鞭の跡と興奮で赤く染まったフィルシスの体を見て、シャーレンは鞭打つのをやめた。
胸の突起の上にも硬い黒皮のベルトをはめて、常に刺激を与えるようにする。
「んうっ…」
喘ぐ声を聞かれるのが嫌で、フィルシスは必死に唇を噛んだ。
鏡に写ったのは快楽に支配されて堕ちた自分。
体が赤く染まり、中心は勃ちあがっている。口と同じように、拘束具が差し込まれた鈴口の隙間から蜜をだらしなく垂れ流して。
偽の男根を咥えさせられて、ひくついている尻の穴がよく見える。
そんな淫らな姿を見て、フィルシスはたまらずに目をそらした。
「嫌…やめて…はなして…!」
だが、シャーレンは後ろから、フィルシスのあごをつかんで、顔を鏡に向けさせた。
突き上げるたびに反応する自らの性器を見ることができるように。
「かわいいですよ、前も後ろもひくひく震わせて。それなのに、どうして嫌なんですか?」
フィルシスの後孔に挿入していた張形を抜くと、塗りこんだ媚薬で、淡いピンク色のそこはぬらぬらと粘っていた。
誘うようにひくついている。
「体はこんなに物欲しそうにしているのに」
シャーレンは、身を震わせているフィルシスを自分の上に乗せ、後ろから抱いて挿入した。
ひくりと喉を鳴らす、フィルシスの尻の肉が締め付ける。
「はぁ…ん…ッ!」
歯を食いしばっていたフィルシスだったが、掠れた喘ぎを漏らしてしまった。
「ほら、じっくり御覧なさい、淫乱な自分をね」
目の前の鏡に映る、立ち上がった自分の陰茎をつうっとなぞる、形のきれいな長い指に、フィルシスは目がいった。
羞恥にたまらずに視線を外すと、鏡の中の、口から涎を流す自分と目があう。
「いやだぁ…っ」
シャーレンが白い耳を甘く噛むと、フィルシスの体がびくりと反応した。
体と体の間に挟まった白い尾がもぞもぞと動く。
それにあわせて、後孔の中もきゅっと締まった。
「今、あなたのお尻が食いついてきましたよ」
耳元で囁くと、鏡に映るフィルシスが羞恥に眉をひそめた。
「ちが……っあ……ッ」
「前もこんなに膨らませて」
一つ一つ、体の様子を聞かせられるとフィルシスは、凌辱される悔しさに涙が次々とこぼれた。
「んあ……ッ!」
シャーレンは狼の耳をゆっくり舐めながら、遊んでいるようにフィルシスの睾丸をきつく揉んだ。
華奢な体がびくびくと震える。
特に敏感な部分を同時に刺激され、それがさらに薬で増幅され、さっきまで悲しみで流していたフィルシスの涙が、今度は悦びで流れ出す。
「…っンん!」
それでもフィルシスは、必死に声を殺した。
自分の声とは思えないような、甘い喘ぎが、恥ずかしくて、自分で聞きたくも、シャーレンに聞かせたくもなかった。
それをわかっているシャーレンは意地悪に、フィルシスが息を吐く瞬間に、後孔の奥まで突き上げた。
「ああぁ…はぁ…ッ!やぁッ…ん…」
たまらずに頭を反らせ、甘い声を出す。
「気持ち良いでしょう?そんなに可愛い声で鳴いて」
ぐりぐりと後孔の内部を抉りながら、快感に震えるフィルシスの内股もまさぐる。
まだ鈴口の拘束具は抜いてやらなかった。
「あなたのここも、しっかり締め付けて、とてもいやらしいですよ」
息を吹きかけるたびに、きゅっと収縮する後孔の締め付けを愉しむように、シャーレンはわざと耳元で囁いた。
「く、ふ……っも…やだ……」
びくびくと身を震わせながら、フィルシスが呻く。
射精を止められたまま、後ろの弱点を刺激され続けて、苦しくて涙や声を抑えられない。
「気持ちよすぎて辛いですか?かわいいね…」
くすっと笑ってシャーレンは、涙をぽろぽろ零すフィルシスの頭をなでた。
鏡の中の飼い犬は腰を振り、貫かれるたびに背をそらす。
そのたびに、かたく取り付けられた拘束具に胸の突起がすれて快感を与えた。
焦点を失った深紅の瞳も、鳴きっぱなしの口も、そそり立つ股間の間のものも、主人から与えられる悦びに嬉し泣きしている。
「じっとしているんですよ」
シャーレンは後ろから、フィルシスの勃起している性器に手をかけて、鈴口を塞ぐ拘束具を抜く。
「あ…っ」
射精できる期待に、フィルシスの呼吸が我知らず荒くなった。
だが、すぐに、今度は別のもので鈴口を塞がれる。
「ひ…アぁ…ッ!」
ほとんど悲鳴に近いフィルシスの大きな喘ぎが響いた。狼の尾がびくんと跳ねる。
今度は先程まで挿入されていた拘束具よりさらに太くて長い棒を尿道に差し込まれる。
「やぁだ……痛……っ!」
「大丈夫ですよ、すぐに、これで気持ちよくなれる淫乱な体にしてあげますからね」
震える三角形の耳を舐めながら、シャーレンはフィルシスの尿道に差し込んだ棒を、ゆっくりと動かした。
先走りが押し出され、くちゅくちゅと淫らな水音が響く。
「くぅ…ぁ………ッ!」
尿道を無理矢理広げられ、内部を擦られ、激痛と快感が混ざりあう。
後孔の中と尿道の奥の両方から前立腺への刺激を受けている。
フィルシスは射精できないもどかしさに泣き叫んだ。
「ア、あっ…!んぅっ…あうっ」
このまま理性も失って、狂ってしまえたら、楽になれるのに。
大切な人も、思い出も、心の中から全て失くせたら、楽になれるのに…
「よく鳴く犬だ」
意地悪なことを言いながらも、涙をぬぐってやって、耳をなでてやった。愛しそうにやさしく。
「や…もう…!」
その昔と同じ優しい手つきが、嫌でも昔の幸せな記憶を思い出させた。
その度に、故郷のみんなのために耐えなければならないことも思い出す。
「早くイきたいですか?先程からずっと、ひくひくさせていますね」
貫かれてさんざん焦らされるだけで、まだ出させてもらっていない。
尿道を塞がれていなければ、すでに何度も射精しているに違いない。
苦しいほどの快感をずっと与えられ続けて矜持はどこかに飛んでいた。
「ん…っ」
声が言葉にならず、ただひたすら頷く。
「まだ我慢できるでしょう?淫乱じゃないと言うのなら」
震える内股をゆっくりなでて、そそり立つ性器の中の棒を上下に動かしてじっくり弄くる。
棒の隙間から、せき止めきれずにあふれ出す蜜をすりつけながら、全体を揉んで焦らす。
「やあぁ…!あァ…ッ!」
涙がとまらない。射精はできないが、イく事はできる。
苦しみと快感が同時に襲って何も考えられない。
「…んあぁっ!」
自分の後孔の中に、シャーレンのものが吐き出されたのを感じて、フィルシスは身悶えた。
自分はまだ、吐き出していない。
「や…もう……ッ!」
そこで、フィルシスの言葉が途切れた。
「もう?」
後孔に差し込んだものは抜かないまま促すようにシャーレンは、苦しそうな先端を弄くった。
尿道を塞ぐ棒をぐりぐりと回し、竿をなでる。
「あぁん…!はあ…ッあ…出させ…っ」
たまらずに、背をのけぞらせて叫んだ。
新しい涎がだらだらと顎を伝う。
「口の聞き方がなっていませんね?」
前をもてあそんだまま、後ろでも深く突き上げる。
「出させて…ください…!」
鏡に映る、あちこちを黒いベルトと鎖で拘束された体が、まるで奴隷のようだった。
「いい子だ」
声が枯れ、喘ぎが掠れてきたその頃、ようやく尿道の中の棒を抜かれた。
抱きしめられながら後ろを貫かれて、胸の突起と無毛の股間をすりあげられる。
泣きじゃくって、鏡の中で昂揚した体が大きく仰け反って射精した。
じっくりと我慢させられた後のそれは、狂いそうな程の快感を与えた。
「やぁっ…ぅあ…ああっ!」
満足するまで犯すとシャーレンは、疲れて動かないフィルシスの足や胸の拘束具をはずし、体液の後始末をした。
「ん…っ」
弄ばれた体は、敏感になっていて、後孔の中のものをかきだす動きにさえ、ひくんと震えた。
それをわかっていて、わざとらしくゆっくりと体を拭っていく。
「…ァ…あ…ッ…んん……」
フィルシスは声を噛殺して、耐えた。
「…ッこんなに私が嫌いなら…早く殺せ……」
フィルシスは床に寝転んだまま、ぼそっと拗ねたように言った。
あまりの恥辱をさらされて、少し自暴自棄になっていた。
「おや、あなたの故郷はもうどうでも良くなったんですか?」
すすり泣くフィルシスを膝の上に抱き寄せた。
「放せよ…!お前なんか嫌いだ!シャーレンだって…僕を嫌いなくせに……!ずっと騙してたくせに…!」
珍しく言葉を荒げるフィルシスに、シャーレンは唇を重ねた。
「ん…!」
不意に口の中まで入れられる舌。
内部の隅々まで弄られていく。
「……ッは…っ」
舌を出された時、唾液が糸を引いた。
「何を言ってるのですか。私はあなたを愛してるのにね」
「嘘だ……」
やさしく抱き締める腕の中で、フィルシスは弱弱しく呟いた。
こんなに残酷なことをされて…憎みきってしまいたいのに…。
それでもシャーレンの昔と同じ優しさが辛かった。


しばらくなでた後、シャーレンはフィルシスを抱き上げた.
廊下を寝室に向かって歩いて行く。
「……」
フィルシスは少しだけその胸にもたれた。
優しく抱かれるのが、もう帰ってこないものを思い出させて辛いのに、でもずっとこのままでいたいとも思った。
振り子のように行ったり来たりする気持ちが苦しすぎる。
「では、ゲートの所に連れて行ってあげましょう」
そう言って、シャーレンが聖騎士の制服と聖剣を持ってくる。
「…」
フィルシスは複雑な気持ちで、それを受け取った。
魔物になってしまった自分に、まだ聖剣は応えてくれるのだろうか…。

赤い月が昇る、漆黒の闇の中、二人は暗黒神官の神殿に向かった。
暗黒神が眠る祭壇を通り過ぎて、神殿の最奥にゲートはあった。
黒い鏡の前に、黒い水晶玉が置いてある。
自分がこれから進んでいく真っ暗な未来のように。
「これがゲートです。これを壊すと、多分もう、あちらの世界に戻れることはないでしょう」
「わかってる…」
少し切なく答える。
これから、たった独りでこちらの世界にいなければならないのだから。
本当はあちらの世界に、故郷に、帰りたい。
だが、もし自分が戻ってしまえば、それは誰もゲートを壊すものがいないということ…
また戦争が始まってしまう。
それに戻っても、きっとそこには自分の居場所はないだろう…こんな化け物の姿では。
もう、帰る場所はない…。
一番愛した恋人には、自分のことは、思い出の中の自分のままで覚えていて欲しい…
生きた化け物としてよりも、死んだ聖騎士として…
それでもそれは、こんなにも帰りたいと焦がれる胸を、押さえつけるための理由なだけなのかもしれない。
帰りたい、あの場所に。
今ではもう、思い出の中でしか見れない場所に。
思い出の中の彼女が、振り向いて微笑みかける。
色褪せることのない残像。幻の声が呼んでいる…
かき消して、現実を見た。感傷に浸っても何も変わらない。
しかし、不安だった。
とても聖剣を抜く気にはなれなかった。
きっともう使えない。自分は魔物になってしまった…
こちらをじっと見ているシャーレンに、恐れていると悟られたくなかったので、フィルシスはずっと考えていた疑いを口にした。
「何で私に協力するんだ…。ここで私を殺せば、今度はお前が全て…支配できるのに…」
「前も言ったでしょう、私はあちらの世界にも、暗黒神にも興味はない。ただあなたが欲しいと。
あちらの世界ではあなたに手は出せないし、暗黒神が復活したら、彼に従わなければなりません。
私は好きでもない人に従うのは嫌いです」
「…ごめん」
「恐れているのですか?その剣がまだ、使えるかどうか」
「…」
「例え姿が変わっても、あなたはあなたです」
「……」
聖剣の輝きは、心のあり方が決める…
大切な人たちを守るためなら、聖剣はいつでも力を貸してくれた。
決心して、聖剣を抜く。
鞘から出された刀身は、以前と変わらぬ輝きを宿していた。
眩い光の中に、陽だまりのように灯る思い出が視えた気がした。
教会の庭園で、丁寧に育てた花を見せてくれた彼女。
散りばめられた宝石みたいな中に囲まれて、笑う彼女が光の中に蘇る。
もう彼女の人生と交差することは叶わないけれど、あの笑顔にふさわしい、幸運の女神が舞い降りることを願う。

さよなら、ローナ…

きらめく聖剣が水晶玉を壊した。
これで、あちらの世界が侵されることは、しばらくないだろう。
もう二度と、故郷には戻れない。
今でもこんなに大切に思える人生があちらで築けたことを、そんな世界を守れたことを、それだけが唯一の救いだ。
そう思わないと涙が流れそう、零れ落ちないようにこらえた。
一度流れ出すと止まらない気がした。
ここで自分が泣き出したら、今でもシャーレンは抱きしめてなでてくれるだろうか。
答えはわかっていた。そうに違いなかった。
今のように迷った時は、いつも励ましてくれるシャーレンのことを思い出すと、また思い出が辛くなった。
これからもあんなことをされるなら、好きにならない方がいいと思った。
それは本当は間違いで、好きにならないのではなくて、すでに好きだから、残酷なことをされるのが辛いのに…。
このまま、この気持ちを失くしたかった…
「これでもうあちらの世界は大丈夫です。あなたの大切な人達もね」
そう言ってシャーレンが、少し物思いに沈んだ自分の手をやさしくとった。
ひどくされても昔のように優しくされる…
いや、本当は、人に昔も今もない…どんなに何かが変わってもその人はその人…
自分が何も知らないだけだった…わかっているけれど…
「帰りましょうね」
「…うん」
優しく繋いでくれる手を振り払うことができなくて、甘えるように握り返してしまう。
帰る場所…自分は今それを失ったのに。
自分が知っていた昔とは違う。それでも今も、優しく側にいる。
いっそ冷たく突き放してくれたなら、こんなにもシャーレンの事ばかり心煩わされることはなかったのに。


寝室に一つだけのベッド。
いつも一緒に寝かされる。
でもシャーレンなんか嫌いだ…
今は優しくても、また明日、ひどいことするんだ…
フィルシスはそう思うと、できる限りシャーレンから離れようと思ってベッドの一番隅に寝た。
「何でそんな端っこに行くんですか」
フィルシスの拗ねる動作を楽しく見守る微笑だった。
「…別に」
フィルシスはそう答えても、シャーレンに引っ張られて抱き寄せられる。
「離して…!」
悔しかった。縋りたくなかった。自分は弱いと証明するようで。
でも、そのまま耳をなでられたら、いつもしていたように、甘えたくなってしまう。
仲間がいないこんな世界で、孤独に押し潰されてしまいそうだから。
「やだ……」
力なくシャーレンの腕に触れる。
抱きしめる腕を引き離そうと思っても、結局すがりついて離せない。
あきらめて、その胸元にそっと頬を寄せると、優美な声がささやく。
「おやすみ」


暗く沈黙する神殿にシャーレンは気づいていないことがあった。
水晶の中で眠る暗黒の神は知っていただろう。
あのゲートの水晶玉は、すでに誰かに偽物にすり変えられていた。


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