鬼、貴代子 第五話から続き 
 
「さ、千奈美。とりあえず、シャワー浴びたほうがいいぞ」  
「う……うん………おにいちゃん……ごめんなさい………」  
「いいよ……いいんだよ……千奈美……」  
家に着いてから、僕は千奈美にシャワーを浴びるように勧めた。  
千奈美は素直に頷き、バスルームへ向かおうとしたが、こちらを振り向いて、ぽつりとつぶやく。  
僕は笑みを返しながら、千奈美の頭を優しく撫でた。  
それで千奈美は安心したのか、にっこり微笑みながらドアを閉めた。  
 
あれから結局、僕は千奈美を見つけることは出来なかった。  
隣の家に住んでいるお姉さんが、千奈美を背負って連れてきてくれたのだ。  
しかも、この前殺人事件が起きた、山の中にいたらしい。  
二人とも、衣服がところどころ乱れていて、どんな目に遭わされていたのか、  
大体想像はついていたが、あえてそれを聞くことは出来なかった。  
彼女は、僕が千奈美を受け取った途端、息を荒くして先に家に戻ってしまった。  
多分、急用を思い出したのだろう。そんな中、千奈美を探してくれていたんだ。  
今度、何かお礼でもしなければな……。  
 
「ねえ、おにいちゃん?」  
「ん? なんだい、千奈美?」  
ぼんやりとそんなことを考えていたら、いつの間にか風呂からあがって  
バスタオル一枚でジュースを飲んでいる千奈美が、僕に話しかけてきた。  
千奈美は、ストローを咥えたまま、次の言葉を続ける。  
「おにいちゃん、私のこと、大事に思ってくれているの?」  
「……! ……ど、どうしたのさ、急に?」  
「教えて。大事に……思ってくれているの?」  
「あ、ああ……」  
唐突な問いに、思わず目を丸くして聞き返してしまう。……何だよ…何があったって言うんだよ……?  
それでも、じっと僕を見つめる千奈美に、何だか照れくさくなった僕は、目を逸らしながら答えた。  
「そっか………ね、おにいちゃん! わ…わたし……わたし……」  
突然千奈美が、僕に飛びついてきた。不意を突かれた僕は、そのまま押し倒されてしまう。  
「う、うわっ!? ど…どうしたの千奈美!?」  
「大事に思ってくれてるんだから、いいでしょ! ねっ! ねっ!」  
僕に馬乗りになった弾みで、千奈美が身に纏っていたバスタオルが、はだけてしまう。  
千奈美の頬はすでに赤く染まり、目はとろんと潤んでいる。  
まるで、その顔に吸い込まれるように、僕は千奈美を抱きしめ、そのままくちびるを奪っていた。  
 
「ん……ん…んっ……んんっ…」  
「んふ…ん……ん…っ……」  
しばしの間、僕は千奈美と舌を絡め続けていた。自然と息が荒くなる。  
「……千奈美………」  
「お…おにいちゃん……」  
くちびるを離し、お互いを呼び合う。  
千奈美は、抱きしめる僕の腕を離れたかと思うと、その小さい手を僕の服に伸ばし始めた。  
「だ……だめ…私が……私が脱がしてあげるの……」  
服を脱ごうと手を掛けたとき、千奈美が首を軽く振りながら、僕の手を握り締め、そうつぶやいた。  
「ん……しょ…っ……と」  
中々脱がすことが出来なさそうだったので、ほんの少しだけ背中を浮かせる。  
その隙間を確認して、千奈美は僕の服を脱がした。  
「あ……ううっ……」  
露わになった僕の胸を、千奈美が優しく撫でまわす。その心地よさに、思わず声が漏れてしまう。  
「……っ……」  
「ち…千奈美っ!」  
さらに僕の胸の頂を、舌先でちょんちょんと突っついてきた。  
くううっ……くすぐったいような、気持ちいいような……。  
「……おにいちゃん………あ、ああんっ!」  
再び上半身を起こし、僕のズボンのベルトに手を掛ける。  
少しだけ悪戯心が芽生えた僕は、手を伸ばして千奈美の胸を軽く揉んでみた。  
「お、おにいちゃ……あ…ああ…あんっ」  
途端にベルトを外そうとする手が鈍り、喘ぎ声を出し始める千奈美。ううん………可愛い。  
 
「ふあ……あ…ああっ……あっ! ああっ!」  
両手を伸ばして、今度はそれぞれの胸の頂を軽く摘まんでみた。  
たちまち千奈美は手を止め、上半身をブルブル震わせだす。……もう、我慢出来ないよ。  
「あっ! ああっ! ふあんっ! ああんっ!」  
上半身を起こして、千奈美の胸に舌を這わせた。コリコリとした舌触りが心地いい。  
千奈美は僕のズボンを脱がすのも忘れ、涙まで流しながら喘ぎ続けていた。  
「お……おにいちゃん……おにいちゃあん………んぐ…ぐ…っ……」  
「くっ……ち…千奈美ぃ……ん…っ……」  
快感に打ち震え、千奈美が身をよじらせるたびに、僕のズボンの膨らみが擦られる。  
……ああ……気持ちイイ……。たまらず僕は、再び千奈美にくちづけを交わしていた。  
「んふん……っ……お…おにいちゃん……」  
僕にしがみついたまま、ひたすら体をよじらせ続ける千奈美。僕は自由になった手で、  
ゆっくりとズボンとパンツを脱ぎ、下半身を露わにさせた。既にモノは臨戦態勢に入ってます、はい。  
「千奈美……いくよ……」  
「え? あ……う…うん……」  
千奈美のお尻を抱え上げ、モノの先端を千奈美の割れ目にあてがう。  
中腰の姿勢になった千奈美は、虚ろな笑みを浮かべ、コクリと頷いた。  
すでに千奈美の割れ目は、僕のモノを受け入れようとヒクヒク震え、  
溢れだした液体が、太ももをつつっと流れだしている。  
 
「ふあ…あっ! ああんっ! あああっ!!」  
「くふうっ……千奈美…っ……」  
僕は、千奈美を支えていた手を少しだけ緩めた。  
それだけで、ずぶずぶと音を立てて、モノがゆっくりと千奈美の中へと潜り込んでいく。  
モノから伝わる快感に、思わず声が漏れだした。  
「お、おにいちゃん! おにいちゃあんっ!!」  
「くううっ……ち…千奈美っ……」  
二人が繋がっている場所から、ずちゅぐちゅと、湿った音が響き渡る。  
音につられるように、二人でお互いを呼び合いながら、ひたすら腰を動かし続けた。  
「ち…千奈美……千奈美………んっ…んんっ……」  
「……ん…っ……んっ…」  
夢中になって千奈美を抱きしめ、くちびるを奪い、そのまま舌を潜り込ませる。  
千奈美もまた、僕をしっかりと抱きしめ返し、舌を絡ませてきた。  
「ふ…! ん! んふ! ん! ん!」  
しばらく二人で抱き合いながら、お互いの舌を貪りあっていたが、少しずつ千奈美の息が荒くなる。  
そんな千奈美の吐息に、まるで操られるかのように、僕は一心不乱に腰を動かし続けた。  
……う……もう…イッちゃうかも………。  
「はあ…はあ……ち…千奈美…千奈美……」  
「お…おにいちゃん…おにいちゃあんっ!!」  
それから、ほどなくして僕たち二人は、ほぼ同時に絶頂に達し、  
気を失った千奈美は、そのまま僕にもたれかかってきた。  
 
「千奈美………」  
寝息を立てる千奈美の頬をそっと撫で、ポツリとつぶやく。  
頭の中では、さっき千奈美が口走った言葉が駆け巡っている。  
 
『大事に思ってくれてるの?』  
 
……山で、いったい何があったのだろうか? もちろん、大事に思っているさ。  
最初は、小うるさい居候だと思っていたけれど、今では………。あ、あれ?  
そういえば……何か忘れてるような………。  
 
「…………亮太さん……」  
背後から、冷たい声が聞こえる。………こ、この声は……。  
心臓が痛いくらいに拍動するのを覚えながら、そっと後ろを振り向くと……。  
「……私がずっと、外を探し回っていたのに、二人で何をしていたのですか〜!」  
「あ……雪枝……さん……」  
そうだった……雪枝さんのこと、すっかり忘れてたよ。  
「見つけたのなら、携帯に連絡くれればいいじゃないですかっ!」  
怒ってる…怒ってるよ。まあ、あんなに心配していたのだから、当たり前だろうけれど……。  
「それが……その……」  
「もう! 亮太さんの携帯に掛けてもずっと出ないし、途方にくれていたのですよ!」  
え? 慌てて携帯を取り出す。……う、不在着信が雪枝さんの番号で埋まっている。  
マナーモードにしていたから、全然気がつかなかった……。  
 
「………亮太さん」  
「え、ええっ?」  
雪枝さんの迫力に、思わず声が裏返る。……正直言って怖いです、はい。  
「まさかとは思いますが……千奈美ちゃんと二人っきりになりたくて、  
こんな手の込んだ芝居をした、と言うわけじゃないですよね?」  
「そ、そんなまさか! そんなはず、ないでしょう?」  
「本当ですか? ……私のこと、大事に思ってくれてますか?」  
「え? う、うん、もちろんだよ! ……むぐ……っ……」  
何だか、さっき千奈美から、同じようなことを聞かれたのを思い出し、反射的にそう答えてしまう。  
と、雪枝さんはいきなり、その豊かな胸に僕の顔を押しつけてきた。むぐ……く、苦しい……。  
「それじゃ……早速、証明していただきましょうか?」  
窒息する前に、雪枝さんは自らの胸から僕の顔を解放し、上着をはだけながら優しく微笑んだ。  
……こ、これは………。  
「…それとも……やっぱり、私のことはどうでもよかった、ですか? ……あ、ああんっ」  
寂しそうに微笑む、雪枝さんの流し目に魅かれ、僕はそのまま雪枝さんの胸に吸いついていた。  
「ゆ……雪枝さん…雪枝さんっ……」  
息を荒くさせ、雪枝さんを押し倒し、着ている服を強引に脱がせにかかった。  
「亮太さん……あ、ああっ……」  
雪枝さんの白い肌は、すでにほんのり赤く染まっている。  
そっと胸に手を触れると、雪枝さんは身震いしながら声をあげた。……もう、耐えられない……。  
「ふあ! あ! ああっ!」  
僕が夢中で、雪枝さんの胸を揉み続けると、雪枝さんは面白いように悶え続けた。  
雪枝さんの胸は手に余るくらい大きくて柔らかく、それでいて弾力があり、  
揉んでも揉んでも飽きることが無かった。……ああ……本当、最高………それに……。  
 
「あっ! ああ! ああんっ!!」  
軽く胸の頂に舌を這わせると、雪枝さんは今までにもまして、大きな声で悶え始めた。  
それに、こんなに敏感に反応してくれるんだから……。  
「うっ! ……ゆ…雪枝さ…んっ!」  
不意に、モノから刺激がこみあげ、腰が引けてしまう。雪枝さんが、僕のモノを優しく握り締めたからだ。  
……当然のことながら僕のモノは、雪枝さんの艶姿を前にして、とっくに戦闘状態に入ってます、ええ。  
「早く…早く、亮太さんのお情けを……」  
雪枝さんは、僕のモノを優しくしごきながら、ゆっくりと両足を開く。  
すでに雪枝さんの割れ目は、しっとりと濡れそぼって、僕を迎え入れる体勢が整っていた。  
でも……くうっ……これじゃもたない……かも。  
「ゆ………雪枝さん…っ……」  
僕は歯をカチカチ鳴らしながら、そっと割れ目へとモノを突きたてた。  
「ああんっ……亮太さあんっ…は、早くうっ……」  
「はああっ……ゆ…雪枝さん…っ…」  
その言葉に導かれるように、僕は一気にモノを雪枝さんの中へと潜り込ませた。  
腰が抜けるような快感に、僕は吐息とも声ともつかない悲鳴を漏らす。  
「亮太さん……亮太さん…っ……」  
「……雪枝さん…雪枝さんっ………」  
雪枝さんが僕の名を呼びながら、両手をこちらに向ける。  
僕も雪枝さんの名を呼び返し、しっかりと雪枝さんの両手を握り締める。  
そんな中でも、僕は雪枝さんへ、ひたすら腰を打ちつけていた。  
「あ…ああんっ……亮太さん……あ、ああんっ…亮太さんっ……っ……!」  
「う…あっ……ああっ…雪枝さん……雪枝さんっ……」  
が、一回果てたにも関わらず、僕は早くも限界が近づいていた。……我ながら情けない……。  
「雪枝さんっ! も……もう、もう………う…ああっ!!」  
僕は叫び声とともに、雪枝さんの中で果てていた。  
 
「はあ…はあ……雪枝さん……っ…」  
「………亮太さん……ん…んっ……」  
肩で息をする僕を抱きしめ、雪枝さんは僕に抱きつきながら、そっとくちびるを重ねてきた。  
僕も優しく雪枝さんを抱きしめ返す。……ああ…幸せ……。  
 
「あ〜〜〜〜っ!!」  
な、何だ!?  
突然響き渡る声に、僕と雪枝さんは思わず飛び上がって、声のした方向を振り返り、  
「ち、千奈美?」  
「千奈美ちゃん?」  
僕と雪枝さんは、やはり思わず叫んでいた。  
そこには頬っぺたをぷくりと膨らませ、腕組みして立ちつくす、千奈美の姿があったからだ。  
「も〜うっ! 私が眠ってる間に二人して〜!」  
「まあ、千奈美ちゃん。私がいない間に、同じコトをしていたんじゃなくて?」  
食って掛かる千奈美に、しれっとした顔で雪枝さんが答える。  
……表情は冷静そのものに見えるけど、ちょっとこめかみがピクピクしてるのが恐ろしい。  
「だってっ! おにいちゃん、私を大事にしてくれるって、言ってくれたんだもんっ!!」  
「まあ。私にも同じことを、おっしゃってくれましたよね、亮太さん?」  
「え? あ…うん……」  
いきなり話を振られ、僕はしどろもどろに答えた。……た、確かにそうだけれどさ……。  
何だか身の危険を感じ、僕はそうっと後ずさろうとして……  
「むう〜? おにいちゃん、何で後ずさってるの〜?」  
あっさりと千奈美に見破られた。これは……まずい、かも……。  
「そう……ですね。どうやら亮太さんは、私も千奈美ちゃんも、  
同じように大事に思ってくれているようですから、今度は二人一緒に……」  
「そっか! そうすればいいんだ! ね、おにいちゃん!?」  
「ぐ…ぐえっ!?」  
雪枝さんが微笑みを浮かべ、流し目を送ってくる。……いや、確かにそのとおりなんだけれどさ。  
などと思うまもなく、千奈美は雪枝さんの言葉に、満面の笑みを浮かべ、僕の首にしがみついてきた。  
 
…………課長、明日会社休んでも、いいでしょうか?  
 

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