使令小話番外編 ハァハァ(;´Д`)景麒編
作者134さん

「‥‥‥‥ん」

景麒は目を覚ました。
窓から差し込む光に眼を細めてから、隣に眠る陽子を起こさないようにそっと身を起こす。
女官たちが起こしにやってくるまでには、まだもう少しかかるだろう。
そう思いながら、敷布を陽子に掛け直してやる。
手を一つ、ひらと振ると巨大な狒々が姿を現し、いかつい腕で硝子窓を開いた。

(それにしても、昨夜は良かった‥‥‥‥)

先ほどまでのほのぼのとした空気を一瞬でかなぐり捨て、景麒は近頃入り浸っている妄想という名の
別世界へと旅立った。


「あ‥‥景麒ッ、イイ‥‥あん、もっとぉ‥‥‥ッ」
「主上‥‥‥‥」
「あ、あぁんッ!やぁ‥‥焦らさ、ないで、もっとしてぇ‥‥んッ」

陽子が艶かしく身体をくねらせる。
鮮やかな帯に戒められた身体は、彼女をいつもより肉感的に見せていた。

「ねぇ、景麒、お願い‥‥‥‥ッ」

潤んだ瞳が、縋るように僕たる自分を見つめ‥‥‥‥‥


‥‥‥‥どうやら昨夜のことを思い出しているようだが、どうにも捏造甚だしい。
景麒はうっとりとした眼差しで枕を抱きしめ、頬擦りした。
彼の主や某黒麒あたりがするのならまだしも、三十路も間近な麒がしているのでそれはちっとも可愛くない光景である。
その横で、昨夜から錯乱したままの芥瑚の代わりに、脱ぎ散らかされた主たちの衣を一枚一枚丁寧に畳んでいた重朔が、物言わぬまま気味悪げに眼を逸らした。

すりすり。すりすりすり。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。

彼はしばらくそうしていたが、ふいに頬擦りを止めた。妄想するのはそれなりに幸せだが、彼自身の健康極まりない身体が、妄想だけでは納得しないことを思い出したのだ。
景麒は抱きつぶしていた枕を放り出し、顎に手を当ててしばし考える。
そして、にやりと笑った。

‥‥‥‥今宵は、昨夜よりももっと焦らしてやろう。
他ならぬ彼女の口から、自分が欲しいと言わせてみせる。

未だ深い眠りのうちにある陽子に、景麒は熱を帯びた視線を落とした。



         →陽子編

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