『甘いお仕置き♪』
書斎に籠っていた兄が出て来たのがよほど嬉しいのか、アルフォンスは小さな手を伸ばして、楽しそうにお茶の準備をしている。
ソファに座り、それを眺めていたエドワードは、なにっこりと胡散臭い笑顔を浮かべつつ、弟を手招きした。
「おいでアル、兄ちゃんと遊ぼう。な?」
「うん、兄さん! なにして遊ぶ?」
広い家の中で一人で退屈していたのだろう。
構ってもらえるのが嬉しいアルフォンスは、素直に兄の元に近づいた。
「じゃあとりあえずお馬さんごっこでもしようか。オレの上にアルが乗っかるんだぞ?」
「…僕がのったら、兄さん重くない?」
「ん? アルなら心地良いから平気だって!」
「ん〜… じゃあ、乗るね」
躊躇ったものの、アルフォンスは座るエドワードの膝の上にちょこんと乗る。そしてそれを待っていたエドワードは、華奢な背中からぎゅっと抱き締めた。
「よしよし。あー落ち着く」
「兄さん、苦しいよぅ」
片腕で抱き締めながら、もう片方の腕で柔らかな金髪を撫でるエドワードに、アルフォンスは真っ赤になりながら抗議する。
「ん? じゃあ兄ちゃんが脱がせてやろうか」
そう言うと、返事も待たずに、アルフォンスの服の釦を外し、目にも止まらぬ早業でシャツを肩から落とした。
「えっ!? 兄さん、何で脱がすの!? 遊ぶって言ったのに・・・っ」
「うん? ああ遊ぶぜ、でも大人のな・・・?」
焦るアルフォンスに、エドワードは妖しい笑みを返す。
「大人の・・・って、兄さん!? やめてよ、まだ昼間なのに!」
「そっか! 『昼間は』嫌か。じゃあ普通に遊ぶか。その代わり、今夜は手加減しねーからな」
ジタバタと暴れるアルフォンスを軽々と押さえつけ、笑いながら言質を取ったと朱に染まる頬に口付ける。
「なっ、昨夜もしたのに・・・っ。
僕まだ体は10歳なんだよ!? いくらなんでも・・・っ」
「わかってねーなあ、アル。オレは毎日でも足りねえくらいだってのに」
「…本当に毎日してるじゃない…。僕が生身の体に戻ってからずっと。
もう、色々買い物にも行きたいのに、これじゃ外にも行けないよ」
真っ赤になりつつもあまり暴れず兄の膝の上で横抱きされているのは、どうやら体のあちこちが痛むかららしい。
「行かなくて良い。ズルイかもしんねーけど、アルがここに居てく待っててれんのがうれしいから」
「兄さん…。僕はいつでも兄さんを待ってるよ。ここが僕の家だから。
でも…買い物に行かないとお料理できないし…」
「飯くらいオレが作ってんだろ? マシになったって言ってくれたじゃんか。
それより、目の前の高級食材をまず調理しねーとな?」
会話をしつつ、さりげなく上着に手を入れたエドワードは、そのまま半脱げの状態になっていた服を上下ともに取り去った。
「ちょ、やめてよ兄さん! それまで脱いだら裸になっちゃう…
誰か来たらどうするの? やっ、くすぐったいよぉ〜」
「んー? 誰も来ねーよ」
実は床越しに錬金術で施錠済みだったりする。弟の見てないところで準備に抜かりの無いあたり、さすがである。
「痒いんなら舐めねーとな・・・ここか?」
子供特有の白く柔らかな肌に息づく淡い朱色の花に、そっと口付け、舐め上げる。
「あっ! や、だめぇ…。で、でもこの前兄さんが居ない時に・・・んっ…大佐が来たし…あんっ」
その言葉に、エドワードの動きがピタリと止まった。