暗緑色の衝動


 そこにはトロリとした液体の入ったビンがあった。
「…なんでこんなもん持ってるんです…?」
 およそ執務室には似つかわしくない、オイルだ。
「まあ、いろいろと、」
「ここでこれ使うような事してるんスか…?」
 ロイは肯定も否定もしなかった。
「いいんスけどね、俺の知った事じゃない」
 ハボックはビンの中身を指先につけると再び後孔を穿った。
 液体を壁面に塗りこむように指で擦っていく。
「あぁっ!」
「ここっスか?」
 今ロイが声を上げた箇所を今度は引っ掻くように刺激する。
 それに合わせてロイの体がビクビクと震える。
 ロイ自身の先からは既につー…と滴が落ちていた。
「感じ過ぎっスよ…」
 苦笑しつつハボックは先端を拭うように指で強く擦った。
「ぅ、ハボック…!」
「まだ駄目っスよ。俺がまだです」
 指を中で開いたり何度も擦り上げたりと色々した成果か、入り口は緩み、 物欲しそうにひくついていた。
「挿れますよ」
 取り出したハボックの物は既に充分硬くなっている。
 グチッと音を立てながらロイの中へと飲みこまれていく。
「はあぁぁ…っ…」
 ロイの腰が逃げるように動くがそれを許すわけは無かった。
 中は熱く溶けるようで、しかも程好く締めつけてくる。
 ハボックはこれまでにない快感を味わっていた。
「気持ち良いっスか?」
 腰を打ちつけながら問い掛ける。
 ロイからの返事は無かった。
 だが零れる体液と半開きになった唇が、ロイの快感を表していた。
 それを見たハボックは深く奥を突き上げる。
「ぐぁ…! も、もう…!」
 ハボックはふと思っていた。(さすがに中に出すわけには…)
「頼、む…!」
「あ、ああ…しょうがないっスね…」
 一際強く、奥まで擦り上げると同時に前も強く扱き上げた。
「くうぅぅ、っ…!」
 ハボックの手の中で弾け白い物が飛び散った。
「とりあえず俺もイかせてもらいます」
 己を抜いて、軽く撫でただけで果てた。
 ハボックの物はロイの青い軍服を白く汚した…。


 椅子には着替えの済んだロイが疲れた様子で座っていた。
「一体なんだったんだね…」
「……」
 ハボックに答えられるわけも無かった。単なる"衝動"だったのである。
「まあいいが…」
 (いいのかよ!)とのハボックの突っ込みはロイには到底届かなかった。
「さて、ハボック少尉」
「…なんスか?」
「すっきりしただろうし、この山を片付けるのを手伝いたまえ」
「はい…?」
 机の上にはハボックが持ってきたままの書類の山。先ほどの揺れのせいで、 いくつか書類が散らばっているが…。
「全部っスか…?」
「当然だろう? 早く帰りたいんでね。さっさとしたまえ」
 今日もデートなのだと言うロイを見てハボックは深い溜息を吐いた。
 一時の衝動は身を滅ぼす、かもしれねぇ…。




2005/09/06 UP

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