男たちに代わる代わる犯され、汗と唾液と精液にまみれた烈を、まだ足りないとばかりに、男たちがその細い体に舌を這わす。
「お前達はここでの出来事もこの場所も、全部忘れるんだ」
男たちの目に映ったのは、真紅に輝く魔物の瞳。
全ての意志を奪い支配する言葉。
淀んだ瞳の魂の抜け殻になった男たちは、無言で頷くと着物を直し、そのまま立ち去った。
「お見事♪ さすがは烈くんだね。少しは『精気』も補給できた?」
「…まだ見てたの?」
「勿論。やっぱり烈くんだね。どんな淫魔も、足元にも及ばないよ」
男達の白い欲望に身を汚しても、凛としたその姿はたとえようも無く美しかった。
着物に伸びた手をそっと遮り、ジェイは烈を背後から抱き締めた。
「ね、僕もお願いしていいかな?」
「…いいよ」
少なくとも、あの男たちよりは上質の『精気』を得られるだろう。
ジェイの舌が烈の舌に絡みつく。再び花の海に横たえられながら、烈は雲の流れる空を瞳に映す。
ジェイが消え、身支度を整えた頃には、日が暮れ始めていた。
川で身を清めた烈は何匹かの魚を調達し、夕餉の支度をしながら豪の帰着を待っていた。
「ただいまっ! 烈兄貴っ」
「おかえり、豪。随分遅かったみたいだけど、どこで道草してたんだ?」
「べつに道草なんかしてねぇよ! 荷物が重くてさぁ」
「だから一人じゃ無理だって言ったろ」
いつもの会話に、どこかほっとする。
烈は囲炉裏で串焼きしている魚の様子を見ながら、汁の入った鍋を火に掛けた。
その様子を見ながら、豪はそっと烈を抱き寄せた。幼い頃は大きく感じた背中や肩も、今抱き締めると驚くほど華奢に感じる。
「朝より顔色は良くなったけど、体が冷たいぜ?」
「…川で水浴びしたからな」
「水浴び!? 具合が悪いのにか!?」
「泳いだりはしてないよ、清めただけだ。お前じゃないんだから」
「…ちぇ」
過去に川で泳いで風邪をひいた経験のある豪は、頬を膨らませた。