TWO
in KAREN island 3



カレン島に来てからすでに数日。
夕食も終わって、まったりした時間の中、
ベッドの上で悠理は、龍之介の背中に自分の背中を預けて寄りかかりながら、龍之介に話し掛けた。

「ねぇ・・・りゅうのすけ?」
「んー、なーに?」
「思ったんだけど、あたいたちさぁ、せっかく南の島に来てるのに、ずぅーっとインドアだよねぇ?」
「言われてみれば確かにそうだなぁ。
オレたち、こっち来てから寝てるか、食うか、こーいうコトしてるかだもんなー・・・」

龍之介は、悠理に寄りかかられている背中を少しずらし、
倒れこんできた悠理を抱き寄せると、その耳たぶを軽く噛んだ。

「・・・ぁ

「・・・こうしてんの、飽きちゃった?」

こんな耳元へのささやきや、かかる吐息は、いつも悠理の身体のどこかを蕩かせる。

「ばか・・・そーいうこと言ってんじゃないってばぁ。
いっしょに寝るのも、ご飯食べるのも・・・エッチすんのもいちゃいちゃすんのも全然飽きてなんかないぞ。
だけど、せっかくふたりっきりで無人島にいるんだから、もっとふたりでいろんなことして遊ぼ、ってことー」
「そーだなぁ、確かにせっかくこんなきれいな海が目の前にあって、
泳いだりなんだりしてねぇってのはもったいないかもなぁ」
「だろぉ?」
「それじゃ、明日はふたりで海水浴ってことで、今晩は早く寝よっか?」

だが、悠理は龍之介の首にしっかりと腕を巻きつけて抱きつき、甘くささやいた。

「だーめ・・・今晩もするのー。言っただろぉ、あたいは飽きてないって・・・」
「しょうがねぇなぁ・・・なんて、実はオレも飽きてなかったりしてー」
「そんなの、ちゃぁんとわかってるもーん♪」

そうして二人が飽きもせずにくちびると身体を重ねる頃、カレン島には、またもや甘く熱い夜がやってきたのだった。





翌朝、悠理は自分の荷物をひっくり返すようにして、何かを捜していた。

「あっれー?ここに入れたと思ったんだけど・・・」
「何、捜してんの?」
「んー?水着ぃ。あ、これかな?・・・あれ?」

悠理が取りだしたのは大胆な白いビキニの水着。
しかし、こんな水着を荷物に入れた覚えはない。

「あれ・・・あたいの水着、タンキニのはずだったのに。何でこんなビキニになっちゃってんだ?
・・・あ〜っ、可憐だ!絶対そぉだっ!」

悠理は、水着を買いに行ったときに、タンキニはガキっぽいからこっちのビキニの方が絶対いいと、
可憐に強く勧められたことを思い出した。

『あんた、仮にも人妻でしょ!?しかも、新婚の!旦那を悩殺しないでどうすんのよ!
たまにはこーいうの着なさいよ!どうせ、龍之介しか見ないんだから!』

結局、痩せた胸を気にしてタンキニにしたのだが、いつの間にかすり替えられていたらしい。

・・・これ、着ろってか!?パンツもブラも、隠すとこがこんなにちっちゃいじゃないか・・・!
そりゃ確かに、あたいの胸は隠す部分が少ないけどさぁ・・・可憐のヤツぅ。

悠理が水着を手に思案顔をしていると、後ろから龍之介が覗き込んだ。

「・・・いいじゃん、それ。早く着替えて見せてくれよ」
「りゅう・・・こういうの好きか?」
「オレも男だもん、ビキニにゃ弱いよ。ましてや、悠理のビキニなんて、もぅ・・・サイコー!!」

すっかり無邪気な笑顔で喜ばれてしまった。

『ほ〜ら、あたしに感謝しなさいよぉ?』

悠理の脳裏に可憐の高笑いが浮かんだ。

・・・まぁ、りゅうがこんなに喜んでるからいいか。一応感謝だ、可憐!

「・・・じゃ、すぐ着替えるよ。あ、龍之介の水着もちゃんと持ってきてあるからな!」
「・・・まさか、オレまでビキニじゃねぇだろうな?」
「あ゛ー!そうすればよかったぁっ!でも残念ながら、龍之介の水着は普通の海パン・・・はい、コレ」
「・・・よかった」

龍之介は無難な水着を手渡され、ホッと胸を撫で下ろした。

「ね!とにかく、着替えてさっそく泳ぎに行こっ!」





龍之介が水着に着替えて外に出ると、熱いが全然不快じゃない常夏の風が全身を撫でていった。
まぶしい空を仰ぎ大きく伸びをすると、その背中をつん、とつつかれ振り向いた。
後ろには大きなタオルに身をくるんだ悠理。

「悠理、着替えた?」
「うん、着替えた」
「じゃー、なんでそんなタオルで隠してんの?」
「見たい?」
「見たーい!」

龍之介がそう叫んだと同時に、悠理が身を包んでいたタオルが龍之介の顔にかかった。

「うわっ!」
「龍之介!海まで競走だぞっ!」
「こら!悠理!おもいっきりフライングじゃねーかー!」
「じゃー、オニごっこだっ!りゅうがオニっ!」

青く脳天気なぐらい晴れた空の下、さらに青い海に向かって、眩しいぐらいに白い砂浜を蹴り、
同じぐらい眩しい白いビキニ姿の悠理が楽しそうにはしゃいで駆けて行く。
そして海に飛び込み泳ぐ姿は、まるで人魚のようだ。
すっかりその姿に見惚れていると、海の中から名前を呼ばれた。

「りゅぅ〜!!!早く来い〜!!!」
「あぁ、今捕まえてやるから、待ってろ!」
「捕まえられるなら捕まえてみろーい!」

龍之介は走って海に飛び込むと白い人魚を捕まえようと、その行方を探した。
すると、背後に潜っていた何者かに抱きつかれた。

「りゅうっ!捕まえたっ!」

どうやら、捕まってしまったのは自分の方だったようだ。
龍之介は白い人魚に海の中に引っ張りこまれた。
背中の人魚は龍之介の前に回り込み、その胸にしがみついた。
龍之介は人魚を抱いたまま、海面に浮かび上がった。

「ぷは〜!こーらっ、悠理!人を溺れさせる気かー!」
「龍之介が溺れるなんてウソだね〜っ!
それに、もしりゅうが溺れたってあたいが助けるもーん。ちゃんと人工呼吸だってしてやるのにぃ」
「ホントにちゃんとできんのかー?」
「・・・できるよ」

悠理は龍之介の首に両腕をまわすと、ちゅっとそのくちびるを軽く重ねた。
いきなりの悠理からのキスは龍之介の頬を染めた。

「へへー!びっくりした?」
「・・・ゆーり、それは人工呼吸とは言わないぞ。それは・・・ただの可愛いキスだ」
「そーだよ。だって、ただキスがしたかっただけだもん。それに、今は龍之介溺れてないだろぉ?」

しれっとそう言い切って悪戯っぽく、だが無邪気に笑うと、悠理は龍之介から離れ再び元気良く泳ぎだした。

・・・やられた。

龍之介が悠理をずっと変わらずに愛していられるのは、
こういう思いも寄らないところで、可愛らしい一面を突然見せられるからかもしれない。
龍之介は再び、愛しい白いビキニの人魚を追いかけた。





やっと捕まえた悠理を浜辺の椰子の木陰で寝そべらせると、龍之介はその背中に日焼け止めを塗ってやっていた。
ちなみに、日焼け止めは可憐がすりかえておいたビキニの水着と一緒に入っていたのだ。
さすが、美容にうるさい可憐だけあって、気が利いてる。
とはいえ、散々太陽の下で遊びまわっていた後なので、すでにその肌は健康的な小麦色に染まりかけていた。
が、これ以上焼けないための応急処置としては最適だろう。
しかし、いつも日に焼きすぎて痛い痛いと騒ぎまくるくせに、悠理はじっとしてられず早くまた海へと行きたがる。
そんな子供のような悠理を組み敷いておくのは、日焼け止めを塗るだけだというのに本当に一苦労だ。

「りゅう〜!まだぁー?」
「まーだ!もうちょい我慢しろよ、後で痛い思いをすんのは悠理なんだぞ?」

バタバタと足をバタつかせる悠理の小麦色になりかけた背中に、ココナッツの香りのする白い液体を垂らす。
それをゆっくりと丁寧に両手で延ばしていくと、じたばたしていた悠理の動きがいつの間にか止まった。

「これ、ちょっと邪魔だから外すぞ」

龍之介はビキニのブラヒモをほどいた。

「・・・うん」
「ん?急に素直だな、どした?」
「バカぁっ!りゅうのスケベ!エッチ!」

悠理はいきなりビキニのブラを押さえて起きあがった。

「へ?」
「人のことヘンな気持ちにさせておいて、“どした?”はないだろぉっ!」
「・・・そっか、その気にさせてしまったか」

何事か、ときょとんとしていた龍之介は、にやりと口角を持ち上げた。
その危険な笑みに悠理は少し狼狽えた。

「えっ?あ、いや、そのぉー・・・」
「しょーじきに言う。」
「・・・・・・その気に・・なった」

正直に白状してしまった悠理は、ちょっとばつの悪そうな表情で龍之介を見上げた。
だが、龍之介は嬉しそうな優しい表情でそっと悠理の頬に触れた。
その指先はふわりとココナッツの甘い香りがした。

「悠理、おいで」
「・・・うん」

龍之介は悠理を自分の胸に引き寄せると、そのくちびるに口付けた。
かすかに汐の味のするキスに、悠理のビキニを押さえる手から力が抜け、
悠理の胸を隠していた白いその小さな布きれはその膝元にはらりと落ちた。
だが、すでに少し日焼けしてしまった悠理の肌は、ビキニのあとをくっきりと残していた。

「ほら・・・もうこんなに日に焼けてるじゃんか。ひりひりしないか?」
「ん・・・だいじょうぶ」
「こんなことしても?」

龍之介のくちびるが悠理の肌の色の境目にそっと触れ、柔らかく挟んだ。

「・・・
ぁっ!」
「ごめん、痛かったか?」
「・・・ううん、へーき・・・もっとして」
「ん。」

そこだけ白いままの2つの乳房を掌で包み込むと龍之介はその柔らかさの中に顔を埋めた。





島に響くのは、寄せては返す静かな波の音と、2人の睦みあう声。
お互いに砂まみれで抱き合いながら2人は笑った。

「龍之介、砂だらけー!」
「悠理もだろぉ?」
「ふふっ・・・外でしたの、初めてだね♪」
「だけど、結局こーなっちゃうのな、オレたちって」
「しょうがないじゃん・・・愛してるんだもん」
「そうか、そうだよなぁ・・・」

龍之介が悠理の髪を、砂をやさしく払いながら、指先で慈しむように梳くと、
悠理はその心地よさにそっと目を閉じ、龍之介の胸に顔を寄せてささやいた。

「りゅう・・・ずっとこうしてたいな。こうしていられないかな、あたいたち・・・」
「こうして、って?」
「あたいと龍之介だけで、この島で暮らすんだ。
2人でご飯食べて、寝て、遊んで、エッチして、そんでここで子供生んで育てんの!きっとすごく楽しいよ!
ねっ!そーしよっ!?可憐だって、きっといいって言うよ!」

だが、悠理の興奮した声とうって変わって、龍之介の声は落ち着いていた。

「・・・確かに、すごく楽しいだろうな。でも、オレたちは世界に2人だけでいるわけじゃないんだから、
オレたちだけが我が侭なことばかりしてちゃやっぱり駄目だよ」
「・・・我が侭なことか?あたいが龍之介とずっと一緒にいたいっていうのは、我が侭なことなのか!?」
「そういう意味じゃない。悠理の気持ちはわかるよ」
「りゅうはわかってないっ!あたいがどれだけっ・・・」

急に高ぶった感情に、悠理は声を詰まらせた。

「龍之介のバカーっ!」

悠理は側に落ちていた自分の水着を掴むとコテージの方へと駆けだした。

「・・・悠理っ!」

龍之介は悠理を追おうとして、やめた。
今は、少しだけ一人にした方がいいのかもしれない。
この島での時間は、しばらく離れていた2人にとって、久しぶりに濃密で、そして甘くて楽しくて、
それだけに、帰ったら再び会えない日々が続いてしまうのではないか、
そんな不安が悠理によぎったのも無理はないのだ。
だからと言って、この島で2人でずっと暮らすというのは現実的ではない。
例え、龍之介自身もそうできたらいい、と思っていたとしても。

・・・オレがわかってないわけ無いじゃないか。
オレだって、誰よりも悠理と一緒にいたいと思っているのに。

しばらくして、龍之介がコテージに戻ると、そこに悠理の姿はなかった。





・・・りゅうのバカ。追いかけても来ないのかよっ!
・・・龍之介はあたいとずっと一緒にいたくないんだ!きっと、そーなんだ!
痛っ・・・!

急に鋭い痛みの走った足元を見ると、裸足の足裏に木の根のトゲが刺さり、血が滲んでいた。

「いったぁ・・・」

悠理はトゲを抜こうと、地面から大きく伸びた木の幹に寄りかかった。
そして、そこでやっと、足元が砂浜ではないことに気が付いた。

あっ・・・れ?ここ、どこだ?

悠理はいつの間にか、コテージの背後に拡がるジャングルへと足を踏み入れていた。
当然、龍之介を困らせようと思ったわけではなく、零れる涙をそのままに突っ走っていたらそこにいたのだ。
さっきまで聞こえていたはずの波の音も、鬱蒼としたジャングルの木々に遮られ聞こえなくなっていた。
ぐるりと見回すと、自分がどこから来たのかもわからないぐらい、360度同じ風景が拡がっていた。
そしてそれは、何よりも悠理が方向感覚を失ったことを意味していた。

うそ・・・。もしかして、あたい、迷った?
どうしよう・・・?龍之介が心配するじゃんか・・・!

悠理の胸に不安が走った。
自分がジャングルで迷っていることに気付いたら、龍之介は必ず探しに来る。
だが、ちゃんと見つけてくれるだろうか?
姿の見えない鳥の奇声がキィーキィーと響き渡る。
悠理はビクッとして立ち止まった。

・・・えっと、確か危険な動物はいないんだよな・・・?
・・・でも、それって危険じゃない動物ならいるってことだよな・・・!?
たっ、例えば毒のない蛇・・・うわ、バカ!余計なことを考えるな!あたいのバカ脳ぉ〜!!

とりあえず、悠理はこれ以上深く迷わないように、その歩みを止め、その場でひざを抱えた。
トゲを抜いたばかりの足がじんじんと痛む。

・・・りゅうがあたいと一緒にいたくないなんてこと、あたいが勝手に決めつけたからバチが当たっちゃったんだ。
そんなことあるわけないのに・・・。

「りゅう・・・早くあたいのこと見つけに来て・・・」

悠理はジャングルの入り組んだ木の枝から、僅かに切り取られて見える小さな空を不安げに見上げた。





「あいつ、まさかジャングルの中に・・・?」

ジャングルへと続く足跡は、確かに悠理がそこへ入り込んだことを意味していた。
龍之介は躊躇わずに自分もジャングルへと足を踏み入れた。


in KAREN island 4


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