高速道路に乗って一時間ほどしただろうか。俺の体に異変が起きた。  
 動悸に息切れ、体温の上昇に伴う発汗……どうして?  
「どうしたの、カイト?」  
「何か、熱い」  
「どこかで休む?」  
「うん……」  
 手近なところで高速道路を降り、メイコの勧めでラブホテルに入る。  
 俺もメイコも折よく明日の仕事は昼や夕方からだったから、マスターの携帯電  
話に一泊する旨のメールを送った。  
「大丈夫?」  
 メイコに支えられながらエレベーターで移動し、部屋に入る。  
 何だこれ、体がすごく重い。  
 どうにか部屋に入り、ベッドに横になる。ところで死ぬ間際は性欲盛んになる  
って聞いたけど、コレもかな。俺ボーカロイドなんだけど。  
「か、カイト……」  
「あ」  
 冷蔵庫を探して振り向いたメイコに見つかった。  
「いや、これはその……風前のともしび的な」  
「ボーカロイドにもちゃんと効くのね」  
「は?」  
 メイコがくすっと笑い、ズボンの上から俺のものを撫でる。  
「な、何言ってんだ?」  
 嫌な汗が出てくる。俺、メイコに殺されるの?  
 いや、機能停止させられるの……?  
 
「バイアグラ」  
「え?」  
「ミクちゃんに、もらったの」  
 駐車場でメイコがくれたのは、バイアグラ? っていうか初音エェェ!!  
「じっとしてて」  
 俺のベルトとボタンを外すと、メイコはジジ、と焦らすようにチャックを下ろ  
し、立ち上がっている俺のものをくわえた。  
「うっ」  
 チュッと軽く吸い、カリ首をねっとり舐める。それだけでもうイきそうだ。  
「はぁ……カイトの、いつもよりおっきくて硬い」  
「メイコ……」  
 頭を振りながら手も同時に動かすメイコ。我慢できずにシーツを握り締めてイ  
ってしまった。  
「うっ……は、あ、はぁっ」  
「ん、甘い」  
 嘘つけ! え、俺糖尿病なの、アイスの食い過ぎで? マジやべぇ。  
※糖尿病で精液は甘くなりません。  
「今度は、こっち」  
「ま、待て待て、そんなに早く使えないからっ」  
「あ」  
 そういえば、といった顔でメイコがしょげた表情を浮かべる。顔は真っ赤で涙  
目になり、挑戦的な目元がいつものメイコに戻ると上目遣いに俺を見上げた。  
「あ、あの、私……」  
「おいで、メイコ」  
 手招きするとおとなしく側に来た。さっきはまだダメだとメイコを止めたけど、  
意外にもすぐに使えそうだった。侮れないな、バイアグラ。  
 枕元にしゃがみ込んだメイコの頭を撫でると、メイコが驚いたような顔をした。  
「もう使えるから、さっきの続けて?」  
「さっきの?」  
「ちょっと攻めっぽい感じの」  
「が、頑張るっ」  
 両手を握り、メイコがうなずいた。  
 
「んと……こ、今度はこっち」  
 メイコが俺にまたがってスカートをめくった。  
「触って」  
 言われるまま手を伸ばし、パンツの上からメイコのあそこに触れる。布越しで  
もぐっちょり濡れているのがわかる。  
「あっ……も、もっとよ」  
 パンツごとメイコの中に指を入れると、驚くほど熱い。メイコの体が震え、腰  
が抜けそうになっているのがわかる。指を抜いて浮き上がったクリトリスをつつ  
くと、大仰なほどびくついた。  
「頭が、ぼうっとするだけかと……思ってたけど、触られたら、すごく感じる」  
「メイコも、飲んだの?」  
 メイコが縦にうなずく。何てこった。  
「さっきのカイトの顔を見てたら、ほしくなって……でもこんなに濡れるなんて」  
「ほしい?」  
「うん。だから、入れるわ」  
 手早くパンツを脱ぎ捨てると、メイコが自分の花弁を開きながら俺のものをあ  
てがう。俺のものが期待に震えて狙いが逸れ、メイコは眉尻を下げた。  
「(´・ω・`)」  
「あ、ごめん」  
 謝ると、また幾分真剣な顔で臨むメイコ。  
 その瞬間はすぐに訪れた。  
 
「あぁんっ!」  
「うくっ……ぅ」  
 ぬるぬるの膣が痛いくらい締め付けてくる。  
「はっ、ぁ、硬い……奥まで届いて……きもひいい」  
 胸を揺らしながら腰を振るメイコ。早くも呂律が回らなくなってきたようだ。  
「イイようっ! 奥まれ、ずんずんっ、イイっ! あはぁっ」  
 メイコの腰を掴んで下から突き上げる。メイコの中がタコ壺のように吸い付い  
てきて、ものすごく気持ちいい。TE●GAのオナホに優るとも劣らない。  
 え? ち、違う、俺が使った訳じゃなくてマスターから聞いた使用感を想像し  
て……って誰に何の言い訳してんだ俺。  
 とにかく今日のメイコは気持ちいい。オナホと違って今日はちゃんと動いてく  
れるし、人工繊維が収縮して圧迫感も大小交互にくる。それに潤滑油は足さなく  
ても溢れてくるし。  
 え? だから俺が使った訳じゃないって!  
「あぁっ、あんっ、んんんっ!」  
「くっ……う、うっ!」  
 すぐに限界がきて中に出してしまった。  
「ふあぁぁん!」  
 びくびくと震えるメイコの止まってしまった腰を掴んで、更に突き上げる。二  
度目を出したのに硬度が全く衰えないとは。これは本当に俺のものか? と言う  
より、大丈夫なのか、バイアグラ。  
 
 メイコのもっとと言う声に促されて腰を振るが、アレは衰えなくても腰が疲れ  
てきた。誰か助けて。  
 合計5回出してから、ようやくメイコが疲れたと言ってくれた。俺本当に頑張  
った。普通三回が限界なのに。いや、しようと思ったら何回でもできるけど、疲  
労は故障のもとだから無理は禁物だ。そしてふと気付く。  
 俺、メイコに攻められてた。頼んだせいもあったけど、何で急に……?  
 俺たちの行動は予め設定された性格と学習によってどういう行動を取るか決ま  
る。行動原理は性格に起因することがほとんどで、性格から外れると思われる行  
動は学習に由来する。だから予想外の行動は、何かから学習してそれを実行に移  
すに値する評価が得られたとしか思えない。  
 つまり、性格的にしないと思われる行動は誰かに肯定されなければ実行しない。  
この行動選択プログラムは完成するまでに何十年もかかったばかりか、それを演  
算できるスリムな(これ重要)人型の機体ができるまでまた何十年もかかってい  
るんだから、人間の脳は本当に高性能だ。俺たちはスリムに見えて標準体重の三  
倍はある。  
「ほら、背中流してあげるよ」  
 中途半端に着崩した服を全て脱ぎ、メイコの手を引いて浴室に入った。浴槽に  
湯をためながら、シャワーの温度を調節し、メイコの背中にそっとかける。それ  
から前に回って、メイコのあそこにお湯を当てながら中の精液を掻き出した。  
 シャンプーで髪を、ボディシャンプーで俺とメイコの体を洗う。髪の毛は絹糸  
のような人工素材だからコンディショナーは必要ない。  
「はぁ……」  
 浴槽に浸かると、腕の中のメイコが小さくため息をつく。なめらかなメイコの  
背中を雫がしたたった。  
「今日はメイコも頑張ったね。何かあったの?」  
「えっ、あ……べ、別に……」  
 うつむくメイコ。  
「本当に?」  
 振り返ったメイコの虹彩が……と言うよりカメラのレンズがきゅーっと動いて  
俺に焦点を合わせる。  
「メイコ?」  
 振り返ったまま何も言わないメイコに声をかける。瞬きはしているからフリー  
ズしている訳じゃない。  
 口がごくわずかに開け閉めされているから発言を逡巡しているのかもしれない。  
 
「あの、ね」  
「うん」  
「私が書いたSS、カイトが褒めてくれたから……」  
「SS?」  
 思い当たる記憶が見つからない。そもそもメイコを褒めたことがない。  
「よくわからないんだけど、それはいつのこと?」  
「昨日」  
 昨日と言えば、エロパロ板のボーカロイドスレに投稿された素敵職人さんたち  
のメイカイを絶賛してた。それからメイコが出かけたあと保管庫でまたカイメイ  
を読んで……って、俺カイメイ好きなのか。他にも、カップリングはたくさんあ  
るのに勿体ない。  
 
「“うおー、GJ!”」  
「え?」  
「そう書いてくれた」  
 いっぱいありすぎるんですが。  
「前スレ810で」  
 一件ヒット。確かにそう書いた。  
「あぁ、あれか……って、ええぇぇぇっ!」  
 あれ書いたのメイコ!? こんな身近に職人さんが……知らなくて大絶賛しちゃ  
ったよ。  
 いや、身内でも作品に対する批評は公平な視点から……って何言ってんだ俺。  
「そうだったのか……」  
 再びうつむいてしまったメイコを抱き締める。  
「ありがとう」  
 メイコは小さくうなずき、肩の力を抜いた。  
「そろそろ上がろうか」  
「うん」  
 バスタオルで体表面の水分を拭き取り、ガウンを羽織る。それから二人でベッ  
ドの上に寝転ぶ。  
「おやすみ、メイコ」  
「おやすみ、カイト」  
 電気を消して、俺たちはそのままスリープモードに入った。  
 
 翌朝、身仕度を整えると支払いをしてラブホテルを出た。高速道路を飛ばして  
帰宅すると、ソファでマスターが死んでいた。いや、生命活動が停止している訳  
ではなくて、死にそうなほどやつれていただけだ。  
「マスター!」  
 メイコが駆け寄ってマスターを抱き起こす。  
「大丈夫ですかっ」  
「め、メイコか……犯人は、ミ、ク……がくっ」  
 あ、気絶した。そんな捨て身のギャグをするとは、何て無茶を。  
 今更描写するのも何だけど、とりあえずマスターは全裸だ。そして初音は……  
と周囲を見回して、発見した。マスターに気を取られて気付かなかったが、ソフ  
ァの下にいる。うちのソファは薄っぺらい初音がぎりぎり入るくらいの隙間があ  
り、初音の足がちらと見えていた。全く、初音は狭いところが好きなのか?  
 と思っていると身じろぎをし、メイコが悲鳴を上げた。  
「きゃあぁぁ! かっ、カイト! 何かに足掴まれた!」  
「初音だよ」  
「えぇっ」  
 涙目のメイコの足から初音の手を外し、その手を引いて引きずり出した。それ  
でも寝ている初音。一度検査に連れていった方がいいかもしれない。  
「俺は初音を部屋に連れていくから、メイコはその辺掃除してて」  
「うん」  
 まぁ、あちこちに液体が飛んでるから。それが何なのかは察してくれ。  
 初音をベッドに置くと戻ってメイコと共に掃除をし、綺麗な部屋で昼食を摂っ  
た。そして昼からメイコ、夕方から俺が仕事に出た。夜には二人とも戻り、俺の  
部屋で優雅にワインで晩酌をしたあと一回だけセックスして寝た。  
 スリープモードに入る直前に俺は気付いた。メイコが最高の相棒だってこと。  
そのメイコは俺のことが好きだってこと。きっとこれが、幸せだってこと……。  
 そう、青い鳥はもう腕の中にいたんだ。  
 
終わり。  
 
 
選択肢。  
    A1.カイト&メイコ(完)  
→A2.ミク&マスター  
 
 
 
 
 

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