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双辱 十四日目 休息
ハーデス/文


 恭一郎SIDE

 

 恭一郎「入るぞ?・・・マナ、カナ」

 双子たちの部屋に入ると元の部屋から持ってきたのか・・・兎と猫のトイレや餌箱等が部屋の隅に置かれ、双子達はトランプの真っ最中だった・・・

 マナ「あ・・・御主人様・・・おはよう御座います・・・」

 カナ「おはよっ!ご主人様」

 マナは割と自然な挨拶だが・・・カナはどっちかと言えばやけっぱちの様な「ご主人様」だった・・・

 恭一郎「食事だ・・・それと・・・何か食いたい物でもあるか?」

 食事のリクエストを聞かれた双子達は一瞬顔を見合わせた・・・

 娯楽の少ない調教生活に慣れつつある双子たちにとっても食事は只一つの楽しみとも言えた・・が、

 それに対してマナとカナは即答で返した来た、

 カナ「ケーキ!ケーキったらケーキ!!」

 マナ「あの・・・私も・・・」

 今日は調教をするつもりも無い・・・暇を持て余しそうだったから少々手を掛けたものを作ろうと思っていたが・・・ケーキとは・・・

 恭一郎「良いだろう・・・しかし、それではおかずにはならんからな・・・後、何か食べたい物でもあるか?」

 カナ「うぅ〜んとねぇ・・・御寿司!うん!お寿司がいい!!」

 マナ「私は・・出来れば・・・その・・・ダージリン・・・頂けます・・・か?」

 恭一郎「・・・良いだろう・・・部屋から出るのは勝手だが、昼前には部屋に居るんだ・・・」

 

 とりあえず、レナを待つか・・・

 どっち道、レナが来なければ材料が無い・・・

 ・・・まぁ、仕方あるまい

 調理場に戻った恭一郎はオーブンを180℃に暖めると、小麦粉をふるいにかけていく・・・

 メレンゲを作り、分量どうりに小麦粉と混ぜ合わせていく・・・やはりケーキを作るときのポイントは混ぜ方によるのだ!

 こねくり回すのは御法度だが、混ぜ方がいい加減では粉が残ってしまう・・・

 下のほうからすくい上げて、ザックリと切る様なつもりで木ベラ等で混ぜ合わせていくのだ、

 そして、メレンゲを泡立てる時は卵は新鮮な物でなければ、上手くいかない・・・しかし!水が混入するとメレンゲは分離してしまうので注意が要る、必ず乾いたボールを用いるのだ!

 また、砂糖をメレンゲに加えるとメレンゲは崩れにくくなるが、砂糖を入れる前に7分立て位にしておかないと、砂糖を加えたメレンゲはあわ立ちにくくもなるのだ!

 又、生クリームなども、水が混入してはバターになってしまう・・・只でさえ、生クリームは混ぜすぎてはいけないのだ・・・持ちも良くない・・・始めの内はホイップクリームを使うのが得策ではある・・・しかし、味で言ってしまえば生クリームの方が断然美味なのである!!

 ・・・等と一人講釈を垂れながらケーキ作りに勤しむ彼が其処に居た・・・

 

 双子SIDE

 カナ「マナちゃん!こっちこっち!」

 マナ「・・いいの?カナちゃん?」

 カナ「へっへ〜・・ボクはもう何度かやってるもん!ばれなきゃいいの!」

 カナに連れられたマナが来たのは以前のマナの部屋だ!

 部屋に入ると大きな穴が壁に開いていた

 カナ「ま、うち等のご主人様も肝心なトコで抜けてるよね?」

 マナ「でも・・・外に出ても・・・」

 カナ「?・・・あぁ、別に逃げるわけじゃないよ・・・逃げるつもりならもうボクはこの穴からとっくに逃げてるもん!」

 マナ「カナちゃんは如何して逃げなかったの?」

 穴から出入りしていたのなら・・・逃げ出すのが普通・・・カナが逃げなかった理由は・・・

 カナ「うぅ〜ん・・・よく判んないや・・・其の時々違うし・・・」

 マナ「・・うん・・・でも、私も・・・今更無理に逃げるつもりも無いわ・・・」

 カナ「どうせ・・・家・・・誰も・・・居ないもんね・・・」

 マナ「・・・うん・・・ね?・・・何時か・・・ママに会いに行こうね・・・カナちゃん」

 カナ「・・・そうだね・・・ちょっと散歩でもしよっか!マナちゃん!」

 マナ「そうね・・・気分転換にはいいかも・・・」

 カナ「まぁ、マナちゃんが逃げたいならボクは止めないよ・・・でも!今はケーキが食べたいし!ね!」

 マナ「・・・ふふっ・・・カナちゃんは判り易いわよね・・・」

 ある意味、マナにとっては羨ましい位なのだが・・・

 カナ「ブ〜ッ・・・それってボクが単純ってこと?」

 マナ「えっへへ〜・・・さぁ?」

 カナ「もうっ!・・・でも・・・ちょっと肌寒いかな?・・・って?あれ?・・・今日って何日?」

 マナ「えぇっと・・・一月六日だけど・・・」

 カナ「・・・何時の間にか新年明けてたんだ・・・」

 マナ「・・・うん・・・それどころじゃなかったし・・・」

 カナ「はぁ〜・・・お雑煮もお節も食べ損なっちゃった〜・・・あぁ〜あ・・」

 マナ「お節って、どうせカナちゃんは田作りと栗金団と伊達巻しか食べないじゃないの・・・」

 カナ「それを!食べ損なったの!」

 しばし、お喋りと散歩に夢中になっていた双子たちだが、現金な物でケーキの焼ける匂いにつられる様に部屋に戻っていった・・・

 カナは今はケーキの為に戻り、

 マナは・・・他でもない・・・恭一郎の為に戻った・・

 其れは別に同情でもない・・・哀れみでもない・・・

 言わば、マナにも判らない、何かだ・・・

 きっと其れを知る為にマナは戻ると言う選択肢を選んだ・・・

 

 恭一郎SIDE

 

 双子たちの脱走等、露知らずな恭一郎がオーブンから取り出したケーキをケーキクーラーに乗せ冷ましていた処に・・・

 レナ「・・・プッ・・何やってんの?恭一郎?」

 エプロン姿でケーキ作りをしている恭一郎を見て今にも爆笑しそうな勢いのレナが入ってきた・・・

 レナ「フフッ・・・クククッ・・・こ、此れほどエプロンが似合わない・・・のも・・・クククッ・・・あ、貴方くらいね・・・キャハハハ!」

 遠慮も何も無いそのままの率直で大変失礼な意見を並べてくるレナ・・・しかし、だから恭一郎とレナが男と女と言う性別を越えられた親友に為れたのかも知れないのだが・・・

 恭一郎「・・・悪かったな」

 痛く自尊心を傷つけられた恭一郎は不機嫌そうにレナの持ってきた荷物を受け取ると、注文の寿司を作り出した・・・

 恭一郎「・・・さっさと帰れ・・・三人分しか作らんぞ?」

 レナ「あら?・・貴方には貸しがあるはずよ?」

 恭一郎「・・・たくっ・・・じゃぁ此れでチャラにしとけ!」

 渋々4人分の寿司の仕込みに掛かった・・・

 シゲ・・・とまではいかないが、南マグロ・・・インドマグロとも言うが、冷凍物のマグロではかなり上物だ・・・

 恭一郎「・・・レナ・・・サシが入ってるぞ?・・・マグロを見るときは血が飛んでないか、サシが入っていないか、脂の乗りもちゃんと見てから買え」

 レナ「んなこと私に判るわけ無いでしょうが!・・・自慢じゃないけど生まれてこの方台所に立ったのはカップラーメンのお湯を沸かす時くらいな物よ!」

 恭一郎「・・・ホントに自慢できないな・・・」

 以前レナの部屋に行った時、レナの部屋は凄まじい物だった・・・

 足の踏み場が無い!・・・と言うレベルではない!

 何しろゴミに埋もれて窓が見えないのだ!

 ・・・少なくとも女房には絶対したくないタイプだ・・・旦那には向いているかも知れないが・・・

 渋々、恭一郎がマグロをサクに分け、サシを外しながら、きっつけていく・・・

 舎利が炊き上がると、お酢1.5合に対し、甘塩を50g、砂糖を100g加え混ぜ合わせていく・・・此れで大体一.五升の舎利を切る分量だ!

 あくまで舎利は切る物なのであり、混ぜたり捏ねくるのではない!!

 手早く、そして、酢が下に溜まらないよう、全体的に満遍なく酢をかけて、薄く引き延ばすようにして、半円をかくようにして切る!!!

 ・・・等という行為をしている恭一郎を見ていたレナが早速酒を煽り始めた・・・

 まったくもって旦那向きの女だ・・・

 

 双子SIDE

 カナ「来た来たぁ!御寿司〜♪、いっただきまぁ〜す♪」

 マナ「もうっ!マナちゃん!お行儀悪いわよ!」

 恭一郎「・・・で、夕飯は何が良いんだ?」

 カナ「ングング・・ふぉぇふぁぇ!!」

 マナ「カナちゃ〜ん・・もぅ・・・あの・・・お雑煮が良いそうです・・」

 恭一郎「・・・まぁ良いだろう・・・カナ?食いすぎるなよ?・・・後でケーキと紅茶を持ってくるからな・・・」

 マナ「はい・・・済みません・・それじゃ、頂きます」

 恭一郎「あぁ・・・マナ・・・お前は・・・・いや、何でも無い」

 マナ「?・・・はい」

 恭一郎「じゃぁな・・・」

 

 恭一郎SIDE

 

 レナ「どうだった?双子の様子は?」

 恭一郎「さぁな・・・しかし・・まさか散歩とはな・・・」

 レナ「まったく・・・無用心にも程があるわよ?・・・何故かは知らないけど、二人ともそのまま戻っていったけどね・・・」

 恭一郎「・・ああ・・・しかし、双子たちが逃げなかったのなら、まだ望みはあるか・・・」

 レナ「・・・で?如何するの?塞ぐの?」

 恭一郎「・・・いや・・・どの道後1週間も無いんだ・・・此処まで来て双子たちが逃げ出すというのなら其れでいい・・・」

 レナ「どうなっても良いけどね・・・責任位は取りなさいよ?」

 恭一郎「言われるまでも無いさ・・・が、それも双子たちの決める事だがな・・・」

 とりあえず・・・お雑煮を作り出した

 ・・・今はそれをするしかないのだから・・・

 

 双子SIDE

 マナ「・・で?カナちゃん?・・・冬休みの課題は?」

 カナ「・・・あはは・・・あはははは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・見せて」

 マナ「はぁ〜・・・やっぱり・・・」

 どうせこんな事だろうと思っていたマナが課題の問題集を取り出すと、早速小言を食らわしていく・・・

 マナ「スポーツ推薦って言っても、模試の結果次第じゃ追試は免れないのよ?判ってるの?カナちゃん」

 カナ「あはは・・まぁまぁ・・・スポーツやってればとりあえず卒業できる筈だし!なんとかなるって!!」

 能天気なカナが適当〜〜に、課題を映し出していく・・・それでも昔に比べれば、冬休みの課題など随分減ったものだが・・・

 カナ「はぁ〜・・・ぅぅ〜・・・Zzzz」

 始まって5分もたたないうちにカナが睡魔に襲われた

 マナ「カナちゃ〜ん!起きて!!写すだけでしょう?・・・もう!・・・で其の後に「お願い!マナちゃん」でしょ?」

 カナ「えっへっへ〜・・・お願い!マナちゃん!マナ様ぁ!!ね?ね?」

 マナ「良いわよ・・・どうせ何時もの事だし・・・」

 カナ「あははは・・・ゴメンね・・・だって、字読むとどうにもならない眠気が・・・ふぁ〜ぁ・・・Zzzz」

 マナ「ふぅ〜・・・でも・・・そのままのカナちゃんで居てね?」

 カナ「Zzzzzz・・・zzzz」

 カナにだけは・・・変わって欲しくない・・・

 それだけでマナは充分だった・・・

 

 恭一郎SIDE(幕間)

 

 恭一郎「レナ・・・頼みがあるんだがな・・・」

 レナ「んっ?・・・プハァッ!・・・なにおぉ〜?」

 既にウィスキーを2本開けて3本目に入ったレナは只の酔っ払いに過ぎない・・・

 恭一郎「いや・・明日でいい・・」

 レナ「お〜とこらしくないじゃないのぉ〜!いいかけてやめるなんてさぁ〜!!」

 手がつけられない・・・大寅だ・・・

 恭一郎「判った判った・・・たくっ」

 レナ「わかってなぁ〜い!・・・なによぉ〜・・・言いなさいよぉ〜!」

 恭一郎「たくっ・・・つまりだ・・・」

 レナに耳打ちすると、

 レナ「キャハハハ!面白そぉ〜・・いいわよぉ〜」

 恭一郎「その言葉・・・明日聞けるのを期待してるよ・・・」

 

 マナ・・・従順・健康・理知・拘束無・服有・カナの課題遂行中

 カナ・・・従順・健康・理知・拘束無・服有・マナに任せて睡眠中

 

 

 


解説

 ハーデス「こんばんわ!ハーデスでぇっす〜♪」

 純「随分浮かれてるな?」

 涼「なんでも明日姉君が住民票取りに帰ってくるとか・・・ね?」

 ハーデス「さ〜て、おかず何作ろっかなぁ〜♪・・・いっちょ御寿司でも握ってやりましょうかね!」

 


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