夜明け前


古守 久万




 真夜中の路地裏を歩く少女がいた。
 心なしかその歩みはおぼつかず、端から見れば少し酔っているのかと思えるが、本人は決して飲酒などしていない。
 そして少女は自らの住処へ戻ると、そこにはもう一人の少女が待っていた。
「お帰り、シオン」
「はい、ただいま戻りました……はあ」
 にっこりと笑顔のさつきが呼びかけるも、シオンはそのままゆっくりとさつきの横へ腰を下ろし、一つため息をつく。
「? お疲れのようだね」
「はい。今日は少し……」
 苦笑いを浮かべてはいるが、シオンは親友の質問に正直に答える。
 嘘は苦手、というより、嘘が下手であると言われた少女の正直な性格故だ。

「ふうん……大丈夫?」
 二人で路地裏に座り込み、のんびりと夜空を眺めながら何気ない会話。
「はい。吸血衝動が、というわけではありませんから」
 そんな中、さつきは先ほどから感じられる僅かな感覚に胸を高鳴らせていた。
「ふ〜ん……」
 と、さつきは唇に指を当てて考えるような素振りを見せてから、一瞬隙を見せたシオンに向かって、にこっと妖しげに笑う。
 その様子は、見るものが見れば胸をドキッとさせる魅惑的なものであったのだが、シオンは気づかず、すっ……とさつきが座る距離を縮めてくる気配をようやく感じた瞬間……

「あっ……」
 唇を塞がれていた。
「ふ、あ……」
 さつきの柔らかな唇が自らのそこに触れ、あまりの心地よさにぴくっと身体を小さく震わせる。
「ん、あっ……」
 さつきがシオンの首筋に腕を絡め、まるで恋人のように寄り添いながら唇を奪っていく。ゆっくりと身体を引き寄せられ、密着した身体からはとても良い香りがする。
「ん……」
 さつきが自らがあげるくぐもる吐息も飲み込むようにして、舌先をシオンの口内へ滑り込ませた。柔らかく暖かいシオンの唾液を感じ取りながら、その口内に潜む小さなかけらを探るように舌を絡ませていく。
「ん……ちゅ……」
 ぴちゃり、ぬちゃりと湿った音が夜の路地裏に小さく響き渡る。
 少女同士がキスを交わし、唾液を貪っている光景の淫靡な様子は、誰にも知られることがない。
 シオンはただされるがままに、さつきに口内を優しく責められる。
 こんなに口づけが上手で、自分が男だったのなら――いや、女である今でも、それだけで陶酔してしまい、意識が朧気となっていく。
「ん……あ」
 と、シオンの舌の裏を舐めた瞬間、さつきは喜びの小さな声を上げる。
 見つけた。
 嬉しさに身体を震わせながら、舌先に感じたあの味に陶酔し、もっと名残がないかと更に深くシオンの口内に舌を踊らせる。
 その激しさは歯牙をなぞり、頬の裏にまで舌先を伸ばす淫猥なもの。
「あ……ん……」
 甘くねぶられて、シオンの口内に次々と溢れる唾液は、すべてさつきの舌に絡め取られ嚥下されてしまう。
 こくり……と小さく鳴るさつきの喉元。
 それは吸血……ではないが、吸血という事の意味を知るシオンにとって、否定したくても微かなエクスタシーを感じてしまう姿。
 さつきの美しさと可愛らしさも原因の一端ではあるが、今はそれを考える余裕も無いほどに感じさせられていた。
 唇で……まるで性交をしていると感じてしまうほどの淫らな行為。震え、それさえも抱きしめられることで甘美に受け止められてしまう。
「んんんっ……」
 きゅうっと舌をさつきの口内で吸われ、その心地よさに微かなあえぎ声が漏れる。
 こんな……とろけるようなキスが、思考を次々と切り裂いて、目の前の少女にいけない想いを抱かせた。
 くちゅりと絡ませた舌で、自らもさつきの望んでいるそれを差し出し、その返礼に似た甘いキスに酔いしれ、身体の芯が熱く火照らせていく。

「ん、ふふっ……」
 と、ずっとシオンを抱き寄せていたさつきが腕の力を緩め、唇を優しく離した。
「あ……」
 やめないで、そうシオンは願い潤んだ瞳を向けるも、さつきは少し意地悪げにその瞳を見据えたまま最後に小さく舌先を絡ませる。遅れて離れた互いのそこには、微かにシオンの唾液が繋がり、キラキラと月の光に照らされて銀の橋が。
「さ、つき……」
 言葉が浮かばない。頭の中では沢山の事象が沸き起こるのだが、それを処理する能力に欠けている。
 と、そんな呆けた姿のシオンを見て、さつきはちょっとふくれていた。
「シオン、また遠野くんとしてきたんだね」
「は、い……」
 もうっ、といった様子のさつきに、シオンは頬を染めながら俯く。
「わかり、ますか?」
「当たり前だよ、そんなにいっぱい遠野くんの匂いをさせて帰ってきたんだもん。ため息にも混じってたし」
「うう……」
 さつきのキス。それは志貴の名残をシオンから得るためのもの。
「やっぱり、口の中で出された?」
「はい、一番最初は口で……」
 その残滓を絡め取るため、さつきはシオンの口内を優しくねぶり、そして奥に微かに残っていた精液の味を見つけ志貴の存在を感じると、喜び半分、いじらしさ半分で吸い取っていたのだ。
「もちろん飲んだよね?」
「は、い。言われたので……」
 実は一度で飲みきれないほどの大量の精液を『飲んで』と言われたので、恥ずかがりしながら嚥下していたシオン。それは知らないが、ほぼ似たような状況を思い、思わずコクッと自分の唾液を飲み込んでしまうさつき。
「いいなあ。遠野くんの……あれ? ちょっとこう、わたしも直接口にしてみたいかも……」
 さつきが羨ましそうにシオンを見つめとんでもないことを言うが、それに何かシオンが語る前にさつきはシオンの正面に回り込むと首筋に顔を近付け、身体から染み出す香りを感じる。
「ほら……ここだって、擦りつけられた?」
「んっ……あ、はい……」
 その匂いの元、首筋に小さく残る乾いた精液を舐め、それから他にも飛び散っていた部分へも舌を這わせる。
「んっ……」
 感じる場所を責められ、シオンは甘い吐息を漏らす。
 さつきは志貴の精液を舐めると、舌の上でふやかすように味わってから更に首筋に優しくキスの雨を降らす。
「……さつき、最近嗅覚が鋭くなっていませんか?」
 的確に志貴の残滓を見つけだすその姿に、シオンが少し困ったように問うが、
「んー、別に犬属性は持ってないと思うんだけど、確かに人並み以上の自信だけはあるかな?」
 ちょっと見上げるようにして、自覚がないようにうーんと首をひねり、それからその間にも嗅ぎ取った新たな精液をかすめ取る。
「しかし、特に志貴のこれには……んっ……」
 敏感ではないか、そう言うつもりもあっさりと優しい愛撫にかき消され、さつきは尚もシオンの首筋を舐める。
 しかし、舐めても舐めてもその香りは消えない。首筋すべてに舌を這わせ終わってもまだ足りない。さつきはシオンからいくらでも沸き立つ志貴の匂いをもっと味わいたく、目の前にある服の合わせ目に目をやった。
「ん〜」
 すっと手を伸ばすとシオンのタイを外し、ブラウスのボタンにも手をかけて首筋を更に露出させる。
「え? あ、やっ、さつきっ……」
「む〜、隠したって無駄だよ、わかっちゃうんだから」
 そうやってもう一つ外したブラウスの奥から鎖骨が覗く。そしてもう少し先にブラの紐。視線を下に落とせば見えるだろう胸を包むカップの存在も、上着が邪魔をして前を閉ざしている。
「シオン、脱がすよ〜」
「わ、あっ」
 さつきは勝手知ったる動作でシオンの上着に手をかけ、万歳をさせるようにして脱がしてしまう。そばに優しく置いてあげると、
「ん……やっぱり」
 そうしてブラウス一枚になったシオンの胸元を見て、宝物を見つけたような嬉しそうな顔を見せた。
 真っ白なその胸元が、何故か小さく濡れている。その奥には薄く透けた肌の色とブラのレースまで。
「シオンって、実は積極的……?」
 前をはだけさせようと更にブラウスのボタンを剥いでいきながら、さつきがシオンをからかう。
「ち、違います! 今日は志貴が胸を吸っている最中に『これでして欲しいなあ』って言ってきたので……」
 シオンはさつきの思惑通りに、言わなくてもいい事まで素直に話してしまう。そこでハッと気付いたが、時既に遅し。顔を真っ赤にするシオンを前に、
「胸で、かあ……そりゃあ、シオンのおっきいからね」
 さつきはぷにぷにとブラウスの上から膨らみを突き、それから染みへと指先を滑らす。まだ微かにじとりとしたそれをなぞると、ちゅっと唇で吸い付いて味を確かめた。先程と同じ、思わずクラッとしてしまうような感じに自然に笑みがこぼれ、それをそのままシオンへのからかいに向け、訪ねる。
「胸に出されたんだ?」
 さつき恐るべし、そう思いつつもシオンはにやにやと笑う姿にあきらめを感じ、
「……凄く嬉しそうに」
 志貴のそれを胸で挟みつつ優しく扱いている間の嬉しそうな顔と、激しく吹き出した精液の飛沫を思い出しつつ、シオンははあ、と吐息ため息混じりの脱力。
 こう、実はずっと見ていただけあって、さつきと志貴は心のどこかでエーテライトでも繋がってるのではないか、そう思ってしまう。
「遠野くんって、やっぱりシオンのおっぱいが好きなのかなあ……」
「そう言うことは無いと思いますが……」
 さつきが自分の胸に手を当ててむ〜、と悩む間にも、きっちりシオンのボタンを外す要領の良さ。
「まあいいや、その暁には遠野くんに触ってもらって大きくするんだから」
 そう言ってさつきはシオンの前をはだけさせると、そのまま背中にも手を回してブラのホックまで外してしまった。
「ん〜、でもちょっとこの大きさは羨ましいよねえ」
 そう言いながら、さつきはシオンの胸を下から包み上げるように手を添える。
「んっ……」
 感触に思わず甘い声を上げてしまうシオンにくすっと笑いながら、さつきはふにふにと質感を楽しむようにする。
「それに凄い敏感だし」
「そっ、それはさつきの手が……ひゃっ!」
 いやらしい、と言おうとしたシオンであったが、さつきはあくまで手を添えたのはオマケ、とばかりにシオンの胸の谷間へ顔を埋め始めていた。くっきりと浮かんでいる白く乾き始めた筋、そこへ躊躇いなく舌を這わせ、舐める。
「ん……下の方で広がってる。谷間に溜まったんだ、遠野くん一杯出したんだね」
 自らの唾液で乾きを伸ばし、そして元の粘度を取り戻した精液を舌で味わい、少しだけ満足そうにこくっと嚥下していくさつき。
「やっ、あっ……変な、感じ……」
 そして、志貴には殆ど舐められぬそこをぬらりとした感触が襲う度、甘い声を漏らすシオン。
 見れば見るほど卑猥な光景であった。
「ん……ふう、これで全部かな」
「は、あっ……」
 谷間を舐め終え、名残惜しげにちろちろとシオンの肌の味を確かめていたさつきが、そっと唇を離す。それに安堵しきっていたシオンだったが、
「……はあっ! さ、さつき……っ!?」
 急に胸の先端を襲いかかったさつきの口に、思わず叫びまで上げてしまっていた。
「ん? だってやっぱり、こう憧れがあるからね〜」
 楽しそうに小さなそこを含み、コロコロと口内で弄ぶさつき。
「遠野くんもこうやってるんだよね……あ、固くなってる」
「は、あっ、さつき……何だか志貴に似て……!」
 じらすように舐めていく仕草がそっくりだと思った瞬間、更にこりっと優しく歯を立てられて思わず声が詰まる。実はそれさえも志貴のやり方に酷似していたのだ。
「そうなんだ? えへへ、嬉しいな」
 どこかで本当に繋がっている可能性があるかな、などとちょっと神秘的な奇跡を感じながらさつきの愛撫は熱を帯びていく。
「はあっ! さつき……っ!」
「シオン、かわいいしふにふに……」
 片方の乳首を口に含みながら、もう片方へも手をやることを忘れない。
「ん、あああっ……」
 包み込むような手は志貴のそれに比べて小さいが、芯に眠る心地よさを的確に捉える動きがシオンの快感を呼び起こしていた。
「ふ、あ……っ!」
 さつきの手が今まできっちと閉じられていたシオンの脚に触れ、ゆっくりとこじ開けていく。胸を攻められて力が抜けていたシオンはあっさりと脚を割られると、その間に身体を滑り込まされていた。
「で、それだけで終わりとは思えないから……」
 と、さつきの指が膝から腿、そしてショーツに隠された場所へとつつっ……と伸び、
「んんんっ!」
「ほら、ここも凄い濡れてる」
 純白の布地へ触れた瞬間、まるで小水を漏らしたかのようにじっとりと濡れたクロッチへ触れていた。
「あ、ん……っ! さつき、ダメ……」
 胸に加えて秘部にまで愛撫を与えられ、シオンは身をよじるようにして初めて逃げ出そうとする。しかしこういう時のさつきの力は流石吸血鬼だけあり、常人なら跳ね除けられてしまうはずのシオンの力にも簡単に対抗できてしまう。
「どうして? ……ふうん、遠野くんに出されたこれ、シオンが感じてるから溢れて来ちゃうんだ」
「ち、違います……っ!」
 口では否定するも実はその通りで、さつきが少し力を込めてショーツに指を押しつけると、じわ……と奥から溢れ出す新たな液体。
「凄い濡れてる……もしかして、帰ってくる間にも垂らしちゃったりした? それって凄いいやらしいんだけど……」
 感じ始めた愛液とは明らかに違う、少量でも粘度の高いそれを指の腹で感じ、うっとりとした表情を漏らすさつきだった。
「シオンっ、立って」
「え? は、はい……」
 そして、どうにも我慢できなくなったさつきが元気そうに言ってきた為に、思わず反応してしまうシオン。軽く腰を浮かせたところであっと思ったが、さつきによってそのままストンと立たされてしまう。
「あ……っ」
 さつきに目の前でかがみ込まれ自分のスカートの中を覗かれてる状況に、思わず手で隠そうとするが、それより一瞬早くさつきが顔を近づけ、手を腰にあてがっていた。
「んっ、暗がりでよく見えないけど、透けてるのかな……?」
 そう言いつつ、しかしもうショーツには未練がないとばかりに、スカートの奥に両手を伸ばすと、するすると卑猥に下ろし始める。
「きゃっ!」
 瞬間、路地裏とはいえ野外で下着を脱がされることに抵抗を覚え、ビクッと体を震わせるシオン。しかしそれが仇になり、半分脱ぎかけにされていたショーツへ、ドロ……と膣内から今の衝撃で溢れてしまった精液の固まりとも言うべき滴が落ち、糸を引いていた。
「うわあ……凄い、溢れてる」
 と、それを今唯一目の当たりにしたさつきは、ボト、ボトと三度落ちてきた志貴の精液の映像と香りに頭がクラクラとなっていた。
 そこまで来てしまったら、暴走した欲望は止まらない。
「い、いただきます……」
 さつきはごくりと唾を飲み込むと、まずは更に溢れ出そうとしていたシオンの膣口へ顔を埋めた。
「ふ、あああああっ!」
 瞬間、直接口を当てられたシオンがビクビクッ! と震える。そして、さつきは次の瞬間、溢れてきた志貴の精液を口移しで口内に収めていた。
「ん……あはっ、遠野くんの精液だ」
「だ、だめっ……!」
 先程の残滓とは明らかに量が違う、どろっとした大量の精液に恍惚の表情と言葉を浮かべるさつき。
「あ、んっ……」
 口の中でワインを味わうのと同様に転がし、そのぬるぬるとした舌触りと鼻に抜ける青さを感じる匂いにうっとりとしながら、志貴を想い震える。
 そして名残惜しくも、欲求に従い……こくっと、シオンがそうしたであったように飲み込んだ。
「うわあ……」
 感想を述べる前に、出てくるのは自分の身体の中に流れ込む志貴の存在。何度こうしても、改めて志貴の精液を飲み込むという事がたまらない興奮。初めてそうした時は、流石に志貴の射精した精液であっても多少の気持ち悪さを感じていたが、今やすっかりその味の虜となりつつあった。
「ん……おいしい」
 改めてそう言ってしまうと、全身から熱が噴き出していくのが分かる。そしてその熱は更に熱を求めて疼いているのも。
「シオン……羨ましすぎるよ、こんなの毎回……」
 少しだけ嫉妬心を感じながら、ショーツについたそれまでも舐め、一滴も無駄にしないようにと精液を味わうさつき。そしてまだ全然足りないと、またシオンの膣口にキスをし……
「は、あっ……ああああああああっ!!」
 じゅるるっ、とそのシオンの膣内にある残りの精液を吸い出すようにして啜った。
「だ、めっ……! さつき……っ!」
 鼻先が偶然クリトリスにまで当たってしまい、シオンは膝から力が抜ける快感に震えあがった。膣を吸われ、その中に溜め込まれた……溜め込んだ志貴の精液が胎外へ落ちていく感覚は、脳神経を焼くような羞恥と興奮に繋がっていた。
「ん……、ふうっ……」
 ちゅるちゅる、と次から次へ溢れていく精液が口内に流れ込み、さつきの興奮はどんどん高まっていく。これだけの大量の精液を……そう思うと、自らの子宮までもがきゅんと疼き、ショーツが濡れていくのが分かった。
「は、あっ……飲みきれないよ」
 息を使い切ってそうしたにも関わらずまだボタボタとこぼれ落ちる精液に、さつきは一端口を離していた。
「遠野くん、最近量が増えたのかな……?」
 今までに比べても明らかに多いその量はとても嬉しいのだが、ふとそんな疑問が沸いてしまう。遠野くんもそんな努力してるのかな……などと想像も付かないトレーニングなど想像してしまう。と、
「あっ……量は分かりませんが、今日は三回……」
 シオンは正直にも、自分の胎内に射精された回数を述べてしまっていた。
「えええっ!?」
 今まで正確な回数は聞いたことはなかったが、一回だけだと思っていたさつきは驚きを隠し得なかった。
「さつき、スカートの中で叫ばないでくださいっ!」
「あ、ごめん。つい驚いちゃって……」
 思わず驚いてシオンが叱ってしまうと、さつきはそこでやっとシオンのスカートに突っ込んでいた顔を離していた。
「でも……待って」
 シオンを見上げながら、さつきは慌てたように指折り何かを数え始める。
「いちにいさん……合わせて五回?」
 そして、志貴が今までの発言から分かる範囲で射精した回数を知ると、素直に驚きの表情を見せていた。
「正確にはもう一回、最後に口で奉仕していたところで……だから口内に匂いと味が残っていたかと……」
 しかしそこで間違いは正さねば気が済まない、そんな性格のシオンが思わず訂正すると、
「あ……って事は、六回……!?」
 最早想像も付かないその回数に、絶句といった様子であった。
「はい……相当溜まっていた様子で……だから今日は疲れたんですよ……」
 ようやく快感からも隠していた疲れの理由からも解放され、へろへろと溜息をついてしまうシオン。いや、シオン自身は前から志貴が無尽蔵なのは感じていたし、それを何度でも、むしろ何度も受け止めることも悦びではあったのだが、
「真祖は志貴と何をやってるんでしょうか……」
 シオンでさえもちょっと想像の域を越えられて、寵愛を受けている筈である真祖の姫君に軽く恨み言。しかしそこで、もしかすると実は真祖が自分以上に寵愛を受けていて、なおかつ……とその可能性を志貴に感じてしまい、
「はあ……」
「?」
 何とも言えない気分であった。一瞬アルクェイドへ同情の思いが沸くも、あの真祖なら全部嬉しそうに受け止めるに違いない、と思って考えを訂正する。
「んー、遠野くん底なしだよ……」
 それが二人の間に生まれた共通見解であったことは言うまでもない。
 しかし、そこから先はすこし、いや大分違っていた。
「ということは……まだあるわけだよね、シオンの中に遠野くんの」
「は?」
 いやそれは事実……ではあるが、この少女は何を考えている、と思った。
「シオン、ちょっと後ろ向いて」
「えっ、えっ?」
 と、そんな風に一瞬硬直していると、さつきがシオンをくるっと後ろに向かせる。脱ぎかけのショーツで足を取られそうになりながらもそうされたシオンは、倒れないように今まで背にしていた壁に手を突いた。そのせいで、奇しくもシオンはさつきにお尻を突き出すような卑猥な体勢を向けてしまう。
「ん、そう。ちょっと、指入れるからね……」
「!? さつきっ、あなた何を……ゃあっ!?」
 と、おもむろにさつきは自らの手をシオンの秘部にあてがうと、揃えた二本の指をつぷりと膣内に差し込んでいた。
「はあっ! ああっ、さつき、ダメです……!」
 シオンは悲鳴に近い言葉を上げ何とか逃げようとするが、その度に襞へさつきの指が押し当てられ、逆に快感を覚えて声を潤ませてしまう。
「んっ……やっぱり、シオンの中ドロドロしてるよ……これ、遠野くんの精液だよね?」
「はっ、あっ……そう、だと……」
 さつきは襞に絡みついている先程と同じ感触に、何も考えずに指を曲げて掻き出そうとする。
「はあっ……! さ、つき……!」
 それがシオンを攻めていると殆ど気付かず、胎内に残された志貴の残滓を得ようと一心であったから、シオンの声もあまり耳に届かない。
「うわあ……」
 一端指を引き抜くと、指に絡みついた大量の粘液と、こそげ落とされて新たに膣口から漏れ落ちた滴。
「ん、もうっ。シオンったら隠してたんだ……」
 そうやってぴちゃぴちゃと自らの指を舐めると、今まで啜るだけで志貴の精液を全部頂いていたと思ってたさつきはむーと軽くふくれた。
「そ、んなわけでは……」
 シオンにとっては謂われのない文句である。しかし自分の思考を越えるこの現状でそう言われてしまうとさつきの言った通りに思ってしまうから、大分状況はおかしい。
 そんなよく分からない状況のまま、
「ひゃあああっ!」
 更に膣口を吸われ、新たにじゅるっと精液を啜られてしまうシオン。
「もう、今日は徹底的にいただいちゃうからね、遠野くん」
 さつきはもはやシオンの事はどうでもいいとばかりに、唇を離すと更に指を奥深くまで挿入していた。
「は、あっ……あああっ!」
 二本の指で膣内を縦横にかき回されシオンが志貴の強烈な愛撫を思い出し、壁に付いた手をぎゅっと握り、内股を震わせる。
「ほら、こんなにまだ残ってる……ん、ちゅ……」
 襞を順になぞり、指を伝って垂れてくる精液をペロペロと舐め、さつきはにっこりと笑う。
「遠野くんのこれ、凄くおいしいよ……実は血より美味しいかも……」
 くちゅくちゅと淫猥な音を響かせながら膣をねぶり、時折指を開いては、
「んっ、垂れてきた……」
「ああっ! さ、つきっ……あああっ、中で広げては……!!」
 膣口をぽっかりと開かせ、とろり……と滴り落ちるそれを口で受け止め、僅かに外れたそれも舌で自らの口の周りを舐め取りながら、志貴がシオンに注いだ快楽の証を間接的に味わって感じていた。
「はあっ……ダメ……っ!」
 そんなさつきの行為は、明らかにシオンにとって強烈な愛撫だ。しかしそれをしている本人が気付いていないことで、その激しさは留まることを知らない。
 卑猥な状況ではあるが、各々の感覚が微妙にずれている。そんな事を考える余裕もシオンには殆ど残されていなかった。
「んっ……ちょっと味が薄くなってきた。もう余り残ってないのかな」
「ん、ああああっ!」
 さつきがお皿を舐める子供の様に、最後の一滴まで志貴を得ようとシオンの最奥まで指を伸ばす。更に奥にあると考えている一端は子宮内にまで到達した精液までも欲しいと指を突き入れるて懸命に動かすと、結果的にそれはシオンの膣を今までになく卑猥にぐちゃぐちゃとかき回す格好となっていた。
「さ、つきっ……!! だめ、それは……!」
 あまりにも感じすぎてしまう、次々と襲いかかる感覚に絶頂へと押し上げられていくシオンが限界を述べたのに関わらず、
「ええ〜? シオンは散々貰ってるんだから、今日くらいは全部くれてもいいでしょ〜?」
 進む道が微妙にずれているさつきは、勘違いしたまま膣内を尚も探り続けた。
「ダ、メ……! さつき、い……くっ!」
 止まらない手加減のない愛撫に、シオンは遂に壁に倒れかかるようにしてガクガクッ! と全身を硬直させると、その奥から大量の飛沫を飛び散らせた。
 しかし、ぷちゃあっ! と溢れ出てくる大量の愛液を見て、さつきはそれに混じった新たな白濁を認めると、嬉しそうに顔を近づけた。
「あはっ、ほら、出てきた」
 ちゅるるるっ、と音を立ててシオンのお尻に顔を埋め、愛液に薄まってはいるが確かに志貴を感じられるそれを強く吸うと、
「あああああっ! あああん……ああああああああああっ!!」
 シオンは最後の叫びを上げ、全身から意識が吹き飛んでしまっていた。
 そんなシオンのお尻をしっかりと手で広げ支えながら結果的に崩れないように支え、さつきはその飛沫が全て吹き終わるまでの間、愛おしげにシオンの膣口を啜り続けていたのだが、
「は、ああああああっ……」
「あ、れ……? シオン?」
 かくん、と膝が折れたシオンを見て、そこでようやくシオンが絶頂に達したことを知ったのだった。



「さつき……」
 乱れた衣服を整え、最早ぐっしょりと濡れたショーツはどうしようもないと履き替えたシオンは、まだ微かに火照り続けている身体を鎮めようと息を整えながらさつきを睨め付ける。
「あはは、ゴメンね、ちょっとやりすぎた、かな……?」
 目を向けられて、さつきも僅かばかり反省の言葉を述べるが、あまり心が籠もっていないとシオンは感じた。
「まったく、さつきが此程まで志貴が関わると見境がなくなるとは思いませんでした」
「あはははは……ほらでも、シオンだって気持ちよくなって、吸血衝動が低下したからいいでしょ? なんて……」
 とってつけたような言い訳を述べながら、最後の最後まで精液が残る指を舐めてからようやく洗いに行った手でぽりぽりと頭を掻くさつきに、はあ……と溜息が漏れた。
「こんなこと、志貴に知れたら」
「え? ダメだよシオンそんなこと言ったら……!」
「言いませんよ……」
 まさか『一緒にいる娘が志貴の精液が大好きで、毎回帰ってくると口で啜られてます』などと、一体何番の回路が言うものか。
 しかし、さつきの言う通り、快感をまた得ることで吸血衝動を抑えられるという副次的な効果はあるのだが、今日の志貴を含めた展開をこれから繰り返される……と考えると、流石にシオンも無尽蔵の体力と精力を持っているわけでもない。
「はあ……」
 先行き不安。
 そして、シオンには珍しく、弱音からか本音がついぽろっと漏れてしまった。
「こうするくらいならば、さつきも直接志貴に精液を貰えば……」
 と、それを聞いたさつきが、ピクッと反応する。
「……いいのかなぁ?」
 恥ずかしさ、戸惑い、そして期待の籠もった瞳でさつきはシオンに尋ねる。
「さあ……それは、志貴次第という話もありますが」
 そう言うも、今の自分とアルクェイドに対しての志貴の絶倫の程を鑑みる限り、志貴が拒否する理由が見当たらない。そして先程の言葉の裏にも含んだのだが、さつきには最初からない。
「そ、そうなるとちょっと嬉しいな……でもどうしよう、恥ずかしいよ……遠野くん気付いてくれないからきっかけもないし……」
 と、散々自分に卑猥な事をしておいたのにここで顔を真っ赤にするさつきに、シオンは志貴やアルクェイド以上に不可思議さを感じずにはいられなかった。
 きっかけならいくらでもある、というより私と一緒に付いてくればいいのに……そう思ったが、あくまで偶然や奇跡の出会い……シオンは自らもそうして志貴に出会ったというのに、未だに自分でも信じようとしないそれを期待しているさつきに言えなかった。
 しかし、恋愛に奥手な自分からしても、さつきの控える様子は病的だ。そして志貴を求めて自分を攻めるその淫らな想いも。志貴にさつきをあてがえば、さぞかし相性も良く喜ぶであろう……などと考える自分もまた、それに絡め取られている気がして仕方がない。
「……では、こうしましょう」
「?」
 コホン、と自分の中に浮かんだとんでもない考えを正しつつ、しかしその流れでシオンは一つ提案をした。
「この前話した、『志貴を驚かす』という課程で接近するというのはどうでしょうか?」
 こうなれば半ば強引ではあるが、自らの保身もあるのだからこの際深くは考えることは止める。
 実はすっかり志貴達の考えに毒されてる、と本人は気付かぬ振りをしながら。
「……」
 さつきは一瞬悩む。理性と欲望をとりあえず両天秤にかけようとして、まずは理性。そして……
「……うんっ!」
 欲望を乗せた瞬間、それは一瞬で傾いていた。
「はあ……」
 そんな状況をシオンはすぐに理解して、思わず溜息。
「……では、もっとも自然に近づける方法を計算しますので……」
 やっとさつきのとんでもない状況から解放される安堵もあってか、シオンは無茶苦茶だと思いつつも、並列思考を展開させて状況を作り上げようと必死であった。

「出来れば、ロマンチックなのがいいな……」
「はいはい……」



<おしまい>








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