「ふう。ここなら釣れるかな?」  
渓流釣りが趣味の僕は、道なき道を歩き続けてある沢に辿り着いた。  
ここなら誰も人が来たことがなさそうだから、魚がいれば簡単に釣れそうな気がする。  
「よい…しょっと」  
石ころの裏に付いている虫をエサにして、流れが澱んでいる場所に釣り糸を垂れる。  
ひょっとしたら、何だかとんでもない大物が釣れたりして…。  
僕は期待に胸を膨らませながら、アタリを待った。  
 
 
30分後――  
「う〜ん。こんなに簡単に釣れていいのかな?」  
すでに僕の魚篭の中には魚が一杯になっていた。  
さて…と。早く帰って干物にでもしようかな? 今夜は酒が美味しく呑めそう。  
などと考えながら、帰り支度を始める。  
「あ、あのう…」  
背後から不意に声がして、僕は手を止めて振り返ってみた。  
すると、地元の人だろうか。薄い緑色の和服姿の女性がいた。  
「お魚、釣れましたですか?」  
「え、ええ、そうですね。久々の大漁です」  
鈴を鳴らしたような声で釣果を尋ねてくる。僕は素直に答えた。  
しかし…彼女は釣りをしに来た、って感じじゃなさそうだけど…?  
「それで…できれば少し、お魚を分けていただきたいなと思うのですが、よろしいですか?」  
「どうぞどうぞ。たくさん獲れたので、全然構わないですよ」  
何だ、そういうことか。ま、たくさん釣れたし、少しくらい構わないや。  
余らして腐らせたりしたら勿体無いし、魚が可哀相だから、ね。  
「あ、ありがとうございます。それで……こちらを見ていただけますか?」  
紫色の巾着を取り出す彼女。僕はそれを覗き込み…意識はそこで途切れた。  
 
 
 
 
「……ん?」  
目が覚めたとき、僕は両腕を前にやっている状態だった。…って、アレ!?  
「な…何!? 何これ!?」  
体の自由が利かず、思わず叫んでしまう。  
僕は、目の前の木を抱きかかえた状態で、両手首を縛り上げられていた。  
…いや、それよりも驚くべきことは、衣服を何ひとつ身につけていなかったことだ。  
「あ…起きましたですか?」  
鈴を鳴らしたような声がする。その方向を見ると先ほどの女性が立っていた。  
「キ…キミなの? こんなことしたの!? 外してよっ!」  
「えっと…。そうしたいのはやまやまですが、こちらにも都合がありまして……」  
彼女に向かって叫ぶが、彼女は申し訳なさそうな顔をするだけで、戒めを解こうという気はない。  
「お、おとなしくするも何も、こんな格好させられて…! む、むぶぅっ!?」  
さらに抗議しようとするが、言葉が中断させられる。彼女に猿轡を咥えさせられたのだ。  
「大丈夫です…。おとなしくしていただければ、すぐに終わりますから……」  
そう耳元でささやきながら、彼女はゆっくりと僕の背後に回った。  
「は、はにふるのひゃ!?」  
「大丈夫です…。大丈夫ですから……。…よい…しょっと」  
羞恥のあまりに顔を真っ赤にさせながら、必死に顔を後ろに向けながら叫ぶ。  
だがそんな僕の動揺を意にも介さず、僕の腰を持ち上げて四つんばいの姿勢にさせる彼女。  
そんな…。こんな山の中で女の人に弄ばれるなんて…!  
「ええっと…これからは…と」  
! いきなり僕のモノに電流を流されたような刺激が伝わる。  
どうにか動く顔を下半身に向けると、彼女が僕の股間に潜り込み、モノを咥えている。  
さらに彼女の湿り気を帯びた指先は、さわさわと袋と菊門の間、すなわち蟻の門渡りを撫で回す。  
「ひゃぐっ! ぐっ! ぐうう〜っ!」  
モノから伝わる刺激に耐えられずに声を漏らすが、縛り上げられているためにまともに声が出せない。  
「……ぐっ…んんっ…。…だいぶ…大きくなりましたですね…」  
と、彼女がモノから口を離してつぶやく。  
そう、僕のモノは快感に抗えずに男としての正直な反応を示していた。  
 
 
「さて…と。お次は……よいしょ…」  
「ひょ…ひょっと、まひゃか!?」  
僕の股間から顔を抜いた彼女は僕のお尻に両手を添える。  
これから彼女が何をするかを想像して、思わずくぐもった叫び声をあげてしまう。  
「…ちゅっ、ちゅぷっ、…ん、んんっ…んっ」  
「! ん〜〜!! んん〜〜〜!!」  
菊門から全身に伝わる刺激。そう、僕の予想通り彼女は僕の菊門に舌を這わせたのだ。  
生まれて初めて感じる、くすぐったいような微妙な感触に身悶えし、声にならない悲鳴を漏らす。  
「んっ、んんっ、んっ…っ…」  
「あう…はう……」  
さらに彼女は舌を細くさせ、菊門からさらに中へと舌を押し入れようとし、  
逃げようと身をよじらせる僕の太ももに腕を絡ませ、もう片方の手で僕のモノをしごきだした。  
「うんっ……ちゃぷっ、んっ、んっ、んんっ……」  
菊門の中で彼女の舌がうごめく感触が伝わってくる。何だか…すごい気持ちいい……。  
段々、頭がぼうっとしてきて何も考えることができなくなっていた。  
「あふっ!」  
思い切り情けない声をあげる。彼女が突然舌を抜いたのだ。  
依然として、モノを優しくしごき続けてくれるけれど……正直、また菊門に刺激が欲しい。  
その考えが無意識に現れているのか、自然と腰を動かして、彼女に腰を突き出していた。  
「ん…ふんっ…。…っと」  
ずぶっ。という音が聞こえた気がする。同時に菊門から伝わる刺激。  
今度は彼女、指を差し入れてきたのだった。同時にビクンと全身を仰け反らしてしまう。  
ゆっくりと指を出し入れする。こんな…こんなに気持ちいいなんて……!  
手を縛られ、自由が利かないという制約も、快感に拍車をかけているんだろう。  
無理矢理そう思いながら、僕は快感に身を委ねていた。  
 
 
「あ……。ひゃ、ひゃめないで…」  
と、いきなり彼女はぱっと僕から離れた。思わず情けない声を出す。  
それくらい後ろの穴は、いや、彼女の攻めは刺激的だった。  
「大丈夫…大丈夫ですから…」  
背後から僕に覆いかぶさり、右手でモノを握りなおし、左手で僕の袋を優しく包み込む。  
それだけで、僕は腰が砕けそうな快感を味わっていた。でも…でも…後ろが……!  
「後ろの穴……。もう一度、よろしいですか?」  
不意に耳元で彼女が囁きかける。まるで僕の心を見透かしたかのように。  
思わず僕は、頭を何度も大きく頷かせながら、肯定を表していた。  
袋を優しく弄んでいた左手の中指が、そっと蟻の門渡りをくすぐる。  
背筋にぞくっとした刺激が走り、身を捩じらせてしまう。お願い! …早く…早く……!  
焦らしているのか、菊門に触れはするが中には挿れてくれない。  
もどかしさに再び腰を動かし始める。もう、もう狂っちゃう…!  
「おねがひ…はひゃく…はひゃく…ひひぇて……」  
涙をこぼしながら、彼女に懇願する僕。その言葉を待っていたのか、  
彼女は一気に指を菊門へと潜り込ませた。  
「………!!」  
声にならない悲鳴があがる。  
同時に彼女の右手のピッチもあがり、モノの先端から透明な汁が次々溢れていく。  
「あ…あの…。気持ち…いい、ですか?」  
「ひゃ、ひゃいこうでふ…」  
再び耳元で囁かれる。僕は頭を地面に擦りつけながらも、どうにか答えた。  
もう、何も考えられない! このまま…このまま…! 意識は再びそこで途切れた。  
 
 
「う……うん…?」  
「よかった…目を覚ましましたか」  
目を覚ましたとき、僕は仰向けに横たわっていた。  
と、鈴を鳴らしたようなさっきの女性の声。  
ゴンッ  
反応して思わず飛び起きてしまうが、狭い洞窟のようで思い切り頭をぶつけてしまう。  
「…………」  
「あ…! だ、大丈夫ですか?」  
あまりの痛さに声が出せない。そんな僕を優しく彼女が気遣ってくれるが、  
さっきまでの仕打ちを思い出して、手を振り払ってしまう。  
そのとき、手首を見てみると包帯が巻いてある。……いったい、これって…?  
「そ…それは……申し訳ありません。さきほど私が縛っていたせいで、血が出ていたのです。  
でも、薬を塗っておいたので、じきに治ります」  
本当に申し訳なさそうな声でつぶやく彼女。そんな表情を見て僕はぺたりと座り込む。  
いったい…さっきのは、なんだったの?  
「えっと…その……実は…私は人間ではないのです…」  
……は?  
「私は……この川に住んでいる河童なのです」  
…かっぱ…。って、思わず某カード会社のCMを思い出すような声を出してしまう。  
で、その河童がどうしてあんなことをいきなりし出したんだ?  
まさか、川の主ってことで、魚を取りすぎた僕にお仕置きをする、とか?  
「い…いえ! ち、違います! そうでは…ありません…!」  
そうじゃないのなら、どういう理由があるっていうんだよ…。  
 
 
「じ…実は……これを…取り出すため、に………」  
かなりの時間、お互いが沈黙していた。  
が、決心がついたのか、ふうと息をつきながら彼女は懐から丸い小さな玉を取り出した。  
何…これ?  
「これは…尻子玉という、河童の卵、なのです」  
顔を真っ赤にさせて俯く彼女。何だか…凄く可愛いんですけど。  
って、何!? 河童の卵!? 思わず大声で叫ぶ僕。河童って卵で増えるんだ…。  
「も、申し訳ございません! あんな…あんな方法で無理矢理なコトをしてしまって!  
どうか、どうか許してください! 私はどうなっても構いません!  
でも…でも、この尻子玉だけは…どうか!」  
震えながら土下座をする彼女。別に怒っているわけじゃないんだけれど、さ……。  
「……あ、あの……むぐ…むぐうっ…」  
彼女は突然、僕のモノを頬張りだした。って、何するの! いきなり!  
「私には…何もありませんので……この身を差し出すしか、ないのです…。  
どうか、どうか許してください……」  
モノから口を離し、泣きそうな顔で僕を見上げて離しかける。最後の方は消え入るような声で。  
……そう言われると、何も言えないのですが。  
「許して…くださらないですか? どうすれば、許してもらえますか?」  
僕の沈黙を怒りと思っていたのか、涙をこぼしながら俯いてしまう。  
何だか……凄く、イイ…。  
「怒ってなんか…いませんよ…」  
「……え?」  
軽く抱きしめながら語りかける。心底驚いた表情で僕を見返す彼女。  
そう、怒ってなんかいやしない。それどころか……。  
 
 
「うん…っ…」  
彼女のくちびるを奪い、ゆっくりと押し倒す。と、彼女も僕に両腕を回してきた。  
「それで、お願いがあるんだけれども…」  
「は、はい!」  
長いくちづけが終わり、彼女に尋ねる。  
彼女は顔をぱっと上げながら元気に返事をする。う…何だか…言いづらいんだけど…。  
「あ…あの、さ…できれば……さ、さっきみたいな…こと、  
してほしいな、とか思ったりしちゃうんだけど……」  
顔が熱くなるのが分かる。…でも仕方ないよ。あんなに…あんなに良かったんだから……。  
「え…と……。よ、よろしいのですか? 本当に…?」  
目を丸くして、尋ね返す彼女。だって…だって……。  
「わ、分かりました……。でも…本当は…私も、恥ずかしいのですが……あなたのためなら…」  
再び顔を真っ赤に染め上げる彼女。…でも、人のことは言えないよね。  
僕も多分、顔は真っ赤になってると思う。  
「ん……しょっと…」  
突然、彼女の左腕が縮んだ。な、何がどうなっているの!?  
「あ…心配なさらないでください。河童の腕は一本に繋がっているので、  
片方の腕を伸ばすともう片方の腕が縮んでしまうのです」  
そ、そうなんだ……。び、びっくりした……。!  
思う間もなく体をビクンと震わせる。  
彼女の右手が僕の菊門周囲を優しく撫で始めたからだ。  
「お…お願い…は、早く……」  
「ま……待ってください…。ば、場所が見えなくて…」  
思わず口走る僕に彼女が答える。  
そんな彼女の姿もまた、僕の興奮を引き立てる材料だったのかもしれない。  
すでに僕のモノは完全に固くなり、彼女の太もも周辺をピタピタと叩いていた。  
「…あ…うっ……!」  
やっと…やっと指が菊門を探り当てた…! 思わず悲鳴がこぼれてしまう。  
 
 
早く…早く挿れて……!  
「…しょ…っ…と…」  
あ…ああ…か、彼女の指が…中に……中に…。  
腰が無意識のうちに動かしだす。だが、僕はそっと感謝の気持ちをこめて再び彼女にキスをした。  
「すごい…すごい気持ちいい…よ…。キミも…キミも気持ちよくなってね…」  
くちびるを離して耳元でささやく。彼女は一瞬、体をピクリと震わせるが、  
ゆっくりと頷いた。僕はモノを彼女の割れ目に擦りつけた。  
「あ…あん…あんっ! き…気持ち…気持ちいいです…!」  
下半身を仰け反らせながら喘ぎ声を出す彼女。  
僕が体を起こして彼女の下腹部をよく見ると、人間の女性と変わりなく、  
割れ目の上にあるクリトリスが、すでに固く起き上がっていた。  
どうやら、さっきはモノでこれを刺激していたらしい。  
面白くなった僕は、モノをクリトリスに擦りつけ続ける。  
「そんな…! そんなにされると私! 私!」  
彼女は全身を震わせながら叫びだす。もちろん、僕の中に入っている指も例外ではない。  
「僕も…僕も…もう、もうダメ! もうダメだよ!」  
「きて…キテください! 私に…私に……!」  
叫び声がシンクロしたかと思うと、僕は全身を痙攣させながら、  
モノから吹き出る大量の精液で彼女の体を汚していた。  
 
 
「本当に、いいの?」  
僕は思わず問い返した。彼女は、住み慣れたここを捨て、下界に行くのだという。  
ここの方が余程住みやすいと思うけれどね…。  
「いいんです。河童はひとつの場所に一人しか住めません。  
今去るか、後で去るかの違いですから」  
ふうん。そんなもんなんだ。  
「…それに、アテもなく彷徨うよりも、あなたのそばにいたほうが……」  
そっと僕に腕を絡ませる彼女。僕は顔を真っ赤に染まらせながら歩き出した。  
帰り際に川の方を振り向くと、彼女が尻子玉を隠したあたりの場所がキラリと光ったように見えた。  
まるで、”母さんを頼みます”と言っているかのように………。  
 
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