「ただいま〜」  
「お帰り、ルリ姉」  
 帰宅したるりのダレきった声に返事をする勇太。クラブ活動のせいで帰りが遅くなりがちな彼女は、先に帰宅している彼がこうして応じないととたんに不機嫌になる。だから勇太は、今日も律義に返事をするのであった。  
「あ〜、暑いわね〜」  
 ずかずかとリビングに入ってきたるり。ソファに鞄を投げ出すと、勇太が独占していた扇風機の前に立ってスカートをめくり上げた。  
「あ〜、極楽極楽」  
 ぱたぱたとスカートをひらめかせ、太股にまとわりつく熱気を払う。弱めにかけられた冷房によって冷やされた風が汗ばんだ肌を撫でる快感に、るりが甘い声を漏らす。  
「ちょ、ちょっとルリ姉、はしたないってば」  
「ん? いーじゃない、あんたしかいないんだし」  
「もうちょっと恥じらいってものがさ」  
「何あんた、私のパンツ見たいの? 見たいなら見せてやるぞ、ほれほれ」  
 背中を向けていたるりが勇太の方に振り向き、つまみ上げたスカートの裾ををひらひらと揺らして見せつける。  
「ちょ、ちょっとルリ姉!」  
 慌てた勇太は、それでもるりのスカートの中から目を逸らす事ができなかった。いや、姉の下着姿など風呂上がりなどで見慣れてはいる。しかし今回ばかりはそうもいかなかったのだ。  
 
「な、何だよそれ!!」  
「ん? 何?」  
 顔色を変えて叫ぶ勇太に、全く動じず微笑むるり。その微笑みは余裕の笑みというよりは、してやったりという顔である。  
「そ、そんな小さいぱ、パンツ、学校に履いていったのかよ!?」  
 そう。それは小さな小さなショーツだった。ごく小さな白い逆三角形の布が、るりの秘丘を隠している。いや、隠しきれてはいなかった。彼女の下叢の一部は、完全に露になっていたのだった。  
「ブーーーッ、これはパンツじゃなくて、水着で〜っす」  
 ルリが身に付けていたのは、マイクロビキニのボトムだったのだ。  
 今年の流行はまるでリオのカーニバルで見かけるような大胆なデザインのものが多く、デパートに寄ったるりもまた、そんな小さな水着の一つを購入した。  
 そして彼女は買ったばかりのそれをデパートのトイレで身につけて、わざわざ勇太に見せつけていたのだった。  
「だ、だったら、せめてちゃんと手入れしろよっ! は、はみ出てるだろっ!」  
「あ、やっぱり見える?」  
「ま、まる見えだよ!!」  
「ん〜、そう?」  
 アンダーヘアを見られていると言うのに、恥じらいもせずニヤニヤと微笑むるり。そんな彼女が何を考えているかを想像した勇太の背中に冷たい汗が走る。  
「だったら、剃って」  
「誰が?」  
「あんた以外に誰もいないじゃない」  
「え、え、ええ〜〜〜〜〜〜っ!?」  
 二人きりしかいない森崎家のリビングに、勇太の悲鳴がこだました。  
 
(ど、どうしてこんなことに……)  
 勇太は混乱の極みにいた。  
 ここは勇太の部屋。  
 部屋の中には勇太とるり。  
 制服姿のままのるりは彼の目の前でショーツ……ではなく水着を脱ぎ、ベッドの上にちょこんと座っている。  
 そして勇太の手元には、安全剃刀と小さな鋏。  
「それじゃ、布で隠せないところは剃刀で剃って、残りは短めにトリミングしてよね」  
「じ、自分でやれば……」  
「嫌。もう決まってるの」  
 そう告げると、ぴったりと閉じて立てていた膝をおずおずと開いてゆくるり。さすがに恥ずかしいのか頬を真っ赤にしている。  
「言っとくけど、全部剃ったりしたらあんたも同じ目にあわせるからね」  
 本気だ。勇太はそう思った。思いつつも彼の視線は、るりの脚の付け根に釘付けになっていた。彼の見つめる先では、彼女の全てが露にされてしまっていた。  
(子供の頃とは……違うんだ……)  
 この年頃の少年にとって、女性の裸体、特にグラビア写真などでは見る事のできない部分への興味は並大抵ではない。  
 勇太にしてもそうであった。最も身近な異性であるるりの下着姿であれば、見慣れている事もあって平静でいられただろう。だが、その部分が剥き出しになっているとあってはそうもいかない。  
 ごくり、と生唾を飲み込む。  
 
「それじゃ、とっととやっちゃって」  
「う、うん……」  
 るりの声に操られるかのように、ふらふらとベッド際の床に座り込む。彼女の花園が、勇太の目と鼻の先に花開いている。  
 鋏を床に置いて、右手に剃刀を持つ。左手を伸ばしかけて、とある事に気付いた勇太が、視線をあげる。  
「さ、さわる、から」  
「当たり前じゃない。触らないとできないでしょ」  
「う、うん」  
「言っておくけど、余計な所触ったりしないでよね。必要な所だけよ」  
「うん」  
「あと、綺麗なお姉さまを見て興奮するのはわかるけど、変な事しちゃや〜よ」  
「……」  
「我慢できたらご褒美あげるから」  
「……ご褒美って」  
「内緒。でも約束したげる。あんたが泣いて悦ぶご褒美」  
「……」  
 無言のまま、視線を戻す。左手をるりの下腹部に添える。  
(うわ……)  
 柔らかい、しっとりとした肌。運動部員であるるりは、比較的筋肉質であるはずなのだが、それでもその肌はもっちりと柔らかく、触れているだけで心地よいとさえ感じられた。  
 
 右手に持った剃刀を、生え際に当てる。先程リビングで目にした水着の形状から想像してはみ出しそうな部分を思い浮かべる。  
「言っておくけど、傷つけたりしないでよね」  
「う、うん」  
 ゆっくりと右手を引く。剃刀が通り過ぎた後は、ヘアの大半が剃り上げられていた。  
 剃り残りがないよう、二度、三度と右手を動かす。  
 るりの丘の部分に生える叢は、勇太から見て右側の部分が斜めに剃り落とされた。  
 そして、同じように左側の部分も仕上げてゆく。  
 やがて彼女のそこは、綺麗なVの字型に整えられた。  
「こ、こんな感じ、かな」  
「水着当ててみればいいっしょ」  
「そ、そうだね」  
 ベッドの上で丸まっていた水着を手にして、それを当ててみる。  
「……上がはみ出すかな」  
「んじゃそこも剃って」  
「……う、うん」  
 丘の上部も剃り上げてしまう。これで、完全な逆三角形型になってしまった。  
「あ、あの、さ」  
「何?」  
「さっき、その、し、下の方も、ヤバそうだな、って」  
 恥丘の部分だけではなく、大陰唇の部分にもヘアは生えている。あまり極端なハイレグではないとはいえ、これだけ小さな水着だと少しでも食い込もうものならその部分もはみ出してしまうことは必定だ。  
「あっそ。だったら、剃ってね」  
 るりは非情だった。  
 
 剃刀を手にしたまま固まってしまう勇太。それもそうだろう。これまでは、るりの太股の付け根のあたりの下腹部を剃るだけで済んだ。  
 だが、陰唇の部分を剃るとなると、これまで意識して見ないよう見ないようにしていた部分を目の当たりにしてしまう。  
「ん? どうした? ほれほれ?」  
 真っ赤になって固まっている弟をからかうるり。面白がってそう言っている彼女自身も真っ赤なのであるが、視線を動かせない勇太はそれに気付かない。  
(……い、いいん、だよね?)  
 おそるおそる伸ばした左手が、先程よりずっと際どい場所に触れる。右手に持った剃刀を当てようとして左手に少し力を入れたら、かろうじて閉じていた花弁が開いてしまった。  
「あっ!」  
 肌色の蕾に隠されていたピンク色の花弁。そのコントラストが、勇太の視線を引き寄せて離さない。  
 蠱惑的な色。見られ、触れられることで感じているのか、るりの漏らした滴によって潤ったそこはしっとりと濡れ、扇情的な香りを漂わせていた。  
 ぶるっと身震いする勇太。野獣になってしまいそうな自分をやっとのことで抑え込む。  
(あ、相手は、ルリ姉なんだっ……!)  
 そして、あらん限りの理性を総動員して、任務を全うする。まず右側から。そして次に左側を。  
 ルリの花園の周囲のヘアを、やっとの思いで掃討した。  
 それに比べれば、最後に残った逆三角形の部分を長過ぎないようにトリミングするのはどうということのないことであった。  
 
「お、終わった、よ」  
「ん。ごくろーさん」  
「じゃ、じゃあ、もういいだろ」  
「あ、待った」  
 立ち上がろうとする勇太を、るりは呼び止めた。  
「な、何さ!」  
「ふふ、どこへ行くのかな?」  
「……」  
「トイレでスルんでしょ?」  
 図星だった。実の姉とはいえ、異性の局部を間近に見せつけられ、彼のそこは破裂寸前であった。  
「いいわよ。このまましちゃえば」  
「ルリ姉!」  
「ふふ」  
 両膝に手をかけ、勇太の手によって剃り上げられた局部を開いて見せつけて妖しい微笑を浮かべる。  
「うふふ、オカズにする位ならいいわよん。こんなチャンス滅多にないぞ?」  
「……!」  
 その一言で、勇太も開き直った。たとえトイレに逃げ込んで始末しても、そのことをルリに知られているのであれば、今ここでするのと大差はない。だったら、彼女を視姦することでせめて一矢むくいてやる。  
 勇太はズボンのファスナーを開け、先程のようにベッド際の床に膝をついた。  
 
「ふ〜ん」  
「な、何だよ」  
「なんでもな〜い」  
 るりの視線がペニスに注がれるが、堂々と見せつけてやった。そして、彼女の見ているまえで右手をシャフトに添え、ゆっくりと扱き始めた。  
 それは奇妙な光景であった。  
 まだ日も沈んでいないというのに、姉弟が互いの性器を見せ合い、一方は自慰に耽っている。  
「そういう風にするんだ」  
「あ、ああ」  
「週に2、3回シてるよね?」  
「!」  
「わかっちゃうって」  
 クスクスと笑うるり。どう隠しても一つ屋根の下、わからないはずがない。  
「る、ルリ姉は、どうなんだよ」  
「ナイショ。してないわけじゃないけどね」  
 ぺ、と舌を出す。  
「じゃ、じゃあ、今、ルリ姉もしてよ」  
「お?」  
「僕だけ、スルところを見られるなんて、ふ、不公平だっ」  
「ん〜、じゃ、特別にね」  
 るりの右手が下腹部に伸びる。一度下の方に延びた指が、溢れた蜜に指先を浸す。  
 そしてその指先が、ぷっくらと膨らんだ突起に触れた。  
「んっ……」  
「そ、そこって」  
「わかってるんでしょ……女の子の、一番気持ちいい場所なんだから……覚えときなさい」  
 
 勇太の右手が上下に動き、硬い肉柱を扱き上げる。  
 るりの指先が円を描くように動き、感じやすい雌蘂を転がす。  
「あ、あっ、……ああっ……」  
「ん……んっ……んんっ」  
 弟は姉を。  
 姉は弟を。  
 互いの淫らな姿を見ながらの自慰行為。  
 勇太の荒い息が、るりのそこに浴びせらる。  
 視線と、吐息による愛撫に震えるるり。  
 そんな彼女の花園から立ち上る牝の香りが、勇太の鼓動を高ぶらせる。  
(ルリ姉……ルリ姉!!)  
「あああっ!」  
 限界だった。  
 勇太の先端から、熱い白濁が飛び散った。  
 るりに見られながらオナニーして、そして、射精してしまった。  
 まだ力を失いきっていないモノに手を添えたまま、勇太はぺたんと床に座り込んだ。  
 そんな勇太を見つめるるりは、ほんの少しだけ不満そうな顔をしていた。  
 
「んじゃ、おしまい。ありがとね」  
 オナニーを中断して、跳ね上がるようにしてるりは立ち上がった。  
 脱いだ水着を手にして、そのまま立ち去ろうとする。  
「あ、そうそう」  
「……なに?」  
「ご褒美の件だけどね、合格」  
「……そう」  
 勇太はまだぼんやりとしている。  
「ふふ、この水着さ、あたしと瞳美でおそろいのを買ったんだよね」  
「……え?」  
「あたしが白で、瞳美が黒。んで、あたしだけじゃなくて、瞳美もはみ出しちゃうみたいなのよね。だから、明日あんたがお手入れしてやんなさい」  
「え? え? ええええええ?」  
 驚いてるりの方を向き、頓狂な悲鳴をあげる勇太。  
「ふふ、この魅力的なルリお姉様を見ても襲いかかったりしないだけの理性のあるあんたなら、瞳美相手にもオオカミになったりしないでしょ。んじゃ、よろしくねぇ〜ん」  
 右手の指に引っかけた水着をクルクル回しながら去ってゆくるり。  
 残された勇太は、ただ呆然とするしかなかった。  
 
瞳美編に続く〜  

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