日曜日。10時きっかりに髑髏は沢田家を訪ねる。
ツナは慌てて玄関のドアを開けた。
「おはよう」
そこには初めて見る私服姿の髑髏が立っている。
少し丈の短いジャケットにキャミソール、腰ばきのミニスカートにブーツ。それは彼女の雰囲気によくあっていた。
少し見取れてしまったツナは焦りながら靴をはき、
「じゃ行こうか」
と促した。
いくつものブランドショップが一つの建物の中にある並盛ショッピングモール。
二人はそこで買い物を楽しむ。シャンプーから服まで、一通りの物を揃えるとすでにお昼になっていた。
「お腹すかない?ハンバーガーでも食べようか」
とバーガーショップに入る。
「えーと、オレは照り焼きバーガーのセットでオレンジジュース。君は何にする?」
自分の注文を済ませて髑髏を振り返る。すると、髑髏は不思議そうな瞳で
「なんかよくわからない…食べたことないから」
とメニューを見つめている。
「え!?ハンバーガー食べたことないの?」
「うん」
後ろが混雑してきたので、好き嫌いの有無だけ髑髏に確認し、自分と同じものを注文して席につく。
「こうやって包み紙を半分くらいめくって…」
ハンバーガーの食べ方をレクチャーしたのはツナ自身初めての事。
ツナにとっては当たり前の事だが、そんな「当たり前」の事を知らない髑髏のことを思うと少し胸が痛む。
(今までどんな生活を送ってきたのかな…)
ぱく、と一口ハンバーガーを口にした髑髏が、ちょっとびっくりしたような目をして
「…おいしい」
とつぶやいたのでツナはほっとした。
「よかった〜口に合ったみたいだね!オレ一番のおすすめなんだよ〜」
と嬉しそうに、自分のバーガーを頬張る。
食べ進める内に、ツナのほっぺたにソースがついているのに気付いた髑髏は、
自分のバッグからハンカチを取り出し
「ボス、ついてる」
とツナのほっぺたを拭ってやる。
「あ、ありがと…」
なんだか照れ臭くてツナは顔を赤くした。
「お〜いおい、こんなとこでいちゃいちゃモードですかぁ〜?」
と、二人の席の隣に座っていたいかにもガラの悪そうな男二人組がツナ達にからんできた。
(ヒイィ!!)
ツナは悲しきかないじめられっこ体質のせいで途端に青くなる。
「お?この子超かわいくね?」
「君みたいな子がなんでこんなショボい男を連れてんの?」
「こんな奴ほっといてオレ達と遊びにいこーよ」
と男の一人が髑髏の腕を掴み、席を立たせた。
「ちょっと、離してください!」
ツナは慌てて立ち上がった。
「うっせぇよ」
チャラっとした恰好の男は制止しようとするツナを力任せにつき押した。
ガタ--ン!!
その反動でツナはテーブルにぶつかり椅子ごと床に倒れてしまう。
「さ、行こうよ」
と腕を掴む男の手を髑髏はパシッと払い、その手で男の鼻っ柱に裏拳を入れる。
「がっ!!」
もろにくらった突然の攻撃に男は思わず膝を落とした。髑髏はそのまま右膝で男のこめかみにとどめの一撃を入れる。
「ボスへの侮辱は許さない」
「ってめぇ!!」
もう一人が髑髏に殴り掛かるがあっさりとかわされる。
髑髏は椅子をけって中空を舞い、男の側頭部に左の回し蹴りを入れ地に沈めた。
「すげー…」
女の身といえどれっきとしたマフィアである髑髏にとっては準備運動にもならないもので
あったが、ツナは髑髏の戦うところは初めて見たのでただ感嘆していた。
「ボス、大丈夫?」
髑髏が座り込んでいるツナに駆け寄る。
「あ、平気…ッ!」
左手に痛みを感じたので見てみると、倒れたときに引っ掛けたのか甲の部分が少し赤くなっている。
「大変…」
髑髏はツナの左手に顔を近づけ、ぺろりと舐めた。
「わわ!」
「消毒」
その後二人は買い物を済ませて帰路についた。
髑髏のマンションの前に着くと、彼女は
「お茶入れるから寄っていって」
と誘った。
「あ、でも…」
ツナは迷っていたが、髑髏の荷物を部屋まで運んでやりたかったので
「じゃ少しだけおじゃまします」
と了承したのだった。
「おじゃましま〜す…」
通された髑髏の部屋は、いたってシンプルだった。
「荷物そのへんにおいて、くつろいでて」
と促すと、髑髏はキッチンへと消えていく。
どさっと今日購入した物を置き、ツナはリビングのソファに腰かける。
きょろきょろと部屋の中を見回しても、中学生の住んでいる印象はうけない。
必要最低限のものしかおいていないという感じがする。
「今日買い物つきあってよかったな…」
「どうぞ」
よく冷えたコーラとおいしそうなクッキーがテーブルに並べられる。
「いただきます」
とクッキーをつまみながら、ふとツナは気になっていたことを聞いてみた。
「いつもごはんとかどうしてるの?」
ツナの向かいに座った髑髏はコーラを飲みながら答える。
「いつも隣で食べてるわ。千種料理得意だから作ってくれるの」
そう、実は千種&犬と髑髏の部屋は隣同士なのだ。
一方隣の部屋では…
髑髏がツナを連れて帰宅した事を確認した犬は壁にぴったりと耳をつけ、様子を伺っている。
「くっそーーボンゴレ、髑髏さんに変なことするんじゃねーぞ!!」
「もーやめなよ犬…」
「ボス、一つ聞いていい?」
改めたように髑髏がツナに質問したので、ツナはコップを置いて座りなおした。
「なに?」
「私が日本に来てボスに従うようになって、迷惑じゃない?」
「え?」
髑髏の真剣な眼差しにツナは少し慌てた。
「九代目の指示とはいえ、あまりにもボスの身の回りをうろつきすぎたかなって…
ほんとはボス迷惑に思ってるんじゃないかと思って…」
「そんなことないよ!」
思った以上に大きな声が出てしまって自分でびっくりしたツナだったが、続けて開口する。
「確かにオレは次期ボスになりたいとは思ってないし、なれるとも思ってない。
だけど君が一生懸命任務を果たそうとしてるのは見ててわかる。
そんな人のことを迷惑だなんて思ってないよ」
「でも、私がセックスに誘うといつも断るし…」
「わぁ!ストップストップ!露骨に口に出さないでよ!」
「断るのはイヤだからでしょう?」
いつの間にか髑髏はツナの横に移動し、至近距離で問い詰めていた。
「え、と…それはイヤとかそういうんじゃなくて…」
もごもごと口ごもっていたツナだが、意を決したかのように一気に吐き出した。
「一生懸命な君がかわいいと思ってたら恥ずかしくなって顔をあわせられなかっただけだから!」
「…っ」
ぽろぽろと髑髏の瞳から涙がこぼれる。
「…よかった…」
「わぁ、泣かないでよ〜」
オロオロしながら自分の指で涙をぬぐってあげるツナ。それでも泣き止まない髑髏を
ぎゅっと抱きしめ、背中をさすってやる。
髑髏が泣き止むまでずっとツナは抱きしめ背中をさすったり頭をなでてやったりしていた。
涙がようやく止まった髑髏は、ツナを見上げて素直にこう言った。
「ボス…えっち、しよ?」
さすがのボス・沢田綱吉もこれにはやられてしまい、思わず
「う、うん!」
と承諾してしまったのだった。
ベッドルームに移動した二人は、生まれたままの姿で抱き合っている。
横向きに寝転がり、ツナは髑髏の、髑髏はツナの性器を愛撫しあって
いる。まるでお互いの存在を確かめ合うように…
「は…あァ…」
この数日、自慰で敏感になっている髑髏のあそこはすでにびしょびしょで、
シーツにシミができているほど濡れていた。
一方ツナ自身も先走り液があとからあとからにじんできていた。
「ボス…やらしい」
「なっ、君こそこんなになってんじゃん!」
見つめあい、お互いにっこり微笑む。
「いれるよ?」
「うん」
髑髏をベッドに寝かせ、ツナは上からそうことわりをいれて挿入し始める。
ズププ…
「んん…」
初めての時よりもスムーズに挿入されぞくぞくと背筋を快感が走る。
「動くね」
ぐっ、ぐっ、と髑髏の様子を伺いながら腰を動かす。
「あっ、あっ、 んァ…」
どうやら痛みはないようだ。
「っ…きもちい…」
ボスが喜んでくれている。気持ちよくなってくれている。それだけで髑髏は幸せなのだ。
「ぼ す…アァァ…!」
髑髏の中がツナを熱く包みこみ、収縮を繰り返す。
「も…イく…ッ!」
ふと、ツナが目を覚ませばあたりはすでに暗くなっていた。
(あれ…今何時…?)
視線だけで見渡せば、自分の腕の中に髑髏を発見した。
すーすーと可愛らしい寝息をたてて眠っている。
(ま、いっか…)
ツナは髑髏を起こさないように抱きしめ直すと、もう一度眠りにつく。
明日の朝目が覚めたら、髑髏に内緒で買っておいたケーキを一緒に食べよう、そう考えながら…
END
→おまけ