の汚名を着せることも可能なのだ。

 『公にしたくなければ、二人を公開処刑などにさせたくなければ、言うとおりにしろ』

  リーザに対して、こう突きつけているのだ。

 

 「回りくどい話しはやめて。わたしは何をすればいいの?」

 「おお、これは話しが早い。確かに頼み事があるのですが、その前に……」

  蝋で封された例の勅を取り出す。

 「本物そっくりでしてね。さすがのわたしも心ならずも、一瞬あなたを疑ってしまいました」

 「…………」

 「いいですか。わたしはこれを『無かったコト』にしてしまいたい。そこで、わずかに心に引っかかった疑念を、あなたの誠意を示すことで払って頂きたい」

 「……誠意?」

 「なんのことはない、この間教えて差し上げた『奉仕』ってヤツですよ」

 「なにをバカなっ……」

 「心のこもった奉仕は伝わりますからね、期待していますよ」

  コッダはベッドに座っている。このまま奉仕しろ、というのだろう。

  心底イヤだった。情けなかった。しかし、やるしかない。いつ心が変わって二人に手を出すとも限らないからだ。……それにどうせ堕ちきった身なのだから。

奥の花は手折られて 1

  下着姿のリーザはコッダの前にひざまずく。

 「……ご奉仕、させていただきます……」

  すでに身に付けられているオトコの下着に手を差し入れる。布地の上からでも分かるくらいにパンパンに膨れ上がったそれを、細く美しい指を絡ませながら、外に導き出す。

  自分の冷たい指に、独特の熱が伝わる。

  赤黒く硬いソレにまとわりつくように絡みつく自分の白い指。オトコ特有の芳香。

  その熱、その感触、赤黒と白、そのにおい。

 (…………淫らだ)

  純粋にそう思った。そう思った途端、リーザに淫靡な火がついた。

  やさしくさすりながら、顔を寄せる。官能が臭気によってさらに刺激される。

 (これがわたしを犯す、わたしを狂わす源……)

  期待にあふれてしまう。ゾクゾクとした、湧き起こる何か。

  その先端に軽く口付けし、そのまま唇をなめるようにチロチロと舌を滑らせる。唇だけで軽く触れ、くびれに刺激を送る。

  ピチャピチャと伝わる淫らな音。わたしが出している淫らな音。

 「……ん、ぷふ……んぐ……」

  止まらなかった。

  王妃としてのプライド、今まで生きてきた淑女としてのあり方。今の屈辱的な行為は今までの彼女を否定し、背徳性をさらに高める。より深みにハマっていく。

  咥え込むまで、自然の流れだった。唾液でヌメらせ、舌を絡ませ、口全体をつかった愛撫を注ぎ込む。

 「素晴らしい。夢中になって頼みごとを忘れるところでしたよ……」

 「んん……ぷぐ……」

  奉仕を中断させ離れると、リーザの唇とコッダのペニスに粘液の糸が結ばれる。淫蕩に蕩けた表情のリーザにコッダはやさしく話しかける。

 「サーシャ王女に二度とこのようなコトをしないよう、あなたから説得して頂きたいのです」

  そんなこと……? と思ったのも束の間、次のセリフが続く。

 「あなたの説得に耳を貸さなかった場合、王女にも仕置きが必要になるかも知れませぬ」

 「……っ! サーシャには手を出さないでっ! そういう約束だったでしょうっ」

 「ですから、あなたの努力しだいなのですよ……続けて」

  再び咥え込む。

  愛撫を再開すると、娘に手を出させない一心か、被虐の悦びについた火のせいか、ますます熱心に奉仕する。

 「胸で……胸を使って……」

  下着からこぼれた豊かな胸で挟み込み、先端に刺激を加え続ける。微妙な脈打ちの違いがコッダの限界が近いことを示している。

 「そのまま……そのまま……出すぞ……」

 「ん、ん、ん、む……んぐっ! ぷはぁっ!」

  どっと、熱い衝撃があった。粘液が、リーザの顔から顎、胸や下着までも犯していく。

 「く……んくんく……」

  出続けるものを口に含み、飲み込んでいく。

  そこには拒絶も抵抗もない。リーザは今や汚辱の悦びと達成感に酔い痴れていた……。

  そんなリーザにコッダは囁く。

 「あなたとわたしは再婚するのです。再婚して国をひとつに纏め上げる。サーシャ王女にもキチンと納得していただかないとね」

 「…………はい」

 

 

 


解説

 どぉも、はじめまして。SISと申します。

 掲示板ではちびっと書き込みしましたが、今回初めてSSを投稿させていただきます。

 と、言っても小説どころか文章自体を書きなれていないのに、こんなの書いちゃって大丈夫なんでしょーか? とゆーか文章の基本すらできていないから、ものすごく不安です。

 それ以前に、エロネタも初めてなんですが……。

 

 さて、今が旬なティアリングサーガ。いやもう、ネタの宝庫☆

 女の子はかぁーいぃーのからキレイどころまで、よりどりみどり。シチュエーションも狙っていそうなのが、いっぱいありますし。

 けど、なんか自分としてはFE(紋章)のキャラクターの方が魅力的だったような気もしますが……。まぁ、いいや。

 

 今回のは熟女(……イラストをどう見ても、20後半にしか見えないのですが)なリーザ王妃がネタですが、実は本命はサーシャ王女なんですよ。

 サーシャ王女が出てこないのは……えっと、これはプロローグとでも思ってください。がんばれコッダ君(笑)。

 けど、文章も内容も実にチープかと自分では思ってしまうのですよ。こんなんで続編を書いていいのか、実に心配です。ニーズ的にはどうなんでしょね?

 もしよろしければ感想や文章のアラの指摘もビシビシつっこみ頂ければ幸いです。

 

 それでは。

 (それより勤め先がゴタゴタしているから、次回作の見通しが立てられないってのも……ぁぅ)

 


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