期末試験が終わると学校中が浮ついた空気につつまれ始めた。冬休みが近いということもあるが、それ以上に、クリスマス・イヴが近づいているということが大きいらしい。
「時に二人とも。試験の調子はどうだった?」
放課後、写真部に顔を出すと開口一番、三島さんがそう尋ねてきた。
「バッチリでした」
木嶋さんがニコヤカに答えながら、鞄を隅に置き、椅子へと腰掛ける。
「そうか――で、高岡は?」
「ボチボチってところです」
僕は苦笑をもらしながら椅子に腰掛けた。
「なるほど」三島さんは眼鏡を外した。「では明日の夜は楽しみだな」
「ですよねぇ」と木嶋さん。
それというのも――僕らの堕落した日々(?)は今も続いているのだが、十一月下旬からは試験勉強のため、皆でHを自粛することにしてるのだ。それでも明日、桜子の方も試験が終わる。そこで明日の夜は、我が家で毎度おなじみの乱交パーティが予定されていたりするのだ。もちろん、明日はクリスマスでもイヴでも何でもないのだが。
「ところで高岡」
「なんですか?」
「おまえ、木嶋のクラスの松下由美のこと、どう思う?」
僕はキョトンとなった。
「どうって……」
「ストライクゾーンに入ってるかと聞いているんだ」
「ミーさん」木嶋さんが尋ねる。「松下さんが、どうかしたんですか?」
「妙なものを拾ってな」
立ち上がった三島さんは、傍らに置いてある自分の鞄から紙袋を取り出し、僕に放り投げてきた。なんだろうと思いながら開けてみると――
「ローター?」
入っていたのは、三島さんのおかげで今や同じみとなっているピンクローターである。
「これ、どうしたんです?」
木嶋さんがローターを僕から受け取りつつ三島さんに尋ねた。
「拾った」椅子に座りなおしながら三島さんが答える。「女子トイレだ。『聞』いてみた限りだと、使用しかけた時に、友達が声をかけてきたため、慌てて隠しながら外に出ようとしたが、つい、落としてしまった――というところだ」
三島さんは右耳を押し当てることで人の心や物の記憶を読むことができる。僕と同じ、〈悪魔の指輪〉の力によるものだ。
「まさか、その持ち主が?」
「松下由美だ」三島さんが頷きかえしてくる。
「へぇ……あの子が…………」
木嶋さんは驚きの声をあげた。
確かにそうかもしれない。松下由美は陸上部のホープで、今年の大会でも優秀な成績をおさめた健康優良児だ。およそ、僕らのような淫媚な世界とは無縁のようにも思える。
「で、どうなんだ、高岡」
三島さんが重ねて尋ねてきた。
「どうって……」
僕は困りながらも、正直に話すことにした。
「けっこう、タイプですよ。指輪を持つ前は、よくオカズにしてましたし」
「松下さんを?」木嶋さんが少し驚いたように尋ねてくる。
「木嶋さんと同じぐらいにね」
僕はツンと木嶋さんの胸をつついた。
「うむ、確かにこの胸は殿方のオカズには最適だな」三島さんも胸をつつく。
「そうなんですよねぇ」木嶋さんは胸を持ち上げた。「ちょっと薄着になると、ここに視線が集中するんです。あからさまにニヤニヤ見てくる人もいるし」
「贅沢な悩みだな」三島さんが自分の胸を寄せて、あげる。「私なんぞ、この程度だ。パイズリもできん」
「でも、胸が大きいと馬鹿扱いされること多いんですよ? そりゃあ、中学の頃は馬鹿だったかなぁって思いますけど」
ちなみに木嶋さんは成績優秀、必ず学年でも十番以上の成績をとる優等生だ。もっともそれを言い出したら、三島さんは常に学年トップ。姉さんもそうだし、桜子だってけっこう、いい成績を叩き出している。一方、僕は真ん中ぐらい。可も無く、不可もないといったところだ。
「それより三島さん。松下さんが、どうかしたんですか?」
僕が尋ねかえすと、おっぱいの大きさと感度について語り出していたふたりも、ようやく本題に戻ってくれた。
「うむ。どうも、松下由美のオカズは、おまえのようなんだ」
「……僕?」
「しかも、かなり前からだ。おまえ、中学の時に陸上をやってたな?」
「えっ? あっ、話しましたっけ?」
「マイハニーから聞いた」
桜子のことである。そういえば、桜子が命名した『ミーさん』という三島さんの愛称、今では姉さんや木嶋さんにも使われている。『三島さん』と呼んでるのは、今では僕ぐらいなものだ。
「足を怪我して、やめたそうだな」
「そうだったの?」
「あっ、うん。練習中にアキレス腱をブチッと」
それまでは長距離走の選手で、それなりにいい成績を叩き出していた。だが二年の時にアキレス腱を切ってしまい、それが治るまでの約一年間、僕は走ることはもとより、歩くことさえ大仕事になる日々をすごすことになった。あれはあれで、なかなかたいへんな日々だったように記憶している。
「松下由美は、中体連で走るおまえを見て一目惚れしたらしいぞ」
僕は「んっ?」と疑問を抱いた。
「もしかして、松下さんの心、読んでみたんですか?」
「わざとぶつかってみた。胸は私より小さいな」
「そういう問題じゃないでしょ」僕は苦笑する。
「だが、私と同類でもある」三島さんが目を閉じ、腕を組みながら告げてきた。「あれはオナニー常習者なうえ、露出の【気:け】もある。ついでにいえば、強姦願望も強い。どうも幼い頃、見知らぬ男に悪戯されたのがトラウマになっているようだな。男性が苦手だが、その分、抑圧された性欲が別の方向に発散されているんだろう」
「はぁ……」
「昔の私を見ているようで、忍びない」三島さんは苦笑した。「解放してやらんか、〈淫乱の解放者〉として」
「その呼び方、ちょっとアレなんですけど」
僕は苦笑したが、木嶋さんと顔をあわせ、軽くうなずきあっていた。
♥ ♥ ♥
「……木嶋さん、こんなところに呼び出して、どうしようっていうの?」
翌日の昼休み、体育館の用具倉庫に足を踏みいれてきた松下さんは、自分のお腹のあたりクッと抱きしめながら、きつい眼差しを木嶋さんい向けていた。
「うーん、ちょっとね」
木嶋さんは引き戸を閉め、クルリと松下さんに向き直る。
「松下さん、私のこと嫌ってるでしょ?」
「……そんなの、どうでもいいでしょ」
松下さんはプイッと顔を背けた。
「高岡正樹くん」
木嶋さんがボソッと僕の名を呼んだ。
「――と、付き合ってるから、私のこと嫌いなんでしょ?」
「……用件は、それだけ?」
松下さんはキッと木嶋さんを睨みつけた。
「他にもあるけど、これが一番重要なことかなって、そう思うの」
木嶋さんは両手を後ろに回すと、引き戸によりかかりながら目を閉じ、言葉を続けた。
「私、正樹くんの彼女じゃないの」
松下さんは黙り込んだまま木嶋さんを睨んでいる。
「信じなくてもいいけど……仲間っていうのかな? 恋愛関係じゃなくて、もっと自然に一緒にいられる……家族? 私、普通の家族って知らないから良くわかんないけど、正樹くんのファミリーの一員なんだって、そう、思ってるの」
「……それだけ?」
「うん。私からは、それだけ」木嶋さんは松下さんに微笑みかけた。「あとはよろしくね、正樹くん」
跳び箱の裏側に隠れた僕は立ち上がり、二人の前に進み出た。
松下さんがギョッとした目で僕を見つめてくる。
僕は伊達眼鏡を外した。
彼女の目を見る。
瞬間、松下さんはお腹を抱きかかえる姿勢のまま、ブルッと震えた。
引き戸が外から左右に開かれる。
「高岡」三島さんが声をかけてきた。「他の生徒も現れた。念のためだ。私も見ろ」
僕は頷き、三島さんを見つめた。
「……よしっ、いいぞ」
「正樹くん、じゃあ、後でね」
二人はそのまま用具室を出て、引き戸を閉じた。何度もいろんな実験を重ねた結果、三島さんはかなりの時間、指輪の魔力に耐えられるようになっている。もっとも三島さんのことだ。今のうちに木嶋さんを全裸にして、校内を歩きまわらせながら撮影をしようとしているだろう。
それはともかく。
「松下さん」
僕は彼女に向かって踏み出した。
途端、松下さんは首を小さく横にふりながら後ろに下がる。
外から、バスケをやり始めた男子生徒たちの声と音が聞こえ出した。普通の感覚でいえば声を張り上げれば、すぐにでも助けがくるだろうと思える状況だ。
僕は眼鏡をジャケットの胸ポケットにしまい、ズボンのポケットから例のものをとりだし、ブランとぶら下げた。
「これ、松下さんのものでしょ?」
彼女は目を見開いていた。内股にした足をカクカクと震わせている。
「登下校の間、いつもこれをアソコにテーピングして、動かしてるんだってね」
僕は手にしたピンクローターをポイッと放り投げた。
「ノーパンでいることも多いんだって?」
僕は尋ねながら、ジャケットを脱いだ。
松下さんはわなわなと唇を震わせながら、僕を凝視している。
「今日もそうなの?」
松下さんは首を横にふった。
「……嘘」
ネクタイをゆるめ、シュルッと抜き取りながら前に踏み出す。
松下さんはヨロヨロとさらに下がった。だが、足元がおぼつかず、マットに踵を引っ掛けて、トスッと尻餅をついてしまった。瞬間、彼女は大慌てでスカートを押さえ、股間を隠そうとする。
「ほら、やっぱり嘘だ」
見えてはいなかったが、なんとなくそうなのだろうと思い、僕はカマをかけてみた。
彼女はボッと顔をあからめた。
やっぱりそうだ。今もノーパン――ショーツを履いていないのだ。
「松下さん……」
僕はネクタイを左手で握り締めたまま、彼女の前に立った。
「僕、松下さんとセックスしたいんだ。させてもらうからね?」
彼女は首を横にふり続けた。
潤んだ瞳で、僕の裸眼を見返し続けながら。
♥ ♥ ♥
「いやっ!」
彼女は暴れた。でも、指輪の魔力のせいで体に力が入らないらしい。
僕は簡単に彼女に覆い被さり、膝の間に体を割り込ませ、押し返そうとしてくる彼女の両手首を交差させて、ネクタイで縛り、頭上にあるバレーボールの籠に縛り付けた。
「騒ぐと人がくるよ?」
耳元で囁くと彼女はビクッと震えた。
「ノーパンだってこと、ばれたくないでしょ?」
彼女の体が強ばる。
僕はベルトを抜き、先に輪を作ってから彼女の左足を無理矢理降り曲げ、スルッと輪を通し、足首のところでギュッとベルトを絞った。
「舐めてあげるよ」
僕が顔を見ながら告げると、松下さんは意味を察したのか、ギュッと目を閉じ、顔を背けた。
スカートをめくりあげる。
僕は一瞬だけ驚いた。
確かにノーパンだったが――彼女の恥丘には、陰毛が生えていなかった。
剃っているわけではないらしい。毛根さえ見えないのだから、もしかすると最初から無気なのかもしれない。
それにしても、これでは女性器が丸見えだ。
彼女の縛った左足を外側に押し倒したことで、大陰唇がパックリと口を開き、思った以上に鮮やかなサーモンピンクの内側をハッキリと観ることができる。陰芽は大きく肥大していた。豆粒ほどがあるだろう。四人の中では姉さんが一番大きいが、その倍ぐらいはあるように思える。でも、色素の沈着は無い。元から色素が薄い体質なんだろう。そういえば、ベリーショートの髪も幾分か赤茶けているように見える。肌だって白いし、瞳だって黒というより焦茶色だ。
そして――
「濡れてるよ?」
僕が告げると、彼女はビッと震えながら縛られた両手をグッと握り締めた。
膣口からトロトロと蜜が流れ出している。内股まで濡れていた。見ている間にも膣口がすぼみ、トロッと蜜が溢れ出して、下の運動マットに染みを作った。
「キレイなオマンコだね」
僕はわざと卑猥な言葉を使いながら彼女の陰部に顔を近づけた。
松下さんの体が小刻みに震える。
僕がペロリと全体を舐めると、彼女はビクッと体を震わせた。
――ピチャッ……ピチャッ……ピチャッ……ピチャッ
わざと音をたてつつ、下から上へと舌で舐めあげていく。
そのたびに彼女はビクッ、ビクッと震えた。
体をあげ、顔を観ると、グッと舌唇を噛み、全身を小刻みに震わせてもいる。
「あえぎたかったら、あえいでもいいよ。でも、外に聞こえたら、たいへんだろうね」
僕のその言葉を聞くなり、彼女の体はブルルッと震えた。
再び僕は彼女の陰部を舐める。
三島さんが言うには、まだ彼女は処女だという。自慰は陰芽をいじるのがメインで、膣口に指を一本、入れているだけなのだそうだ。
そこで僕は、口の中の唾液をため込んでから、ベチョベチョと陰部に唾液をまきつけた。
僕の体液には催淫と沈痛の効果がある。三島さんの仮説では、実際に化学的な反応を起こすわけではなく、『僕の体液を摂取する』という認識が、脳内麻薬の分泌を促し、性感を高めつつ痛みを和らげる――ということらしい。
だから。
「松下さんのオマンコ、僕の唾液でベトベトだよ? わかる?」
僕は彼女に、陰部が唾液まみれであることを認識させた。
さらに。
「じゃあ、中の方も唾液まみれにするね?」
僕は体を起こし、チュパチュパとわざと音をたてて指に唾液をまきつけた。
一瞬だけ松下さんが、そんな僕を薄目で見る。
僕はそれを確認してから、中指で膣口を周囲を撫で、ヌヌヌッと、慎重に指を差し込んでいった。
処女膜の感覚があった。やはり、穴がある。
考えればわかることだが――生理がある以上、たとえ処女であっても、子宮から膣口までは、血などが流れるための通り道があるのだ。それを教えてくれたのは姉さんである。なんでも人によって小さな穴がたくさんあったり、ひとつの穴があるだけだったりと、いろんなタイプがあるそうだが、指を入れてオナニーする女の子であれば、それが通るだけの穴があるはずなのだそうだ。
そして、穴はあった。どうにか僕の中指が通れるだけの広さもある。
僕は根元まで中指を押し込む。
松下さんはグッとお腹を上にそりかえした。でも、声は出さない。うめき声さえあげない。
「ほら、ここにも僕の唾液がぬりつけられたよ……」
膜を傷つけないように指を出し入れする。
――クチュクチュクチュクチュ
絡み付く蜜が音をたてた。
彼女の太股まえ朱色に染まり始める。かなり興奮してきた証拠だ。
あとは。
「そろそろ――」
僕はズボンとトランクスを太股まで降ろしてから彼女に覆い被さった。
彼女は顔を背けたままである。
両手で頬を挟み、真正面をむかせた。
「キスさせてくれるなら、痛くないように入れてあげる。それがイヤなら、おもいっきり痛くするけど……どうする?」
彼女は答えず、目も閉じたままだった。
しかし、下唇をかんでいた唇が、震えながら、ほんの少しだけ上下に開く。
僕は乱暴に彼女の唇を奪った。
これは強姦だ。レイプだ。彼女はそのように認識しているし、そう認識していることで欲望を解放しようとしてる。だからこそ、ある程度は乱暴にしなくちゃならない。
僕は遠慮なく、彼女の口腔を舌でなぶった。
「んっ、んっ、んっ、んっ」
息が苦しくなったのか、彼女は鼻でうめき始めた。
僕はペニスを握り、亀頭を彼女の陰部にこすりつける。
――ヌチュ、ヌチャ、クチャッ、ヌチャ
音からすると、陰部の濡れが、さらに増してきたようだ。
僕の唾液を飲み込んでいるからだろう。
松下さんは、流れ込んでくる僕の唾液をコクン、コクンと喉を鳴らして飲み込んでいる。おそらく無意識の行動だ。唇の端からも唾液が溢れ出て、彼女の頬を汚していった。
僕はペニスを少しだけ膣口に押し込んだ。
キュッと締まり、亀頭が吐き出されそうになる。
でも、亀頭の半分が埋まったままになっているようだ。
僕は彼女の両肩の上を肘でおさえつけるようにしてから、両手で頭を抱き、舌を抜いて、唇を押し当てた。
そして、腰をグイッと突き出す。
「あっ!」
彼女は目を見開き、グイッと顎をそりかえさせて、ヒクヒクと体を【痙攣:けいれん】させた。
蜜でたっぷりと濡れているせいだろう、ペニスは処女膜の抵抗を軽々と破ると、一気に松下さんの奥の奥まで突き刺さった。
ギュッと締め付けてきながら、無数のブツブツがコリコリとまとわりついてきている感覚がある。中もたっぷりと濡れていた。それにペニスの先端が膣の奥に触れている感覚も味わうことができた。
「そんなに痛くなかったろ?」
僕は顎をのけぞらせたまま、わなわなと開いた唇を震わせている松下さんに語りかけた。
「気持ちいいよ、松下さんのオマンコ」
そのまま首筋から頬に向けて舐めあげ、彼女の左耳に唇を寄せ、ボソッと告げた。
「動くとどうかな?」
直後、僕は遠慮無しに腰を動かし始めた。
「あっ! あっ! あっ! あっ!」
首をのけぞらせたまま松下さんが溜まらず声をあげる。
「騒ぐと、人が、来る、よ」
僕は右手で、彼女の口を塞いだ。
それでも彼女はあえぎ続ける。掌の下で。
「いいよ、松下さん、最高にいい、気持ちいいよ、ブツブツが、こすれて、すごい、濡れてて、締め上げてきて、僕のペニスを、咥えこんで、吸い付いて、すごいよ」
断続的に腰を引いては力強くペニスを突き刺す。
本当に気持ちいい。
指輪の魔力のおかげで、松下さんが初めてなのに感じている。
そのうえ、桜子とした時のような膣壁のこわばりが微塵も感じられない。
しかも――これは僕の妄想そのままなのだ。
とうとう、妄想が実現したのだ。
僕は強姦している。
松下さんを、無理矢理、力づくに、犯している!
「感じて、いるん、だろ? 初めて、なのに、無理矢理、犯されて、レイプされて、いるのに。想像、してたん、だろ? こうして、僕に、強姦、されるの。ほら、締め付けが、強まって。いいよ。最高だ。イキそう、なんだ、ろ? イケよ、イッちゃえ、よ。出して、あげるから。ドロドロの、精液。僕の、ザーメン。このまま、出して、君の、子宮を、ドロドロに、汚して、あげる、から!」
彼女は必死に首を横にふった。
僕はかまわず、さらに強く、早く、腰を彼女にうちつけていった。
掌で押さえられた彼女の口が何かを叫ぶ。
やめて――と言っているように思えた。
「遅いよ! 出すよ! 出すよ! 出すよ――!」
僕は彼女の耳元で声を張り上げ、
――ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ! ビュクッ!
彼女の子宮に精液を注ぎこんだ。
キュッと締め付けが強まり、彼女は背をそりかえさせながら、縛っていない右の足をピンと伸ばし、小刻みに体を【痙攣:けいれん】させた。
そんな彼女の中に、僕はいつまでも精液を注ぎこんだ。
腰が痺れて溶けだしそうだ。
それなのに胸の奥底から、火山の爆発のように快楽の波が吹き出し続ける。
僕は果てることなく、精液を吐き出し続けた……
♥ ♥ ♥
ぐったりとした彼女からペニスを抜くと、破瓜の血でピンク色に染まった精液と愛液の混合物がドロリと膣口から溢れ出てきた。
僕は松下さんの足の拘束を時、手の拘束もといてから、ズボンの後ろポケットにいれていたハンカチを彼女の股間におしあけ、足を閉ざし、腕枕をしつつ彼女が目覚めるのを待ち続ける。
もう一枚のハンカチで顔の汚れを拭いていると、ようやく彼女は薄目をあけた。
「……気持ちよかった?」
すでに伊達眼鏡をかけている僕は、微笑みながら彼女に語りかけた。
まだ松下さんは夢見心地らしい。コクンとうなずき、再び目を閉じた。
「僕、種無しだから妊娠の心配は無いよ」
彼女は小さくうなずく。
「外にも声、聞こえてない。大丈夫。保証する」
再び彼女は小さくうなずいた。
「信じられないだろうけど……」
僕は指輪のことを話した。
彼女は黙って僕の言葉に耳を傾け続ける。
「――これと似ているものを、写真部の三島部長が持ってるんだ。その、三島さんの指輪の力で、あのローターが松下さんのものだってわかったんだ」
「……軽蔑する?」
ポツリと彼女が尋ねてきた。
「しないよ」僕は即答した。「だって僕、強姦魔だろ? それに、実は近親相姦もしてるんだ」
「……お姉さんと?」
「妹とも」
「……木嶋さん、も?」
「三島さんともね」僕は苦笑を漏らした。「木嶋さんが言った通り、僕ら、恋人でもないし単なる体の付き合いだけでもない……ファミリーみたいなもんなんだ」
もしかすると詭弁かもしれない。
きれいな言葉で飾っているだけかもしれない。
でも、夫婦だって永遠に恋愛しているわけじゃない。時と共に恋愛感情は冷めてしまう。悲しいことだけど、それが現実だ。
だが、夫婦は夫婦のまま、家族でいられる。
それと同じことだ。
僕と、姉さんと、木嶋さんと、桜子と、三島さんは、世間の常識とは違う形のファミリーを形成している――それだけのことなんだ。
「そうなんだ……」
松下さんはつぶやき、ツーッと閉じた目から涙を流した。
「……変だね、そういうの」
「うん。変だよね」
僕は彼女の涙にキスした。しょっぱいけど、おいしいと思えた。
♥ ♥ ♥
昼休みの終了を告げるチャイムが鳴っても、僕と松下さんは用具室で囁き合い続けた。
三島さんが『聞』いた通り、松下さんは中一の頃、中体連の陸上競技で僕を見てから、ずっと気になり続けたのだという。
最初は同じ長距離の選手だからだと思ったそうだ。少なくとも、当時、僕は一年で選手に選ばれたのに対し、彼女は補欠として参加していたのだ。だから気になったのだ。おそらく、その時はまだ、恋愛感情なんて抱いてなかったんじゃないかと僕は思っている。
だがその後、彼女は自慰の時に僕を思い浮かべるようになった。
そして高校に入り、僕が同学年にいることを知り、驚いたのだそうだ。さらに僕がアキレス腱を痛めて走るのをやめていたことにも胸を痛めたのだという。
「……聞いても、いいかな?」
僕は胸にすりよってくる彼女の背中をさすりながら尋ねてみた。
「下着、付けなくなったの……いつ頃から?」
松下さんはしばらくの間、黙り込んだ。
それでも。
「私……小さい頃、悪戯されたの…………」
小学一年生の頃だったという。鍵っ子だった彼女は、日が暮れ始めても、公園で一人、遊んでいたのだそうだ。そこに『大人の男の人』が現れ、最初はブランコを押すなどして一緒に遊んでくれたらしい。だが、彼女は公園の茂みに連れていかれてしまった。
その時に何をしたのか、彼女はボンヤリとしか覚えていないらしい。ただ、パンツを降ろされ、陰部をいじられたことと、クリトリスの場所と名前を教わったこと、それと男のペニスを手でしごいたことは、妙にハッキリと覚えているのだそうだ。
「それから私……ひとりでするようになって…………」
最初はクリトリスをこするだけの自慰だったようだ。
だが、それが病みつきになってしまい、学校でも、休み時間の間にトイレなどでするようになっていったという。
ノーパンを始めたのは小四の頃。
学校で自慰をした後、汚れたパンツを洗面所でこっそりと洗い、なにもつけないまま家に帰ると、その道中、自慰の時のような興奮を覚えたのだそうだ。
それでも彼女は、そんな自分がいやらしいと思え、自分を責めるようになった。
小六の頃だ。
性の知識を得ると共に、彼女は運動で性欲が発散されると知って、走ることに全力投球するようになった。しかし、我慢すればするほど、ふとした時にものすごくHな気分になってしまい、ノーパンで登下校したり、学校のトイレで「男性に見つかり、強姦される光景」を妄想しつつ自慰をしては、再び後悔するという日々を送ったのだそうだ。
ローターを購入したのは高校入学直後のことらしい。
恥ずかしかったが、どうしても道具を使ってみたくなり、インターネットを利用して購入したのだという。
「その……じゃ、毛の方も……?」
「ううん、最初からなの。変でしょ?」
少しずつ彼女は元気を取り戻し始めた。
松下さんの語るところによると、彼女の母親も同様に陰毛が生えない体質らしい。それが遺伝したというのだ。
「修学旅行の時とか、恥ずかしかったなぁ……みんな、ボウボウなんだもん。それなのに私だけツルツルだから、必死に隠しちゃって」
「へぇ……」
僕は彼女の額に口付けしながら、世の中、いろんな人がいるものだと関心した。
「……ふぅぅぅ」
不意に松下さんが吐息を漏らした。
「んっ?」
「なんか……私、高岡くんのこと好きなのかどうか、わかんなくなってきちゃった」
「どうして?」
「だって、普通は『この人が好き』ってなったら、その人のこと、独占したくなるものじゃない。さっきまでの私はそうだったの。木嶋さんに取られたって思ってたから、すっごく嫉妬してたし……」
「……今は?」
「わかんない。きっと私、不倫とかして、愛人になれるタイプなのかな」
もう一度彼女は、フゥと吐息をついた。
「高岡、入るぞ」
不意にそんな声が響き、三島さんがガラッと引き戸を開けた。
僕と松下さんはマットの上で横向きに抱き合いながら、用具室に入ってきた三島さんと木嶋さんに顔をむける。
「うむ」三島さんが頷いた。「満足できたようだな」
「松下さん、痛くなかった?」
木嶋さんが歩み寄り、僕らの足元にしゃがみこんだ。
しばらくの間、松下さんはジッと木嶋さんを見つめ、フッと口元に笑みを浮かべる。
「入ってくる時だけ。ほとんど痛くなかったよ」
「いいなぁ。私の時なんか、痛くて痛くてたいへんだったのに」
「私もだ」三島さんが床に転がるローターを拾い上げた。「股が裂けたと思った」
「そうそう。それに気持ちよくなるまで時間がかかるし」
「……木嶋さん」
松下さんが声をかける。
「ごめんね、いろいろひどいことして」
木嶋さんは微笑み、軽く首を横にふった。
「いいの。これからは友達になれるよね?」
松下さんは僕を見上げ、尋ねてきた。
「私も……家族がいいな…………」
「ウェルカム、ミズ・マツシタ」
三島さんが妙なアクセントの英語を口にした。
「明日、高岡家で試験終了慰安乱交パーティが決行される。ご招待しよう。メインディッシュは隣にいる、底無し絶倫鬼畜種無しドスケベ変態ロリだけど年増もOKな巨乳も貧乳もなんで大好き美少年≠セ」
「三島さん、それ、誰ですか?」
僕は苦笑した。
木嶋さんがプッと吹き出す。
松下さんもクスクスと笑った。
「決まってるだろ」
三島さんがスカートの中に手いれ、ショーツを脱ぐ。
「これから私に中出しして、魔力をキャンセルさせなきゃならん、どこかの鈍感馬鹿だ。木嶋、どうせだからこいつの手をしばれ。松下、押さえつけろ。女性代表として、今度は私が強姦してやる」
こうして僕は、三島さんに強姦されてしまった。