『気が付くとベッドの上で』
阿羅本 景
「…………ん」
気が付くと、綾子にキスをされていた。
――えーっと、落ちつこう、私。なんで綾子に覆い被さられているんだろう? ってところから。
まずここは私の部屋で、ベッドの上。
――綾子の唇が、マシュマロみたいに柔らかい。
綾子が遊びに来て、私の部屋に通して。
――触れた唇が、呟く様に動く。
どうなったんだっけ、それから――思い出せない。
両手を押さえ込まれて、まるで女の子みたいに仰向けになってキスされている。斜に重なった綾子の身体が、筋肉質なのに細くて羨ましいなぁ、と感じたりもする。
――目を開くと、綾子の顔が。
男前な顔だと思う、切れ長な瞳と筆でひいた様な眉、肌もよく見るときめ細かくて、手入れしてるんだなって感心――唇が、息の度に震えた。
顔の上にくっついた唇が、勝手に動く。
綾子の唇を甘噛みし返すみたいに――そう、あいつにキスされた時もこうしていたのかな? 私。
指が絡む。
握りしめられている私の手。
被さる前髪が重なり合って、肌の暖かさが伝わってくる。私も綾子も制服のまま、こんな抱き合う様に――
唇が、こそばゆい。
粘膜同士が触れているのに、もっと身体の中から触れてるみたいな感じがする。ああ、女の子の唇だ、柔らかいなぁって頭は心地よさに蕩けそうに――
「あ……綾子?」
唇の隙間から、息を漏らす。
それがこのベッドの中の魔術を打ち破る様に、止まっていた鼓動も呼吸も甦らせる。
開く瞳、鳶色の綾子の瞳。
その目が、信じられないって顔で――今更なに?
唇が離れる、その瞬間に綾子の背中が発条仕掛けのオモチャみたいに跳ね上がった。
がばっ! と音が立ったほどに。
押し倒された私はベッドの上で、まだ仰向けで綾子を眺めていた。唇が濡れて、火照っている。
「あ、ああ、あのその遠坂、あたしはだな」
「――キスされちゃった」
「そんな切なげな顔には騙されないぞ、衛宮じゃないんだから!」
呆然として呟いただけなのに、綾子の息咳切った言葉にはちょっとむっとしてみたりする。あいつのことをいちいち聞かせて貰わなくてもいいわよ、うん。
「それにこれが遠坂のファーストキスじゃないだろうし」
「綾子のファーストキスだったらどうするのよ、私が責任取らなきゃ行けなくなるじゃないのよ」
「――ああ、それはない。キスくらいはしたことあるぞ」
安心してくれ、とか言いたそうにカラカラ笑う綾子。人にキスをしておいて一体なにを――でも、綾子に誰がキスしたんだろう?
「相手は誰よ、もしかして弟さん?」
「ぐ――い、いやまぁその、それは秘密だ」
「図星か。まったく綾子の良いオモチャよね……」
姉弟でキスしてファーストキス云々はひどいと思う。あの藤村先生とあいつのキスみたいなそれは、ノーカウントにしないといけない。
――セイバーだとどうかしら、うーん……微妙。
よっこらしょ、とベッドの上に体を起こす。
綾子も腰掛けていて、このベッドで向かい合う。
「で……どうした私にキスしたのよ」
そう、それが最大の謎。
どうにもどういう流れで期することになったのかが、明らかじゃない。キスさせて、なんてお願いもされなかった。気が付いたら押し倒して、ぶちゅっと。
――でも、上手かった。
少なくともあいつに比べると。まったく、比較対象が悪すぎるって知ってるんだけどね……
腕組みして冷や汗を垂らしている綾子に、にやっと笑って話し掛ける。
「……はぁん、わかったわ」
「――――なんだ遠坂」
「これはカミングアウトね、あの賭けでわざわざ負けを甘受したのは綾子がビアンで、本当は私に気が付いて貰いたかったんだけど焦れて焦れて……」
うん、それならシナリオが適合する。
綾子も見事なぐらい男っ気がなかったのはそれか。まぁ、綾子にお似合いの相手もいないんだけどね。
実はそれがレズビアンでしたっていうことなら納得――って
「……遠坂。すごい目であたしを見てるのは、何故だ」
「ちょっと待って、そうなると綾子が狙っているのは私――気が付いてくれなくて焦れて実力行使に及んだって事は、えーっ、ええええ!」
……もっと早く気が付け、私。
つまり、私は敵を座敷に上げるどころか先制攻撃まで許してるじゃないのよ!
ベッドの上に飛び上がると、枕を掴んで振りかざす。
「こ、この変態! 同性愛者!」
「落ち着け、勝手に納得するな!」
「わ、私の唇を奪って押し倒してそれで落ちつけって、士郎でもそんなこと言わないわよ!」
ばふんばふんと枕で攻撃する。
武器としてはいささか頼りないけど、他になにもない。とりあえずこの親友の顔をしたビアンをベッドから追っ払わないと私の身も心も――
――がしっと。
振り上げた枕が、手首毎キャッチされる。まるで居合いみたいな綾子のスウィングで封じられる。
ああ、そうだ、綾子は私より正規の芸達者なんだった。拳法が使えるなんていうのは秘中の秘なんだし。
「え? やっ、きゃぁぁあ!」
そのまま大外刈りの要領で、また倒される。
マットレスに背中が弾んで、私に被さるのは真剣な顔をした綾子の影――まずい、また襲われる!?
「だから私はレズビアンじゃない!」
「き、キスしておいてレズじゃなかったら何だっていうのよ! や、はなして、綾子に犯されるー!」
「犯すって、どうやって!?」
「と、とんがってるものなら何でも出来るじゃないのよ!? ネンネのふりをしようたってそうはいかないんだからー!」
花も恥じらう乙女がどうして、即物的な手段について語り合ってるんだろうか、押し倒し押し倒されつつ。
藻掻くけど、寝技も上手い綾子ががっしり私を袈裟固めに。ああ、だめだ、綾子に犯されるー
……もしかしてすごく気持ちよかったらどうしよう?
「だから、何となくキスしたくなったんだって!」
「な……なんとなく? 何となくで私、キスされたの?」
「嘘じゃないぞ? あたしは同性愛者でもなんでもない、鹿島大明神に誓ってな」
随分大仰なものに誓われたわね、と唸る。
――でもそうなると綾子の行動原理が謎すぎる。私が何となくキスしたくなるなんてことはない――わね。
「遠坂を見てて、話してて、ああなんか綺麗な唇してるなー、って思ったら、つい。」
「……それだけ? 本当にそれだけ?」
綾子に念を押す。念を押してもがっちり袈裟固めだから否応はないんだけど。
こくこくと慌てて頷くのを見て――そうよね、綾子ってそこで嘘着けるタイプじゃないから。そろそろ重心の上に全体重を掛けられるのがきつくなってくる。
「……暴れないな、遠坂。離すぞ?」
「もう一本取られてるじゃないのよ……はぁ……」
綾子が退くと、安堵の息を漏らす。
――浸ってる場合じゃなかった、そう、綾子にキス。
「……ほんっとーに、それだけでキスしたの?」
「他の理由があったら、それこそ私がレズビアンで遠坂を狙ってる事になるじゃないか。蒔寺じゃないんだからさ」
「――そういわれても困るわよ」
一難去ってまた一難、というか……確かにマキジもすこし動きが変だなーって思うことあるし、綾子と仲が悪いのも道理が――って、何を考えてるんだか。
「……済まない。ちゃんとキスさせてくれて頼めば良かった」
「頼まれても……どうしたものかしらね」
返答に困る問いに苦って、口を尖らせて困る綾子を見つめる。こっちを赤い顔でちらちらと……ああ、なんだこいつも可愛いじゃないの、こういうの。
「いつもはこんな事はしないし、男にさせたこともないからな。ただ今日だけは魔が差した、って遠坂――――」
もう、それ以上喋らせなかった。
今度は私から、綾子の唇を奪う。
鳶色の瞳は大きく開かれて私を見ている――けど、もう彼女の視界の内側に忍び込んでいる。
指に、ベストの杉綾織りの目が触る。
お互いに膝をぶつけ合うくらい近寄って、スカートが絡む。やわりと奪う唇は、熱くぎこちないあいつと違う。綾子のさっきの味が、舌の上に広がる。
漏れる息を吸って、流し返す。
鼻はぶつかるし、頬もくっついちゃう。でも、綾子とキスしているのはすごく――気持ちよかった。
「ん………あ……」
女の子同士のキス。
なんだ、あいつは女の子の私からこんなのを感じてたのかって思うと、卑怯だ返せーって言いたくなる。手が何もしないとおかしいから、綾子の胸を触れる。
「ん……」
漏れる言葉を舐め取る。
ベストとワイシャツ、それにブラ越しなんて重武装だけど、指に返ってくる様な柔らかい感触。ああ、ちゃんと胸あるじゃないの、綾子って。
そうよね、弓道着でも結構あるなーって思ってたから。
「と……遠坂!?」
酔って戸惑うような、綾子の声。
逃げる綾子を追い掛けると、今度は綾子の上に乗っかる。攻守逆転で、私の長い髪が綾子の胸の上に垂れ被さった。
あ……私の髪、すごくえっちだなあ、と。
押し倒される綾子も、怯えた瞳が可愛い。こんなに可愛いならほっとかないけど、こんな目を見せないんだから仕方ないんだなぁ、なんて考えて――
「ま、まさか遠坂の方こそバイだったのか!?」
「――ビアンっていわないのね、あ、あいつがいるからか」
「もしかして遠坂の方こそあたしを焦らして罠に誘い込んで、先に手出しをさせて大義名分を得てからあたしを手込めにしようって!」
……なんで、お互いそんなことばっかり考えているんだろうか? 押し倒してキスするのが普通の事態じゃないから、なんでしょうけど。
――それも女の子同士で。でも、可愛いし綺麗な相手ならそれでもいいかなーって、ぼんやり思う。
「……よく考えるわね、そういうの」
「さっきの遠坂の考えの流用だって――というか、本当はどうなのさ?」
「――キスしてみれば判るかな、なんて」
いい加減な理由しかない。
でも、女の子同士でキスする真剣な理由がある方がおかしい。それこそ性的な異常者のすることだ。
――あ、でも、綾子の胸触ってるか。
指で揉むと、ぷよぷよしてるのが面白い。痛くないように揉んでやると、ひくっと肩が震えちゃったりする綾子。
「あ……遠坂、変なところ触るな……」
「なら、おあいこで私の変なところさわってもいいわよ?」
ここで止めればまだまだおふざけで済むのに、私の中のひねった部分がそんなことを言わせてしまう。
綾子にこの胸を触られるのは、ちょっと悔しくあるんだけど、と――――
さわり、と。
まるで痴漢みたいにお尻をなで回される。
綾子の手が触ったところから、変な液体にまみれちゃったみたいなぞぞって感じが――走る。
「ど、どこ触ってるのよ!」
「遠坂の変なところ。あ、もしかして普通に触れててるから変じゃないとか?」
くすりと笑って、私のお尻をなで回す綾子。
手つき妙にいやらしい、私のお尻を撫でているのは、その奥に響くところがあるのを知ってるから、そこを焦らして責めるみたいに――
膝から上の筋肉が、勝手に踊りそうになる。
お尻の肉を綾子に摘まれていた。パンティーラインをなぞられて、インナースカートがお尻にまとわりつくような、くすぐったい感覚。
「こんな……や、ん……はぁ……」
「こら、遠坂そんな風にしたらあたしも……あ……」
両手で、綾子の胸を揉む。
こうして責め返さないと、綾子の上で私が恥ずかしく小さくなってしまいそうだったから。掌でもみ上げるみたいしにて、制服の上から、もどかしいけど確実に。
布越しに、綾子も乳首を立ててるんじゃないのかなって判ってきたりもする――けど。
「あ……はぁ……ああ……」
漏れると息が、えっちくさくなる。
二人でベッドの上で、身体を触り合う。それでも恥ずかしいのに、お互いの息づかいを感じると、駄目になる。あいつの熱くて荒い息づかいを聞くと、自分がどうされるのか、ばらばらにされそうでどきどきする。
一人でベッドの中で寂しくてしてると、息づかいが切なく熱くて、おかしくなりそうになる。
でも、綾子と私の息を、服越しの身体の熱さを知って、こんな風にしてると――いいかな、って。
「遠坂……あたし、その……悪かった」
「謝るのは後でいい……わよ、でも……私……はぁ……」
思考に快感が混じって、鈍い。
抱かれながら呪文を絶え間なく唱えるのだって平気だけど、変に綾子の身体が私を惑わせる。あいつの欲しい、上げたいっていうのじゃない、これ――綾子の身体が私になっちゃうみたいな。
「遠坂……汗掻いてきたな」
「綾子こそ、さっきから……もしかして、感じる?」
当然だ、これで感じてなかったら落ち込む。
綾子の瞳が一瞬涙ぐんで、頷く。あ、よかった、感じてるんだ、私がこんなふうにしても――
「遠坂はどう……なの?」
「触って……いいから、綾子。綾子の指で確かめて」
――恥ずかしいお願いだった。
あいつにもしたことのない、おねだり。それを綾子と触り会いながら、平気で言えちゃうのがすごい、
スカートの中に、手が入る、
パンストじゃないから、すぐにショーツに手が触れる。あ、中に触られちゃったな――と思っていると、綾子の指が太股まで滑って、内側に入る。
「あ……ん……」
「……すこし、濡れてきた? 遠坂」
「ちょっとかな……うん……」
綾子の指が、ショーツ越しに私の上を撫でている。
ショーツをべったり汚しちゃうほど濡れないほうだけど、やっぱりこんな事をしてると、興奮してくる。
身体の中が熱くなって、じわっと日々から漏れだしてくる――みたいに。
「ん……あ……ね、綾子のも……いい?」
触らせて――と。、お願いする。
綾子の眉が一瞬驚いた様に上がるけど、すぐにわかったのか、泣きそうに困った顔で頷く。
「や……やさしくしてね、遠坂」
「綾子がしてくれるくらいに、優しくするわよ……はぁ……ああ……」
綾子の指が、私の割れ目の上をゆっくり上下する。
こんなふうにおっかなびっくり触られる方が、逆に感じる。肌と襞にぴくんっ、って痙攣したみたいな気持ちよさが――そのまま綾子の身体の上に倒れ込んでしまいたいほどの。
「……あ……ん……ああ」
「綾子……他の人に、こんなこと……されたことは?」
綾子のスカートをたくし上げ、裾に手を入れる。
手が触れるのは綺麗な膝小僧で、ぴたっと張り合わせた内太股伝いに上げていく。脂玉を触れるみたいな柔らかく、舐めかな手触り。
女の子の身体は、宝石みたいだと思う。
あいつはごつごつした岩で、その厳めしさが時に恋しい。綾子は柔らかい軟玉みたいに、触れる手の優しい。私はきっとガーネットかルビーか、そんな硬くて綺麗な赤い石だ。
「ん……遠坂……ない、から……」
「もったいないわね、私が……綾子の初めて、貰っちゃうことになりそう」
微笑んで、軽く綾子の頬にキスをする。
柑橘系の芳香剤の香りに、すこし甘さの混じった肌の香り。スカートの中にある指が、綾子の秘密の部分をちょんと、触る。
「あ――んっ!」
身体が怯える様に竦む。
人差し指の先だけ触れたところは、ひくひくと熱く震えていた。可愛いな、綾子……こんなに柔らかくて、怯えてて、いじめてあげたくなる。
でも、綾子の指も動き出して――
「ああっ、は……ああ……ん……」
「や……う、綾子……そんなの、私……あ……」
指が、まさぐる。
私がまさぐったのか、綾子にまさぐられたのか。感じやすくてひくひくしているお肉の上を、布越しに触られる。綾子のコットンのショーツの手触りと、私の内側に触れるシルクの感触が混合する。
キスする、唇は融けてしまう。唾液を舌でぬりたくり、味で綾子を確かめようとする。唇の間から、控えめに差し伸べられてくる舌に舌を触れあわせた。
ぬたくり――と、口腔を歪める快感。
頭の中に粘膜の歪んだ固まりが浮かぶ。
まるで現代芸術家の見る幻影みたいな形。
それが、ぐにゃぐにゃと歪んでえっちな液体をしみ出させる。それが、私の中の禁じがたい官能だ。
綾子も――同じ物を感じてるんだろうか――
「んぁ……はあ、ああ……」
「や、はぁ……ああ……」
綾子が私のお尻とあそこを、両手で触る。
私も綾子の胸を撫でながら触れている。耳をそばだてればぴちゃぴちゃって小さな音が聞こえるかも知れない――でも、鼓動と、呼吸にそれは遮られる。
「あ……はぁふぁ……ああ……」
肌が熱く湿る。
ブラウスが肌にべったりくっつくような感じ。スカートも足にからまりつく。でも、それよりも感じさせてくれる熱さ、感じさせる酔い、私は綾子に抱きついて、考えることよりも感じることを進ませたい。
「やぁ……はぁ、く……ふぁ……ああっ!」
綾子の指が、私の中に入っちゃ――て。
ショーツを横にずらして、中に。ぷちゃり、って音が聞こえて恥ずかしい。私のあのヒダヒダに綾子が指を差し込んでるんだなって思うのは――頭がパニックになりそうだった。
あいつに触られたり、舐められたり、愛されたりする。それと友人だった綾子のこれは、アブノーマルでもインモラルでもないけど、絶対普通じゃない。
から、私はおかしくなり――そうな。
「熱い……遠坂の……私も、ね……」
「綾子……うん、してあげる、綾子にも――」
頭の中にぐにゃぐにゃが、ほしいほしいって言ってる。
それに指をつっこんで掻き回してやれば、私も狂えるんじゃないのかって思うけど、その代わり――綾子の割れ目の中に、指を差し込んであげる。
もうぬるぬるに濡れた人差し指で、ずるって――あそこの毛がすこし巻き付いたけど、つるつるの指触りの、くにゃりってした女の子の箇所に、私が……
触れた。
「ああっ、はぁ……やぁ……んn……」
「はぁ、く、はぁ……ああ……いい……」
二人抱き合って、お互いのスカートの中をかき混ぜてる。息と肌の香りが立ちこめて、くらりとする濃さ。息に混じって水音の不協和音、背筋と肌がそそける、快感の鋭さ。頭の熱さ、汗と愛液はこんなに溢れてる。
私全部は、指触れるこんな小さな粘膜の器官になってしまったみたいに震える。綾子のを触ってあげる、ここがラビアで、ここが尿道の窪みで、奥まった膣の入り口のヒダヒダとか、指の腹にぐりっと触るクリトリスの茎とか、みんな判る。
「はぁっ、はあ……ああ、いい………んん、くぁ――」
「や……綾子……して、私にも……して、ああ」
私の指がお手本みたいになる。
綾子の指も、私がしてあげたとおりに、してくれる。襞を摘まれるとあそこがぼこっと抜けちゃいそうで、クリトリスも根っこから揉まれると、お漏らししそうになる。腰骨がずきずきして、脊髄がずれそうな快感。
「ひゃぁ……ああ、ああふ……は、ああ……」
「遠坂……ねぇ、遠坂もっと……あたし……」
快感の囁きは、口に流し込む。
何度も唇を啄み合わせる。歯でかまないから、濡れた唇は摘めなくて逃げる。だから、いい――ずっと唇を求め続けあわせられる。
目を開くと、綾子の瞳が酔っている。
鳶色が僅かに涙で赤く――私の色がしみ出て染めてるみたいに。私もどんな顔をして、綾子を見つめてるんだろう?
目を閉じ、唇を合わせる。
綾子の胸が、息に上下する。とくとくという鼓動が、この掌に盗めそうに大きかった。綾子も私の指に面白い様に震えて――可愛い。
「あ……はぁ……遠坂、私……ああ……」
「綾子……こっちで、イケる……?」
襞が口を合わせた、お尻の穴に近い窪みをつついてあげる。ここを越えると会陰の硬い肉と、指で触って判るお尻の窄まりがある。
綾子が、ふるふると頭を振る――怖い、って言ってるみたいに。
「中、その……だめ、入れたことないから……」
「ほんと……あ、ある……綾子の処女膜……」
指で、入り口を狭める襞を探り当てちゃった。
……アスリートならないとかいうけど、ちゃんと綾子にあったな……私もちゃんとあったけど、あいつに荒々しく破られちゃった。
「は、恥ずかしい、遠坂そんな……ああ、はぁ……」
「じゃぁ……綾子、私の中に……入れて? 私はクリトリスで綾子を行かせてあげる……から、ん」
指を、襞の合わさった鞘に触れる。
ここを撫でてやれば、綾子は身体をくねらせてイクだろう。まだこっちの方が感じるみたいなんだから。
「あ……はぁ……」
おずおずと私の膣口を探り当てる、綾子の指。
入れたことないのなら、本当に入れて良いのかどうか判らないだろう。私だって、指で入れてみたのは後のことだったんだ――自分の身体なのに怖かったから。
「大丈夫、綾子……ね、指……入れて……」
「遠坂……いいの、本当に」
「爪……立てないでね、それなら大丈夫だから」
でも、マニュキュアを塗る私の長いネイルと違って、綾子はちゃんと切りそろえられた爪をしている。だから、無理にぎゅーっとやっても多分、大丈夫。
綾子の、戸惑う息づかいを感じる。
お尻をちょっと振ってみて、早く早くって焦れる。
指の腹で触れられてる、私のあそこ。綾子が息を止めると、指がまるで、後ろから突き立てられるみたいに――
「あ……はぁ……ん……」
入ってくる。
綾子の指が、私の中に入ってくる。
襞を分けて、中をにゅぶって潜ってくる。私のお腹の中に感じる、綾子の指。ぎゅーって本能的に身体が締め付けちゃうけど――
「あ……入ってる、私の指……遠坂に……」
頭の中に、脊髄がめり込むみたいな気持ちよさ。
私、もうこんなお腹の中で感じるえっちな身体にされちゃったんだな、って思う。あいつのおちんちんを差し込まれたり、綾子の指を入れられたりすると、腹筋がきゅーっと締め上がるみたいに感じちゃう。
「はぁ……ね、動かして……私もしちゃう……から」
「遠坂……は、ああ、ああうあああ!」
指を動かす。
鞘の上から、ぬるぬると綾子のクリトリスをいたぶってあげる。指での上を撫でると、貯まらないはず。
綾子の身体は跳ねる。制服のまま、髪を乱して抱き合って、スカートの中を触り合う私たち。
それだけでもえっちなのに、指で相手をいかせようってしてる。私は綾子を鳴らせて、綾子は私を剔ってきて――じゅふじゅふとあそこが綾子の指を噛んで、よだれを垂らす。
「はあ、ああ、や、はぁ、く……あああ」
「綾子……いい、もっと……うう、あああ」
足がつっぱって、攣りそうになる。
スカートを踏んづけて絡ませ、足が交差する。それなのに、手はスカートの中に飲まれて、恥ずかしいところをあんな事やこんな事にしている。
ぐしゅぐしゅと、えっちな音がする。
綾子は涙を流して、真っ赤な顔で息をしてる。
それにキスする私。背中にじゅうって官能の鉄板を押し当てられ、頭の中にゼリーの釘を打ち込まれるみたいな、気持ちよさ。
中から、かき混ぜられてる。
感じやすい中の箇所を、何度も綾子は擦る。
その度に、綾子の先っぽを撫でて褒めてあげると、ひゃうっと背中を反らせて喜んでる。
「あっ、はぁ、ああ……いい、の……うん」
「は、はぁ、あん……ああんん、ん、くぁ……あん」
服を脱ぎ捨てて、涼しくなりたい。
それなのに、この熱さがどうしようもなく私を押し上げてくれる感じがする。綾子も私の下で融けそうになってて――
「はぁ……ああ、私……んっ、遠坂……」
「もう……くる、きちゃ……や、はぁ……あああ……」
指がブレそうに動いている。
どこまでも震えさせれば、どこまでも気持ちよくなれるから、私はかき混ぜられ綾子は撫で潰される。肥大しすぎる快感は、毒の様に身体を染めていく。
――イきたい。
だから、もっと……
「綾子……ね……して、もっと、はぁ……あああ!」
「遠坂、私っ、怖い……はぁああ……ああ!」
指がくねって、もう身体が堪えきれなくなる。
私の中にぎゅっと奥まで差し込まれる、綾子の指。
私も綾子を指でつまみ上げて嬲ってあげて――
「あああああっ!」
びくっと、身体が何度も何度も震える。
お漏らしして制服を汚しちゃったんじゃないのかな、ってほどの気持ちよさ、吊り上げられて落とされる弛緩。腰の奥から一瞬真っ白になるものがきちゃって――
「――――――はぁ、あああ……」
ぐったりと綾子の上に倒れる。
イカされ……ちゃった。綾子は初めてなのに。でも、私が触ってあげた綾子はずっとびくびくと痙攣し続けてる。ああ、こんな顔してイクんだ――って、泣きそうな眉の綾子の顔を観察する。
「はぁ……ああ……あ……はーはー」
快感の喘ぎ声ではなく、緩やかな呼吸に戻る。
どっちともなく手をスカートから抜く。ハンカチで拭かなきゃ大変なほど、袖口まで汚れそうに濡れてて――でも、それをベッドの上に放りだして、放心。
「……………ねぇ、綾子」
「――なに、遠坂」
「これで、綾子はビアンで、私はバイになっちゃったのかしらね?」
――気が緩んだのか、そんな馬鹿なことを聞いてた。
こんなことして、お互いイカせちゃってそうじゃありませんよー、なんて通じないかも知れないけど。
「これは……ああ、遠坂がふざけるからもう」
「綾子だってお尻触ったじゃないのよ」
「誘ったのは遠坂じゃないかい。でもまぁ……」
お互い、抱き合ったまま。
いっか――そういうことは、後で考えましょ。今は何となく、綾子の上でぐったりしてるのが気持ちよかったりするから。
「――癖になりそう……怖いね」
「あら、綾子も彼氏作って開発して貰いなさいって。そうしたら今度は私が中を可愛がってあげるから」
「こいつ――言ったな。くっそ……」
でも、喧嘩にならないで囁き合うだけ。
――本当に、どうしてこうなっちゃったのかしら。
綾子に、何でかしらね? とキスをする。
それに返してくれたキスが、すこし――甘かった。
《fin》
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