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■ ろんぐすとーりぃ

悪魔の指輪

Ring.6 / もうひとりの解放者(1)


 うちの母さんはフリーの雑誌編集なんて仕事をしている。ちなみに父さんは新聞社に勤めていて、今は東京本社に出向中だ。詳しいことは良く知らないが、かつて経済学者の卵だった父さんの知識とコネが必要とされているらしい。
 とにもかくにも、そんなわけ我が家は両親不在の時が何かと多い。
 昨夜もそうだし、今朝もそうだ。
 そんなわけで。
「みんなでお風呂に入るなんて、初めてじゃない?」
 ゴシゴシと泡立てたスポンジで腕をこすりながら桜子が陽気が声をあげた。
「そうね。誰かさん、気がついたら姉さんとも桜子とも一緒に入らなくなったもんね」
 頭にタオルを巻いた姉さんは、桜子の背中を泡立ったスポンジでゴシゴシ擦った。
「普通はそうだってば……」
 僕は湯船に浸かりながら、呆れたようにため息をつく。
(それにしても……)
 とんでもないことになってきたように思える。
 僕は昨日も、姉さんと桜子と木嶋さんを相手に何度も何度もセックスしたのだ。夕方から初めたせいで、さすがに十時頃にはクタクタになったけど、六時頃に目覚めてしまうと嘘のように疲れも消え去っていた。
 なんだかなぁ――と思いながらみんなを残して風呂に入ると、遅れて目覚めてきた姉さんと桜子も裸のまま風呂場に現れ、こうして一緒に入ることになった、という次第だ。
「正樹」姉さんが立ち上がる。「洗ってあげるからあがって」
「あっ、あたしもやる!」
 桜子も立ち上がった。
 なんとなく想像のついた僕は、正直者の股間を見下ろし、フゥとため息をついてから湯船をあがることにする。
 ペニスはびんびんにそり返っていた。
 包皮はむけている。小学生の頃は仮性包茎だったけど、自慰を覚えた中三の頃には、完全にむけていた。いや、包皮がむけて、パンツに擦れる刺激が、僕の性の目覚めだったと思う。ちなみにトランクス派に鞍替えしたのは中二の頃だ。確か水泳の授業の時、みんながトランクスだったので、僕もあわてて鞍替えしたように記憶している。
 閑話休題。
「どう? 気持ちいいでしょ?」
 椅子に座った僕の背中に姉さんの大きなおっぱいがこすりつけられてきた。
「お兄ちゃん、ビンビンだよ?」
 桜子は僕の閉じた太股の上にまたがり、そりかえるペニスを下腹部で僕のお腹に押し付けながら、張りのある胸をすりつけ、チュッ、チュッと僕の顔中をついばんでいた。
 どちらも体中がボディーソープのせいでヌルヌルだ。
「お兄ちゃん、このまま入れる?」
 桜子は腰を浮かし、自分のお尻の方に右手をまわして、ペニスをつまみ、クチュクチュと自分の陰部に亀頭をこすりつけてきた。
 ここまでされて最後までしない男なんて世の中にいるものか。
「入れる」
 答えると同時に、僕は桜子の腰を掴んで、一気に下へと降ろした。
――ヌルッ
「あっ……」
 桜子は体をふるわせ、僕の肩に顎をのせてきた。
 ペニスがギュウギュウと締め付けられている。手で握られているような狭さだ。そのくせ、トロトロになるまで濡れているせいで、引っかかりがまったくない。
「桜子、気持ちいい?」と姉さん。
「うん……」
 姉さんと桜子は、僕の肩口で舌を絡め出した。
――クチュッ、ピチャッ、プチャッ、ピチャッ
 わざと音をだしているとしか思えない。
 僕が右手を後ろにまわし、姉さんの股間に手を差し込んだ。
 あきらかにボディーソープとは違うぬめりが姉さんの股間をトロトロにしていた。
 指を二本、一気に入れる。
「はぁっ……」
 姉さんが甘い声を出した。
「正樹……」
 姉さんがおっぱいを強くこすりつけてきた。
「お兄ちゃん……」
 桜子が一生懸命、胸をこすりつけながら上下に動きだす。
 もう、全身がヌルヌルだし、柔らかいし、ペニスはギュウギュウだし――
 僕は姉さんの陰部を指でグチャグチャにしながら、桜子のお尻の下に左手を差し込み、激しくペニスを突き上げ出す。椅子から落ち、お尻を打ち付けたけど、もう、それすら無視して、僕はおもう存分、ふたりをせめ続けた。
「あっ んっ やっ あっ お兄ちゃん お兄ちゃん お兄ちゃん
「正樹 姉さん、いいの もっと、もっと奥まで
「出すぞ! 桜子! 姉さん、次だからね!」
――ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ!
 桜子も小刻みに痙攣(けいれん)して体をぐったりと僕に預けてきた。
 姉さんが僕を支えつつ、そのまま仰向けに倒れさせる。うちの風呂場は下が柔らかい樹脂性なので、こうして仰向けに寝てもあんまり痛くはなかった。
「正樹、いいよね?」
 姉さんが僕の太股をまたいできた。
 僕は桜子を上に滑らせ、ペニスを抜いた。姉さんがドロドロになっている僕のペニスを掴み、待ちきれなかったばかりに、そのまま腰を降ろしてくる。
「んっ……
 ヌルリとしてザワザワとしたものがペニスを包みこんだ。
 顔が桜子の胸にうまっているせいでよく見えないけど、姉さんは僕にまたがると、今もグッタリとなっている桜子の背中に倒れこんできたようだ。
「……姉さん、イッたの?」
「軽く……ね」
「……お姉ちゃん?」ようやく桜子が気がついた。「あっ、お兄ちゃん。苦しくない?」
「少し」
 姉さんが上体を起こした。桜子も僕のおなかにまたがる形で、ボディーソープまみれになった僕の顔をタオルで拭いてくれた。
「んっ……んっ……んっ……んっ……」姉さんが自分で動きはじめる。
「お兄ちゃん……」桜子が背中を丸め、唇を重ねてきた。
 脱衣所の人影に気付いたのは、その時である。
「木嶋さん」
 声をかけると、曇り硝子の向こうにいた人影――木嶋さんがピクッと反応した。
「狭いけど、入る?」
 尋ねてすぐに、引き戸がカラカラと横に開いた。
「入る場所、ある?」
「沙織さん、あたしと交替しよ?」桜子が立ち上がり、自分で陰部を左右に開いた。「ほら、お兄ちゃんの、たくさんあるから」
 その結果。
「あっ、んっ いい 正樹、いいの
 騎上位で腰を動かす姉さん。
――ジュルッ、チュプッ、ズズゥ、ジュルッ
 僕のお腹に股間をこすりつけながら桜子の陰部から僕の精液をすする木嶋さん。
「あっ、んっ、あっ……
 ちょうど僕の両脇に足を入れ、引き戸に手をあてながら、お尻をつきだし、木嶋さんに精液を吸い出されている桜子。
 ちなみに僕の両手は、桜子の足をまきこみながら木嶋さんの胸を揉んでいる。
 なんか、凄い状況だ。
 でも、みんな、気持ち良さそうだし……まぁ、いいか。


♥ ♥ ♥


 失態だった。
「じゃあね、お兄ちゃん。沙織さん、また後で!」と後部座席の桜子が手をふってくる。
 運転席の姉さんも軽く手をあげてきた。
 僕は頬をひきつらせながら手をあげかえす。沙織さんはニコニコと笑いながら手を振り替えした。
 車が発進し、今度は桜子の通う中学に向かって車道を進んでいった……
「正樹くん」木嶋さんがため息をついた。「見られた……よね?」
「多分」
 ここは高校から少し離れた裏路地だ。しかし、僕らが車が降りた時、偶然にもうちの学校の制服を来た女子のグループが、遠くのT字路に姿を現したのだ。
 彼女たちはジッとこちらをみてから、なにやら慌てて学校の方に駆け出した。
 おそらくは――
「正樹くん……じゃなくて、高岡くん」木嶋さんは姓で僕を呼びなおしてから「いっそのこと、付き合ってることにする?」
 面倒なので、そうすることにした。


♥ ♥ ♥


 案の定、教室に入るなり、僕は男子陣にとりかこまれた。
「高岡! 木嶋沙織と付き合ってるってホントか!?」
「おまえ、いつの間に!」
「この裏切り者!」
 なにが裏切りなのかわからないが、僕は伊達眼鏡を落とさないよう気をつけながら、
「あははは……」
 と乾いた笑いをあげ続けることにした。
 姉さんと木嶋さんと桜子だけがいる時は油断したってかまわない。なにしろ僕らは四六時中、発情しているのと同じなのだ。そのことを僕らは、四人とも自覚している。
 でも、普段はそうじゃない。
 三人のカンパで新たに購入した縁無しの大振りな伊達眼鏡――これが外れた時、はたして僕は、他人の目を見ずにいられるかわかったものではない。「相手の目を見て話しなさい」と躾(しつけ)られたことが、これほど疎ましく思えたのは初めてのことだ。
「隠さないで話せよ!」
「なっ? いつから付き合ってるんだ?」
「おまえが告白したんだろ? そうだろ? なっ、そうだよな?」
 面倒なので、僕は曖昧に笑うだけにした。
 妙な嘘をついてボロを出すわけにはいかないのだ。
 だが、予想外の出来事が起きてしまう。
 それは三限目の中休みが終りかけた頃のことだった。
「ニュース、ニュース! トップニュ〜〜〜〜スッ!」
 男子のひとりが教室に駆け込んでくる。
「高岡が写真部ランキングの男子トップになったぞ!」
――ザワッ
「えっ!?」「マジっ!?」「うそっ!?」「なんで!?」
 反応は人それぞれだ。
 だが、彼が持ち込んだランキグン表を覗きこんだ面々が「ホントだ!」「うそだろ!?」と声を張り上げると、急にみんな黙り込み、僕の方をジロッと見つめてきた。
 僕は頬杖をつきながら窓の外を眺めてみる。
 ああ……空が青いなぁ…………
「高岡正樹!」
 不意に教室の後ろ側の引き戸から声が響いたのは、その時である。
 僕を含めた皆の視線が向けられた。
 二年の女子だ。
 スラリとした長身。
 スレンダーが体つき。
 髪はベリーショートで、キツネのような細い目が印象的である。
「しゃ、写真部の……?」
 誰かがボソッとつぶやいた。
 そう。この人こそが話題の写真部の総元締、つい最近部長になったばかりの三島美和(みしま みわ)、その人なのだ!
「話がある。昼休みに写真部の部室に来い。いいな。わかったな」
 僕は妙な迫力に押され、コクコクと頷き返してしまった。
「よし」
 三島さんは頷き、ツイッとその場を離れてしまった。
 しばらくすると、
「木嶋沙織!」
 という声が隣のクラスから聞こえてくる。どうやら同じことを木嶋さんにも伝えているのだろう。
 でも……どういうことだ?
 なんで僕が、写真部なんかに呼び出されなきゃならないんだ?


♥ ♥ ♥


 うちの高校は東西に細長い三階建ての校舎が、南北に二つ並んでいるという造りをしている。また、東側には大講堂でもある体育館が、西側には文科系クラブの部室を二階に持つ、意外と大きな図書館があり、体育館の北には室内プール、学校の南側は全部が校庭――というのが、おおまかな配置だ。少しいびつな形をしているのは、高校が住宅街の一角にあるためで、なにも校舎の北に空き地があるとか、そういうことは無い。
 さて。
「いったいなんだろうね?」
 一緒に歩く木嶋さんは首を傾げていた。
「僕にもさっぱり」
 とにかく、行ってみるしかない。別に無視してもいいが、僕と木嶋さん、二人を一緒に呼んだというあたりが妙に気になって仕方が無い。
「まさかHの現場が撮影されたとか?」と木嶋さん。
「それはどうかな……姉さんが言うには、指輪の魔力って信用できるらしいよ?」
「でも、カメラに写るかどうか、試して無いんでしょ?」
「そうだけど……それだと、あんなに公然と僕らを呼ぶのもおかしいと思わない?」
「えっ? なんで?」
「だって、そういう写真を撮ったんなら、脅しをかけるのが普通なんじゃないかな。そうでもなきゃ無視するだろ?」
「そっか……脅すんなら、普通、最初は知られないようにするもんね……」
 そうだとは限らないだろうが、なんとなく、僕もそんな気がする。
 とりあえず僕たちは渡り廊下を抜け、図書館に入り、二階にある写真部に向かった。
 ノックをすると「開いてるぞ」という三島さんの声が聞こえてくる。
「「失礼しまーす」」
 僕たちは声をそろえながらドアを開け、中に入った。
 部室の広さは教室の半分ほどしかないと聞いていたが、ここはさらに手狭だった。なにしろ奥の半分が暗幕で遮られているのだ。そのうえ、向かって左手にはスチール製の棚が並び、古いカメラやたくさんのアルバム、本屋でみかける写真雑誌、『フィルム』などとかかれたダンボール箱などが雑多に押し込まれ、さらに空いているスペースを圧迫しているように見える。
「まぁ、座れ」
 三島さんが座っている椅子は教室にあるものと同じものだった。その目の前には、これまたお馴染みの机が四つ、くっつけられてテーブル代わりになっている。
 三島さんはノートパソコンを開き、なにやらカチャカチャと小さなマウスで作業を続けていた。
 僕と木嶋さんは顔を見合わせてから、もう一度「失礼します」と告げ、対面の椅子に腰を降ろさせてもらった。
「さて」三島さんは眼鏡を外し、僕を見つめた。「まずは自己紹介からいこう」
「それよりいったいなんで――」
 三島さんは左手をつきだし、僕の言葉を制した。
「いいから聞け」
「……はぁ」
「三年A組、写真部部長、三島美和だ」
 そして三島さんは、突き出したままの左手を裏返し、甲の方を見せてきた。
 僕はギョッとなった。
 木嶋さんは不思議そうに僕と三島さんの手を交互に見つめる。
「そういうことだ」三島さんはニヤッと笑った。「私はおまえの先輩だ」
 途端、三島さんはアレを具現化させた。
 〈黒い指輪〉だ。
 だが僕の目には、消えている時にも、それがうっすらと見えていた……

つづく
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