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■ ろんぐすとーりぃ

悪魔の指輪

Ring.1 / 姉さんは止まらない


 授業中、僕は〈黒い指輪〉についていろいろと学びとることができた。
 まず――抜けない。皮膚と一体化しているのだ。下手をすると肉にも食い込んでいると思う。これでは石鹸で外すどころの騒ぎではない。それに、「消えろ」と念じると消えることがわかった。なんとなく、悪魔の道具ならそういう機能もあるかもしれない、と考えてみたら、実際に消えて見えなくなったのだ。
 ちなみに、「出てこい」と念じると、指輪は元通りに姿を現した。
(なんだかなぁ……)
 僕は小さく吐息をつき、眼鏡を外しておくことにした。
 こうすると遠くが良く見えない。
 黒板の文字だって全滅だ。
 だが――多分だけど、『目を合わせる』という条件が満たされることが無いと思う。いや、実際には相手が『僕の目を見る』のが発動の条件かもしれない。そうなったら、僕は一生、目を閉じて生きていかなければならないだろう。
 だって……そうだろ? いくらなんでも、『相手をその気にさせる力』なんて、むやみやたらと使いたくないじゃないか。
 仮に相手がおばあさんだったらどうする? とんでもないブスで、でも僕に好意を抱いている女の子だったら? いや、それだけじゃない。悪魔は「好意を抱いた人」と行っていた。額面通りに考えれば、性別とは無関係に……
 考えるだけで寒気がする。
 こんな力を持ったばかりに、男に犯されるかもしれないなんて。
 冗談じゃない。
 そうでなくても、僕はホモに狙われやすいんだ。
 小柄だし、色白だし、細身だし、顔立ちだって女の子っぽいって馬鹿にされるし……
(なんだかなぁ……)
 もう一度、同じ言葉を胸の中でつぶやきながら僕は小さくため息をついてみた。
 いったい、これからどうすればいいんだろう?
 誰かに相談できればいいんだけど……こんな話、誰が信じてくれる?


♥ ♥ ♥


「――まぁ、普通は信じないんじゃない?」
 家に帰って十数分後。部屋でうんうんと悩みこんでいた僕に声をかけてきたのは、僕の実の姉――高岡華乃子だった。
 椅子の上にあぐらをかいた姉さんは、禁煙パイポを口に咥えながら、腕を組み、僕が差し出す左手の〈黒い指輪〉をジッと眺めだした。
「消してみて」
 言われるまま、僕は〈黒い指輪〉を消してみた。姉さんが薬指に触れ、感触が無いことも確認してくる。
「出してみて」
 そのままの状態で〈黒い指輪〉を出して見る。
「もりあがってくる感じだけど……指の中に引っ込んでるわけ?」
「多分……」としか、僕も答えられない。
「でもまぁ、あれだね」と姉さんは手を離した。「とりあえず、眼鏡を外した状態だと、目をあわせても大丈夫みたいじゃない」
「えっ? そう?」
 思わず僕は、ボンヤリとしか見えない姉さんの顔を見上げてみた。
 多分、姉さんと目が会っている状態だと思う。
「大丈夫……?」
「全然」
 ホッと胸をなで下ろす――反面、ちょっとだけ残念な気もする。
 なにしろ姉さんは弟の目から見ても『美人』としか言い様が無いのだ。スラリとした長身、胸は大きく、腰もキュッとくびれてて、サラサラのロングヘアーが、ものすごく似合っている。切れ長な目尻で流し目なんかされた日には、どんな男だって一発でメロメロになるだろう。
 ちなみに姉さんは今年で二十歳。僕とは四つ違いで、今は某私立大学に通っている。
 彼氏はいない。
 確か先月、何人目かの彼氏と別れたばかりのはずだ。
「正樹」と姉さんが顔を近づけてくる。「もしかして『ちょっと残念かなぁ』とか思ってるでしょ?」
「いっ――!?」
「やっぱりねぇ」
 ニタニタと笑う姉さんの顔が真正面にあった。
 その時だった。
――ドンッ
 姉さんが僕の胸を押した。僕はコロッと絨毯の上にあぐらをかいたまま後ろに転がる。
「だったら実験してみようか?」
 姉さんが僕のお腹の上に馬乗りになった。
 マウントポジションだ。
「本当に姉さんの欲望が強まるのか――ね?」
 驚く暇も無い。
 机の上に置いていた眼鏡が、姉さんの手で、僕の顔にかけられた。
 ハッキリと見える。
 姉さんの顔は、まるで風呂から上がったばかりのように火照っていた。
 目がトローンと蕩けている。
 僕は悟った。
 もう、姉さんは指輪の魔力にとりつかれている。
 僕が見えなくても、効果はあったんだ!


♥ ♥ ♥


「ね、姉さん、まずいって! 僕たち、姉弟だろ!?」
 僕は姉さんを押しのけようとして両手を突き出した――が。
「あんっ
 僕の両手は、Tシャツの上から姉さんの胸を押し上げるだけになった。
「うわっ! ご、ごめん! そういうつもりじゃなくて!」
 慌てて手を離す。
 でも、ものすごいやわらかと、ほんのちょっとだけ掌に感じたコリッとした部分の感触で僕はパニック状態に陥ってしまう。
 ノーブラだ。
 姉さん、よりにもよって、今日はノーブラでのんびりしてたんだ!
「正樹の目、キレイだよね……」
 姉さんがうっとりとした表情で、僕の両頬を挟みこんでくる。
 サラリと長い黒髪が、僕の顔をくすぐった。
 姉さんが体を傾けてきている。
 顔が近づく。
(うそ……!)
 姉さんの唇が、僕の唇を塞いでしまった。
 柔らかい感触。
 ムッとするほどの甘い姉さんの体臭。
 姉さんは目を半目にして開いたままだった。僕も目を見開いている。
 なにがなんだか、わからなくなる。
――ヌチュッ
 姉さんの舌が、口の中に滑り込んできた。
 ネチョネチョと僕の口の中を、姉さんの舌が舐めまわしていく。
 気持ちいい。
 それに姉さんの唾液が、ものすごく甘くて、おいしいように思えた。
 僕の方も自然と舌を突き出してしまい、ネチョネチョと姉さんの舌に絡み付いてしまう。
 もう、僕のペニスはぎんぎんに固くなっていた。
 両足をダラリと伸ばしてしまうと、ジーンズを履いた姉さんは、股間をすりつけてくるように腰を動き始める。
 僕は今はジーンズにTシャツなんていう、姉さんと同じ服装をしているから――なんというか、まぁ、たったそれだけの行為なのに、ものすごく気持ちよくて、射精感がわきあがってきてしまう。
 姉さんが「ふぅ……」と息をつきながら体を起こした。
 僕と姉さんの唇の間に唾液の糸がうまれ、プツッと切れる。
 姉さんは首をめぐらし、髪を全部、後ろに流した。
 豊満な胸がプルンと震える。
 乳首が立っていた。Tシャツ一枚だけだから、それがハッキリと見えている。
「……くすっ」
 姉さんは僕の視線に気付いたらしい。
 おもむろにTシャツを脱ぎ、放り投げ、再び髪を後ろに流した。
 初めて間近で見る姉さんの胸は、白くて、大きくて、柔らかそうで、でもツンッと上を向いてて、まったく垂れていなくて――
「ほら……」
 姉さんが僕の両手首を掴み、大きな胸へと誘っていった。
「こうして……んっ、あっ んっ ぁん
 姉さんは僕の手に自分の手を重ね、自分の方から胸を揉みほぐさせ始めた。
 僕はされるがまま、姉さんを見上げることしかできない。
 女性の胸が、なぜ『おっぱい』と言われるのか、わかるような気がした。
 絶対にこれは『胸』じゃない。
 柔らかいくせに張りがあって、でもどんな形にも変形する不可思議な物体。
 これを正確に表現するには『おっぱい』の方が正しいはずだ。
「ここをね、こうして指で――んんんっ
 中指と人差し指の間、第二関節の節で乳首を挟むと、姉さんはあごをのけぞらせた。
 その艶めかしい、白い首筋を見て、僕の中に何かがプツッと切れた。
「姉さん!」
「あっ、いい……もっと、もっと強く……
 僕は体を起こし、姉さんのおっぱいにむしゃぶりついた。
 姉さんがのけぞる。
 僕が乳首を軽く噛むと、
「あぁあああっ
 と声をあげて後ろに倒れこもうとする。
 僕は姉さんの腰を抱きながら、前のめりになりつつ、乳首にむしゃぶりついた。
「待って。脱ぐから、待って」
「えっ――!?」
 姉さんに押され、体を起こしてみると、姉さんはカチャカチャと自分のジーンズのボタンとジッパーを降ろしながら、スルリと両足を僕の脇の下を通して肩に引っ掛けてくる。
「んっ……」
 姉さんは膝をお腹につけるような姿勢になり、ショーツごと、ジーンズを脱いだ。
 ジーンズはどうにか膝上まで脱げた。
 白いお尻が丸見えになっている。
 それにトロリと濡れている、充血して口を開いたヴァギナや、少しだけ色付きながら、キュッとすぼまっているお尻の穴まで……
 我慢できない。
「あっ、だめ
 姉さんの止める声も聞かず、僕は姉さんの揃った太股を両腕で抱き、引き上げた。
 そして陰部にむしゃぶりつく。
「あっ、ダメ そこ、お尻、あっ 待って、脱ぐから、待って
 かまわず僕はむしゃぶりついた。
 膝裏を抱えながら姉さんがあえぎ声をあげつづける。
 僕は姉さんに変わって、ジーンズを全部抜き取り、姉さんの両足を肩に乗せて、さらに体をひきあげながら、陰部に顔をうずめた。
「あっ いい そこ そこ いいの わかる? 姉さんのクリトリス、大きいでしょ? そこ……んっ、そう、そこ あっ、いい いいの ぁんう゛、んっ
 どんなに舐めても蜜が溢れ出てくる。
 コリコリしたクリトリスを強く吸い付けると姉さんが体を震えわせて喜んでくれた。
 もっと蜜を舐めたい。
 この甘酸っぱい蜜を、もっと味わいたい。
 僕は舌を膣口に差し込んだ。
 ヌルヌルした膣口の奥は、舌をキュッ、キュッと押し出そうとしながらも、さらにたくさんの蜜を溢れ出してくる。
「もうダメ……きて、正樹。正樹のおチンチン、姉さんのここにいれて
 僕は奮い立った。
 後ろに下がりながらあたふたとジーンズのボタンを外し、トランクスごと、太股の中程までずりさげる。
 姉さんは足を僕の肩にかけたまま、トロンとした目で僕を見ていた。
「わかる? どこに入れるか、わかる?」
「ここ?」
 僕は右の中指を、姉さんの膣口に突きいれた。
 ヌルッと指が飲み込まれる。
 それでいて、ザワザワとしたものがまとわりつき、キュッキュッと締め付けてきた。
「うん、そこ。そこに正樹のおチンチン、入れて。姉さん、ピル飲んでるから、気にせずそのまま、姉さんを犯して」
 僕はペニスを握り締め、姉さんの膣口に亀頭をおしあてた。
「いくよ!」
 一気に腰を押し出す。
「あぁあああああ
 ヌルッとペニスが飲み込まれると同時に、姉さんはのけぞりながら体中を痙攣(けいれん)させた。しかもギュッ、ギュッとペニスも強くしめつけられる。
「くっ……」
 あまりの気持ちよさに射精しそになったが、姉さんの足を肩にのせたまま、太股を抱え込み、僕はどうにか堪えきった。
「姉さん……もしかして、いったの?」
 トロンとしたまま姉さんは小さくうなずくと、僕の腕を掴み、グッと体を押し倒させた。
 姉さんはすごく体が柔らかい。
 自分の足が肩についているっていうのに、姉さんは全然平気みたいで、僕の唇をチュッ、チュッとついばんできた。
「ごめんね、正樹。姉さんばっかり気持ちよくなって」
「姉さん、気持ちいい?」
「すごいの。正樹の入れられただけで、もう、ダメなの。でも、正樹も気持ちよくなっていいんだからね? 好きなだけ、姉さんのこと犯していいんだからね?」
 僕はたまらなくなって姉さんの唇を奪いながら動き出した。
 腰が勝手に動く。
 ヌルヌルの膣壁が全体で僕のペニスをしめあげてきた。
 ザワザワしたものが、亀頭のくびれの裏側まで舐めあげてきている気がする。
 ヌチュ、プチュ、ヌチュ。
 姉さんの蜜が溢れ出てくる。
 僕は体を起こし、姉さんの足を抱え見込みながら無我夢中で腰を動かした。
 姉さんは自分でおっぱいを揉みながらあえぎ続けている。
 もう、ダメだ。
 限界だ。
「姉さん! 出る! 出ちゃう! 出ちゃうよ!」
「出して! 姉さんの中に! 正樹の精液! いっぱい! いっぱい出して!」
「出すよ! いっぱい! 姉さんの中に! 姉さんの中に――!」
 僕は無意識のうちにのけぞりながら、姉さんの奥深くまでペニスをねじ込んだ。
――ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ!
 音が聞こえそうなほどの勢いで、僕は大量の精液を姉さんの中に吐き出した。
「あぁああああ
 姉さんも体を震わせる。
 ギュッ、ギュッと締め付けがつよくなった。まるで根元から先端にかけて、精液が絞り出されているように小刻みに震えてもいる。
 もう、頭の中が真っ白だ。
 不思議と、心の奥底から吹き出した何かが精液となって、吐き出されているように思えた。


♥ ♥ ♥


「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ…………」
 僕は姉さんの胸に顔をうずめた。倒れこむ拍子にペニスが抜けてしまう。姉さんは、そんな僕の頭を抱きしめながら、僕と同様、荒い呼吸を続けている――
「ごめん」
 僕は謝った。
「いいのよ」
 姉さんは「ふぅ」と息をつきながら答えた。なんとなくだが、いつもの姉さんに戻ったように思える。
「まさか、本当に興奮しちゃうなんて……姉さんも半信半疑だったんだもの」
「……そうだったの?」
「実を言うとね」姉さんは苦笑した。「指輪が消えたりしたのも、手品だと思ってたの」
「……ごめん」
「だからぁ!」
 姉さんはギュッと僕を抱きしめた。
「悪いのはあんただけじゃないってことなの。もう、あんたってばすぐに自分のこと責めるんだから」
「でも……そうだろ? 僕がこんな指輪、持ってるばっかりに……その……近親相姦なんかしちゃって…………」
「う〜ん」
 不意に姉さんは悩みこんだ。
 どうしたのかと不思議に思い、顔をあげてみると、姉さんは僕を抱きしめたまま体を起こし、どういうわけか、僕の頬に自らの頬をすりよせながら、頭をナデナデしてくる。
「やっぱ、指輪がなくてもいずれこうなったと思うよ?」
「えっ……?」
「だって、姉さんショタコンだもん」
 絶句。
「えっ!? で、でも、姉さん、彼氏とかいたんじゃないの!?」
「それがねぇ、やっぱり年下じゃないと燃えないのよ。なんていうかな。姉さんの好み、甘え上手な人なんだ、実のところ」
 ポカ〜ン。
「そういう意味じゃ、正樹ってメチャ、タイプなんだよねぇ。だってあんた、いつもは無表情決め込んでるくせに、姉さんが相手の時だけ甘えてくるじゃない?」
「あ、甘えてなんかは……」
「いいの。姉さんがそう思うだけなんだから。だから一度ぐらい、正樹としてみたいかなぁとは思ってたんだよね、けっこう前から」
 こういう時、僕はどう反応すればいいんだろう?
「まっ、そういうことだし、姉さん、ピルも飲んでるから妊娠の心配も無いじゃない? だから、そう深刻になることないって。それにさ、なんか姉さんもスッキリしたし……正樹もそうでしょ?」
「えっ?」
「ほら、こんなに出したし、スッキリしたでしょ?」
 姉さんは僕は少し離し、座り込んだまま、自分の股間に右手を伸ばした。
――チュプッ、チュプッ、チュプッ
 粘液質な音が響いてから姉さんが胸元にあげた指先には、これでもかというぐらい、大量の、それもゼリーみたいにプルプルしている精液がまとわりついていた。
「すごーい……」
 姉さんはうっとりと指先を眺めたかと思うと、あろことか、その指をペロッと僕の前で舐めあげてみせた。
――ピチャッ、ピチャッ、ピチャッ
 姉さんは一心不乱に指にまとわりついた僕の精液を舐める。
 その光景はとてもエロチックで、見ているだけで、ペニスがビクビクしてきたたまらなくなってきた。
「……くすっ」
 姉さんが艶めかしい笑みを浮かべ、再び仰向けに寝そべる。
「また入れたくなった?」
 姉さんは両手で、自分のお尻を掴みながら陰部を左右に開いて見せた。
 クチュッという音と共に、グロテスクにさえ見える充血した陰部が口を開いている。
 膣口から白濁した蜜がコプッ、コプッと漏れ出ていた。
 お尻の穴までテラテラとひかっている。
 僕は生唾を飲み込み、ソロソロと姉さんに近づいて――再びペニスを、呑み込ませた。
「正樹、オナニーしたくなったら、いつでも姉さんの穴、使っていいからね
 姉さんがそう告げてきたのは、二度目の射精の後の、姉さんが僕の上にまたがってきた時のことだった。

つづく
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