「10代目!明日の夜、俺と一緒に祭りに行きませんか」

「祭り?」

「はい!隣町でやるらしいんですが、花火もあって結構大きいみたいっスよ」

「へぇ〜・・・じゃあ行ってみようか!あ、山本も誘って・・・」

山本の名前が出た途端、獄寺の眉間に皺がよる。

「あー…、んと、山本は部活で忙しいか。・・・二人だけで行く?」

上目遣いで獄寺の様子を伺いながら聞いてくる。
ツナに気を遣わせてしまったのを心苦しく思いつつあまりの可愛さと嬉しい約束に思わず顔が緩んでしまう。

「はい!それじゃあ明日の夕方お迎えに上がりますね」

「うん、わかった」

(よっしゃ!初めてのデートだ!)

紆余曲折を経て、晴れて付き合うことになった獄寺とツナ。
だが、付き合うようになれたのは良いのだが、二人っきりなれる時間はほとんど無いに等しい。
学校では常に山本が10代目に馴れ馴れしくしてくるし、放課後や休日に至っては牛やらアホ女やらが付きまとう。
10代目はお優しい方だから、あいつらをを邪険にあしらうことはしない。
そんな10代目を敬愛して止まないのも事実だが、二人っきりになれないのを嘆くのもまた事実だ。
だが、やっと二人っきりで出かけられて、しかもわざわざ隣町まで行くのだから邪魔が入る可能は限りなく低いはず。

さて、そんなわけで獄寺と祭りに行く約束をしたツナだが、約束の日は朝から大忙しとなっていた。
理由は、たまたまリボーンに会いにきていたビアンキに今日の祭りに獄寺と一緒に行く事を伝えたからだ。
ツナとしては、また獄寺が倒れたら・・・と思ってビアンキに忠告したつもりだったのだが、
何をどう受け取ったのか

『全く、手の掛かる子ね』

と言いながら、心なしか楽しそうに着飾りだしたのだ、オレを。

「ねぇ、ビアンキ。オレ別に浴衣じゃなくて普通の格好がいい・・・」

「駄目よ。私が選ぶ格好で行きなさい」

まるでこちらの意見を聞いちゃくれない。
ここで下手に抵抗しても、結果は見えているので渋々とされるがままになる。
あっという間に約束の時間になる。

「10代目!お迎えに上がりましたよ〜」

「あら、良く来たわね、隼人」

「!げっ、あ、姉貴?!」

愛しい恋人を迎え来たのに、予想外な危険人物が出迎えてくれて危うく逃げだしたい衝動に駆られる。

「待ちなさい、隼人。まさかこの子を置いて行く気かしら?」

「!んなわけねーだろ!」

「そう、それは良かった」

「?どういう意味だ??」

「ふふふ、それは見てからのお楽しみよ」

獄寺には全く理解の出来ない話を一人楽しげにするビアンキ。

「ほら、いつまでそうしてるつもりなの??早く出てらっしゃい」

ビアンキがそういうと、廊下の奥から10代目がオズオズと歩いてくる

・・・か、可愛すぎる!!

ツナは浴衣を着ていた。紺色の生地にに所々、白い蝶が描かれている。
赤い帯もそれに合わせてご丁寧に蝶々結びとなっている。
そして前髪も斜めにヘアピンで留めてあった。
どこからどう見ても、女の子のような愛らしい姿だった。

「ビ、ビアンキ〜。やっぱり女物の浴衣なんて着てるから、獄寺君がビックリして固まっちゃったよ」

10代目の言葉にハッとなり、我に返る。

「っ、10代目!とても可愛らしいです!!」

「可愛いなんて言われても嬉しくないよ・・・」

照るているのか、本当に恥ずかしいのかツナは顔を赤くして抗議する。

「でも、どうして女物の浴衣を?あ、いえ、似合っているのでオレは構いませんけどね!」

「ビアンキがボンゴレのボスともあろう者が、そんな人込みの多い所に行くなんて危ないから
変装でもしてけって話になって・・・。で、リボーンも面白がってオレに女装させたんだ」

ビアンキ一人でも手に余るというのに、リボーンまで関わってきたとはあってはツナに残された道は大人しく諦める以外はない。
思わずさきほどの押し問答と言えるほど押せてなかったやりとりを思い出し遠い目をしてため息をつく。

「それで、私がたまたま夏だからと取り寄せていた浴衣があったから着せてみたのよ」

ツナはもう完全に諦めたのか、困った顔で笑っている。

「そんな事よりあなた達、時間は大丈夫なの?」

「あ!・・・花火まで余裕はありますが、少し急ぎましょうか10代目」

「うん、行こうか。じゃあ、ビアンキ行って来るね」

ツナはカランコロンと鳴る下駄を履いて先に出る
後を追おうとした獄寺にソッとビアンキが伝える。

「頑張ってあの子をデートに誘えたようだから、あの格好は私からのプレゼントよ」

・・・ナイス、姉貴!
小さい時以来、久しぶりに姉の存在に感謝した。

先に出ていたツナだが、浴衣のせいで歩幅が狭いのかすぐに追いついた。
歩くたびにカランコロンと涼しげな音が鳴るのが気に入ったようで、弾むような足取りで歩いている。
が、音を鳴らすのに夢中でバランスを崩し、転びそうになる。
もちろん、獄寺が居ながらにしてツナが転ぶなんて事態になるはずはない。
ツナがバランスを崩した時点で、すでに動いてツナを後ろから抱きしめる形で支える。

「っと、大丈夫ですか?10代目」

「う、うん、ごめんね、ありがとう」

「いえ、10代目にお怪我がなくてなによりです。ですが、危ないのでゆっくり歩いてくださいね」

それと・・・と付け加えて、ソッとツナの手を握ってくる。

「?!」

「手を繋いでいたほうが、もっと安全ですからね」

ニコリと惚けそうになるほど綺麗に笑いかけてくる。
ズルイ!そんな顔されたら、恥ずかしいから離してなんて言えないじゃないか。
思わず心の中で一人ごちるツナ。
暫くは二人は無言で歩く。
ツナは歩いている間に、獄寺の方を何度もチラチラと見る。

獄寺の今日の格好は、ツナと同じく浴衣姿だ。
濃紺に濃い灰色のチェック模様。
獄寺の髪の色に近いそれはとてもよく似合っている。
そして初めて見たのだが、普段は肩につかないよう跳ねている髪が、今日は後ろで一つにまとまっている。
とは言っても、そんなに長いわけでもないので短い所などはヘアピンで無造作に留めているのだが
その無造作すら計算されているのではと、疑ってしまいたくなるほど似合っている。

でも悔しいからそんな事は口に出して言ってあげない。
けれど好きだという気持ちを込めて握った手をギュッと握る。
するとツナよりちょっとだけ強い力で握り返してくれる。
何だか言葉にしなくても想いが伝わったようで嬉しい。

甘く幸せな時間は早く過ぎてしまうようで、気が付けば祭りの喧騒が聞こえてくる。

「うわぁ・・・祭りなんて久しぶりに来たけど、本当に賑やかだね」

「オレもこんなに混んでるとは思ってませんでしたよ。人にぶつかって転ばないように腕に掴まってください」

「え?う、うん・・・」

照れながらもキュウっと腕に抱きつくよう掴まってくるツナは犯罪的に可愛い。

「あ、獄寺君!射的あるよ!ほら、金魚すくいもあるよ!これ懐かしいなぁ・・・小さい頃良く祭りで食べたんだよなぁ」

「ふふ、10代目随分と楽しそうですね」

「わ、ごめん、一人ではしゃいじゃって・・・」

「謝ることじゃありませんよ。誘った甲斐がありましたそれにオレも貴方が楽しそうにしているのを見てると楽しいですよ」

ツナは照れたのか射的屋の方に走ってく。

「せっかくお祭りに来たんだから、目一杯遊んでいこうよ!」

「それもそうですね!10代目何か欲しいものはありませんか?オレの射撃の腕前をお見せしますよ!」

何だかんだと言って、獄寺も年相応にはしゃいで、屋台の食べ物を食べつつ色々と遊んだ。

「そろそろ花火の時間になりますね。ちょっとした穴場見つけたのでそっちに移動しましょうか」

「うん!あ、ちょっと待って最後にカキ氷買っていって良い?」

「オレが買ってきますから、10代目はそこで待っていてください」

そういうと獄寺はカキ氷屋まで走っていく。
ツナはちょっと人込みから外れているところにポツンと立つ。
手持ち無沙汰で意味も無く下駄で地面にある石ころを蹴っていると、フッと影が近づいてきたので、
獄寺が戻ってきたのかと思ったのだがそこには獄寺ではなく高校生くらいの男が3人立っていた。

「ねぇねぇ、どうしたの?待ち合わせ?それとも一人で来てるの?」

「暇なら俺達と遊ばねぇ?いい所に連れて行ってやるからよ」

ニヤニヤと下卑た表情で話しかけてくる。

「い、いえ、人を待っているんで結構です」

ツナがビクビクしながら答えると、途端に

「良いから来いよ。おい、お前らも手伝え!」

「おいおい、いくら自分好みだからって強引すぎんだろ」

「うるせーよ。こんなところで一人で立ってたら危ねぇから親切心で言ってやってるんだよ」

「お前が一番危ないっつーの」

ゲラゲラと笑う男達を前にして、ツナはただただ震えるばかり。
そんな態度のツナに業を煮やしたのか、その男はツナの腕を掴んだ。
その瞬間、男の体が宙を飛んでいた。

「・・・てめぇら、何してやがる」

押し殺したような声で眉間に皺を寄せた獄寺が、男に蹴りをいれたのだ。
男達は一瞬呆然としていたが、すぐに今の状況と理解して憤慨した。
だが、しかし。年と体格差が多少あるとは言え、マフィアと一般人では格が違う。
ろくに攻撃を当てることも叶わず、あっという間に3人とも倒される。
倒れた男達に尚も容赦なく蹴りつけようとしたが、ツナに止められた。

「ご、獄寺君!もう良いから!オレ、何もされてないからもう止めてあげて!!」

「ですが、こいつら10代目に…」

「駄目!それより花火始まっちゃうよ?早く行かないと、ね?」

目が据わって本気で人を殺しかねない雰囲気の獄寺を、何とか宥めて話をそらせようとする。

「・・・わかりました。おい、お前ら。今回は多めに見てやるが、次に目の前に現れてみろ。・・・殺すぞ」

視線だけで人を殺せそうな目で男達を追い払う。

「10代目、本当に大丈夫ですか?どこか怪我でも・・・。何もされませんでしたか?」

さきほどの男達に対する態度とは一転して心配そうな表情でツナに話しかける。

「大丈夫だよ、腕掴まれただけだから。」

「少し痣になってますね・・・。あ、そうだ10代目これどうぞ」

「あ、カキ氷・・・あれ?獄寺君これどこに持ってたの?今喧嘩してたのに」

「あぁ、手は塞がってましたから、足しか使ってませんよ。それよりちょっと失礼します」

言うや否や、ツナの痣になっている方の腕を持ち上げて、痣になっている部分をペロリと舐める。
ツナが何か言うよりも先に

「消毒はこれくらいで良いですね。じゃあ、10代目。そろそろ移動しますか」

何事も無かったかのように言ってくる。ツナは一人赤面し、頷くことしかできない。

最高の景色を貴方に・・・後編

反省
すいません、長くなってしまったので一旦ここで切ります。
とりあえず、ビアンキと獄寺の関係が原作無視してますが、ビアンキ以外に適任者が居なかったのでスルー。
そして後編はほとんどエロのみになる予定です。
ご注意を。

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