イリヤスフィールの夜

ゆうぞう





 いけない、と思っていた。
 それでも、わたしは寂しかったのだ。
 その気持ちは日に日にどうしようもないほど大きくなって。いつの間にか、その行為が日課になっていた。

 ゆっくりと、自分の体に手をはわす。下腹部に指を伸ばし、布の上からそこを触る。なんて、はしたない。
 ここは衛宮家の離れ。今夜は隣にリンもいるのに。まだ彼女も起きてる時間だろうに。
「んっ…………」
 甘い刺激に肢体を震わせる。スリットの形を確かめるように、恐る恐る何度もなぞる。直接触ってさえいない。それなのに、燻った火は、こんなにも、熱い。
「シロウ……」
 脳裏には一人の男。わたしの兄で、弟。義理とはいえ、彼とは間違いなく姉弟なのに。こんなこと、考えてはいけない相手なのに。
 体の芯が熱くなる。欲望はじわじわと心を炙る。少しずつ、でも確実に理性を削る。熱はあふれて全身を犯す。ああ、わたしは間違いなく発情している。
「シ、ロウ……。だめ……。ああ……」
 声が漏れる。
 切なくて、寂しくて、切なくて。
 この指はきっとシロウの指。大きくて、ごつごつしていて、とても優しい大好きな指。わたしをいじめる、憎たらしい指。
「……あんっ……、やぁ……」
 指の腹であわせ目を押し、なぞり、擦る。動きはどんどん大きく、強くなる。恐る恐る、でもあきれるほど大胆に。
 燻っていた性欲が飛び火した。体の各所がうずきだす。 未発達の胸の頂きが、固くなって、痛い。そこに触れるのはどれほどの快感だろう?
 それが恐くて触れられない。何かが壊れてしまうのが、今は途方も無く恐い。
 できるのならば、許されるのならば今すぐシロウのもとに駆けていきたい。彼の胸で泣いて、甘えて、抱き締めてもらいたい。何もかも投げ出して一人の少女に戻りたい。許されないとは、わかっているのだけど。
「ひゃんっ」
 うごめく指が蕾に触れた。快感が電撃の如く駆け抜ける。軽い絶頂。知らず仰け反り、震えてしまう。
「シロウ……、あ、やぁっ、いやぁ……」
 花を覆う薄い布は、愛液に濡れていた。指からはわたしの匂いがする。快楽の波に身を任せて、わたしはベッドの中で涙を流した。
 何故涙が流れるのか。それはわたしにも分からない。快楽と恐怖、喜びと虚しさ、色々な感情が混ざり合って、わたしはその中で漂っているだけだ。
 でも、一つだけはっきりしていることがある。そう、それは……。
「……シロウが、悪いんだからね。お姉ちゃんを哀しませるようなことをするから。あなたが」
 これっぽっちでは足りはしない。肉欲も情欲も何もかも。シロウが足りない。愛してほしい。愛してあげたい。そのどれもが叶わない夢だから、わたしはこうしてありえない夢に溺れるのだ。

 ショーツの中に手を差しいれ、パジャマのボタンをひとつひとつ外す。
 冷たい外気が流れ込み、火照った体を更に灼く。ほとんどない膨らみを軽くもんで、蜜をたらした花を撫でる。
 頭の中に声が響く。シロウがわたしを愛撫する。優しく揶揄し、冷たく包容してくれる。心地よい幻想に誘われて、わたしの指は大胆にうごめく。
 くちゅくちゅと水音が部屋に響く。卑猥なそれは羞恥を呼び覚ますスパイスだ。
「はあぁ……、ああぁ、ふぁんっ……」
 体に蓄積された熱が吐息となってあふれていく。今夜に限って、鼓動がやけに大きい。触手じみた動きをしているのは、本当に自分の手なのだろうか? 視界がじんわりと滲んでいた。
 温かい割れ目を浅く割る。ひくひくと迎え入れるその場所は、淫らな女の象徴だ。どうしようもないほど気持ちがいい。
 シロウが耳もとで囁いている。綺麗だよと、恥ずかしくないのかと。低い声が頭をえぐる。
「シロウ、シロウ、やだ、シロウ……」
 熱にうかされて、わたしは充血した秘芯を軽く摘んだ。
「………………ぁ!」
 声にならない悲鳴。爆ぜる快感。何もかもがどうでもいい。両手を使って秘所をこねる。夢中で快楽をむさぼりつくす。
「あっ、あっ……、はぁ、はぁはぁ、あぁぁぁっ!」
 信じられない。体が止まらない。わたしは本当にわたしなのか?
 指の動きは際限なく速くなる。よだれを垂らして涙に溺れる。シーツを汚してはしたなく悶える。
「ふぁっ、あーーーーーっ!!」
 絶頂の艶声が、暗い室内に響き渡る。閃光のような快楽。全てを塗りつくす白い何か。
 身体ががくがくと痙攣している。それでも、指の動きが止まらない。髪を乱してよがり狂う。衣装はとうに乱れ、なんとか手足に引っ掛かっているだけだ。
「あぁっ! やだやだ! シロウッ! やだよ、きちゃう! わたし、わたし、あぁーーーーー!」

 ……虚しかった。
 ……寂しかった。
 なんでわたしはこんなことをしているんだろう。
 一人で体をなぐさめて。それもあんなにも乱れて。快楽に身を任せ、大声で喘いで。
「……やっぱり、シロウのせいだ。シロウが甲斐性無しだから、わたしがこんな目に遭ってるんだ」
 それは違う。我ながらひどい八つ当たりだ。背徳感から逃れるための、ただのいいわけに過ぎないと分かっていた。そんなものに応えがあるはずもなかったのだけど――。
「――そうよね。すぐそばにこんな美少女達がいるってのに、ちっとも手を出そうとしないんだから。あの唐変木」
「――――――っ!」
 がばっと飛び起きて声の方向に向いた。
 間違いない。ドアの向こうにはにやりと笑うあくまがいる。わたしがしばらく何も言えずにいると、そいつはあろうことかノックもせずに押し入ってきやがった。
「……リン、あなた、……どうして?」
「こんな夜中に大声で喘いでるのを聞かされるこっちの身にもなってみなさいよ。余りにも堂々としてたから、わたしとしたことが、どうすればいいかしばらく悩んじゃったわよ、全く」
「そっ、それぐらい無視しなさいよ! 気付いていても気付かないふりしろっての! あんたホントにレディなの?」
 わたしの言葉など見事に無視して、凛はつかつかと寄ってきた。輝いて見えるその瞳になぜか危機感を感じて、慌てて胸を腕で隠す。
 リンの視線は怪しい。例えるなら、獲物を前にした肉食動物。いや、もっと具体的に、ネズミを追い詰めた猫だろう。
「……ねえ、リン。あなたもしかして何か企んでない?」
「ん? 別に何も? ただ、ちょっと美味しそうだなって。イリヤの身体が」
 ……まずい。
 何がまずいかって何もかもまずい。
 酔っぱらったシロウに聞いたときは信じられなかったけど、やっぱりこいつそっちの気があるんじゃないかとか、そのわきわきと動く両手はなんなんだとか、舌舐めずりなんてしてんじゃないわよとか、ああもう思考がごっちゃごちゃになるぐらい何もかが大ピンチ。
 やだ、助けてシロウ。お姉ちゃん変態に食べられちゃうよぅ。

「んっーーーーー!」
 リンの唇は柔らかかった。すぐに舌が入ってきて、大量のだ液を送り込まれる。口の中がリンで満たされて、わたしには飲み込むしか術がない。
「げほっ、げほっ! な、なにするのよ!」
 精一杯睨んでやったけど、こたえた様子が全くない。片手で後頭部を支えられて、さらに唇をむさぼられる。
 この女、手慣れてやがる。もしかして桜辺りで鍛えていたのか。最近妙に仲がいいし、その可能性は十分ある。……うん、後で桜を問いつめてみよう。
 ――と、
「ふーん、これがイリヤの味なのね」
 にんまり。わたしの指をしゃぶって奴はのたまった。頬が一気に熱くなる。
「ば、ばばば…………」
「ばばば? どうしたの?」
「ばかぁーーー! なにするのよこの変態! 信じられない! 女同士なのよ? 汚いと思わないの!? あんた一体何考えてるのよ!」
「そうね、慣れると案外気にならないものよ?」
「慣れなくていい!」
 がーっと食って掛かるも、効果なんてまるでなかった。
 辛うじて残っていた衣装をも奪い取ったリンは、何かを思い付いたように目を輝かせた。乱暴な仕種で、細く長い指を恥ずかしい場所に突っ込まれれる。
「あっ……、くっ……! や、いやぁーーー!」
 蜜壷をいやらしく愛撫されて、わたしの身体は反応してしまう。逃げようとしても力が入らない。いやいやと首を振っても許してはくれない。成熟には程遠い癖に、一人前に感じてしまう幼い肉体が恨めしかった。
 ぽろぽろと涙があふれる。悔しいけれど、わたしは感じていた。リンの動きは凄く上手い。一人のときを上回る快楽。わたしの経験なんて皆無だから、このままいいように玩ばれるしか道はないのだ。
「ほら、吸ってみて」
 リンの指が口腔に押し込まれる。それは、何か液体にまみれていた。それが何かって考えるまでもない。だから、認識した瞬間、思考が停止した。
「んーーーーーっ!」
 じたばたとあばれまわる。冗談じゃない。女の液体、しかもよりにもよって自分のなんて飲まされないといけないのか。指をはずして吐き出そうとした。
「ん、ん…………」
 そこにリンが口付ける。舌をからめて、ねっとりと蠢く。再び流し込まれるリンのだ液。脳髄に直接与えられるような、深い刺激。味なんて分からない。分かりたくもない。それでも、結局わたしは愛液を飲み込んでしてしまった。
 それだけじゃない。リンとのキスが余りに気持ちよかったので、腰が完全に砕けてしまったのだ。余りの屈辱に、身体の奥で何かが弾けた。
 調子に乗ったリンが、わたしの身体をひっくり返して、腰を高く持ち上げる。そして足を広げてしまう。恥ずかしくてたまらない格好。どろどろと愛液が流れ落ちる。
「やだっ……、リン、やめて、お願いだからぁっ……」
 その制止に意味などあるのだろうか。しゃぶりつくリンは止まらない。わたしの興奮も止まれない。
 全身が炎そのものだ。いつの間にか全てを受け入れていた。秘所をしゃぶる音が部屋に響く。それのなんと心地よいことだろうか。
 体中から汗が噴きでている。不安も些末なこだわりも、魔術師も少女も全てが噴きでてしまう。後には「わたし」しか残らない。生まれて初めての感覚、地平の果てまで吹き飛ばされるような、真っ白な快楽に飲み込まれた。
「あ……、ふぁぁぁぁぁっ!」
 肌を撫でられただけで飛んでしまう。全身が性器になったのだろうか? 花弁をなぶられて、更に気をやる。おかしくなる。早くおかしくなりたい。
 クリトリスを徹底的に虐められ、仰け反りがくがくと痙攣した。最後に残った「わたし」も壊れてしまう。それがとても嬉しくて、秘所にリンの頭を押さえ付けた。
「もう……、だめ! だめ、やだ、恐い! あ、や、やぁーーーーーっ!!」

「あ…………」
 どのくらいの時間放心していたのだろうか。気がつくと目の前にリンがいた。いつの間にか全裸になってる。闇の中の白い肌は、本当に綺麗だった。
「ねえ、舐めて」
 乞われておずおずと舌をのばす。少しひらいた赤い花弁は、思ってたよりずっと嫌らしい存在だった。
「凄い……」
 どろりと、女の蜜で濡れそぼったそこは、ひくひくと蠢いている。舌を入れると温かい。もっと奥まで迎え入れようと、まるで波打っているかのようだった。
 ぺろりとスリットを舐め上げる。ぷっくり膨れた陰核を見つけた。ふーっと息を吹き掛けてみる。
「やん……」
 くすぐったかったのだろうか? 腰をひねって逃げ出そうとするけど、お尻をつかんで固定した。初めて触った他人のそこは、手にしっとりと吸い付く柔らかい肉の塊だった。ふにふにとした感触が楽しい。粘土のようにこねて遊んでみる。
「あんっ、やだっ、どこ触ってるのよっ」
 うっかりお尻の穴に指を入れてしまった。きゅっと締め付けられる感触。これはこれで面白いからそのままにして、そろそろ目の前のメインディッシュを頂こう。
「はっ……、あぁっ、そんな……、あんた、いったいどこでそんな……!」
 なんだかリンが可愛い。さっきまでとは正反対だ。もしかしてもしかすると、こいつは受けにまわるととんでもなく脆いのではないだろうか?
 豆を舌で転がしながら、後ろに入れた指をピストンさせる。わたしの頭を抑えて耐えるリン。髪の毛が乱れちゃうのはちょっといただけないけれど、リンが可愛かったのでよしとしよう。
「んっ、い……っ、いやっ! なんでそんなに上手なのよっ!」
 簡単なことだ。さっきのリンの動きを真似してみただけ。もちろん完璧にとはいかないけれど、どうやらリン相手には十分だったみたい。
 もっといじめてみたかったから、ちょっとした冗談を言ってみる。
「ねえ、リン。あんまり騒ぐとシロウが起きてきちゃうよ?」
「………………え?」
「いくら母屋で寝てるからって、真夜中に大声を出してたら気付かれちゃうでしょ? シロウなら絶対に飛び起きてくると思うけど?」
「…………」
 思考停止して完全に無防備なリンの、大切な秘芯に歯を立てた。
「あっーーーーーー!!!」
 我ながら絶好のタイミング。続けざまに、後ろを引っ掻く。
「あぁぁぁっ! やっ、やめなさいこのスケベ娘! ちょ、お願いっ、止めて!」
「だから声だしちゃ駄目だってば。今度こそ耐えてね。次は……、ここかな?」
「んっ……、あ……、いやっーーー!」
 楽しい、実に楽しい。これなら女同士ってのも悪くはないだろう。
 リンに感謝を。今夜、わたしの何かが吹っ切れた。その方法はとんでもなくとんでもないものだったけど、わたしも楽しめたから問題はない。
 ……本当、これでシロウも交ざってくれれば最高なのに。がくがくと乱れるリンをたっぷりと鑑賞しながら、わたしはのんきに眠っているだろう弟の顔を思い描いた。

 次の朝、わたしを起こしにきたシロウが、素っ裸で寝ている二人組を目撃してしまうのだけど、それはまた別のお話。







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