Honeymoon 2
―蜜月の空―



「ん〜・・・んーんー」

悠理の唇が龍之介の唇と重なりながら何かを言っている。
龍之介はしょうがなく、悠理の唇を解放した。

「・・・なに?」
「今・・急に思ったんだけどさ・・あたいと龍之介、結婚したわけだしー、
ちょっと呼び方とか変えてみたりとか、しないか?」
「呼び方?」
「ほら、あたいは龍之介のこと、龍之介とか、りゅうって呼んでるだろ?
龍之介もあたいのこと、名前で呼ぶしー」
「つまり・・・お互いに新婚風に呼び合おうってことか?」
「そうっ!」
「しかしだな・・・新婚風に呼び合うって、まさかハニーとか、ダーリンってか?
オレ・・・それはちょっとヤダなぁ」
「あっ、あたいだってそれはヤダよぉ!」
「名前をヘンな風に呼び合うのもちょっとな。
りゅうたんとか、ゆうゆうとか・・・うわ、言っててめちゃくちゃ恥ずかしーな」
「もぅっ!そーいうんじゃないってば!」
「じゃぁ、悠理はオレのこと、何て呼びたいんだ?」

龍之介にそう聞かれて、途端に悠理はもじもじしながら小さな声で言った。

「あっ・・
あなたって・・・」
「聞こえないぞ?」
「・・・りゅうのコト、“あなた”って呼んでみたいっ!」
「・・・それ、別に新婚じゃなくたっていいじゃねぇか」
「そぉだけど・・・ちょっと呼んでみたかったんだ。龍之介がイヤならいい・・・」

悠理が寂しそうに少しだけ顔を横に逸らせた。
そう言えば、悠理の母の百合子は、夫の万作を“あなた”と呼ぶ。
万作さんと呼んでるところも見たことはあるが。
だが、もしかしたら、悠理にとって、その両親は夫婦愛の象徴で、
夫を“あなた”と呼ぶことは、両親のように愛のある夫婦になりたいと思う願いに似たことなのかもしれない。
龍之介は悠理が尖らせたちょっとだけつまらなそうな唇がすごく可愛いと思った。
長い指先でその唇にちょん、と触れると、まるでそれは魅惑のシトロンのようにぷるんと揺れた。





「ゆーり、・・・呼んでいいぞ」
「・・・ほんと?」
「あぁ。」

さっきまでつまらなそうにしていた悠理の唇が、途端に嬉しそうに龍之介に向いた。
しかし、その口からはなかなかあなたという言葉は出てこない。

「どした?呼ばないのか?」
「・・・なんか、緊張して呼べないや」

本当に悠理は可愛い。どーしようもなく可愛い。なんでこんなに可愛いんだよ!?
どーしよ、オレ。こんなに可愛い女を嫁にしちゃって。
・・・すげぇ幸せだ。

龍之介はくすっと、悠理にだけわかる意味深な笑みを浮かべた。

「じゃ、オレ勝手に悠理にイイコトしてるから、その間に呼んで」
「・・・えぇー?」

悠理が戸惑う間もなく、龍之介は中断していたキスを再開させた。
だが、悠理が声を出せるように、唇を塞がず、口付けるのはその他のあらゆる場所。
そして、ホックを外され、ずっと悠理の胸に浮いたままになっていた純白のレースのブラの上に手を乗せた。
ブラに乳房の先端を擦られ、悠理は思わず声を上げた。

「あっ・・あぁんっ!!」

・・・やあぁーん、りゅうのすけのいじわるぅっ!
こんなことされてたら、呼びたくたって呼べないじゃんかぁっ!!!

しかし、龍之介は涼しい顔で悠理の乳房に悪戯を続ける。

「呼ばないの?オレのこと・・・」

悠理は息も絶え絶えに掠れた声で龍之介の耳元でささやいた。
いや、ささやくと言うよりは小さく叫んだ。

「・・・あ・・っ・・あな・・たぁっ・・・・・あ・・っぁ・・あん・・・」
「・・・!!!」





途端に龍之介が固まった。片手を自分の頬にあて、真っ赤な顔をしている。

「・・・どしたの?」
「・・・やばい。顔から火ぃ出そう・・・」
「・・・何でりゅうが恥ずかしがるんだよぉ?呼んだのはあたいの方じゃないかぁ・・・」
「しょーがねぇだろ・・・思いの外ツボにキちまったんだから」
「・・・ツボ?」
「いーから、もっかい呼んで」
「・・・あなた」
「もっと」
「あなた、あなた、あなたぁ・・・
っ!?」

悠理はそのまま龍之介にぎゅっと抱きしめられた。

「どしたの・・・?」
「・・・オレさ、悠理のこと大好きで大好きで、この気持ちはきっと一生変わらねぇんだと思ってたよ」
「思ってた、ってことは・・・変わったってことか?」

悠理は抱きしめられながら不安そうな声で龍之介に尋ねた。

「あぁ・・・変わったんだろうな。
だって今は、結婚する前よりももっともっと悠理が好きだ。
そして、この気持ちはきっと、日に日に深まっていくんだと思うんだ。悠理・・・愛してる。」

結婚してから初めての愛の告白に、
悠理の心は焼き立てのシフォンケーキのように甘く、柔らかな気持ちになった。

「あたいも大好きっ!前よりもっともっと大好きっ!ねぇ・・・りゅう」
「・・・じゃなくて?」
「あなた・・・早く続き、して」
「続き?」
「もぉっ!いじわるっ!この状況で続きってゆったら・・・ぁんっ」
「・・・わかってるって。な、悠理、オレたち、お前の父さんや母さんに負けないような夫婦になろうな」
「うん・・・龍之介の父ちゃん母ちゃんにも負けないような夫婦になろうね・・・」

龍之介は悠理の乳房に再び触れ、ゆっくりとその先端を食むと、舌で弄り、吸った。
龍之介の柔らかなダークアッシュの髪を指先で梳きながら、痺れるような甘い感覚に悠理は意識を任せた。





・・・きもちいい。
もっと、もっと気持ちよくして欲しい。もっと、もっと気持ちよくしてあげたい。

悠理はそっと龍之介の身体に手を伸ばし、胸からゆっくりと下へと滑らせた。

「触って・・くれんのか?」
「ん・・・触りたい」

悠理はそれまでずっと、自分の脚と脚の間に擦りつけられていた、龍之介のそれを指先で撫で上げた。
ずっと悠理の身体に触れていた龍之介は、少しだけ手を休めて、ふぅ、と小さく息を吐いた。
こういうときの龍之介の表情は、悠理がいつも見惚れてしまうぐらい艶を帯びる。
こんな、龍之介の微妙な変化まで読み取れるようになり、
悠理は、自分がずいぶんと龍之介とのセックスに余裕ガ出てきたと思えるようになった。
身体を合わせ始めた頃の自分は、龍之介に何かされるだけですぐに気が遠くなるぐらい、
自分の身体が訳わからなくなってしまっていた。
それでいつも、自分だけが気持ちよくしてもらっているような気がしていて、
あるとき、ふと龍之介に聞いてみたことがあった。





「・・・龍之介は、あたいとエッチしててちゃんと気持いいのか?」

龍之介は、いきなり深刻な顔で悠理がそんなことを聞くので、一瞬驚いた顔をした後、
無邪気に笑みを浮かべた。

「そーか、最近、なんとなくイクの我慢してんなーって思ってたけど、そんなこと気にしてたのか」
「だっだって、してる最中、龍之介はあんまり乱れないのに、あたいはいっつも・・・!」
「すごく気持ち良くなってる?」
「・・・うん」
「ふっふっふ・・・」

龍之介は嬉しそうにニヤニヤと笑った。

「な、なんだよぉっ?ヘンな笑い方してー!」
「そぉっか、いっつも悠理はオレとしていてすごく気持ちいいんだなっ?やったっ!」
「やったーって・・・」
「オトコってのは、そういう生き物だってコトだよ。
惚れてるオンナを気持ちよくさせてなんぼ。なーんてのはちょっと下品な言い方だけど、
オレは正直、悠理をちゃんと気持ちよくさせられてるってのが嬉しいっ」
「だからぁっ、あたいのコトじゃなくて、龍之介はどうなんだ!?って聞いてるんじゃないかー!」
「・・・バカだな。気持ちいいに決まってるだろ?オレが悠理の身体に触って、悠理が可愛い声出して、
そして身体重ねて、体温が融けていくような感じ、すごく気持いいって思ってるよ」
「・・・そっか、そうなんだ。ヨカッタ・・・」

しかし、言葉とは裏腹に悠理の態度にはまだ何か、抱えるようなものがあるのを龍之介は感じ取り、
悠理の鼻をつん、とつついた。

「まーだ、なんかあるだろ。」
「・・・あたいのことは何でもお見通しなんだな、龍之介は」
「何でも言ってみな。ちゃんと聞くからさ・・・」

悠理は観念したように口を開いた。

「・・・あのね、あたい、なんかイッちゃうの怖いんだ。
りゅうにいろいろされて、こんなに気持ちよくなっちゃっていいのかな、とか思ってるうちに、
もっともっと気持ちよくなっちゃって、もう・・何をどうしていいのかワケわかんなくなって、
あたい一人だけ、どっかに遠くに飛んでっちゃうような気になるんだ・・・」
「そっか・・・そんなに悠理を悩ませるほど、気持ちよくさせてんのか、オレは・・・」
「・・・バカっ!あたいは真剣なんだ!ちゃんと話聞くって言ったじゃないか!」
「ごめん、ごめん。
・・・でもな、悠理。オレは悠理のこと大好きだから、いっぱい気持ちよくさせたいんだ。
だから、こんなに気持ちよくなっていいのかな、なんて思い悩むなよ。
・・・オレがそうさせたいから、してるコトなんだからさ」
「・・・そーなの?」
「そーなの。
それに、気持ちよすぎてワケわかんなくなるのが怖いんだったら、その時はオレの名前を呼べばいい。
悠理がどこにも飛んでいかないように、オレがちゃんと抱きとめてやる。
だから、気持ちいいときは素直に気持ちよくなって欲しいんだ。
・・・そーしてくんないか?」
「ん・・・わかった」





悠理は龍之介に触れながら、昔のそんなやり取りを思い出していた。
今では互いの肌がまるで自分のもののように感じるまで馴染むようになって、
息を吸って吐くように、この行為はごく自然なものになった。
そして、ちゃんと自分が龍之介を気持ちよくさせているんだ、ということを感じられる余裕ができた。

・・・うふふ、今じゃあたいも、イかされっぱなしじゃないもんね。
龍之介を気持ちよくする方法は、全部の指を足しても足りないぐらい知り尽くしてるんだから・・・。
ま、相変わらずあたいの方はそれ以上に気持ちよくされてんだけどね・・・♪

悠理は布越しに龍之介の感じる部分を探って、さらに指を蠢かした。

「くぅー・・・」
「・・・きもちいーか?」
「あぁ・・すげぇ・・いいよ。」
「ふふ・・・いつも思うけど、ここ触ってるとすごくあったかいな」

悠理の手は龍之介のパンツの中を探り、硬く屹立するそれを軽く握った。

「・・・脱いだほうがいいか?」
「ん、脱いで。んで、そろそろあたいのもー・・・」
「・・・脱がしてやらないとな」

龍之介は自分の最後の一枚を器用に脱ぎ去ると、悠理のショーツにも手を掛けた。
ブラと同じく純白のレースに飾られたそれは、すでに湿って悠理の色を透かせていた。
悠理は、そこに龍之介の視線を感じる。

「・・・そんなに見んなぁ」
「あーぁ、もうこんなになっちゃって・・・」

龍之介はくすっと笑って、そこに軽く口付けした。
湿り気を帯びているショーツのクロッチ部分に龍之介の舌があたる。
悠理はたまらず、両脚をくねくねと動かした。ガーターベルトに留められたストッキングにじわりと汗が滲む。

「・・・自分だって、カチカチのくせにぃ」
「んじゃ、すぐに入れちゃう?」

龍之介はショーツの脇から指を抜き差しして、その泥濘に音を立てた。
悠理の奥を探りながら、小さな核心を擦りあげると悠理は小さく声を上げた。

「・・・そこ・・触られるの好き。触りながら入れて・・・」
「ん・・・わかった」

悠理の体液を吸って、しっとりと湿ったショーツを脱がせてやると、
龍之介は、悠理の敏感な核心を玩びながら、自分の頑ななそれを悠理のそこに宛がった。

「ぁ
・・っ」
「・・・どう?結婚して初めてのコレは」
「バカぁ・・そんなの、まだわかんないー・・・」
「えーっ?わかんないのかー?」
「わかんないー・・・まだ全部来てないもん」
「ごめん、まだ半分だけだったな・・・」

龍之介が悠理の中にすべてを埋めてしまうと、
悠理は龍之介にぎゅっとしがみつき、その耳元でささやいた。

「・・・うんとねー、おっきくて硬くって逞しくって・・・」
「そーいうんじゃなくてさぁ・・・」
「ふふ、冗談。すごーく、気持ちいい。とっても素敵・・・あぁあんっ」
「今日は、なかなか言うじゃん・・・」
「・・・だぁ・・って、あたいもぉすぐ余裕・・なくなっちゃうからぁ・・・っ」

2人の身体はしっかりと絡み合うと、ゆっくりと動き始めた。
下の繋がりに負けないような音で深いキスを交わし、互いの温度を肌に溶かした。

「あ・・っ・・あぁ・・ん、あぁ・・もぉ・・だめぇ・・・」
「ゆうり・・イキそう?」
「ん・・ぁ・・・りゅう、・・・すごく、すごく・・いい・・・りゅう・・りゅうっ・・・」

・・・りゅうぅ・・ぅ・・・!

背を逸らして肌を薔薇色に染めた悠理を、龍之介はぎゅっと抱きしめると同時に、
自身も悠理の中で果てた。





「うふっ・・・ふふふっ」
「なんだよ。ヘンな笑い方して」

龍之介は、自分の上に重なって、嬉しそうに笑みをかみしめる悠理の髪を弄りながらつられて笑った。

「・・・だって、まだなんか気持ちいいんだもん。雲の上にいるみたいにふわふわして。実際雲の上だけどね♪」
「ふぅん、オンナのコってな、いいよな。そんなに余韻が楽しめて」
「違ーう。あたいがオンナのコだからじゃないの。
あたいがいっつも、こんなに気持ちよくなれるのは、龍之介と愛し合ってるから!
・・・そうだろ?」
「あぁ・・・そうだな。」

悠理は、龍之介の顎にちゅっとキスをした。
龍之介の頬が、くいっと上がって嬉しそうな笑みを浮かべたのがわかって、
悠理はさらに嬉しくなった。

「そう言えば、さっきイクとき、いつものクセでりゅうって、呼んじゃった。
やっぱり、あなたって呼ばれたかった?」
「いや、あぁいうときは、いつもどおりがいいよ。悠理もあなたって呼ぶ余裕なんかなかっただろ?」
「うん、全然余裕なかった。だって、すっごく気持ちよかったんだもん♪」
「ふふ、オレもすっげぇよかった♪」

2人はまた、どちらからともなく、口付けを交わした。
再び、2人の唇が奏でる音だけが響く。

「・・・ところで、今、どの辺飛んでるのかな?」
「んー、どの辺かな?」
「ねぇ・・・まだ時間あると思う?」
「何の時間?」
「もっかいする時間に決まってるだろぉ・・・?」
「充分・・・ある、な。一度でも何度でも・・・」
「・・・やぁ・・ん、そんなにしたら・・あたいヘンになっちゃうぅ・・・」

蜜月はまだまだ始まったばかり。

Honeymoon3


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