かすみ荘LOVERS MAP  第1話 瞳の中の銀の月
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かすみ荘LOVERS MAP  第1話 瞳の中の銀の月
テネシィワルツ/文


「風の強い日だねぇ……」

5月、梅雨前のうす曇の日曜日。サイバドール・サラはそう呟きながらアパートの窓の外に目をやった。

「え?……そうですね……」

パソコンに向かっていた早乙女和也は不意にサラに言葉をかけられて戸惑ったが、やはり彼も窓に目をやり同意した。

雲が駆け足で流れてゆく。

「ヤなんだよねぇ……民家の屋根を八艘飛びしている時に風に煽られるとさ……」

「はは……でも昼間はなるべく地上を歩いてくださいよ」

「分かってるって」

和也のベッドの上に座っていたサラはそう言うと読んでいたグルメ雑誌に再び目を落とした。和也もパソコンでの作業に戻った。

彼は今、小型ロボット・イカリヤの駆動系制御プログラムの再調整をしている。

メイは買い物に出かけ、かすみ、レナ、ケイもそれぞれの目的で街に出ている。

――考えてみればかすみ荘のこの部屋で、早乙女と二人きりになるなんて滅多に無いな――。

サラは雑誌越しに和也の背中を見つめながらぼんやり思った。

「よぉっし……一休みするかな……」

数分後、和也は大きく伸びをして作業を中断した。サラはグルメ雑誌を閉じるとベッドからゆっくり立ち上がった。

「ご苦労さん。何か飲む?」

「はい……いえいえ! お客のサラさんにそんな事させられませんよ」

「いいって。油を売らせてもらっているお礼代わりだよ」

勝手知ったる他人の家とばかりにサラは台所に向かい、冷蔵庫を開けた。

「そうですか? すみません……じゃ、牛乳を……」

「あいよ。だろうと思った」

牛乳をなみなみと注いだコップを持って戻ったサラは、部屋中央のテーブルに移った和也にそれを手渡した。

「ありがとうございます……サラさんは?」

「いいよ。別に喉は渇いてないし」

そう言いながら和也の向かいに腰を下ろしたサラだったが、その言葉は必ずしも正しくなかった。

本当は和也に尋ねたい事があった彼女はわずかに緊張していた。

「そういえば南原は? ほっといていいんですか?」

「別に……アイツ最近入った若いメイドに関心があるらしくてさ。あたしは邪魔だからって追っ払われてる訳よ」

「へえ‥あの南原がねぇ……」

「だからってメイの事を忘れたわけでもないらしいんだけどね、アイツ……まぁよろしくやってりゃいいんだけどさ」

サラはそう言った後、和也が牛乳を飲み干すのを待ってから切り出した。

「……それでさ、早乙女……メイとはどうなったのさ?」

「どうっていいますと……?」

「だからぁ……エッチしたのかって」

「なっ!?……してませんよそんな事!!」

動揺する和也をサラは呆れたように見た。

「だってあたしらがこの時代に来てから2年近くになるんだよ。その間何かしようとか思わなかったワケ?」

「そんな事言われても……第一、メイはサイバドールだし……」

「アンタ、CBD[あたし]らの体が隅々まで人間の女性に似せて作られているのは知っているよね? だったらナニするのも可能だって事くらい見当付くだろ?」

「……本当にできるんですか? 人間の女性と同じように?」

「当然だよ。触られれば感じるし濡れてもくる。男のモノも入れられる。言いたかないけど全自動ダッチワイフとしても使えるんだよ、CBD[あたし]らは」

「何かイヤだな……そういう言い方……」

「まぁ、アンタがこれから作るOS……MAIDシステムを搭載しているロボットが未来でそんな風に使われているのは心外だという気持ちも分からなくはないけどね。だけど、そういう所で関心引かないとユーザーに買ってもらえないじゃないの」

「……僕はただ、人間と仲良く生きていけるロボットを作りたかっただけで……」

「心配しなさんな。全てのサイバドールがダッチワイフにされている訳じゃないから……それで、メイにそういう関心あるの? ないの?」

「いや、あるとか無いとか……」

気恥ずかしそうに口ごもる和也。サラは薄笑いを浮かべて詰め寄った。

「知ってンだよ、アンタがメイのミニスカートや太腿をチラチラ見ているの……気付かれていないと思ってたのかい?」

「分かりました! 言いますよ言います!……確かにそういう対象として見る事はありますよ……メイとしたいなって……でも……」

「当ててやろうか?……失敗して嫌われたらどうしようと……そう心配しているんだろ? 実戦経験がないから」

和也はますます赤くなって小さくうなづいた。

「図星か……その様子じゃかすみにも遠慮しているんだろね」

「出来るわけないじゃないですか!! 大家さんの娘ですよ!?」

「でもあの子の気持ちは分かっているんだろ? まぁ失敗したらメイよりは確実にヘソ曲げそうだけどね……人間の女なら尚更だよ」

「恐ろしい事言わないで下さいよ……だからそういう事はなるべく考えない様にしたいんです……」

しょげ返った和也を哀れむように見つめたサラは、やがて意を決したように言った。

「……よし、分かった。あたしに任せな」

「え? 何を?」

「だからさ……アンタが自信を持てるよう……あたしが練習台になってやるよ……」

さすがに照れくさかったのか、サラは和也からわずかに視線をそらし頬を染めながらポツリと呟いた。

「ええ〜、サラさんがぁ? そんなぁ……」

冗談めかして笑う和也の襟首をサラはすかさず引っ掴んで締め上げた。

「おんどりゃあ!! 人が腹割って話してるのに何じゃその言い草は〜!!」

「ごっ御免なさい!……だっていきなりそんな事言うから……」

サラは和也の襟を離すとボレロ風の肩飾りの裾を掴んで整えた。咳き込む和也。

「ワシゃ本気じゃ。おどれを男にする為ならこの体、喜んで捧げちゃる」

「わ……分かりました……よろしくお願いします……」

まだ得心がいかない様な表情だったが、サラの語気に気圧[けお]されて和也はテーブルに両手を着いて頭を下げた。

「そうと決まれば話は早いよ。邪魔が入らないうちにやっちまおう。台所で手ェ洗って口もゆすいで来な。牛乳くさい舌で舐められるのは御免だよ。あたしだけじゃなく後学の為にもね」

「は、はい……」

向かった台所で言われた通りにし、玄関ドアの鍵を確認した和也は不安げな表情だった。

(何かすごい話になってきたな……こんな事でいいのかな……)

恐る恐る和也は部屋に戻った。いつの間にかカーテンが閉められ薄暗くなっていた。

その中でサラは肩飾りとビスチェを外し、チャイナドレス風の制服の襟元のボタンに手をかけていた。

「丁度いいところに来たよ。早乙女、アンタの手で脱がせてよ」

「い……いいんですか?……それじゃ……」

女性相手にそんな事をした事がない和也はかすかに震える手で襟のボタンを、続いて右脇に向かってのびる合わせ目の隠しホックを上から順に外していった。残る左側の襟を肩まで引っ張るとノースリーブのドレスはスルリと下に落ちた。

「う……」

和也は息を呑んだ。ワインレッドのランジェリーを身に纏ったホクロひとつ、シミひとつ無い褐色の素肌がそこにあった。

「……あの……これからどうすれば……」

サラはフッと微笑むとベッドの上に横たわった。

「ホラ、アンタもお脱ぎよ。これからお肌の触れ合いタイムなんだからさ。あ、パンツはまだ脱がなくていいから」

和也はおずおずと服を脱ぎ始めた。トレーナー、タンクトップ、その後でジーンズを脱ぎにかかったところで彼は躊躇した。

「……分かってるよ。パンツの前が突っ張っているんだろ? だけどアンタの体にどんな変化が起きているか女だって気付いているんだよ。遠慮せずにバッといきな」

「はいっ……」

和也は思い切ってジーンズを下ろした。サラの指摘通り、彼の股間の物は間近で見る下着姿の女の視覚的刺激と、これから行われる事に対する期待と不安が海綿体に詰まって、トランクスの上から見ても分かるほど硬直していた。

「いいよ……じゃあ、こっちへおいで」

サラが体をずらして空けた場所に和也も身を横たえた。緊張のあまり鳥肌が立っていた。

「可愛い奴だね……それじゃここから始めようか……」

サラは和也の首の下に腕を差込み、引き寄せるように抱きしめた。和也も思わず半身になった体を落ち着かせようとサラの腰に手を回した。

「フフ……分かってるじゃないか……」

自分の反応に戸惑いながらも、和也は抱きつきながらサラの背中の滑らかな肌を撫で回した。

「……改めて見るとよく出来てますね、サラさんの肌……ちゃんと体毛もあって……暖かくて……」

「当然でしょ。ゴム人形のままじゃ人間の男がその気になってくれないじゃないのさ……」

和也を抱きしめたままサラも空いている手で彼の体を撫で返していた。やがてその手は和也の腰に下りて行き、彼の股間の物に触れた。

「あっ……サラさんっ……」

トランクス越しとはいえ初めて女性に局部を触られ、和也は反射的に腰を引いた。サラは構わず彼の怒張に沿って指を這わせる。

「いいモノ持っているじゃない……もっと硬くしてあげようか……」

サラは和也の分身をトランクスの上からテニスのラケットのように握ると、ゆっくり上下にさすり始めた。

「はあ……はっ……あ……サラっ…さん……」

「……いつもは自分でしごいてるんだろ? あたしの指とどっちが気持ちイイ?」

「もちろんサラさん……ですよ……ふっ……う……指使いが……とっても……いやらしくて……出ちゃいそうで‥す……」

「そんなにいい? でもまだ駄目だよ」

そう言うとサラは体を起こし和也の上になった。下着越しに和也の剛直がサラの下腹部に食い込んでいる。

トランクスには既に先走り汁が滲[にじ]んでいた。

「ブラを下げてごらん……」

和也はショルダーストラップレスのブラジャーに手をかけ、恐る恐る引き下げた。徐々にサラの胸があらわになり、ブルンと砲弾のような乳房がこぼれ落ちた。淡い桜色の乳首が和也の眼前で揺れている。

「眺めているだけかい? 揉んでごらんよ」

誘うようにサラはブラジャーを外して上半身を屈め乳首の先端を和也の胸に押し付けた。

目の前でたわむ乳房に和也の頭の中は真っ白になり、夢遊病にかかったように吸い寄せられた手がサラの乳房を下から持ち上げた。

「そのまま付いておいで……」

サラは和也が手を動かしやすいように再び上半身を起こした。

張り付いた手を伸ばしていった和也はそのままゆっくりとサラの胸を遠慮がちに揉み始めた。

「んっ……ん……はぅ……はぁ……いいよ……もっと‥強くしていいから……」

和也は言われるまま揉む指に力を込めた。指の動きに合わせて美肉の塊りの形が変わる。

「‥痛くないですか……?」

「平気だよ……人間の女も……多分‥これ位なら‥大丈夫‥あっ……はぅ……」

息を荒くし顔を紅潮させるサラ。それを見つめる和也の中でもっと何かをしたいという欲求が高まってきた。

「……オッパイ…吸っていいですか……?」

「いいよ…吸って……乳首、噛んでもいいから……」

サラは自分で片方の乳房を掴むと和也の口元に近づけた。頭を起こした和也はそのままサラの乳房にむしゃぶりついた。

出るはずの無い母乳を求めるように乳首を吸い、ソフトクリームを舌でこそげ落とすかのごとく、激しく舐めまわした。

「あっ……あ……すごいよ……その舐め方…上手いじゃない……エロビデオで勉強したね?……」

「見ますよ、それくらい……僕も男の端くれですから……」

そう言いながら小刻みに舌を動かしサラの両乳首を交互にもてあそぶ和也。

それから彼は舌で円を描くように乳輪を舐めまわした後再び乳房を口に含み、今度は乳首に軽く歯を立てた。

「ああっ!……あんっ……感じるっ……あんっ!……」

和也が噛むたびにサラがビクリと反応する。試しに彼は乳首に歯を立てたままにすると徐々にあごに力を込め始めた。

サラは耐えるように眉間にしわを寄せ、体を震わせている。

「痛いですか?」

和也の問いにサラは唇を噛みしめたまま首を振った。

「……痛いけど気持ちいいの……アンタの歯が食い込むと……すごく感じるのよ……」

切なそうな表情でサラは和也を見つめた。潤んで光が揺れるその瞳に和也はますます股間が熱くなるのを感じた。

――いや、実際に熱かった。サラの陰部から湧き出したものがショーツを湿らせ、それが和也のトランクスにも滲み込んでいた。

「……濡れてますね……?」

「そうだよ……そうだね、こっちも見るかい……?」

和也はうなずいた。アダルトビデオでモザイクの向こう側にあったものがいよいよ目の前に――そう思う和也の股間が更に緊張した。

「あたしの足元に行きな……」

サラは体を離すと再びベッドに横たわった。和也も言われるままサラの足元に移動し、少し開いた彼女の脚の間に膝をついて陣取った。

「またアンタの手で脱がせてよ……」

恥じらいを少し浮かべた表情でサラが促した。和也はゴクリと唾を飲み込み、伸ばした手をショーツの両脇にかけた。

サラがわずかに腰を浮かせたのをきっかけに和也はスルスルとショーツを引き下ろす。

太腿から膝へ、そしてふくらはぎまで行った所でサラが片方の足をショーツから引き抜き、残るもう片方の足から和也が抜き取った。

下着を脇に置いた和也はサラに恐る恐る視線を戻した。

Vの字に開いた脚の付け根には褐色の肌に映える銀色の恥毛が生い茂っていた。彼女の頭髪と同じ色である。

サラは脚をゆっくり引き寄せ、M字開脚の姿勢をとった。ガーターベルトとストッキングだけになった彼女の下半身が更に和也を刺激する。

「ヘアをかき分けて覗いてごらん……アンタがこれから入る場所を……」

心臓を高鳴らせて和也はサラの方へにじり寄った。身を屈めた彼は二度ばかり深呼吸するとIの字に植毛された波打つヘアをかき分け始めた。愛液の湿りが和也の指を濡らす。

合わせ目がゆるやかに落ち込む秘裂が顔を覗かせたとき、和也の胸に(入れたい!)という衝動が炸裂した。

今すぐサラの身に覆い被さり、皮膚が突っ張り鏡のようにつややかになった亀頭をその秘裂にねじ込みたい――。

かつて覚えた事の無い、どす黒い欲望が和也の中でマグマのように噴出し始めた。

「まだだよ……」

和也の胸の内を見透かしたかのようにサラが釘をさす。我に帰った和也は唇を舐め喉を鳴らし、再び深呼吸した。

「そこを広げて中を見てみな…」

その言葉に和也はうなづき、親指で合わせ目の両側を押し開いた。

愛液が糸を引いて垂れ下がり、内部構造があらわになった。和也は息を呑んだ。

「……これが……女の人の……」

「そう……アンタが押さえているのが大陰唇……その内側の…ビラビラの襞が小陰唇……割れ目の上の出っ張っているマメみたいのが…」

「クリトリス、ですね……」

「ちゃんと勉強しているじゃない……どう? 初めて見た感想は……でもグロいなんて思わないでよ……人間の男はコレに包み込まれて気持ちよくなって射精するんだから……」

「はい……ビックリしたけど、でも……サラさんのここ……ピンク色で…綺麗です……」

「フフ…嬉しいこと言ってくれるよ……ね、せっかく頭突っ込んでいるんだから舐めてみなよ」

「えっ……は、はい……」

しばしためらった後、和也は舌を出してサラの股間に顔をうずめた。陰毛が鼻をくすぐる。

ぴちゃぴちゃと子猫が皿のミルクを飲むような音を立てて彼はサラの割れ目を下から上に舐め上げた。

「ふうっ……はうんっ……はっ……あ……」

和也が舐めるたびにサラは艶っぽい吐息を漏らす。

充血していよいよ膨らんだクリトリスに狙いを移した和也はそこに舌を当て、小刻みに動かした。

「あっ!…ああっ!……はっ……あぁんっ!」

押し寄せる快感にサラは和也の頭を掴みグイグイと陰部に押し付けた。自分の唾液と溢れてくる愛液で和也の口の周りはベトベトになった。

「すごい……すごいよ早乙女……あぅんっ!」

「…それじゃ……とっておきの行きますよ……」

気を良くした和也は舌先を丸めるとサラの秘裂にねじ込み、グニグニと動かした。

「ああっ! あっ! あっ! あっ…」

サラは激しく頭を振り声を上げた。和也の両脇で彼女の足が何度もシーツの上を往復し擦り上げる。

和也は構わず舌をピストン運動させ続けた。

「駄目っ、我慢できないっ……早乙女、寝て!」

「えっ!?…」

頭を上げた和也を押しのけるとサラは素早く起き上がり、彼の体をひっくり返した。

和也はベッドの端から脚を垂らした格好になり、サラは彼の足元にひざまずくと無理矢理トランクスを脱がせ、彼女への奉仕に夢中になる内にいささか軟らかくなったペニスを一気に口に含んだ。

「うわっ! サラさんっ……」

「んっ……むふっ……んんっ……んっ、んっ、んっ…」

和也を早く回復させようと、サラは必死で彼のモノをしゃぶった。

激しい舌と唇のうごめきに和也はサラの口の中でみるみる硬さを取り戻していった。

ペニスが十分硬くなったのを確認するとサラは強く吸いながら徐々に唇から抜き出し、亀頭部だけを咥える格好になった。

カリを甘噛みで固定すると先端の鈴口を舌の裏側で撫で回す。

「わ……そんな事まで……あ……あぁ……」

サラの舌技に和也は身も世もなく声を漏らす。自分の根元から伝わってくる快感に、彼は思わず背中を反り返らせた。

「……アンタがいけないんだよ、早乙女……かすみかメイでさっさと済ませとけばよかったのに……」

カリから口を離したサラは先端部を乳首のように吸いながらそう言った。

「……経験がないから自信を持てないなんて言われたら……面倒見ずにいられないじゃないか……」

股間から上目遣いで切なそうな表情を見せるサラに対して、和也は猛烈な支配欲に襲われた。早くサラの体を蹂躙したくて堪らなくなった。

「すいません……でも今は……サラさんの中に……入りたいです……」

「よし……」

サラはフェラチオをやめるとベッドに戻り、和也の脇に身を横たえた。

「いいよ‥おいで……最初ならやっぱり上になりたいだろ?……」

和也が脇にどくとサラは彼が寝ていた場所に体を落ち着けた。和也ももう遠慮することなくサラの上に体を預けた。

「サラさん……サラさんっ……」

「ほら、しがみ付いていないでさっさとおしよ……早く入れないと爆発しちまうだろ?……」

「はい……それじゃ……」

サラの開いた脚の間で和也は自分のモノを握ると彼女の入り口にあてがった。そのまま押し込むと先端部が肉壁に当たった。

「……そこは尿道口のあたりだよ……もう少し下の方を狙いな……」

サラに言われるまま和也は肉壁に沿ってペニスを押し下げていった。

秘裂の下まで行ったところで先端が膣口を探り当てたのを感じた彼は、腰を突き入れ奥へ進んだが再び何かに阻まれた。

「……あれ……?」

「そこでいいんだよ、グッと突っ込みな」

「え……でも……」

「もう! じれったいね!」

まごつく和也に痺れを切らしたサラは、両手で彼の尻を掴むと自分に向かって力一杯引き寄せた。

「ぁぐぅっ!!」

悲鳴を上げるサラ。その声を聞く直前、和也はペニスの先端で何かがブチッと裂ける感触を覚えていた。

(……コレってまさか……処女膜……?)

痛みに顔をしかめているサラに和也は恐る恐る尋ねた。

「……サラさん……もしかして……初めて……?……」

「……そうだよ……いけない‥かい?……」

「いえ……でもそこまで……」

「言ったろ……人間の女と……細部まで同じに……作られているって……さすがに血は出ないけどね……」

疼痛に耐えながら切れ切れに答えるサラ。心配そうに見下ろす和也に、彼女は目を潤ませながら軽く微笑んだ。

「でも嬉しいよ……初めての相手がアンタで……それよりどう?……あたしの膣内[なか]……」

「はい……とっても気持ちいいです、サラさんの膣内[なか]……暖かくて……ヌルヌルしてて……動いていいですか?……」

「いいよ……大丈夫だから……好きなように動いてみな……」

和也はうなずき、サラの両肩を掴むと前後に動き始めた。繋がった男女を初めて乗せたベッドがギシッ、ギシッと軋[きし]んだ。

「うっ……あぅ……はっ……はんっ……あっ……あっ……」

「んっ……んっ……うんっ……んっ……」

前後に動くたびに和也の砲身はサラのぬめる内壁に刺激された。

かつて感じたことのない生の暖かさと締め付けに、和也は全身でサラの体に意識を集中した。

抜き、突き入れる時に聞こえる粘液に擦れる音、自分の胸の下で押されて形を変える柔らかな乳房、そして見下ろした先にあるサラの顔。

いつもは気性激しく、ときに怠惰そうにしているサラが、出入りするペニスの動きに合わせて眉間に皺を寄せ、半開きの口からあえぎ声を漏らす。

凝った構造の人工皮膚からは汗も滲み出している。五感から押し寄せる刺激に和也は自分の付け根に高まりがくるのを覚えた。

「はっ……はぁ……」

急に和也の動きが緩慢になり、快感におぼれながらもサラはいぶかしんだ。

「……何?……」

「すみません……何か‥もう出そうで……」

「バカだね……中途半端なところで暴発したら格好付かないじゃないか……あたしをイカせる事なんて考えなくていいから、最後まで突っ走りな……!」

「そうですか?……それじゃ……お先に参ります……!」

和也は深呼吸すると先程よりも早いピッチで抽送を開始した。遠慮するなというサラの言葉に甘え、自分だけの快感を求めて。

「ふんっ! ふんっ! ふんっ!」

「ああっ! あっ! あっ! あっ! 早乙女ぇっ‥!」

和也の早い動きに合わせて、サラのあえぐ声も大きくなった。和也を掻き抱く腕に力がこもり、彼の下半身を乗せた腰を激しくくねらせる。

自分よりも大柄な女の征服を確実なものにする為に、精嚢から堰を切って流れ出した精液が海綿体の脈動に合わせて尿道を駆け上ってくるのを和也は感じた。

「駄目だサラさんっ!…いっ、いきますっ!」

「あっあっあっ…おいでっ早乙女っ! あぅあぅあぅあっあっああああああっっ!!」

サラの絶頂の叫びを聞きながらガツガツガツと激しく腰を打ち据える和也。

そして一際強く突き入れた瞬間、彼の精液が初めて女性の子宮の中に迸った。

「うんっっ!……ふんっ……うっ‥んっ……」

精液の断続的な射出に合わせて和也は二度、三度と腰を突き入れた。

サラの淫口からあふれ出すのではないかと思うほど大量に射精している感じがした。

「う……ふぅ……サラ……さん……」

「ふぅ……あぅ……はぁ……はぁ……」

脱力した和也を乗せたまま、サラも息も絶え絶えに初めての性交の余韻に浸っていた。

「……なんだかんだ言いながら、あたしもイケたみたいだね……どうだった? よかった?……」

ベッドに寝たまま、ティッシュで股間を拭いながらサラは横にいる和也に尋ねた。

彼女のもう片方の手は、彼の軟らかくなったペニスをティッシュで包み、揉むようにして粘液を拭っている。

「はい……ありがとうございます……でもサラさんの膣内[なか]、汚してしまって……」

「中出しでも大丈夫だよ……サイバドールの子宮部には洗浄機能があるから……ちょっとトイレ借りるよ‥」

サラはゴミ箱に自分のを拭ったティッシュのロングシュートを決めるとベッドを降り、ガーターベルトとストッキングだけの姿のまま台所の横のトイレに向かった。

褐色の尻を見送った後、和也は被せられたティッシュを取り、だらしなくなったペニスをつまんだ。

尿道の上をさすると残っていた精液が鈴口からポツッと玉になって滲み出した。

(……サラさんの……女の人の中に入ったんだよなぁ‥これ……)

ティッシュで先端の精液を拭いながら和也はサラの中の感触を思い出し、頬を緩めた。

(サイバドールがああなら人間の女の子もきっと気持ちいいんだろうな…)

そこまで考えて不意にかすみの顔が和也の脳裏をよぎった。

頭が勝手に彼女の裸とMの字に開いた脚をイメージし、慌てて和也はその妄想を振り払った。

その時、和也の耳に聞き覚えのある音が飛び込んできた。

カラカラと窓を引き開ける音――かすみの部屋の窓だ。

「何? あのカーテン……」

その声に続いて木がきしむ音――かすみと和也の部屋の窓の間に渡された渡り梯子。その上をかすみが歩いてくる。

和也の全身から血の気が引いた。

カーテンの向こうで窓がコンコンと叩かれた後、かすみが声を掛けてきた。

「ただいま和也クーン……昼寝しているの?」

和也は慌てて自分とサラの着ていたものをかき集めてベッドの中に隠したが、今度は自分が裸のままなのに気付いた。

そのままベッドに潜り込むという手もあったはずだが、和也の頭はそこまで回りきらなかった。

掛け毛布をはねのけトランクスに手を伸ばしたその時、この部屋の窓がカラカラと引き開けられる音がした。

サラは鍵を掛け忘れていた。最後の賭けとばかりに和也は叫んだ。

「ごめん、かすみちゃん! 今着替えてる途中なんだ!」

そう言い終えると同時に強い風が舞い込み、カーテンがめくれ上がって部屋の中が丸見えになった。

「わっ、ご、ごめん!!」

全裸にトランクスで前を隠して中腰になっている和也を見てあらぬ想像をしたのか、かすみは慌てて窓を閉めた。

風が収まりカーテンは再び元の状態に戻った。

「……ふぅ……」

和也は安堵の溜息を漏らした。だがそれもつかの間、勢いよく窓が開かれ、今度はかすみの手でカーテンが開け放たれた。

「……それ誰の服よ……」

先程のわずかな時間でも、かすみはベッドの上に広がっているものを見逃していなかった。

「サラさんのね……ここにいるの?……二人で何してたのよ……」

「いや、これは違うんだ……その……サラさんシャワー使いたいって言うから……」

「だったら何で和也クンまで裸でいるのよ……」

「だから……サラさんが終わったら僕も入ろうかなーって……」

下手すぎる言い訳だ――絶望的な気持ちで苦笑いする和也。その時、背後で水が流される音がし、トイレのドアが開いた。

「サッパリしたー……早乙女、アンタの出した奴きれいに流し…てぇ!?」

部屋に入ろうとしたサラとかすみの目がまともに合った。手前にはサラにすがる様な表情の和也。彼女は瞬時にこの状況を悟った。

「あっ……あ、あの……かすみ…これは……」

うろたえるサラにかすみは取り合わなかった。和也をにらむ目には並々ならぬ怒気が溢れていた。

風に煽られるカーテンがかすみの体に炎のごとくまとわり付いている――。

(続く)


解説

初めまして。テネシィワルツと申します。

六年前、WOWOWで放映されていた「HANDMAIDメイ」の18禁二次創作小説です。

以前から発表しようと温めていた作品なのですが、本家DDDが休眠状態になってお蔵入りしていました。

DDDRさんの発足を知って今一度ペンを(?)取った次第です。

マイナーな作品なので需要があるかどうか分かりませんが、感想を戴けたら幸いです。


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